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久住女中本舗

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2014年 04月 26日

フリーサウンドノベルレビュー 『未来都市2』

フリーサウンドノベルレビュー 『未来都市2』_b0110969_2034068.jpg

今日の副題 「今度は王道、宇宙のSF」

※吟醸
ジャンル:SFアドベンチャー
プレイ時間:~3時間程度
その他:選択肢が一箇所アリ。内容自体はそこまで変わらない。
システム:NScripter

制作年:2012/10/24(Ver.1.00)
容量(圧縮時):119MB




道玄斎です、こんばんは。
大分、体調も良くなりまして、今日からまたボチボチ、積んでいたゲームを消化していこう、と思ってます。
取り敢えず、手始めに、私の好きなSFモノから行こうかな、という事で本作をチョイス。
というわけで、今回は「WORLD COMICS」(Twi☆Light)さんの『未来都市2』です。ダウンロードはこちらからどうぞ。
良かった点

・一章が程よい長さで区切られている為、サクサクとテンポ良く読んでいく事が出来る。

・90年代のアニメの様なイラスト。私は凄い好みです。

・或る意味で直球のSF作品、宇宙モノが好きなら是非どうぞ。


気になった点

・ラストが妙にあっさり。選択肢に拠る分岐と併せて、もうちょい余韻を残してくれたら良かった。

・もう少し掘り下げて欲しいキャラも居たり……。

ストーリーは、ふりーむの方から引用しておきましょう。
未来世界を描いたSFノベル第2弾。
今作では舞台を宇宙へ移し、最後に残された
人類の選択が描かれる。

時は宇宙開拓時代―。
新たに開拓された惑星で安住していた人類だが
ある日、惑星崩壊という不吉な噂が流れる。
そんなフロンティアへ現れた青年イツキは
とある少女を助けた事で壮大な運命へと
巻き込まれてゆく…。

前作とは世界観のつながりはあるものの、
独立したストーリーなので初めて読まれる
方も問題ありません。

という事で、以前、私も取り上げた事のある『未来都市』の第二弾です。
ストーリー説明に書いてある通り、本作『未来都市2』は、「2」という表記ではあるのですが、実質的に続編という形ではなく、独立したストーリーになっています。なので、本作から読み始めても、全く問題ありません。

さて、『未来都市』が、海底のSFという、比較的地味な(けど、物凄くSFらしい)舞台だったのに対して、本作では、舞台が宇宙に移ります。
舞台背景としては、今から数千年先の未来。人類は地球を捨て宇宙に飛び出してきました。そして、ある星に定住する事になるのですが、その星も崩壊の危機が迫っており……。

と、これまた物凄くSFらしい設定で、特に宇宙モノが好きな人にとってはたまらないんじゃないでしょうか?
何度も書いてますが、私もSFって凄く好きなんですよ。かなり懐の広いジャンルでしょう? 本作のような宇宙を舞台とするようなSFがあるかと思えば(ハードなものも、『スターウォーズ』のようなスペースオペラもある)、ミステリーと意外なほど親和性が高かったり、近年リバイバルしているクトゥルフ神話のような、ホラーとも仲良く出来る。

本作は、かなり「分かりやすいSF」である事は確かです。
その星の人間を全て収容出来るような、巨大な母艦があったり、ちょっと『マクロス』っぽいかもしれませんね。本作にも、世界のアイドル的な女の子いますし、ね。

本作をプレイして、すぐに気付くのは、そのテンポの良さです。
最終話を入れて、全部で9章あるんですけど、8章までは、一つの章の長さが15~20分程度なんです。最終話は流石にちょっと長いんですけど、一つ一つのチャプターが凄い計算されて作られてるな、という感じがしますね。

ストーリーも無駄がなく、引き締まっていたと思います。
主人公イツキのキャラも厭味がなく、云ってしまえばありがちな造型ではあるんですが、好漢。
それなりに登場人物が多いんですが、どのキャラクターも魅力的ですよね。イツキと同居する事になる、ヒロコとマコトを始め、チーフのアキ、超お嬢様兼アイドルのユミもいい味出してます。

