2015年 03月 05日
道玄斎です、こんにちは。 年度末ということで、色々と処理しなければいけない事も多いんだけど、それも大分片付いてきたよ。 もう少しで、じっくりゲームに向き合えそうなそんな気がするね。 ゲーム界隈では、やっぱり新作は毎日のようにリリースされていて、中にはタイトルだけ見て「お!」と思うようなものがあったりするから、一応ダウンロードだけはしているんだ。 そうそう、ゲーム界隈というと大袈裟かもしれないけど、フリーのノベルゲーム仲間の嬉しい話なんかも、ちらっと風の噂で聞いたりしているから(おめでとうを伝えたいんだけど、なんか急にメールするのもなぁ、なんて思って尻込みしちゃってるんだ。心当たりのある方は是非連絡下さいw)、春に向けていい事も増えてきたね。 さてさて、前回の箸休めでお話した「ファンタジー系の作品を作ろうとしているヤツ」が、ちょこちょことシナリオを書いているようなんだけど、またしても疑問や問題点が出てきたらしいんだよ。 俺も、そうしたニーズ(?)に応えるべく、ファンタジーの古典たる『指輪物語』を読み直したりもしたんだ。ただ、今回の疑問は、『指輪物語』からじゃ回答出来ないようなものでねぇ……。 ■その名はギルド 「やっと、第三話の執筆にとりかかれますよ!」 「それはおめでとう。全何話か分からないんだけど、三話となると今までと少し話のパターンを変えた方がいいかもな」 「そう! そこなんですよ! 今までのシナリオは洞窟に入って、化け物を倒してお宝を頂く、という鉄板ネタだったんですけど、ここらへんで、舞台を街に移そうと思うんです」 「つまりシティーアドベンチャーってヤツだよな。シティーアドベンチャーは化け物退治と違って、人間の思惑とかそういうのが絡んでくる事が多いから、より『ドラマ性のある』シナリオになるのが一般的だよ」 「わたしもファンタジーのラノベとか、ファンタジーのガイドブックとかを見て勉強したんですよ! 戦闘というより情報収集だったり、上手い立ち回りが大事なんですよね」 「一般的にはそうだよ。だからこそ、単純な殴り合いじゃ出せない深みがあるんだよ」 「ですから、戦士じゃなくむしろシーフ(盗賊)をフィーチャーしていこうかと思ってるんです」 「シティーアドベンチャーは或る意味、シーフの独壇場みたいなとこはあるよな。それにシーフって裏の世界に通じてるっていうか、ダーティなイメージもあるじゃない? だからそういう属性を絡めた渋めのシナリオが出来るな」 「渋めのシナリオいいですねぇ……。第三話は『渋さ』がコンセプトですし!」 ファンタジーと言っても、毎度毎度ダンジョンに潜る必要はないんだ。 ダンジョンだけじゃなく、街での冒険(シティアドベンチャー)や、ジャングル・森林・砂漠など野外での冒険(ウィルダネスアドベンチャー)を組み合わせていった方が、バリエーションがあって面白いよ。 シティーアドベンチャーなら、「渋さ」も出せるし、ウィルダネスアドベンチャーなら「自然の驚異」だったりの演出が出来る。 それに、冒険での報酬も、ダンジョンなら「怪物が隠し持っていたお宝」というケースが多いけど、例えばシティーアドベンチャーを上手く解決すれば、街の住人や有力者との「コネ」が手に入ったり、ウィルダネスアドベンチャーなら「自然の中で生き抜く知恵」とでも言えばいいかな? そういうものも手に入る。 目にはさやかに見えねども、こういう報酬もとっても大事なものなんだ。こうした報酬が、次のシナリオに繋がっていく事も多いしね。 それに、キャラクター達の意外な一面を描写する絶好の機会でもあるんだ。 ファンタジーと言えばダンジョン、というのも、まぁ間違いじゃないんだけど、冒険の舞台となる場所を上手く切り替えると、作品そのものにも深みが増すよ。 「ん? そこまで方向性が決まってるなら、何も迷う事ないじゃない。何が問題なのよ?」 「ああ、そうだった! 