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久住女中本舗

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2012年 10月 27日

フリーサウンドノベル関係の雑記 箸休めvol.56 ノベルゲーム制作入門其の2

道玄斎です、こんばんは。
今日は、前回の続き、ノベルゲーム制作入門の第二回目です。
さっそく、コメント欄に最新の情報を書いてくれた人がいるので、助かっています。この一連の記事を読む場合には、是非、コメント欄にも目を通してみて下さい。詳しい人が結構書き込んでくださっていますので。



■前回の補講

前回、ノベルゲーム制作に必須のツールの解説なんぞを行いました。
テキストエディタを使うこと、ノベルゲームのエンジンを吟味すること。色々書いた気がするのですが、ノベルゲームエンジンの使用に関して、慌てて付け加えておきたい事があるのです。

それは「むやみやたらにワイド画面を使わない」という事です。
吉里吉里/KAGや、Yu-risなんかは、横に長いワイド画面を使用する事が可能です(他のエンジンでも出来るのかな?)。

ワイド画面にするメリットというのも、もちろん存在しています。大人数の立ち絵を一気に表示できる。映画的な雰囲気が出せる、などです。
けれども、「俺の表現はワイドな画面じゃないと出せねぇ!」という事がない限り、ワイド画面にはしない方が無難です。大抵の場合、800×600で事足ります。

私が今までプレイしてきた作品を思い返してみても、左右の空白に意味がない、という作品が多かったです。確かに……そういうワイド画面に出来る機能があれば使ってみたくなるのは、心情的に理解出来ます。そして、なんとなく「映画っぽい」雰囲気になるのも確かなんです。けれども、プレイヤーからしてみれば、「普通に読めて普通に楽しめる」作品であればいいわけですから、よっぽどの理由がない限り、ワイド画面は避けた方が良いと思うのです。正直、PCの画面からはみ出るくらいのワイドは不要だと思っています。

前回の補足、はこんなところでしょうか?



■素材を集めよう

遅かれ早かれ、ゲームを作る以上、「素材」が必要になってきます。
BGM、効果音、背景素材、或いは立ち絵、一枚絵……ゲームの体裁にも拠りますが、大体こんなところが主要素材になりましょうか。

どのタイミングで素材を探すか、というのも、人によって違うみたいです。
ゲームの大凡の構想が見えてきた段階で素材探しに着手しちゃう人もいますし、普段からゲーム素材サイトを見て回っている人もいます。実際にシナリオを書き上げた後に、最終的に素材をはめ込む人もいるでしょう。
これは、聞いた話なんですが、商業のゲーム制作の場では、「他のゲームのサントラ」から曲を抜き出して、仮に当てておく、なんて事をするみたいですよ。そして、そのイメージで曲を発注したりする、と。これはゲームを作りながら、素材をはめ込んでいく、という制作方法になるのかな。

ま、それはさておき。
大体、それぞれの素材は、特化した素材サイトが存在しています。TAM Music Factory、煉獄庭園やWEB WAVE LIB、ザ・マッチメイカァズ……などなど、何かしらのゲームのスタッフロールで見たことがある人も多いのでは? 写真素材だと写真素材 足成なんかも有名で使い勝手の良い素材を配布しています。

それらのサイトをじっくり見て、視聴するなりして素材を探していけば良いのですが、効果的に良い素材を探す方法があります。それは、「自分が良いと思った作品のクレジットから探す」という方法です。
大抵の場合、作品同梱のreadme.txtやスタッフロールに、どこから素材を借りてきたのか書いてあります。「この曲、いいな」と思ったら、そのクレジットに記されている音楽素材配布サイトにいけばいいですし、「こんな効果音を探してた!」という場合も同様です。
ただ、これはゲームをある程度、日常的にプレイしている人向けの、方法ですかね。

も一つ、素材探しで是非使っていただきたいのが、総合素材ポータルサイト、Novelers' Materialです。完全にこれは宣伝なんですけれどもねw
数千種類の素材がそろっている、中々すぐれもののサイトだと自負しております。BGMや写真素材、効果音、色々取り揃えてあります。各素材の規約をチェックした上で加工するなり、そのまま使うなり色々使ってみて下さい。
逆に「俺も素材作ってるぜ!」という方は、是非、作者登録をして、素材を公開してみて下さい。自分の素材がゲームに使ってもらえるかもしれませんよ。


けど……色々探したけれども、しっくりくる素材が見つからない。なんて事も十分あり得ます。
そういう場合は、自分で素材、作っちゃいましょう! もちろん、簡単に作れる素材とそうでない素材があります。比較的簡単(だと私が思う)のは、写真素材(背景素材)とBGMです。

写真は、自分のイメージにぴったりくる場所に出向いて撮ってしまえばいいわけですよね。
例えば、東京タワーを背景にしたいのであれば、東京タワーが見える場所まで実際に行って写真を撮ってくれば、誰に気兼ねするわけでもなく自作品に素材として使用出来ますよね。
背景イラストではなく、背景写真を使いたい場合は、「自分で撮ってくる」というのが、何だかんだで最強かもしれませんw