スクリーンショットを見て頂ければ分かるように、90年代のアニメのような雰囲気のイラストが、キャラクターの魅力を増してます。
ちなみに……作中で、ブラウン管のテレビだとか、結構レトロなモノも出てきますが、それはヒロコとマコトの趣味という事になってます。宇宙開拓時代のSFには合わないような気もするんですが、そこら辺は恐らく、素材調達の関係でしょうね……。そうした点を以て、「SFらしからぬ!」と云うのは簡単なんですが、そのくらいは目をつぶらないと……とも思います。皆様はどう思います??


イツキが成長していく姿(勿論、ライバルもいる)や、人類存亡の危機など、見所も多くて、普通に面白い作品ですよね。今回は、何の迷いも無く、「吟醸」です。

一方で、ちょいと不満に思う所もありました。
一つは、ラストがかなりあっさり風味だという事。少しづつストーリーが盛り上がって、ちゃんと山場があって、じゃあ、どう纏まるんだ? って時に、割とあっさりと終わってしまった感が。

これは、単にラストの締め方だけの問題ではなく、八章目で出てくる選択肢の問題とも関わりがありそうです。最後の山場を前にして、選択肢が出てきます。つまり、「ヒロイン」の中から一人を選ぶ、という事なのですが、実は、ここで誰を選んでも、その後のストーリーに変化はありません。
勿論、選んだヒロインとの固有の会話がちょっと入る……んですが、変化といえばそのくらい。その選択によってラストが変わるとか、そういうのではないんですよね。

折角、魅力的なヒロインが居て、「ルート分岐」と思しき選択肢が提示されるのに、それがラストに影響を全く持たないわけで、ちょっとそこが残念でしたね。
もう少しでいいので、ヒロイン固有のルート感が出て、そうした形でラストが示されれば、もっと納得感があったんじゃないかな、と思います。

更に、主人公のライバルの黒田カズキも、初登場時は、単なる厭なキャラ、という感じだったのですが、ストーリーが進むにつれ、その魅力が明らかになってきます。
で、彼とヒロコの間にある問題は、その全貌が分からないまま、何となく流れてしまいました。後半でカズキは物凄く魅力を増すいいキャラなわけですが、もうちょい掘り下げてあげると良かったかな、という気が。


大体、こんな所なんですが、実は、本作で描かれている人類の生き残りは、「日本人」という事になっています。どうも、我々が住む現代から見て、未来に(作中では遙か昔に)、例によって世界大戦のようなものが勃発したらしいんですよね(第三次世界大戦も、SFでは定番のネタですよね)。
で、日本人は「戦わない」という選択を採る事で、生き延び、宇宙に住処を求めていった……という事らしいのですが、この辺り、未来を舞台としていながらも、現代に生きる我々へのメッセージのようなものを感じる所でもあります。

専守防衛というのが、果たしていいのかどうか……。
本作で描かれるように、それが一つの美徳であり、それによって明るい未来が開けるのかどうか……それは正直良く分かりません。専守防衛の立場を取っている国が戦わないといけない時って、既に戦いが本土に及んでるって事ですからねぇ……。侵略させない、という意味で、或る程度の軍事力の強化、充実は必要になるんじゃないかなぁ……なんて思ったりするんですが。

ともかく、架空の未来を描きながらも、実は、現代に生きる我々へのメッセージ性みたいなものを、その裏側に秘めている。こうした作りもSFらしいですよね。
本作の発している、一つのメッセージについての賛否はありましょうが、本作が、凄くテンポ良く楽しめる良質のSF作品だというのも、亦事実です。

三時間程度と、少し長目の尺ですが、SFがお好きなら是非プレイしてみて下さい。
それでは、また。



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by s-kuzumi | 2014-04-26 20:33 | サウンドノベル | Comments(0)
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