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久住女中本舗

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2014年 07月 03日

フリーサウンドノベル関係の雑記 箸休めvol.66

道玄斎です、こんばんは。
なんか、前回、お気楽に書き飛ばした記事が、結構好評みたいでねぇ。
全く予想していなかったんだけど、「ファンタジーの記事をもっと書いてくれ」ってなメールまで貰っちゃったから、続きを書くよ。

いつもと、口調(文体?)も変えてるんだけど、これは、ただの気まぐれなんだよ。
長い事、同じような文体で文章を書いてると、書いてる本人が飽きてきちゃうんだw 私は飽きっぽいしね。だから、自分で飽きないようにする為の、ちょっとした遊びだと思ってよね。



■ファンタジーといったら……

のっけから、質問なんだけど、ファンタジーの魅力って何だろう?
きっと、色んな答えがあるはずだよ。「怪物との戦いが楽しめる」とか「痛快な冒険が出来る」とか、欲深い奴になると「現実じゃお目に掛かれない金銀財宝を入手したい!」なんて事を言いだすんだよね。

今、3つほど例を挙げたけど、共通しているのは、「現実では実現できない」ことを、ファンタジーに託している、って事なんだ。
確かに、怪物なんて実際にはいないし、山登りくらいは出来るかもしれないけど、痛快な冒険、なんて望むべくもないよね。財宝は……宝くじで一発当てれば何とかなるかな……。

と、まぁ、ファンタジーの魅力の大きな柱に、「非現実性」っていうのがあるわけなんだけど、いかにもファンタジーらしい「非現実性」を持ったものがあるんだよね。

そう、それは魔法なんだ。
単純に魔法って響きだけでも、なんかワクワクしないかい? それに魔法の力を封じ込めたマジックアイテムなんてものまであるんだぜ。



■魔法にも種類アリ

色んな魔法やマジックアイテムがあるって事になりゃ、こりゃ、色々設定が出来そうだぞ、なんて思うでしょ。
そうは云っても、魔法にもある程度の種類はあるんだ。所謂、魔術師の人が使う魔法と、エルフ(耳の長い奴等だよ。美人が多い!)の使う魔法はちょいと違うんだよね。
その他にも、聖職についている人達の使う魔法なんてのあるから、一口に魔法、って云っても、意外と幅広いし、それをごちゃごちゃに設定しちゃうと、分かりにくくなってしまったりもするんだ。

分かりやすい方から説明していこうか。
まず、聖職者の使う魔法なんだけど、これは「神様」の力を借りて行う、一種の奇跡のようなものなんだよ。当然、善の神様の力を借りるわけだから、癒しの力だったり、毒を消したり、といった魔法になる。つまり「破壊」には向かないんだよね。『ドラクエ』の僧侶を思い出して欲しいな。
あれも、回復系や補助系の魔法を基本覚えていくスタイルでしょ? だから、聖職者の魔法は『ドラクエ』の僧侶だ、って云うと分かりやすいよ。

次に、エルフの人達の魔法は、実は、ゲームやその世界観よって結構違いがあるけど、比較的多いのが「自然の力を利用するタイプ」の魔法なんだよ。
風が吹く草原なんかでは、かまいたちのようなものを発生させたり、森では木々を使って迷宮を作ったり……なんて事が出来るんだ。攻撃的なものもあるし、比較的補助的なものもある。

最後の魔術師の魔法なんだけど……これが厄介なんだよねぇ。
僧侶の魔法とは被らないんだけど、結構そのレンジが広いんだよ。火の玉を出したり、雷を振らせたり、っていった攻撃的な事も出来るし、例えば、『ドラクエ』で出てくる「アバカム」の呪文のように、鍵を強制的に開けたり、なんて事も出来るんだ。



■攻撃魔法は軍拡競争?

聖職者の魔法、そしてエルフの魔法は、そこまで問題にならないんだ。
問題は、魔術師の魔法なんだよ。

これが、RPGだったら別に問題にはならないんだよね。
レベルが上がれば強力な魔法を覚えて、ドンドンそれを使って戦っていけばいい。敵だって、やっぱり同じような魔法を使って攻撃してくるからね。

けど……ノベルゲームで、魔術師の魔法、例えば火の玉をぶつける、なんて攻撃魔法にばかり焦点を当てたら、場合によっては、これは結構大変な事になるよ。

良く考えてみてよ。大体、RPGでもノベルゲームでも、ファンタジーな世界では、「敵と戦う」っていうシチュエーションが重視されるんだ。そして、敵は段々強くなっていくもんだ。
火の玉(ファイアーボールと呼ぼう)を、雑魚に使って倒す。それは問題ないよね。けど、中堅所の敵が出てきた時に、何とかの一つ覚えでファイアーボールを打ってみたものの、そいつには効かない、なんて事が大いにあり得るんだよ。

故に、どんどん強力な魔法にって事で、魔法の軍拡競争みたいになっちゃう、って事が往々にしてあるんだ。昔流行った、『スレイヤーズ!』って小説もそんな感じだったね。最初の頃は必殺技だった凄い魔法も、回を追う毎に、効かなくなっていき、更に強力な魔法を使わないと敵が倒せない……みたいな。

