2015年 01月 10日
今日の副題 「よく、ふりーむの審査を通ったなぁ……」 ジャンル:チャイルドポルノノベル(?) プレイ時間:40分程度。 その他:選択肢なし、一本道。15禁。 システム:NScripter 制作年:2014/12/27 容量(圧縮時):95.2MB 道玄斎です、こんにちは。 年末年始の忙しさが、何とか一段落した今日この頃ですが、年末にまんざら知らない仲でもないガムベースさんが、新作をお出しになった、という話を聞きまして、恐る恐るプレイしてみた、というわけです。 というわけで、今回は「チクル妄想工房」さんの『チャイルドポルノ・パンデミック』です。ダウンロードはこちらからどうぞ。 良かった点 ストーリーは、ふりーむの方から引用しておきましょう。 妹と暮らす男が児童ポルノの世界に生きようとする物語です。 こんな感じ。 一応、処女作『よみがえる思い出』との連続性があることが書かれているのですが、前作のプレイが「必須」かと云われれば、そんな事はないだろうな、と思います(エピソードが再生産されたり、とか見所はあるんですが)。処女作で敢えて語られなかった「結末」部分が、本作の発端部になっている、という構造ですね。 尤も、『よみがえる思い出』だけではなく、『やがて僕の訪れる公園』との微かな関連性も、亦感じる事が出来るのではないかと思います。 にしても……よくまぁ、ふりーむの審査を通ったなぁ……という気がしますw 直接的な性行描写みたいなものはないのですが、かなり際どいところまで描かれており、人を選ぶ作品である、という事はほぼ間違いなく云えると思います。 それはさておき、昨年末くらいから、創作物に対して「熱量」という言葉を以て、評価する流れがあるな、と何となく感じています。 つまり、その作品なりの巧拙ではなく、そこに込めた作者の「情熱」というか、力の入り具合を一つの評価軸にする、という潮流です。 ちょっと堅めの文学理論なんかでは、「作者」というものを考慮しない、というのが一般的だと思うのですが、「熱量」という概念は、どうしたって作者と結びついてしまいます。 作者というものの存在抜きには、「そこに込めた情熱」=「熱量」は語れないからです。 文学の研究では、作者は死んでいるか、或いは、自分達とは距離のある所にいるわけですから、作者を考慮しない、という策が採れる一方で、フリーのノベルゲームの場合、作者とプレイヤーの垣根が非常に低いんですよね。 作者自らが、サイトやブログ、或いは近年ではツイッターなどで作品について、自身の口からそのテーマを述べたり、という事は良くあります。 私なんかも経験があるのですが、或る作品についてレビューを書いた後で、「あの作者さんは、ブログで○○って云ってたから、あれは違うんじゃない?」と教えて貰ったり、或いは、作者さんその人から、「実はあそこの部分は○○で」とメールを頂く事も屡々あるわけです。 この、作り手と受け手の距離が極端に近い、というのが、フリーのノベルゲームの大きな特徴の一つだと思います。受け手としてゲームを楽しんでいた人が、ある日発奮して作り手に回る、という事もよくありますしね。 ともあれ、本作『チャイルドポルノ・パンデミック』では、作者ガムベースさんの熱量が、厭という程伝わってきます。 この作品が、何をテーマにしているのか? 何を訴えたいのか? そういう事は良く分からないにしても、です。 「良く分からないけど、なんか凄い力が入ってる……」 それが、私の、本作をプレイしての感想でした。文章は読みやすく、ストーリーの流れも一応追っていける。しかし、ラストシーンが何だか腑に落ちない、というか、良く分からない。けど、強烈なインパクトがそこにはあり、独特の引力も存在している、と思うのです。 ちなみに、作中で主人公が展開する思考は、所謂「抑止論」です。 つまり、「チャイルドポルノを供給し、欲望の捌け口を作ってやる事で、『実際の犯罪』を抑止しているんだ」という考えです。 冷静に考えれば、これには問題があります。 「確かに、チャイルドポルノの供給により、実際の犯罪は抑止出来るかもしれない。しかし、そのチャイルドポルノの被写体の女の子は、みんなの犠牲になるって事なんじゃないの?」というような、問題点です。 救われる人数が多ければ、多少の犠牲は無視しても構わない、という事なのか、それとも、主人公自身が、こうした議論の可能性を考慮出来ない程、何か追い詰められているという状況なのか……決定的な答えは出せないのですが、読んだ人間に対して、何かモヤモヤっとさせる、そういう作りになっている事は確かでしょう。 掲示板なのかツイッターなのか定かではないのですが、主人公が自身の行動や考えを表明する場があり、それに対して、レスをつける人がいる、という場面が何度か出てきます。 