2012年 07月 15日
道玄斎です、こんばんは。 また少し更新が空いてしまいましたね。皆様におかれましては、如何お過ごしでしょうか? ボチボチ夏休みも見えてきて、楽しい気分が全開な方もいらっしゃるかもしれません。 私は、と云えば、相も変わらずパッとしない日々を送っていますw どうも疲労が蓄積しているようで、頭痛と目の痛みにやられてたりして。 ■そういえば五周年 というわけで、気がつけばこのブログも五周年ですよ。 早いものです。長く続けりゃいいってもんでもないでしょうけれども、何とか五年間もやってこれました。ひとへに、このブログを閲覧して下さり、またコメントを残していって下さる皆様のおかげです。 そして、何よりゲームを制作して下さっている作者さんあっての、このブログです。作者さんには特別な感謝を。 で、まぁ、五年もやってると色々な変遷があるものです。 当初は「量+スピード重視」だったのですが、最近は割と作品を吟味するようになりました。作品の好みなんかも、ちょっとづつ変わっていったような気もします。 勿論、変わったのは、私だけではなくて、この業界(?)も色んな変化があります。 七年前の作品がリメイクされていたり、ちょっとめぼしい新作が出てこなかったり……。なんとなーく、この業界に身を置いてると、業界そのものが縮小傾向にあるというか、衰退しているような……そんな、少し悲しい感触も感じたりします。 けれども、一方で、まだまだ勢いを保っているゲームがあって……。 という所で次の話題に移りましょう。 ■女性向けゲームの深淵な世界 ノベルゲームには、色々なジャンルがありますよね。 恋愛、ホラー、ミステリー、伝奇……。 けれども、薄々、もう一個のジャンル分けがある、って気がついている人も多いのではないでしょうか? それは、「女性向けゲーム」か否か、という二分法です。 私達(という括り方でいいですか?)が普段プレイするゲームの多くは、高校生くらいの男の子が主人公で、なんか一人暮らしをしていたりして、トラウマを抱え込んでいるものの、半ば無条件的に好意を寄せてくれる女の子の力によって、それを克服する……と書くとあまりに図式的過ぎる気がしますが、恋愛を主軸にした作品では、このパターンがまだまだハバを効かせています。 一方で、女性向けゲームは、基本的にはそれとは真逆の、女の子が主人公で男の子と恋愛をしていく、と、取り敢えず細部を無視すれば纏める事が出来そうです。 けれども、そこには、物凄く独特な世界……が存在しているのです。 先ず、「ジャンルに対する意識」みたいなものが、女性向けゲーム(や、女性向けゲーム制作者さん)には存在するようなんです。まぁ、私の聞き取り調査が基になっているので、ちょっと怪しいかもしれませんがw で、ジャンルに対する意識ってなんじゃらほい、って云えば、「女性向け」「男性向け」「一般」とか、結構、区別を付けたがるような、そういう事ですね。 正直な話、そうしたジャンルコードは、個人的には割とどうでも良くて、「面白い作品であればいい」とは思うのですが。 兎も角、私の身の回りの女性は、結構そうしたジャンル分けに五月蠅くて、何かゲームの話題が出ると、先ず真っ先に「女性向けか男性向けか一般向けか」を聞いてきますw けど、落ち着いて考えてみると、これって結構深い問題ですよ。 男性向けっていうのは、多分、男性主人公でヒロインと結ばれる事を目的としたゲームを指すんでしょうし、女性向けっていうのは、逆に女性主人公でヒーロー(?)と結ばれる事を一つの目的としているんでしょう。 じゃあ、「一般向け」って何なんでしょう? ね? 即答出来ないでしょ? 考えてみるに、ミステリーやホラー作品なんかは、プレイヤーの性別を問題としませんから一般向けになる、のかな。けど、プレイヤーの性別を無視して楽しめる作品って、中々無いような気がします。 他には何かあるかなぁ……『ナルキッソス』なんかも、性別関係なくプレイ出来る作品かな。あそこまでのダウンロード数を達成した背景には、やっぱり少なからぬ数の女性もプレイしていると考えた方が自然ですし。 兎に角、(少なくとも一部の)女性ゲーマー、や、女性ゲーム制作者さんの意識の中に、多少なりとも、こういうジャンル分けの意識がある、というのは、女性向けゲームの不思議な世界の一端を表しているような気がするのですが、如何でしょうか? これも、私の身の回りの調査と、プレイヤーとしての私の感触になってしまうのですが、普通の(っていう云い方を便宜上させて下さい)ノベルゲームって、まぁ、ふりーむとベクターに登録しておけばいいかな? って感じですよね? 