2013年 06月 23日
今日の副題 「ツボを押さえたご当地系ノベルゲーム」 ジャンル:感動系ノベルゲーム プレイ時間:1時間半ほど。 その他:選択肢は一箇所有り。 システム:WOLF RPGエディター 制作年:2013/6/17 容量(圧縮時):114MB 道玄斎です、こんばんは。 今日は、RPG用のシステムで作られた作品のご紹介。RPG用のシステムとは云え、使用感はノベルゲーム用のエンジンのそれと殆ど変わりません。右クリックでセーブ/ロードが出来ない、くらいですかね。けど、ちゃんと「セーブ/ロード」と云った基本システムは画面中にちゃんと表示されていますから、クリックしてやるだけです。あと、マウスホイールでのバックログ閲覧も勿論可能。 ……と、いうわけで、前書きが随分長くなってしまいましたが、今回は「Y-F's Office」さんの『津軽雪月花』です。 良かった点 ストーリーは、作者さんのサイトから引用しておきましょう。 *** 概要 *** こんな感じ。 タイトルが妙に、演歌調ではあるものの、内容は至って普通の、ノベルゲームですw そして、そのタイトルが如実に示している通り、本作品は、所謂「ご当地系」のノベルゲームの一種と云う事が出来ましょう。 ご当地系のノベルゲーム、っていうのも、たまに存在していて、『ハーバーランドでつかまえて』とか、或いは、もっとそれらしいのになると、『ほたこい』とか、或る地域がフィーチャーされ、作品に於いて大きな役割を果たす……そんな作品の事です。勿論、正式な名称ではなく、便宜的に勝手に呼んでいるだけです。 本作の場合、津軽、つまり青森県西部を舞台としています。 こうしたご当地系では、その地方ならではの観光スポットや、珍しい食べ物、行事、或いは方言なんかが、作中に盛り込まれていきます。本作も亦、その例に漏れず、花見のスポットや、ねぷた祭り(ねぶたとの違い、初めて知りました)、方言が作品に盛り込まれていきます。 さて、ストーリーの方ですが、主人公は埼玉で育った、という設定で、物語冒頭で、弘前市に引っ越してくる事になります。やはり、この手のゲームの定番としては、慣れない環境への適応に苦労したり、或いは、方言の存在によって、意思疎通が上手くいかなかったり、という事が屡々起こるわけですが(同時に、それを支えてくれるような友人、或いはヒロインの存在も出てくるわけですが)、本作に関しては、そうした部分は、殆ど描かれません。 かなり、テンポ良く、月単位で時間が経過していきます。 このテンポの良さは、プレイしていて気持ちが良いです。大体全体で一時間半のストーリーですが、ダレる事はありません。ただ、そのテンポの良さと引き替えにして、若干描写が薄く感じる、という部分でもあります。特に後半で、明らかになる(ちゃんと伏線は張ってあります)事態に対して、或る程度、描写の積み重ねがあった方が、より感情移入出来たのかな、と考える次第です。 さて、本作最大の気になった点は、ずばり、「舞台が津軽である必然性が乏しい」という点です。 最後まで読めば分かるのですが、別に、この作品は舞台が津軽(青森県弘前市)でなくとも、主人公一家が元々住んでいた埼玉県であっても、全然成立してしまうのです。 それが故に、タイトルワークにも使われている「津軽」によるオリジナリティ、みたいなものも、同時に乏しくなっています。 ただ、それを抜かして考えても、テンポ良く進むストーリーは、プレイを前のめりにさせてくれますし、感動モノのツボがキッチリと押さえられている点も、評価したいところです。 ストーリーが、中盤くらいまで、どういう方向に進むのか分かりづらいという事はあるのですが、それもテンポの良さがフォローしてくれています。テンポが悪くて、且つストーリーの進むべき方向性が見えてこないと、何かプレイしていて、凄くイライラしてしまったり、って事はありますよね。そういう事は一切ないので、ご安心召されよ。 大体、30分づつのブロックに区切って、最初の30分を前半、次の30分を中盤、最後の30分を後半という感じの分け方で考えていますが、ストーリー的に大幅な進展があるのは、最後の30分、という感じでしょうか。 ここで、やや唐突感を感じる人も恐らくいると思います。確かに、起こっている事態の原因に関しては、私もプレイしていて「え?」となりましたw ただ、まぁ、そこは、作品のキモの部分というか、唯一のファンタジックな部分ですし、「そういうもの」と受け止めるのが一番ですかね。そこを否定しちゃったら、身も蓋もないですからねw 最後に、もう一点。 メインで登場するキャラクターの数は少なめですが、妹の雪奈のキャラがとっても可愛くて良かったです。