さて、お次はBGMなんですが、簡単なものなら自作可能です。
私、良くニュース番組を見るんですが、現代の暗い世相を説明する文脈で、雑踏の絵が出てくる事があります。その時のBGMって、暗めの「ドラムだけ」なんです。
或いは、緊張感を伴うニュースの時なんかも、少しスピード早目の「ドラムのループ」です。

そう、ドラムのループが一つ出来れば、それは立派にBGMになりうるんですよね。
リズムとメロディとハーモニーが揃っていれば、そりゃ言う事ないですけれども、ノベルゲームの場合、あまりカッチリとした「楽曲」よりも、もう少しシンプルな音の方が好まれる事もあります。上手く説明出来ないのですが、曲と効果音の間、みたいなね。

私の使っているDAW(音楽を作るソフト)、FL STUDIOは簡単にドラムのループを作る事が出来ます。
フリーのDAWにフリーのドラム音源を使っても、もちろんOK。要は自分で「使える」ドラムループが出来れば良いのですから、色々工夫してみて下さい。
「ドラム 打ち込み」とか「ドラム 打ち込み ヒップホップ」とか、好みのジャンルと一緒に検索すると、ループ作りの参考になるかもしれません。

ちなみに、最近では、.mp3よりも.oggの方がゲーム用BGMのフォーマットとして、基本的なものになってきています。なので、.oggで書き出せないDAWの場合は.wav(無圧縮)で書き出して、その後、fre:acなんかのソフトで.oggにしてやるといいですね。

どうです? ドラムのループ(一小節でも全然OK)なら、作れそうじゃありませんか?
もし、ドラムループを作るのが楽しくなったら、ハーモニーやメロディをつけて、「楽曲」制作へとステップアップしていっても良いですよね。


大体、素材に関してはこんなところでしょうか?
あっ、前回書きましたように、加工が許可されている素材ならば、Photshopなどでお好みに加工してみて下さいね。写真をイラスト風にしたり、なんて事も出来ますよ。



■そしていよいよゲーム作りへ

いきなり、ゲームを作り始めるっていうのは、準備もしないで山に登るのにも近い行為です。
取り敢えず、ここでは、一つ作品をプレイしていただいて、その作品がどのように作られたのか、どこに問題点があるのか、を解剖していく中で、ゲーム制作の一例をお見せしていこうと思っています。

なので、ステマっぽいですけれども、一本作品をダウンロードしてプレイしておいて下さいw
作品名は『Ghost Write』。なんでこれを取り上げるのか、というと、極めてオーソドックスな作品で、問題点、課題点も十分に存在している。そして、私が好き勝手に話せるから、ですw

多分……結構手厳しく、ゲーム制作の流れを追いながら、作品を解剖してあれこれイチャモンをつけていくと思います。
ゲーム自体は、先に述べました通り、かなりオーソドックスな恋愛ノベルで、プレイ時間は二時間程ですが、テンポは良いのですぐに読めると思います。


という辺りで、今日はこの辺で。
次回は、実際に、作品を解剖しながらお話を進めていきましょう。


それでは、また。

by s-kuzumi | 2012-10-27 17:14 | サウンドノベル | Comments(7)
Commented by はう。 at 2012-10-28 02:21
>それは「むやみやたらにワイド画面を使わない」という事です。

これは寧ろ、ツールがワイド対応ならば4:3は使うべきじゃないってのが現状かと。(NScripterも対応してます)
というのは、市場から4:3は死滅してるので、よっぽどの古参でない限り、平均的なPCユーザーはワイド液晶を使ってると見るべきです。

それに合わさないとフルスクリーン時に余白が出来て、意識が取られて不快になるかストーリーに集中できない事になります。

>正直、PCの画面からはみ出るくらいのワイドは不要だと思っています。

常用してる画面解像度が低いのではないですか?
今の一般的な解像度ってWXGA(1280×800)以上、フルHD(1920x1080)未満です。
Commented by 名無し at 2012-10-28 13:34
横レス失礼、気になったので。

はう。さんが書かれてるワイド液晶の話はそうなんですが、それらは主に「映像」にフォーカスした仕様であることに注意した方がいいと思います。対して、ノベルゲームは映像だけでなく文章の比重も高いもの。
私は、一般の横書きなら、むしろ絵を損なわない程度に横が短い方が読みやすいと感じます。横を広く使ってしまうと、たとえ文章表示をコンパクトにしても、絵と文章、両方を視認する時の目の移動量が増えてしまい、負荷が高くなる印象があります(ピンポイントで使うならいいんですけど)。
余白まで完璧にコントロールしたいという欲求は理解できますが、それには相応の手間が必要。そしてその手間は、初心者がいきなり負うには重い手間です。
勿論、ワイド画面で無ければ出来ない事もある。そのバランスは作者が判断するものですが、「むやみやたらに使わない」というのは真っ当な注意だと思いますよ。

