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久住女中本舗

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2012年 02月 12日

フリーサウンドノベルレビュー 『正義のキヅナ』

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今日の副題 「肩肘張らずにミステリー」

ジャンル:ミステリー(?)
プレイ時間:コンプリートまで1時間ほど(但し、各人によって差はあると思われる)
その他:選択肢有り。バッドエンド多数。又、「挿話集」によってヒントが得られる。
システム:吉里吉里/KAG

制作年:2011/12/?(フリー公開)
容量(圧縮時):6.46MB



道玄斎です、こんばんは。
今日は、積んであった作品を消化すべく一本手を出してみたら、やめられない面白さがあって、一気にプレイしてしまいました。
というわけで、今回は「言ノ葉迷宮」さんの『正義のキヅナ』です。
良かった点

・何度でもチャレンジしたくなるような、絶妙な難しさのバランス。

・「挿話集」など、プレイヤーに配慮した作り込み。


気になった点

・ヒロイン(?)瀧世トキのバックグラウンドが、もう少し示されても良かった。

ストーリーは、作者さんのサイトから引用しておきましょう。
瀧世トキは、周囲に正義を行き渡せなければ気がすまない性格だった。
そのガスバーナーのように熱くきらめく正義に魅せられた俺は、彼女を追うが――。
正義という名のキヅナで結ばれた二人を描くアドベンチャーゲーム!

こんな感じです。



本作は、『わたしには聞こえる』と同タイプの、テキスト入力型ミステリーアドベンチャーです。
ただし、本作の方がノリはライトで、より親しみやすい設定、になっているように感じました。

一つは、大学生活の中で、「正義」を標榜する瀧世トキという女の子に出会い、その光に魅せられてしまった主人公根木清人が、大学のレポートとして、事件調査を行っていく、という枠組みがあったからでしょうね。
ガチガチにミステリー全開なものより、レポートとして、というような謂わばカジュアルな雰囲気を持っていたわけで、それが、上手く機能していた印象です。

ストーリーは、大学の助教(昔でいう助手)霧島にまつわる悪い噂を調査しようとするトキに、主人公が乗っかって、一緒に調査をし、それをレポートとしてまとめ上げていく……というもの。

霧島の悪い噂とは、子供の悪ふざけレベルで、名前に「霧」が入っているから「遠足に行くと霧が出るのは霧島のせいだ」とか「その霧島の呪いで死んだ子がいる」とか、そういう感じの噂です。
そして、その中でも、「霧島の呪いで死んだ子がいる」という所が、本作の焦点となります。

実際に、霧島の郷里を尋ねて行って、霧島の同級生などに聞き込みをする主人公達。
上手く文字を入力し、情報を収集していく事が必要になります。

この、選択肢、或いは文字入力の難易度が絶妙なんですよね。
『わたしには聞こえる』もそうでしたけれども、易しすぎず、難しすぎずの本当にギリギリのバランスで成り立っています。『わたしには~』と比較すると、本作の方が少し易しめかな、という気はします。
トリックというか、謎の部分は似ている所はありますけれどもね。

ある人物について調べたい時や、その人物名を入力したい時に役に立つのがメニューバーの「情報サポート」。それを見れば、現時点で分かっている人物やその背景が一覧で表示されます。
こういう、細かな心遣いがプレイヤーにとっての助けになります。
そして、ストーリーを進めていくと「挿話集」に「対話」が追加され、それを読むことが可能になります。何が何だか分からないような、そんな会話なのですが、これが後々に活きてきます。この部分は完全にしてやられましたね。
又、バッドエンドを見ると、やはり「挿話集」の中で「相談」が追加され、バッドエンド回避の為のヒントが示されます。

序盤、少し悩む所はあれど、中盤~後半まではさほど難しくありません。
肝心のトリックの部分も、重要なヒントが、ある人物の口から出てきますから、それもさほど難しくはないはずです。問題はその人物と接触出来るか否か、かもしれませんね。


しかし、実は霧島助教の事件を調査し、謎を明らかにする事。
それが、本作の主眼か、と云ったら実は違います。霧島助教にまつわる謎を調査していく中で、もっと大きな枠組みでの謎が存在し、それが、本当に最後に解くべき謎になっている、構成をとっています。
そこまでくると、選択肢の表示の仕方にも工夫が見られ、単なる推理ノベルとは一味違った世界が見えてきます。

ただ、本当に本当の最後の選択肢が難しかったです。
もしかして? という事であれこれ試行錯誤してみたのですが、全然ダメ。で、半ば投げやりになって入れた文字列がビンゴで……という。意外な結末で、面白かったです。


されはさておき、気になるのは、ヒロイン(?)トキのバックグラウンドです。
「正義」に異常なまでに固執する彼女には、何かバックグラウンドがありそうな事、仄めかされるのですが、それは最後まで明らかになりません。まぁ、「正義」っていうのは扱いにくい概念ですからね……。

又、トキは、所謂無愛想系キャラな為、主人公との絡みも淡泊です。
実質、謎を解いていくのは、主人公(=プレイヤー)なので、もう少し、推理面で彼女の意見や行動が見えても良かったのかな、と思います。
或いは、合間合間に、主人公との掛け合いが軽くでもいいから、入っていれば、又印象は違ったものになったのではないでしょうか。



大凡、こんなところでしょうか。
絶妙な難易度のミステリーです。肩肘張らずに楽しくプレイしてみて下さい。



それでは、また。

by s-kuzumi | 2012-02-12 17:43 | サウンドノベル | Comments(0)
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