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久住女中本舗

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2011年 08月 27日

フリーサウンドノベルレビュー 『彼女と彼女と私の七日 -Seven days with the Ghost- 』

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今日の副題 「超ハイクオリティ! ガチ百合ゲーム登場!」

ジャンル:エセ魔法学園でエセオカルトな18禁ガチ百合ノベル。
プレイ時間:3時間半~5時間程度
その他:後半、最後の最後に選択肢一箇所アリ。ほぼ一本道。18禁。
システム:NScripter

制作年:2011/2/11
容量(圧縮時):1.15GB




道玄斎です、こんにちは。
今日は、昨日からずっとプレイしていた作品のご紹介。既に勘の良い方は気づいているかもしれませんが、何と本作も又、数少ない「ギガ越え」の作品です。今まで、ギガ越えをしているのは商業、又は商業に準ずるような、そういう作品ばかりでしたよね。『ツインエンジェル』とか『se・きらら』とか。
そこに来て、完全フリーで、多分VIP系だと思しい作品の登場ですよ。
というわけで、今回は「Lilies Project」さんの『彼女と彼女と私の七日 -Seven days with the Ghost- 』です。
良かった点

・圧倒的にハイクオリティなイラスト、ムービー、演出、ボイス。参りました。

・ちょっと嬉しいフルボイス。


気になった点

・設定が十全に活かせていない部分があったような……。

ストーリーに関しては、サイトのリンクを張っておきましょうか。こちらからどうぞ。



というわけで、久々ですね、3時間半も掛かるような大作をプレイするのは。
それも、滅多に出会えないような、ハイクオリティの作品ですから、ね。そういえばタイトルが、『彼と彼女と彼女の忠義』にちょっと似てますねw これは蛇足ですがw

いや、ここまでヴィジュアルというかガワが良いと、生半な商業作品、立つ瀬が無くなってしまいそうです。少なくとヒロインやその他の女の子キャラのヴィジュアルで、商業に劣るという事は全くありませんし、それを彩る音楽や効果音の類も又然り。十分、「売り物」になる水準に達していたのではないかと愚案致します。

ついつい、私も「この手の太鼓の音なら作れるぞ?」と対抗心を燃やして、私達が運営している素材ポータルサイト(←宣伝的説明)「Novelers' Material」に勢いで投稿しちゃったくらいで。


先ほどから「商業作品」という比較に於いて、本作を論じていますが、ノベルゲームってベクトルが二つある、って考えると少し分かりやすいかもしれませんね。
一つは、商業作品に対して、出来るだけ近づいていこうとするベクトル。
もう一つは、商業作品なんてどこ吹く風で、作りたいものを作る、という我が道を行くタイプのベクトル。

勿論、この二つはカッチリ分けられるものではなくて、後者のつもりで頑張っていたら実は前者に接近していた、なんて事も日常的に起こりそうです。

大凡の傾向としては、所謂VIP系は前者ですね。
本作も又然り。「ガチで百合なゲームを作りたい!」という動機があるにせよ、かなり商業のそれを図らずも意識しているような感触があります。


さて、ここらへんで、作品の内容に入っていきましょう。
どうやら、舞台設定は未来。魔法科学なるものが発達を遂げた世界のようです。そして魔法学院と云っても良いような女子校の寮に住んでいる絢子が主人公ということに。

絢子の周りには、生徒会長でちょいタカビーな感じの杏奈や、その取り巻きの女の子が居たりして。
そしてある晩、絢子は自分の所属するオカルト研究部存続を賭けて、七不思議の調査をしていたら、情事(勿論女の子同士だ)に励む杏奈の部屋の外で、「自称幽霊」に出会ってしまい……。
そして、出会ってしまった事を機に、雅は絢子に付きまとってくるようになるのだが……。

という感じ。
幽霊……雅って子ですけれども、またヴィジュアルが素敵なんだわ……。
和服美人はやっぱり独特な魅力がありますねぇ……。あっ、けど、雅は「趣味」として「覗き」(情事の)をやっている、というお茶目な属性もあって、単純に恐い幽霊、という存在とは違います。


ガチ百合ゲームですから、兎に角力が入っているのが「百合シーン」。
言葉をボカしてますが、要はエロシーンですw 結構長目のエロシーンが五回くらいかな? 入っていて、「ガチ百合」のコンセプトを体現していたのではないかとw

そういうコンセプトで作られたゲームですから、その百合描写、或いはエロそのものに関して何かを述べるのはお門違いでしょう。
ただ……一言云わせて貰えれば……結構エロいですw 寧ろ、男×女よりもある種隠微な香りがして、私なんかは美味しく頂けましたw

そういえば、プレイしていると、絢子が処女ではない、という事明かされるのですが、これは蛇足なんじゃないかなぁ……と思ったりします。
処女でない、というのが決定的に重要なファクターであれば、それはそれで良いのですが、せいぜい、杏奈に嫉妬でやきもきさせるくらいの役割しか果たしてないわけで、そうでないのならば、やっぱり処女の方がいいよねw 
もし、処女でない、とするならば、ファーストキスは既に誰かとしている、くらいにしておけば良かったんじゃないかしら? そのくらいなら抵抗感は薄いはずですから。


さて、気になった点ですが、魔法学院という設定がもっと活きてくるかと思いきや、それほどでも無かった、という辺りが一点かな。
本作、別に舞台が魔法学院じゃなくても、そして、魔法が公然として認知されている世界でなくても、全然成り立ってしまうんですよね。となれば、やはり「魔法」が出てくる必然性が欲しいんです。
や、ラストでは、やはり魔法の必要性が多少強調されるんですが、やっぱり日常的に魔法が根付いている感が無いと、「何で魔法学院なのよ?」って事になりかねません。
要所要所で魔法は出てきます。だけれども、もっともっとストーリーに魔法の要素が絡んできても良かったかなぁ、なんて思うわけです。

もう一点は、作品の特質にも拠るんですが、エロシーンを抜いたら、実はストーリーは割とあっさり風味になってしまう、という辺り。
少なくとも、私はあまりエロには興味がなくて、ノベルゲーム/サウンドノベルのストーリーを見たいんですよね。となると、やっぱりストーリー、そしてその流れに注目してしまうわけで、落ち着いて考えてみれば、エロシーンを抜いてみれば、意外とあっさりしてたんじゃないかな、っと。

或いは、これは密度の問題、なのかもしれません。
七日というひとまずのリミットが設定されている点は、評価出来ます。何故ならば、「七日で終わり」という終着点が分かっているとプレイしていても、なんか妙な安心感があるから、です。
良く、ホラーなんかプレイしているとあるんですが、終わりが見えないまま、延々と続いていくんじゃないか……? なんて思ったりしません?w
そういう時に、取り敢えずリミットを示してくれて、一日一日過ぎていくタイプの作品だと、何とも云えない安心感が。

にしても、七日はちょっと長かったかもしれませんね。
ちょっとあっさり風味、だと云いましたが、それは七日に引き延ばされてしまっているからで、これが四日くらいでギュッと詰まっていれば、それほどあっさり感を感じなくても済んだんじゃないかなぁ……。
七日の間に、凄い大事な事をしているのか? って云われたらそうでもないですしw

ただ、人間(や人外)の存在との交流って意味では、七日くらい掛けないと、それはそれで関係性があっさり風味になっちゃいそうで、難しい所ですね。



大凡、こんな所かな?
兎に角、百合好きなら超お勧め出来ます。
又、グラフィックマニアも、絶対に満足出来るものになってると思いますよ。



それでは、また。

by s-kuzumi | 2011-08-27 16:37 | サウンドノベル | Comments(0)
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