なので、私は、寧ろ、「直接戦闘には関与しないけど、面白い魔法」を使ってみる、って方が、ノベルゲームでは活かせそうな気がするんだな。
ノベルゲームは、その名の通りで、「文章」に比重が置かれている事、間違いないよね。仲間とのやり取りに使えたり、情報収集をしたり、もっと云えば、不必要な戦いを避ける為とか、そういう魔法の方が、「文章」で表現しやすいと思うし、シナリオにもただのバトルじゃ出せない深みが出てくるんじゃないか、って考えるんだよ。

こんな話をすると、早速、それを取り入れる奴が出てくるのが問題なんだ。


「なるほど。確かに攻撃魔法以外にも色々面白い魔法ってあるんですねぇ」

「うん、だから、上手いことそういう魔法を使えば、特にノベルゲームでは面白い展開が作れると思うよ」

「それは分かるんですけど……」

「ん? 何か疑問でも?」

「やっぱり、派手な攻撃魔法も絶対必要ですよ!」

「いや、勘違いしないで欲しいんだけど、攻撃魔法を全否定してるわけじゃないんだよ。攻撃魔法ばかりに焦点を当てると、結局、ただのバトルものになっちゃう事があるよ、って事なんだ」

「そういうことでしたか。じゃあ、戦闘を有利にするための魔法とかは?」

「攻撃力を上げる、みたいな補助魔法もあるよね。そういう魔法は、本当に使い方次第で面白くなるよ。或いは一見、戦闘では役に立たなそうな魔法を、上手く、戦闘で使うとかね」

「あっ、それ、面白そうですねー! こりゃ、魔法のガイドブックを読んで研究しなくちゃ!」


ってな調子で、彼は、アマゾンでその手のガイドブックを何冊か買って、魔法を探し始めたんだよ。
前回のキャラクター命! の女性とは違って、彼は一応、スクリプトを打てるし、完成品こそないものの、自作のサンプルシナリオなんかを持ってたり、結構やる気はあるんだ。

そんな話をしてから、三日くらい経った頃だったかな、結構早かったのは覚えてるよ。
彼から、「面白い魔法を取り入れた、ファンタジーのサンプルシナリオが出来たから見て欲しい」って云われたんだ。

別に、そのくらいはおやすいご用だから、アップローダーから、彼が作ったファイルをDLしてみたんだよ。



■それはどーよ? のサンプルシナリオ

zipを解凍して、exeファイルを叩くって、いつもの手順で、ゲームをスタートさせたんだ。
ゲームは、ワイド画面を採用していて、「お、意外に凝ってるな」なんて思ったもんだよ。

今回は、サンプルシナリオだから、いわゆる「タイトル画面」はなくて、いきなり、キャラクターの掛け合いから、物語はスタートしたんだ。
ちなみに、画面下部にメッセージウインドウがあり、セリフはそこに表示され、立ち絵(これは素材)も表示される、一般的なノベルゲームの体裁だよ。
ストーリーの方は、こんな感じだったな。


「いよいよ、俺たちの復讐の旅もこれで終わりだな」

「そうね……。あとは、神殿にいる、あの憎き男バルバトスを倒すだけだわ」

「泣いても笑っても、これが最後だね! それにしても長い旅だったなぁ」

「出来る限り、敵に見つからないように静かに神殿へ向かおう」

「そうは言っても、神殿の周りは草原だわ。これじゃ、どうしたって見つかってしまうわ」

「あっ、いい方法があるよ!」

「何だ?」

「あの魔法を使うんだよ!」

「あっ……あの魔法ね?」


おっと、ついに、魔法のガイドブックから厳選した、魔法がお目見えか……?
ってか、このシチュエーションを考えると、まさかあの魔法を……。


「よし、分かった! アレだな!」

「じゃあ、まずおいらから。出でよ、スプライト~!」


と、ちょっとショタっぽいキャラが魔法を掛けると、三人の立ち絵の内、一番右にいた、そのショタの立ち絵は、一瞬の揺らぎを見せて、かき消えてしまったんだよ。

そう、スプライトの魔法は「透明になる」というものだったんだ。まぁ、これは例の「自然(や、そこに宿る妖精)の力を利用するタイプ」なんだけどもね。


「次は俺だな、スプライト!」


そして、屈強な戦士の立ち絵もやはりかき消え……。


「最後はわたしね。光の聖霊よ、我に力を! スプライト!」


最後に残った、女性魔術師の立ち絵も消え……。
えっ!? もう、背景画像の草原しか見えないんだけど……。


「これで、気付かれずに神殿まで入り込めるな」

「しっ! 声は聞こえるんだから!」

「そうそう。もうしゃべっちゃダメだよ!」


なんて調子で、神殿まで行くんだけど……。
肝心の神殿に着いても、彼らは透明。つまり、立ち絵がないんだ。遺跡の素材を流用したと思われる背景素材だけが表示されてるってわけだよ。