女性向けゲームの場合は、勿論上記サイトも使用するのですが、もう一つ、「サーチエンジン登録」という、重大な儀式が、ゲーム公開に際して行われる事が多いようです。何て云うのかな、広く世界に向けて作品を発信していく、というよりは、同好の士と作品をシェアしていく……みたいな所に力点が置かれているような、そんなイメージですね。 恐らく一番メジャーだと思われるのが「自作乙女ゲーSearch」というサイトでしょう。 隠語で「幸」とか略されたりするわけですが、隠語が存在する事自体が、その利用率や知名度を如実に表している気がします。 で、この「自作乙女ゲーSearch」、見てみると、物凄く面白いんですよ。 作品を、所謂タグのようなもので検索出来るわけですが、その区分けが非常に興味深い。 先ず、ゲームエンジンの問題ですが、圧倒的に多いのは吉里吉里/KAG、ですが、二番手はLive Makerなんです。確かに……私が過去にプレイした作品を考えても、「女性が作ってるなー」って思えるような作品は、Live Maker製が多かったと思います。 も一つ、これは正直かなり吃驚したのですが、主人公の属性に「個性なし」って項目があるんですよね。 最初に挙げた、トラウマを抱えた高校生が女の子の力で……というタイプの作品も、或る意味個性が無い主人公なんでしょうけれども、そのトラウマに工夫を持たせたり、何とか、個性……オリジナリティを持たせようとする、そんな動きを感じるわけです。 けど、端から「個性なし」っていう、属性があるっていうのは、やっぱり私からすれば、ちょっと驚きますねぇ。「兄有り」「義弟有り」などの属性は、いかにも女性向けらしいなぁ……って感じですね。 攻略対象の属性も面白いですよ。 少なくともサーチエンジンのデータを見る限り、ダントツトップは「人外」です。そして「幼なじみ」「同級生」と続くわけですが、その次に「ツンデレ」という属性が。「眼鏡」とか「ショタ」とかも人気ですw こういう、自分好みの作品を探し出せる仕組みがあり、尚かつ、自分も登録出来る、というサーチエンジンの存在は、女性向けのゲームでは無視出来ないですよねぇ……。 けれども、やっぱり、そういうのを見るにつけても、大々的に自作品を広めていく、というのではなく、仲間内で作品をシェアしていく……というような、ちょっと閉鎖的な作品のあり方も感じさせますね。 もしかしたら、こういう記事を書くことすら、怒られてしまうのかもしれませんが、そこはちょっと大目に見て下さると嬉しいですw 勿論、女性向けゲームの全てが閉鎖的だとは云いませんけれども、割とそれに近い傾向があるのではないか、という事なんですが、それによる一番の問題は「男でも楽しめる名作」が浮上してこない、という所にあるのではないかと。 私なんか、少女漫画(や、女性向け漫画)が好きですから、主人公が女性、というのは全然抵抗がないんですよね。そこに素敵な恋愛なりストーリーなりが紡ぎ出されていれば、云う事無しです。 なので、実は、名作の見分け方とか、ぶっちゃけた話、人気ランキングみたいのはないのかなぁ、なんて思ったりしてw ベクターの人気順の表示がデフォルトになった時に、「なんて改悪をするんだ!」と思ったりしたのですが、女性向けの世界は、奥が深くて、何か道しるべがないと迷子になってしまいそうです。 なので、「この作品がいいよ」とか「ここを見ると、名作が分かるよ」なんて情報があれば……こっそり教えて下されば嬉しいです。 あっ、ちなみに、サーチエンジンのリンクには、素材サイトもあるのですが、私達が運営しているNovelers' Materialもどうぞご利用下さいませw という辺りで、今回の箸休めはお終い。 もしかしたら、次のレビューでは、面白い女性向けのゲームを取り上げるかもしれませんね。 それでは、また。
by s-kuzumi
| 2012-07-15 22:06
| サウンドノベル
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Comments(4)
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りか
at 2012-08-13 22:51
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こんばんは。遅ればせながら五周年おめでとうございます。