渋めのシナリオでシーフを活かすって方向性はあるんです。けど、そこでどうしても分からない事が出てきたんです」 「というと?」 「ええ、それは『ギルド』なんです」 ■ギルドって何だ? 「ギルドねぇ……。シーフとなると『盗賊ギルド』のことだよな」 「ええ、まさにそれです。っていうか、そもそもギルドってのもなんかイメージしづらいんですよね」 ギルドっていうのは、ご存じの通り、「職能集団」というか「職能集団の互助組織」というか、そういうヤツだよ。社会科の教科書にも書いてあるよね。 けど、確かにイメージしづらいよねぇ。ファンタジーならではの「ギルド」なんてものもあるし、意外と一筋縄じゃいかない問題かもね。 「ファンタジーならではのギルド? それはどんなヤツです?」 「ああ、だから『盗賊ギルド』なんかもその一つだよ。あとは『冒険者ギルド』なんてのが設定されてる世界もあるよ」 「じゃあ、一般的なギルドは?」 「それこそ無限にあるよ。『靴ギルド』とか『家具ギルド』とか『鍛冶ギルド』とか。そういえば『石工ギルド』が秘密結社として有名な『フリーメーソン』の母体になったなんて話、聞いたことあるだろ?」 「ああ、そうですね。って、問題は盗賊ギルドですよ!」 「そうだった……。で、盗賊ギルドの何が分からないのよ?」 「なんていうか……何をやってる組織なのか、なんでそこにシーフがいくと情報が手に入るのか、犯罪組織なのに何で存在出来てるのか、とかいっぱいありますよ」 確かに、そこはファンタジーの大きな謎の一つだよね。 「ファンタジー世界にはとにもかくにも『盗賊ギルド』があるんだ!」という、お約束として処理してしまってもいいんだけど、少し突っ込んで考えていくことにしよう。 「よし、じゃあ、まずは、普通のギルドから考えていこうよ」 「お願いします」 「俺の持ってるファンタジーの解説本には、ギルドは『職能集団』だけじゃなくて『専門学校』的な側面もあるんだ、って書いてあるね」 「というと?」 「だって、例えばどのギルドでもそうなんだけど、親方がいて、弟子を育ててるわけでしょ? で、弟子が一人前になったら『卒業制作』をさせるんだよ。で、親方達がそれを審査して基準に達していたら、晴れて合格、君も独り立ちだ! って事になる」 「あっ、なるほど。確かに専門学校的ですね」 普段は親方の下っ端として、雑用をしたり、或る作業工程だけを延々とやらされてる弟子なんだけど、独り立ちの機会が与えられてて、それにパスして自分の店を持てるようになったりするんだ。 そして、そいつも年季が入ってくると親方として弟子をとっていく、というわけだよ。 「職人の世界ですねぇ」 「ああ、まさにそういう認識でいいんじゃないの? 職人の徒弟制度がギルドの一つの教育機関としての側面だよね」 「じゃあ、職能集団ってのは?」 「簡単に言うと、『値段の取り決め』をしたり、『よそ者の排除』を行ったりするんだ」 「んー、値段の取り決めは分かりますよ。組合が決めた値段でそれぞれのモノを販売するって事でしょ? けど、よそ者の排除っていうのは良く分からないなぁ」 「つまりさ、みんなで決めた値段があるわけだよね? けど、ある日違う町から、激安でしかもデザインも悪くない商品を作るヤツがやってきて、店を開いたら……?」 「あっ、それはマズイ」 「うん。だから、そういうよそ者に対して『俺たちのシマで仕事すんじゃねぇ!』ってな具合に、そいつを追っ払って、ギルドのメンバーの利益を守るんだ」 「なるほど。けど、なんか閉鎖的ですねぇ」 「それが中世的ファンタジーの基本的な商売の形態なんだよ」 値段の一定化、よそ者の排除によって、「自由競争」を妨げている、というのがギルドの一面でもあるんだ。 近代になるにつれ、ギルドは解体されていき、自由競争が始まり、それが現代まで続いているんだよ。 ■盗賊ギルドに関する一考察 「一般的なギルドについて分かりました。じゃあ、盗賊ギルドは?」 