そして上の話とは違うのですが、せっかくの有用なエントリ、可能なら独立したカテゴリーにしていつでもトップからアクセスできるようにしてあると嬉しいです。あるいは、NC辺りに同じ内容のスレを立てても良いかもしれませんね。
Commented by はう。 at 2012-10-28 15:01
>名無しさん

ご指摘ありがとうがざいます。
それを織り込んで対論を言わせて頂くと、文体によると思うのです。
下テキストと相性の良い台本形式なら横が広くてもそう気にならないし、なるならなるでウィンドウ横枠を狭く制限すれば良いと思います。
小説形式と相性の良い全画面タイプの場合も埋め尽くすように横一杯に表示せずとも良いと思っています。

また、昨今のノベルゲーは下テキスト表示の場合、目線の移動を考慮してかフェイスウィンドウを常用させてますよね。
この対処は個人的に立ち絵とウィンドウで同じ表情を表示させるってクドイというか見栄えが悪いし、目線そこだけで済ますなら、画面一杯に表示した絵は無意味に等しく本末転倒なので好きではないのですが、さして不満を言う批判もないので受け入れられてるんだなと判断してます。

最後に、ワイド化を否定するって全画面から下表示に変化したテキストのあり方と流れが同じって感覚を受けるのです。抗ってもいずれはワイドが当たり前になってしまうと思うんですね。
なら、否定するよりもワイドでテキストをどう表示してもらうかを目指した方が建設的だと思う次第です。
Commented by ゲ製作者の端くれ at 2012-10-28 19:14
初めまして。こちらでのやり取りを見て、自分も思うところがあり横レス失礼します。

はう。さんはゲーム製作者で製作に慣れた方なのかなと拝察致しますが、道玄斎さんはノベルゲームの制作「入門」、初心者がゲーム制作を始める取っ掛かりとして書かれているようですので
初心者にはいきなりワイド画面よりも、まずは4:3から制作を始めた方が、名無しさんと同じく自分も負担が少ないと思います。

ワイド画面でのプレイヤーの視線移動を考慮した画像とテキスト表示のバランスは、制作にある程度慣れてからでないと感覚が掴みにくいと思いますし、現在フリーでお借り出来る、手に入りやすい背景素材は4:3のものが多いので、ワイド画面のゲームだとさらに画面サイズに合わせた加工の手間が余計にかかり、初心者には向いていないのでは、と。
プレイする上で特に支障も影響もないのに、画面だけ大きくするとその分画像素材の容量も無意味にかさみますし。

ぶっちゃけワイド画面も4:3も好みの問題かと思いますが、初心者にはまず4:3からの方が無難じゃないかなあと思いますね。
Commented by はう。 at 2012-10-28 20:00
>ゲ製作者の端くれさん
はじめましてー。そういう考えもあるのですね。

何をするにしても一番初めに手を付ける個所になると思うので、サッサと面倒事を済ませてしまおうって感じでその辺りを私は考慮して無かったです。
Commented by NaGISA at 2012-10-28 20:04
私は、上の名無しさんのご意見に、大体近いです。ビジュ
アルだけでなく、文章を読ませる事を考えれば、やはり
ワイドは見にくいのです。単にディスプレイがワイドだから
ワイドにするというのは、「ワイド画面を目一杯使って
縦スクロールシューティングゲームをやる」ような違和感があります。やはりジャンルによって適した画面の
サイズというのがあるのです。縦シューにはやはり縦長
ウィンドウが適しています。同様に、文章を読ませるゲームに
あまり横長のウィンドウは適していないと思います。

加えて、ここの管理人の道玄斎さんは、「フリー」のノベル
ゲーム限定の方です。商業(同人やシェアも含む)と
フリーでは、色々な意味で違いがありますから。

ま、次回からGhost Writeを元にあれこれ語るみたいなので、
期待して読ませていただきます(笑)。
Commented by はう。 at 2012-10-29 11:58
>NaGISAさん
こんにちは。時折、レビューを拝見させて頂いています。
こういったことが論争になるのに直面すると作り手にしろ読み手にしろ、また世代交代が始まったのだなと感じます。

ワイド化については「フリー」「非フリー」で分けるのは微妙な気がします。
どちらかと言えばゲ製作者の端くれさんが発言した好みの問題というのが強いと感じます。

レビューサイトでどのような検索ワードで人が訪れるかは分らないのですが、
初心者向け講座では液晶がワイドに切り替わった時期ほどではないにしろ、定期的にワイドスクリーンの方法を求めて検索ワードをかけて人が訪れます。
これも動機の1つとして上でも申し上げたように、
ワイドを拒絶するのではなく、ワイドであっても読みやすい画面作りをしてもらう方に誘導した方が作る側も意見を聞いてくれるかもしれないと考えているのです。

拒絶だけでは反発の感情だけが大きくなって意見を参考にさえしないなんて事にもなって、不毛だとも感じるのですね。
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