「女性向け~」また面白そうな記事ですね。 かくいう私はジャンル関係なくプレイする方ですが(男性向けの性描写等は途中リタイヤする事もありますが、一定ラインまではなんとか「私は今殿方」と自分を騙しながらプレイしています 笑)反面、女性向けに限らず無個性主人公(主人公=自分)は少々苦手です。 <勿論否定はしていませんが、私を含め私の周りの女性は道玄斎さんの周りとは反対に主人公=1キャラ扱いで(キャラ画像・デフォルト名がないとテンションマイナス)個性が立っている主人公が好きな方が多いです。 恋愛物は自己投影ではなく、完全仲人婆プレイです。主人公は娘や姪っ子気分~なので、とんでもない男に引っかかると、心配で(笑) 個人的には女性向けは閉鎖的というより「区分けが細かい反面、全体は広範囲」なカオス印象かな。 それがまた面白いんですけれど、確かに明確な指標が無いので、男性には把握しにくい面もあるかも。棚には一応分けられているんですけど、重なり具合が半端ない事は確かだと思います。 <じゃあどうやって好みの作品を捜すかというと、感覚です(笑)
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りか
at 2012-08-13 22:53
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~字数制限に引っかかってしまったので失礼ながら追記します
Live Makerが多い点は私も少々思いたってツール一通りを落とした時、数値を細かく指定するようなゲーム性の高い作品?には確かに吉里吉里/KAG等の方が向いているけれど、ノベルや簡単なアドベンチャーのような一律ストーリーで組む作品にはLive Makerはとっつき易い印象でした。 「地図の読めない女」という言葉がありますが、記号や数値で一定方向を示す事(多分、理論に当たる)を女性は慣れるまで時間がかかる傾向にあります。でも具体的に(内容がどれほど細かくても)「まっすぐ行った二番目の十字路にお地蔵さんがあって、その右手にある細道から…」と示すと、組み立てやすく全体把握し易いんです。Live Makerはイベントを具体的に指定できるので、その点女性感覚的にフィットしている印象でした。 <でもLive Make自体が重い上に、軽い画像形式を使用できないので、それが悩み所です…
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s-kuzumi at 2012-08-21 20:45
>>りかさん
こんばんは。お返事が遅くなってしまい申し訳ありません。 恋愛モノの仲人プレイは、面白いですね! 大体、自己投影型が多いような気がしていますが、「そういう楽しみ方もあるのか!」という感じです。 女性向けゲームの世界は、やっぱりカオスな部分はありますよねー。外野(男)から見てると、んもう、何が何だかさっぱり分からなかったりしてw 何だろう、結構、女性向けの作品は「女性向けです」と但し書きを付ける事で、予防線を張っているような部分があったりするんですが、ちょっと勿体ないかなぁ……と思うような事もあったり。 作者さんが「男女問わず楽しめる!」と思えるのであれば、特に「女性向け」とか書かなくてもいいんじゃないかな? と思ったり思わなかったり。 感覚で作品を探す……それは良く分かりますよw 私も、新着のゲームをザラッと見回して、「これなら面白そうだな」とか「これはちょっと手を出すの、やめておこう」とか考えますものw
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s-kuzumi at 2012-08-21 20:45
その2
Live Makerは作りやすい、って良く聞きますね。私なんかは、もうNScripterに慣れてしまって、そこから動けないような状況なんですが、「ノベルゲーム作りたいんだけど?」と相談を受ける時には、Live Makerを勧めたりしています(自分は使った事ないのにw)。 女性感覚にフィットしている、というのも面白い視点ですねー。中には女性でもガシガシスクリプトを打って……というタイプもいますけれども、かなり多くの人がLive Makerを選択している点、やっぱり、感覚に合うものがあるのかもしれませんね。 Live Makerの泣き所は、やっぱり重さ、ですよねw 自身が重く、アニメーション表示をさせたりすると、途端に動きが重くなる……。そういう所が改善されれば、今よりももっとグーなツールになるかもですね! お話を拝見して思ったのですが、りかさんは……ゲーム制作者さんなのでしょうか? もし、差し支えありませんでしたら、こそっとお作りになった作品、お教え下されば幸いです~w |
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