「基本的な概念は同じだと思うな。つまり、幹部は他のギルドで言う所の『親方』なんだよ。それで、まだ未熟な『弟子』を育成するんだ。で、独り立ちした盗賊に関しては、仕事で得た金銭から一定額を徴収してギルド全体にそれを還元する。ギルドの貢献した盗賊は幹部となり、新たな弟子を育成する……そんなイメージじゃないかな」 「ああ、分かりやすいですね。あっ、じゃあ冒険者としてのシーフってのは、まだ弟子の段階なんですかね?」 「いや、『一応独り立ちした』盗賊なんじゃないかな。基礎的な技術は教えてもらって、あとは実践で腕を磨いていく、という段階じゃないかね。でなきゃ仕事も出来ないだろうし」 「社会人一年目みたいなイメージですかね」 「冒険したての頃はね。けど、数々の冒険を通して腕前もあがっていくと、ギルドの中堅どころになったり、あるいは幹部になったりもするんだろうね。そういうシチュエーションでもシナリオが出来るな」 「それも渋いシナリオだなぁ!」 蛇足かもしれないけど、シーフは盗賊ギルドに所属しているというのが一般的でしょ。俺は、シーフは冒険から帰ってきたらそこでの報酬を納めるのと同時に、自分が経験したトラップとか、鍵穴とか、或いは自分が行った街の情報なんかもギルドに提供してるんじゃないかな、って想像してるんだ。 そうした個々のシーフの貢献があって、ギルドの基部を支えているってイメージかな。そんな事を書いてあるファンタジーのラノベや、ガイドブックはないんだけど、ファンタジーだもの、そういう想像力を使ってもいいんじゃないかな。 「ギルドに貢献するわけですね」 「場合によっては新人教育を任される事もあるだろうし、自分自身も最新の技術をそこで学んだりもするんじゃないかねぇ」 「互助組織だっていうのがしっくりきますね。けど、まだ最大の疑問が……」 「ん?」 「盗みって非合法行為ですよね。普通のギルドは合法活動だから存在出来るのは分かりますよ。けど、盗賊ギルドみたいな非合法組織は、なんで取り締まられないんだろう……」 「ああ、それに関しては、俺は暴力団をイメージしてるんだ」 「え!? 暴力団?」 「だって、暴力団って○○組とか○○会とかって形で、みんな知ってるでしょ? 住所や電話番号まで分かる。で、よからぬ活動をしている事は間違いないわけなんだけど、警察は暴力団を解体しないじゃないか」 「確かに……」 「そりゃ、よっぽどハッキリとした悪事の証拠があったり、事件が起きたりしたら逮捕者が出たりするけど、基本的に暗にその存在を警察も認めてるんだよ」 「ふーむ……つまり、みんなその存在を知っていて、お上だって当然知っている。けど、共存しているというわけですね。確かに盗賊ギルド的だ……」 「勿論、細部は違うんだろうけど、その存在の全体的イメージとしては、かなり近いんじゃないかな」 「やっぱり、盗賊ギルドはダーティーな雰囲気がありますねぇ。こりゃ渋いシナリオになるぞ……!」 「ところで、君のシーフのキャラクターってどんなヤツなの?」 「よくぞ聞いてくれました! ハーフエルフの女の子で年齢は200歳。だけど見た目は15歳くらいにしか見えないんです。で、ちょっぴり露出度の高い革鎧を着てて、スカートは膝上20センチくらいですよ! 小首をかしげるのがクセで、無邪気な可愛さがあるんです!」 「…………それ、渋くなるかなぁ……」 「…………」 「…………」 というわけで、今回のお話はこれでおしまいだよ。 ファンタジーに突っ込んでいくのも面白いんだけど、そろそろノベルゲームの方もやらなくちゃ! けど、たまにメールをもらうから、これからも不定期でこの手のシリーズもやっていくつもりだよ。 それじゃ、またね。
by s-kuzumi
| 2015-03-05 16:08
| 日々之雑記
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