2012年 08月 12日
今日の副題 「写真が繋ぐ、二人の想い」 ※吟醸 ジャンル:写真部少女の恋愛ノベル(?) プレイ時間:凡そ一時間ほど。 その他:選択肢有り。バッドエンドも。 システム:Live Maker 制作年:2009/6/7 容量(圧縮時):24.0MB 道玄斎です、こんばんは。 昨日に引き続いて、今日もノベルゲームのレビューを。 というわけで、今回は「ぷらねたりうむ」さんの『ファインダー越しの空』です。ずっとプレイしようと思っていた作品ですね。 良かった点 ストーリーは、サイトから引用しておきましょう。 蛍は写真部に所属する高校一年生。 こんな感じ。 さて、本作は恐らく「乙女ゲー」と称される作品でしょう。 ゲームを立ち上げて、先ずやる事といえば、主人公(女性)の名前変更です。これは乙女ゲーに非常に多いシステムですね。恐らく、プレイヤー(女性)を主人公に投影する為の仕掛けだと思われますが、私は女性ではないので、デフォルトの潮谷蛍、という名前を使用しました。 少しだけ、ストーリーを補完しておきましょう。 とある一枚の写真を見た事で、写真部に入部した蛍は、学園祭に出す為の写真のネタを探す毎日。お堅い顧問の先生に怒られながら、自分の理想の写真を求めて悩んでいます。そんな折りに、旧校舎で一人の少年と出会い……という感じ。 本作、何が良かったのか、と云えば、恋愛の推移をちゃんと描いてくれている所です。しかも、それがキュンキュンするような、甘い切なさを伴っているので、恋愛の素敵さや、恋っていいものだよね、と再認識させてくれます。 最近、ちょっと某女性向けゲームに少し関わっていて、その作品のレビューとかをつらつら見ているのですが、女性向けのゲームって、どうも「キャラクター」に比重が傾きがちなようです。 ストーリーの流れや、全体的な完成度、というよりは、個々のキャラクターの魅力や、キャラクター同士の掛け合い、やり取りに一つのポイントが存在しているような、そんな気がしています。 レビューを見ても、やはりそうしたキャラクターに重点を置いたレビューが多かったです。 そうした乙女ゲーの中にあって、本作はかなり丁寧に作られた作品だったのではないか、と思います。 少しづつ、蛍が先生を好きになっていく描写は、リアリティがあり(実際のリアルと、ノベルゲーム的なリアリティは別物ですが)、プレイヤーを作品に引きつけてくれます。 やはり、「何故、好きになったのか?」という理由をちゃんと見せてくれる作品はいいですね。 時間を掛けて、少しづつ二人の距離が縮まっていく様子が描写されると、恋愛描写の納得感が増しますし、甘いやり取りそのものを楽しむ事も出来るわけです。 もう一つ、これは、と思わされたのは、ファンタジーの要素が上手く作品に活かされている、という点。 これ以上ファンタジックになってはクドくなってしまう、というギリギリのバランスで作品が成り立っており、とても好印象でした。後半で、そのファンタジックな要素と、蛍の抱く恋心が上手く交差するわけで、この作品の見所の一つとなっていました。 又、スクリーンショットを見て頂ければ分かるのですが、イラストもレベルが高いですよね。文字表示にも拘りがあって、そういう所もいい感じでした。 気になった点は、やはり女性向けゲームの定めというか、あまり意味があるとも思えないバッドエンドが存在している、という点です。 このくらいの尺で、しかもちゃんと練り込まれている完成度の高い作品なのですから、最初っから一本道でも良かったのではないか? と思ってしまいます。 もう一つは、“写真”の存在が、もう少しフィーチャーされても良かったかな、という点。 確かに蛍は、学園祭に出展する為の写真を撮ろうとあれこれ苦悩するのですが、肝心の恋愛面、或いは後半に入って、謎が明らかになった場面で、もう一押し、“写真”が活きてきても良かったかな、と。 何となく、明らかになる謎と、それまで提示されていた事実に齟齬があるような場面もありました(アノ時、アノ場所でアノ人がアノ写真を撮ってないとおかしい……?)。 勿論、写真が全く活きてこない、というわけじゃなくて、ちゃんとストーリーに散りばめられていますし、重要な所では活きてきています。 だからこそ、ラスト付近の良い場面で、もう一押し、“写真”を使ったエピソードがあると、全体のグレードがアップするような、そんな気がしました。最後、恋愛描写で終わってしまうのではなく、やはり蛍が写真を撮るシーンをしっかり描写するとか(一枚絵としても美味しい場面だと思います)、写真面での決着も綺麗に付けて欲しかったな、と。 大体、こんな所でしょうか? 一応、女性向けゲーム、という括りだと思われますが、男性がプレイしても全く問題ない、良い作品でしたので、今回は久々の吟醸を。 時に、こうした女性向け/男性向けといったカテゴリに惑わされてしまう事もあるわけですが、カテゴリに囚われず、良い作品をこれからも紹介していければ、と思っています。 それでは、また。
by s-kuzumi
| 2012-08-12 20:12
| サウンドノベル
|
Comments(2)
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kz
at 2012-08-15 23:55
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先のコメントでお勧め頂きましたので、続けてプレイしました!
ご紹介、ありがとうございます。 確かに丁寧に心理描写がされていますね。 かなりたくさんノベルゲームをプレイしていますが、なかなか無いように思います。 また、2つの軸でストーリーが進んでいき、後半それらが交わるところも、 やや先が読める感はありますが、まとまりがあり、テンポよく読み進めていくことができました。 少し前にレビューされているもので、未プレイのものもありますので、 また時間のあるときに、いろいろ物色させて頂きますー
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s-kuzumi at 2012-08-21 20:48
>>kzさん
こんばんは。 お返事遅くなって申し訳御座いません。 そうですね、2つの軸が上手く共存しながら、一本に纏まっていく……というのは、ノベルゲームでは良くあるような感じはしますけれども、それが中々難しくて……。 『ファインダー越しの空』は、その点、不自然な所もなく、丁寧に作品が描かれていたので、満足度が高かったです。 テンポの良さも好印象ですよね。面白い作品は、大体、不必要な描写とかが無く、テンポ良く気持ちよくプレイ出来るものが多いと思ってます。 また、微妙に更新頻度が落ちそうですが、どうぞ、これからもお付き合い頂ければ幸いです~ |
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