2013年 08月 07日
道玄斎です、こんばんは。 前回、宣言したように、ホラー作品を探してみたものの、中々「これは!」という作品がありません。 そのリサーチの中で見つけた作品を今日はご紹介。 というわけで、今回は「あほちゃん」さんの『ドラゴンの宝物』です。私がプレイして、大体30分くらいだったので、通常レビューと番外編の丁度境界線の尺なのですが、今回は番外編で。 先にもチラッと書きましたが、中々良いホラーものが見つかりません。 とは云うものの、全く収穫がない、と云ったらそれはまた違います。例えば、人から紹介してもらった作品で『フェノメノ 美鶴木夜石は怖がらない』という作品があるのですが、これは特殊な画面サイズの作品です(今、スクリーンショットを撮って、画像編集ソフトに読み込んでみたら、1030×601というサイズでした)。 過去に、「箸休め」で、ワイド画面の是非というと大袈裟かもしれませんが、「現在、ワイド画面に意味のない作品が多く、“何となく見栄えがするから”という理由で、安易にワイド画面を選択するのはお勧め出来ない」というような事を書いたのですが、私が予想していたよりも遙かに多くの方から、様々なご意見を頂戴致しました。 「何でもやってみよう! と試行錯誤する中で、良いものが生まれる可能性がある」というようなご指摘もあったかと思います。それに関しては、「うーん、確かにそれも一理あるなぁ……」とw そうしたご意見はそれはそれとして、それでもやっぱり、「特に拘りや、それに見合った演出がないのならば、ワイドにしなくてもいいのでは?」というのが、私の考えだったりします。 そんなわけで、ワイド画面については、ちょっと頭の片隅に残っていたテーマだったんですよね。 で、『フェノメノ 美鶴木夜石は怖がらない』をプレイしてみたら、前述の通り変則的な画面のサイズで、通常の画面サイズからすれば、やっぱり「ワイド」だったんです。 けど、プレイしてみれば分かる通り、全然違和感がないんですよね。 文章も読みやすいですし、演出とも上手く調和してる。これは、一般的なワイド画面、というのとは、またちょっとサイズが違うのですが、ワイド画面を考える上で、一つ参考になりそうな作品だなぁ、と思ったわけです。 まぁ、気になった方は、是非プレイしてみて下さい。 ……と、久々に物凄く脱線してしまいました。 まぁ、何もしていないように見えても、こっそりゲームをプレイしていたり、足りない頭で色々考えてるんだなぁ、というのが伝われば幸いですw で、ここらで軌道修正して、『ドラゴンの宝物』の話に入っていこうと思います。 ドラゴンっていうと、皆さんはどういうイメージを持たれますか? 私の場合、ドラゴンは、所謂ファンタジーRPGの一つのシンボル、みたいな、そういう印象がありますね。それも「最も強力なモンスター」として、とんでもない存在感を持っている存在、だと思うわけです。 ほら、『ドラゴンクエスト』だって、タイトルに「ドラゴン」が入ってるじゃないですか。 そもそも『ドラクエ』の第一作目は、その名もズバリ「竜王」なる悪漢(?)がラスボスですからね。2013年現在のRPGでは、そんな事もないんでしょうけど、昔は、ファンタジーRPGと云えばドラゴン、という図式が成立していたような感触すらあります。 ちょっと資料を繙いてみたりしたのですが、ドラゴンの原型が登場する古代説話みたいのは数多くあるらしいですね。中でもアイスランドの『ヴォルスンガ・サガ』なんかが重要みたい。 この『ヴォルスンガ・サガ』には、ちゃんとドラゴン(の原型)と彼が守る宝、についての言及があるそうなんです。 本作のタイトルも亦、『ドラゴンの宝物』というわけで、ドラゴンと宝、というのも切っても切り離せない関係にあるわけです。うんと単純な形で示すと、 「主人公→→旅に出る→→ドラゴンを討伐する→→ドラゴンの守っていた宝を入手してウハウハ」 というのが、古式ゆかしいファンタジーRPGに於けるドラゴン観という事になりましょうか。 なんか、こういうの調べていくと面白いんですよね。ノベルゲームや、本作の作品内容には直接関わらないけれども、その周辺事情を見ていくのは、それ自体が楽しいですし、稀に他の場面で役に立つ事もありますし……。 ともあれ、本作も亦、かなり古式ゆかしいファンタジー色がある作品、と端的に纏める事も可能でしょう。 ストーリーの流れは単純です。 主人公ジギィは一攫千金を夢見る冒険者。ある日、ひょんな事からワイバーン(ドラゴンの亜種。ドラゴンよりワンランク落ちる)を従えた女の子ルーシーと出会い、一緒に、ドラゴンの巣穴に行き、ドラゴンがため込んだ財宝を掻っ攫う事になったのだが……。 という感じ。 意外といいな、と思った所は、「ドラゴンとチャンチャンバラバラやらかさない」という所ですw 最初の方に書きましたが、ドラゴンは最強のモンスターなんです。なので、ドラゴンとやり合う、っていうのは、ちょっと辛い。周到に準備を重ね、腕っこきを何人も連れてきてっていうなら、まだ話は分かるんですが、それだと、ファンタジックバトルノベルになっちゃいますもんね。 なので、コソコソっとドラゴンの留守を突いて、宝物だけ取ってくる、というのは、ファンタジーRPG的な意味でもリアリティがあるのです!w 勿論、気になった点もあります。 一番気になったのは、「ストーリーの展開が殆どない」という所でしょう。 物語のかなり早い段階で、主人公はルーシーと行動を共にし、ドラゴンの巣穴まで行く、という行動の指針が示される事自体には、問題がありません。 けれども、「ルーシーとの出会い」→「ドラゴンの巣穴へ」という流れの中に、何か他の展開が無いと物足りなさを感じてしまうのです。 例えば、前作『温かく、暖かい冬、なのか』では、主人公ルディとウルフが出会ってから、二人で違法アンドロイドを狩りに行ったり、ルディの秘密を巡っての騒動が起きたり、と様々な展開を見せます。そして、その流れがラストへ繋がっていく、という作りだったわけです。 本作の場合、もう少しドラゴンの巣穴までの距離があって、ルーシーとの旅路でのエピソード(展開)を通じて、二人の距離が縮まるような、そういうストーリーの構成の方が、物語としては良いのかな、という気がしました。 けど、『温かく、暖かい冬、なのか』も、本作『ドラゴンの宝物』にせよ、なんか凄く古式ゆかしいSFなりファンタジーなりを見せてくれて、私なんかは凄い嬉しいんですよね。 全部が全部とは云いませんけど、今のノベルゲームって、割とジャンルをクロスオーバーさせて、ディープな所ディープな所に入っていくような感触があるんですが(特に同人系)、或るジャンルのクラシカルな所まで立ち返るような、そういう作品は、今だからこそ貴重で、却って面白さを感じられる部分があるんじゃないかな、と思います。 どうやら、もう次の作品の構想もあるみたいで、又、そんなに期間を経ずに、次回作がプレイ出来そうで、今から楽しみにしています。 というわけで、今回は脱線大目ですが、ご容赦下さい。 それでは、また。
by s-kuzumi
| 2013-08-07 21:06
| サウンドノベル
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