2016年 04月 29日
道玄斎です、こんにちは。 ゴールデンウィークですから、ちょっと何かプレイしようかな? と思っていたところ、興味惹かれる短編作品を発見しました。 というわけで、今回は「aiGame」さんの『山中の宿』です。ダウンロードはこちらからどうぞ。 私は、怖い話が結構好きです。 いや、ウソです。とっても好きです。 怖い話といっても、色々なジャンルがありまして、代表的なものとしては厳密には分けがたいものの、「都市伝説」のようなタイプ、「お化けや幽霊」の話、「妖怪などにまつわる話」、そして「実話の猟奇的な話」といったものがあります。 こうした怖い話のジャンルのなかで、ここ数年で一気に台頭してきたのが「意味が分かると怖い話」です。 一見すると、何の変哲もないような話。特にオチもなかったりする。けれども、ちょっと頭をひねったり、その話の中に出てくる特定のキーワードに着目することで、「もう一つの意味」が浮かび上がってきて……というタイプの作品です。 この手の「意味が分かると怖い話」には、一つ短所があって、それは「意味が分からないと全く面白くない」というもの。 そういうわけですから、このタイプの怪談では、ちょっとした工夫が必要となります。 たとえば、よく目にするのが「そもそもの文章がなんだか意味深」。 これは、「意味を分かってもらうため」に読者に考えることを促している、と考えられます。 また、「真相につながる特定のキーワードや、事象をしつこくない程度に強調しておく」なんてのもありますよね。これも意図は同じです。 第三の工夫は、ちょっと力技なのですが、「解説」を付けちゃうというもの。 これは、スマートフィンのアプリタイプの「怖い話」にはよくあります。お話を読んだあと「解説」をタップすると、すっきりと裏に隠れた意味が分かるというわけです(ネット上で見ることが出来るそれは、読者が考察した「解説」が付いていることも多いです)。 長々と前置きを書いてしまいましたが、本作『山中の宿』は、こうした「意味が分かると怖い話」を5編集めた、短編集というかショートショート集というか、そういう趣。 そして、それぞれの話のあとに「解説」が入り、「この話、意味わかんねーな?」という事態を防いでいます。 本作の特徴は、ただ単に「意味が分かると怖い話が5本あるから読んでね」ではなく、ちゃんと物語としてのガワがあって、いわば「物語内物語」として怪談が提示されている、というところでしょう。 タイトルに如実なように、主人公は道に迷い、山中にある洋館形式の宿に泊まることになります。 その客室に置いてあった本の内容、それが本作で提示される怪談、というわけです。 そうした「設定」の部分はゆかしいものがあったのですが、怪談そのものはそこまで怖くなかったかな? という気がしますね。 一つは、「文章そのものが理解しにくい」というところにあります。 意味深長な部分を作ろうとするあまりに(?)、その怪談の「表の意味」そのものが分かりにくくなっている印象がありました。 なので、もうちょい読みやすい文章であると、裏の意味の怖さもクッキリとしてくるんじゃないかな、なんて思いました。 あとは、魅力的な「ガワの設定」があるので、そこを活かす方向も考えられます。 たとえばの話ですけど、一話怪談を読むと、「洋館チャプター」が出てきて洋館のメイドさん(?)とのやり取りがちょこっと挟まったりして、最後の「オチ」にさらにインパクトを与える、みたいなね。 色々書いてしまいましたが、スッキリ10分未満で読了出来る尺は魅力。 また、「意味が分かると怖い話」をノベルゲームで表現しているという部分も楽しいですよね。今後も、こういうホラー作品、どんどん出てきて欲しいなぁ。 どうやら、かなり多産な作者さんのようですので、また面白そうな作品プレイしてみようと思います。 それでは、また。
by s-kuzumi
| 2016-04-29 14:16
| サウンドノベル
|
Comments(2)
初めまして、制作者のaiGameこと藤崎です。
この度は、「山中の宿」のレビューを していただきありがとうございます! 今作は過去作の引用の話が多いのですが (書き下ろし以外はpixivの過去作)、 またいくつか思いついたら書きたいので、 道玄斎様の『表の意味の強調』を 心に置きながら、これからの意味怖を 作っていこうと思います。 ……今月公開予定のゲームをチラッと。 「グサッ!ヤンデレだらけの1日生活in2016」 に、今作の少女が一瞬だけですが登場します。
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Commented
by
s-kuzumi at 2016-06-05 13:58
>> 藤崎 藍さん
わざわざのコメントありがとうございました! 次のゲームも、面白そうですね! 私の知り合いに、強烈なaiGameさんのファンがいるので、色々他の作品なんかもおすすめ頂いていますw 新作のほうもプレイさせていただきますね! |
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