そのレスというのが、また困った事に、「妹を無理やり犯して屈服させちまえ!」というようなものでしてw で、現実の掲示板とかでも、そういう事を書く人っていますよね。けど、それって「ギャグ」で書いてるんじゃないでしょうか? それに対して、「妹にんな事できねーよwww」みたいな、そういうレスが来る事を折り込み済みで、謂わば「遊び」としてのやり取り、だと思うんです。 しかし、本作の主人公は、そこで、そういうレスに対して、一々真面目に受け取り、考え込んじゃうんですよ。 ギャグとしての発話に対し、シリアスに受け止めていく……こういう認識のズレが、作品の(ギャグ的な)面白さであると同時に、主人公の性格的というか内的な問題をあぶり出しているような、そんな気がしました。 色々気に掛かる部分はあるんです。 例えば、主人公の妹「ありさ」は、小学五年生、六年生でありながら、その発話はかなり大人びたものですし、小学生じゃ使わない(使えない)ような言葉もポンポン使って、兄貴を罵倒します。 こういう部分から、妹ありさの存在に、何かを見いだそうとするのも一つの作品の楽しみ方だとは思うのですが、私の手には余るので、深入りは避けましょうw もしかすると、「チャイルドポルノ」は表象というか、いくらでも付け替え可能な「服」みたいなもので、根本に、チャイルドポルノも包含する、何か「本当に描きたいもの」「本当に主張したい何か」があるのかな? なんて事は考えましたね。 云ってしまえば、良く分からない作品です。 そして、強烈に人を選ぶ作品でもあります。 けれども、他にあまり類を見ない、熱量と、インパクトを持った作品でもあります。 本当に、「一般的な評価」を下しにくい作品で、読者がそれぞれ、感じたものが、それぞれの評価になる、という、ちょっと逃げを打って、本稿を〆たいと思いますw それでは、また。 /* 以下、宣伝 私達が運営している、ノベルゲーム制作支援サイト(素材ポータルサイト)、Novelers' Materialなんてものがあるので、良かったら、利用してやって下さいませ~ 素材作者さんも大募集です! http://novelersmaterial.slyip.com/index.php リニューアルも完了し、より使いやすい素材ポータルサイトになっております。 以上、宣伝 */
by s-kuzumi
| 2015-01-10 15:46
| サウンドノベル
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Comments(4)
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Low
at 2015-01-10 22:59
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DLするかどうか すこし気になっているところ。前作も少しずれていたしなあ。
取りあえずわたし好みでないのは確かだ。 好みでないのは読まないというわけでもないので どーしようかなあと このまえから ちょこっと思ってます。 レビュー読んでも・・・ 読むものが無い時 DLするかも^^;
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s-kuzumi at 2015-01-11 20:27
>>Lowさん
確かに、強烈に人を選ぶ作品です。 ただ、救いもあって、それは「尺が短い」事です。比較的サクッとプレイ出来てしまうんですよ。 また、前作よりも、観念的な話ではなく、ストーリーそのものは追っていきやすいので、プレイそのものは、ね、というw
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Low
at 2015-01-12 17:59
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あ~ 読みおわった。 人がいるところで読んでた自分がなんとも^^;
なんとなく 前作よりは よみやすかった様な気がする。 ラストは良くわからなかった・・・ 「抑止論」かあ この場合本能に根ざしてるだけに 欲望の捌け口というより 欲望の強化になってしまうような・・・行為ではないのか。 一番驚いたのは さんくす ふぉー ・・・だったりして。どこかで見た漢字が三文字・・・ 取りあえず この作品も 読了!
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s-kuzumi at 2015-01-18 16:05
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