2015年 12月 16日
今日の副題 「深みのある学校ホラー作品」 ジャンル:ホラータッチマルチADV プレイ時間:コンプリートまでおよそ2時間半ほど その他:分岐多数。マルチエンド。『学校七不思議』『学校七不思議2』をプレイしておくとより楽しめる。 システム:吉里吉里/KAG 制作年:2015/12/15(公開) 容量(圧縮時):255MB 道玄斎です、こんばんは。 今日も久々のノベルゲームレビュー。 ここ、一年間くらい、なんだか妙に忙しくって、腰をおちつけてゲームをプレイするってことがなかなか出来なかったのです。その代わりに、無料ゲーム.comさんのほうで、ノベルゲームにまつわるお話を「コラム」という形で書かせて頂いております。 さてさて、今回のタイトルを見て「お!」と思った方もいるのではないでしょうか? そうです、2000年からリリースされ続けている『学校七不思議』の最新タイトルがついに登場。 何度も書いていますように、私はこのシリーズが好きなので、さっそくプレイして取り上げてみました。 というわけで、今回は「銀の盾」さんの『学校七不思議5』です。 ダウンロードはこちらからどうぞ。 良かった点 ストーリーは、ふりーむ! のほうから引用しておきましょう。 どこの学校にも必ずあるという、怪談「七不思議」にまつわるADV。 こんな感じです。 数年くらい前から、いわゆる「実況動画」が流行るにいたって、ノベルゲームに限らず、フリーゲームの世界に多少の変化があったようです。 1つは「ホラー作品の見直し」。 もう1つは「ドッキリ系の多用」という感じでしょうか。 実況には、実況主が録画したものを流す、というものだけでなく、「それを視聴した人がコメントでその動画に参加できる」という部分があるわけです。 すると、「淡々とストーリーが流れていくもの」より、「ドッキリ」などの要素があって、動画に起伏を付けやすいもの(実況主がリアクションしやすもの)、そして、コメントが増えやすいものが好まれるようになってきました。 そうした「ドッキリ」要素があるもの、として「ホラー」作品が見直されてきた、ということなんですが、端的に云って、「実況ウケ」しやすい作品ということでの盛り上がりなんですよね。 一方で、本作はなんと2000年から、同シリーズがリリースされ続けているという、「ホラーノベルゲーム」の老舗。その世界を長年、支え続けている作品といってもいいでしょう。 そして、ドッキリ系で耳目を集めていく、というよりは、ストーリーの良さ、その奥深さでしっかりと「読ませる」タイプの作品、だと云えるのではないでしょうか? そもそも「学校の七不思議」というのは、みなさんもご存じの通り、とても有名な怪談(群)です。 そして、実は「あまり怖くない」んです。 本作にも出てくるように、「骸骨の標本が動く」とか、そんなに怖いとは思えませんよね? また、本シリーズを通して、かなりおいしい役どころの「トイレの花子さん」であっても、怖さとかわいらしさ、みたいなものが相半ばしている印象すらあります。 じゃあ、どうするか? といったときに、本作シリーズが採用しているのは「学校七不思議」の背後の設定、つまりバックグランドをしっかりと成立させる、というもの。 「学校七不思議」という怪談(群)が存在しており、それを調査した二人の女生徒(美加と絵梨。今日のスクリーンショットは美加)が行方不明となる。そして、今も夜の学校に、その二人は囚われ続けている……。 こういう状況が、作品の背後にあるんです。 「学校七不思議」だけではなく、それに関わった(より正確に云うならば、知ってはいけない第7の不思議を知ってしまった)二人がいて、「夜の学校の世界」に七不思議と共に存在している。 そして、その二人は、「怖さ」を感じさせる存在ではなく、むしろそこに「切なさ」や「優しさ」を感じさせる存在でる、というのも特筆すべき点でしょう。 ですので、物語は、視点人物の「物語」であるのと同時に、美加と絵梨の「物語」と重なってくる、という重層的な構造をとります。さらに本作の場合、『学校七不思議2』の「物語」もそこに重なってきますから、相当に厚みのある物語構造をしている、と云ってもいいでしょう。 怖さを追求していく、というよりは、明らかに「物語的な深み」を感じさせる作りなのです。なにしろ「ホラータッチ」なわけで、ホラーとは作者さんも云っていないわけですからね。 今だからこそ、こうした作品はものすごく価値のあるもの、だと思います。 さて、一方で気になった点は、「やはり今回も七不思議の『七つ目』の謎は明らかにならなかった」という部分です。 きっと、それが明らかになるのは、本シリーズの「ラスト」なのでしょうね。 とはいえ、少し本作、つまり『学校七不思議5』でそれが見えてくるかな? という淡い期待があったのも事実でした。 ま、それはともかく、ちゃんと「次回予告」までついていましたから、まだまだ『学校七不思議』は終わりません! 次は『学校七不思議6』がちゃんと待っています。 リリースまで何年かかるかわかりませんが、ファンとしてその日をまた待ち続けたいと思います。
by s-kuzumi
| 2015-12-16 22:05
| サウンドノベル
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