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久住女中本舗

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2012年 05月 16日

フリーサウンドノベルレビュー 『cranky・apple』

フリーサウンドノベルレビュー 『cranky・apple』_b0110969_19401476.jpg

今日の副題 「さっちゃんはね、透明なんだよ、ホントはね」

ジャンル:透明人間との交流ノベル(?)
プレイ時間:30~40分程度。
その他:選択肢なし、一本道
システム:NScripter

制作年:2012/5/8(?)
容量(圧縮時):42.0MB



道玄斎です、こんばんは。
久々の更新ですが、実はゲーム自体は結構プレイしていたりします。何本もプレイしたり、又洋ゲーを探し回ったり色々していたわけですが、今ひとつ、ピンと来るものが無かったので、このブログを半ば放置してしまっていました。
そんな風に、今日も今日とてゲームを探してプレイしていたら、「この作品なら色々書けるかな?」と感じたものがあったのでご紹介。
というわけで、今回は「フリーゲーム讃歌」さんの『cranky・apple』です。
良かった点

・ちょっとヒネった設定が面白い。

・ただの不思議な話、で終わらず、主人公ミドリの成長物語としての軸があったのも良かった。


気になった点

・透明人間ことさっちゃんとの交流に、もう少し筆を割いて欲しかった。

・やや性急なラスト。

ストーリーはふりーむ! から引用しておきましょう。
「人には見えないもの」が見える少女・ミドリが出会ったのは、透明人間のさっちゃんでした――
二人のちょっと不思議で、ほんわりな物語。

1時間ほどで終わるデジタルノベルです。
選択肢なしの一本道ですのでお気軽にどうぞ。

こんな感じ。


大凡、主人公たる人間と人外の交流を描く作品の場合、偶発的にその幽霊なり、透明人間なりを知覚出来るようになった、というパターンが多数を占める訳ですが、本作の場合、主人公ミドリは最初から「見える人」として設定されていました。

メインキャラの一人、さっちゃんは、ミドリが認識出来る透明人間。当然、他の人は彼女の姿を見ることは出来ません(幽霊、では無く透明人間なので、ぶつかったりは出来るみたいですが)。
そんな二人の交流を軸に据えた作品、と、取り敢えず簡潔に本作を纏める事が出来そうです。

ともあれ、こうした幽霊や透明人間を見ることが出来る、というミドリの個性が、作品の一つの特徴になっています。これは、何かの拍子で、人外と交流を持つようになる、というパターンとはちょっと違いますよね。
何より、その「見えてしまう」こと、そのものが、作品のもう一つのテーマに繋がってくるあたり、中々巧みだと思われました。
「見えてしまう」が故に、ミドリは、その幽霊や透明人間と友達になる事に血道をあげ、生身の人間(クラスメイトなど)に対して興味を失ってしまっています。まぁ、作品を読めば分かるのですが、軽くクラスで浮いてたりしますw

さっちゃんは、主人公の幼なじみで、学校の養護教諭の椿に惚れている為に、学校の保健室にいたようです。そこを、ミドリに見つけられてしまい、二人の交流が始まることに。

幽霊・透明人間大好きっ娘のミドリは、さっちゃんにやたらと懐いていくわけですが、さっちゃんの方が割とクール。一応、椿に惚れている、というバックグラウンドがある為、彼の幼なじみで仲の良いミドリに対して、嫉妬の情もあるわけです。

で、基本路線としては、この二人のやりとりで以て物語が綴られていく、という事なのですが、先にもチラリと書きましたように、ミドリは幽霊や透明人間といった「人外」にしか興味が持てないでいます。
だからこそ、彼女は、クラスでは浮き、クラスメイトとコミュニケーションが取れず、人間関係が構築出来ないのでした。

この作品のもう一つの軸は、まさにここにあって、さっちゃんとの交流を通じてのミドリの成長、というのが一つ、大きな柱になっていたと思います。
変わった設定、だけでなく、そこにちゃんと成長の物語を内包してくれている所が良かったですね。この成長を、一風変わったガワで包んである、という印象でしょうか。
ガワと云えば、イラストが素敵でしたね。ちょっと淡い雰囲気を残していて、こういうイラストも好みだったりします。


さて、気になった点は、その成長物語と関係があります。
というのは、ミドリの成長が急カーブを描いているんですよね。あっという間に成長してしまうというか。
さっちゃんとの関わりの中で、彼女が成長していくわけですから、もう少し、二人のやりとりに筆を割いて、少しづつ終わりを意識させながら、成長が描写される、という形の方が受け入れやすい気がしました。

これは、ラストが性急だという点とも関わってきますね。
起承転結で云えば、転・結に当たる部分をじっくり描いて欲しかったな、という感じです。言い換えれば、さっちゃんをもっと活かす事が出来たのではないか、という事でもあります。随所に描かれる、温かみのあるやり取りと、必殺のセリフ(これはグッときます)は魅力的なんですけれどもね。



大体、こんな感じでしょうか。
一風変わったガワに包まれてはいますが、実は割とオーソドックスで読みやすい作品です。
そういえば、タイトル画面なんかもお洒落な感じで、中々素敵ですよ。人外との交流型(?)が好きな方は是非、どうぞ。



それでは、また。

by s-kuzumi | 2012-05-16 19:40 | サウンドノベル | Comments(0)
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