プレイしていて、「この妹いいなぁ……」とずっと思っていましたw で、彼女は、兄貴である主人公に、悪戯っぽい言動を繰り返すんですが、その時に「ニシシ」って笑うんですよ。それが、また何か凄く可愛らしくってね。この雪奈の可愛さやキャラクターも亦、作品を支えている重要な要素です。なので、彼女の「ニシシ」に是非、注目しながらプレイしてみて下さい。 久々のご当地系ノベルゲームでした。 そのご当地感は、ストーリーの中ではあまり活きてこない、という部分も抱えていますが、純粋にストーリーだけを見ると、感動系作品のツボを押さえた作りで、ジワッと良い読後感も味わえたりします。 ちなみにエンディングは二種類。一箇所分岐点があります。どちらのエンドも素敵で良いですよ。是非、二種類見てみて下さいね。 それでは、また。
by s-kuzumi
| 2013-06-23 22:32
| サウンドノベル
|
Comments(4)
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C
at 2013-06-26 08:46
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最近某Nさんのサイト、こちらのサイト然り更新が少なくて少し残念です。
フリーノベルって最近更に下火になりました? どうしてもお二方のサイトでしかフリーノベルをやることがない自分個人としてはそのようにしか感じられなく・・・
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s-kuzumi at 2013-06-26 20:58
>>Cさん
こんばんは。はじめまして。 某Nさんの所は、実はあまり私は見てないのですが、こちらの更新頻度は確かに、物凄く落ちてますね……。 例えばふりーむ!なんかでは、登録される作品の中に、「体験版」「第一部」とか、そういった形での登録が増えてきてはいますよね。 そう言った中で、元気の良いジャンル(例えば、乙女ゲーム)はある事はあるのですが、私が求めているようなタイプの作品が減ってきたかな? という気はしています。勿論、それはどうしようもない事なんですがw けれども、また少しづつ、作品をこまめにチェックしたり、或いは掘り起こしたりって事をしながら、更新頻度を上げたいな、という気持ちはあります。 なので、更新を楽しみにして下さっている方には、申し訳ないのですが、少し長い目で見て下さると嬉しいですw 逆に、お勧めの作品なんかは随時受け付けておりますので、是非、お気軽にこれからもコメント等して下さればと思います。
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Y-F
at 2013-06-27 21:15
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こんばんは。Y-Fと申します。
津軽雪月花を遊んでいただき、しかもこんなに丁寧なレビューまで 頂き本当にありがとうございます♪ 道玄斎さんのご指摘通り、実は青森でなくても成立するストーリーですが…(^_^;) 春香との出会いは、どうしてもあの場所で…という強いこだわりはありました。 実のところノベルゲーム制作は初めてでしたので、どういう感想を頂けるのかと、 公開直後からドキドキでした。 とりあえず作品のテーマは伝えられたようで、一安心しているところです。 よろしければ、こちらからもリンクさせていただければと思います。
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s-kuzumi at 2013-07-04 00:52
>>Y-Fさん
こんばんは、お返事が遅くなってしまい申し訳御座いませんでした。 こちらこそ、色々と、辛口に書いてしまって、ちょっと恐縮しております。。 こう、レビューという体裁の中では、青森である必然性が、という事を書いてしまうのですが、制作者さんの立場に立ってみると、その人その人の、思い入れとか、こだわりがあったりする世界ですからね。。どうぞ、私の書いたものを鵜呑みにはせず、役に立てそうな所だけ(あれば、ですけれどもw)拾って利用してやってください。 わざわざ、ご丁寧に有り難うございました。 リンクの件なのですが、全然OKです。張るもはがすもご自由にどうぞ。 それでは、失礼致します。 |
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