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久住女中本舗

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2019年 12月 22日

フリーノベルゲームレビュー 『魚喰』

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今日の副題「2019年ループホラーの旅」

ジャンル:ホラーテイストノベルゲーム
プレイ時間:1~2時間
その他:選択肢あり。True、Happy、Badのエンドに分岐
システム:吉里吉里/KAG
制作年:2019/12/19
容量(圧縮時):125 MB


道玄斎です、こんにちは。
今日は久しぶりにホラーテイストのノベルゲームを。選択肢が多く、少し懐かしい手触りも感じる作品のご紹介。
というわけで、今日は「魚喰製作委員会」さんの『魚喰』です。
良かった点

・ハイクオリティなイラストや素材。システムも使いやすい

・選択肢多めで、懐かしいホラーの手触りもある


気になった点

・呪いに関してのバックグラウンドがもっとストーリーに活きてくるとよかった
ストーリーは今回は私がまとめておきましょう。
主人公は釣りマニア。
夏休みの時間を持て余し、釣りに行こうとすると、友人から穴場のスポットを教えてもらえる。
そこでの釣果は上々だったが、帰り間際に変な魚に腕を噛まれてしまう。

そんな出来事があって以来、何か周りの人たちの様子が変で……。
という感じ。


少し懐かしい手触りを持ったホラー作品です。
正確にいえば「ホラーテイスト」の作品なんですが、古式ゆかしい「選択肢多め」のものになっており、私はちょっと嬉しかったです。


本作、タイトルが『魚喰』なんですが、主人公が釣り好きであり、作品の「ホラー」に関わる部分も「魚関係」、登場するキャラクターたちの名前もまた魚つながりで、テイストの一貫性を感じます。
文章も軽快で、賛否はありましょうが「ノベルゲームらしい」テキスト。読みにくいことは全くありません。


実は本作、ループものでして、何かしらのエンドにたどり着くまで、何度も同じ選択肢を選んでいくというタイプでした。
ただし、主人公はそのループをほとんど知覚しておらず、プレイヤーである私達がループであることを見抜き、ダメな選択を回避すべく主人公を導いてあげる必要があります。ループ、選択肢多めというわけで、とても懐かしい手触りを感じますよね。『ひとかた』とかね、そういうのをどうしても連想してしまうわけです。


恐らく、初回ではよいエンドには行けないと思います。
何しろ選択肢の数が多いですし、良く分からないまま、ループが開始されてそこで「あっ、ループだったか」と気づく、そういうタイプ。
少しづつ選択肢を変えていくことで、作品の背後にある「呪い」やその影響が明らかになっていく、という作りもまた、古式ゆかしいノベルゲームの伝統を引き継ぐものです。


具体的には、友人とその彼女、クラスメイトの女子とその妹、クラスメイトの女子の3者(という言い方でいいかな?)と、「どういう順番で」出会っていくのか、が攻略の鍵になります。1~2周すれば「どこに誰がいるのか」がわかるので、そうした選択肢捌きも楽になると思います。


イラストも綺麗ですし、1時間程度でおそらくトゥルーエンドが見られると思うので、プレイのしやすさもあります。ライトな感覚でホラーを楽しめる作品と、まとめることも可能でしょう。



一方、ストーリー的な部分で言うと、作品の核である「呪い」の実態とストーリーに、何かしらのつながりがあれば、あるいはそこの説明がもっとあればよかったかな、と思います。


ローカルな性質をもった昔話があり、言ってしまえば偶発的にその呪いが発動してしまうという状況なのです。
そうではなく、例えば、「呪いがあることが知られており、登場人物の誰かが自らその呪いの力を求めている」とか、あるいは偶発的に発動した呪いだとしても、その呪いの本体(よくあるのが、悲しみに捕らわれた人間の魂が呪いの本体になっており、作中では呪いを解くとともに、呪いの本体をも解放してあげる、みたいなやつ)への積極的なアプローチがあってもよかったのではないか、というあたりです。


別のアプローチとしては、「主人公がループを知覚している」という状況を作るとか。
ループものでは、この点は結構なポイントになると思います。
その自覚があると、惨劇を止めるべく主人公は「自発的」・「自覚的」な行動をとっていくわけで、そこに主人公の個性、キャラクターが立ってきますし、作品の見せ場を作ることも出来ましょうし、選択肢に意味を持たせることも出来てくるわけです。


大体こんなところでしょうか?
色々書いてしまいましたが、ちょっと惹かれる作品ですよね。女の子は可愛いですし。
歴戦のノベルゲーマーならハマること請け合いだと思います。少し懐かしく、けれども2019年の水準にモディファイされたループもののホラーストーリー、楽しんでみてください。


それでは、また。


by s-kuzumi | 2019-12-22 15:05 | サウンドノベル | Comments(0)
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