そして、彼らはこっそりと、宿敵バルバトスの背後に回り、一斉に攻撃を仕掛けたんだ!
哀れなバルバトスは、屈強な戦士に袈裟懸けにされた所に、女魔術師のファイアーボールが飛び、ショタのナイフが炸裂する、という有様で、戦闘は一瞬で終わってしまったんだ。



■反省会

「おいおい、こりゃまずいよ!」

「え? 何がですか?」

「立ち絵、全部消えちゃってるじゃんよ!」

「そりゃ、透明になる呪文ですからね!」

「けどねぇ、折角のクライマックスに、立ち絵ゼロじゃ、迫力ないぜ」

「けど、戦闘向けじゃない魔法を上手く使ったと思うんですけど……」

「そりゃ分かるけどさぁ、けど、俺の云いたいのはそういう事じゃないんだよ」

「えー、そんな事いわれてもなぁ」

「色々、突っ込みたいとこがあるから、一つづつな」

「はぁ……」

「まず、何で全員魔法が使えるんだ? 例えば、戦士いただろ? あいつが魔法を使えるのは違和感あるぞ」

「違和感があるのは戦士だけですよね? 他の二人は魔法使える職業ですよ」

「あの女魔術師は、『普通の』魔法使いだろ?」

「そうですよ。ショタの方は精霊使いですけど」

「そこだよ。ああいう、自然やそこに宿る精霊の力を使う魔法は、エルフや精霊使いだけが使えるんだよ。魔法の本に書いてなかった?」

「どれどれ……あっ、ほんとだ!」

「だろ? だから、戦士、魔術師、精霊使いの三人が全員、姿を消す魔法を使うってのはおかしいんだよ」

「魔法も奥が深いなぁ……」

「魔法にはそれなりに分類があるから、そこはまず押さえておいた方がいいよ。あと、色んなバランスを取る為に、一人くらいは魔法が使えない奴がいた方がいいよ。今回の場合だと、戦士な」

「確かに、今回のサンプルシナリオ、主人公達が楽に勝ちすぎてますもんね」

「例のショタだけが、姿を消せる、とかだったら、面白かったかもな。あいつだけが先行して様子を探ってくるとか、或いはそれが見つかってしまって、また一波乱起きるとか、そういう事が出来るからな」

「なるほど、分かりました。けど、ところで、道玄斎さんはどういう魔法がノベルゲームに向いてるって思うんです?」



■こんなのはDo-Dai?

「姿が消せる」っていうのも、勿論、使い方次第で、面白くなるんだよ。
けど、最終決戦みたいな場面で、主人公達の姿が消えて無くなって……みたいのは、流石にまずい、ってのは分かるよね。

それに「姿が消せる」ってのは、ちょい、便利すぎるんだよ。
これをやられちゃうと、殆どの問題が解決しちゃうんだ。こっそり、屋敷に忍び込んで、お目当てのものを拝借してくる、みたいなミッションも凄く楽になっちゃうしね。

大体……こういう便利すぎる魔法には、何かしらの制約がついてると思うんだよな。
例えば、「3分しか保たず一日一回しか使用出来ない」とか。そうでないと、バランスブレイカーになっちゃうよ。


私が、推奨する面白い魔法は、やっぱり何といっても「幻覚」系だよね。
幻覚を見せて、上手く敵をだましたり、場合によっては戦いそのものを回避したりするんだよ。

例によって『ドラクエ』の例えだと、「モシャス」の呪文なんてのは、まさに幻覚系だよね。
『ドラクエ4』を思い出して欲しいんだけど、実際に「モシャス」の呪文を使いこなして、ゲームをプレイしていた人いるかな? いないよね?

「モシャス」みたいな魔法は、戦闘の比重が大きいRPGでは、必要性が小さい魔法なんだよ。
けど、第五章の頭で、シンシアが主人公に化けて、身代わりになって殺されるシーン。あれはモシャスなんだよね。
どうだい? 戦闘とかじゃなくて、「ストーリー」の部分では使える魔法になってるだろう?

一方で、そうやって、幻覚や、何かに化けてたりする奴を見破る、マジックアイテムも『ドラクエ』にはあるんだ。「ラーの鏡」って奴だけどもね。


化けたり、幻覚を見せたり、とか、そういうのは、割と古典的っちゃ古典的なのかもしれないけど、上手く使えば、凄い面白い魔法だと思うな。

単純に敵を殴って、倒して先に進む……ってんじゃなくて、もう少し頭を使って、余計なもめ事を避けたり、交渉をスムーズにもっていったり、とか工夫のしがいのある魔法が、やっぱりノベルゲームには合ってると思うよ。



というわけで、今日のお話はこれでお終いだよ。
まだまだ、こういうヘンテコな話はストックがあるから、ファンタジーに限らず、色々お話出来たらいいな。



それでは、また。

by s-kuzumi | 2014-07-03 01:34 | サウンドノベル | Comments(0)
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