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2024年 11月 16日

フリーノベルゲームレビュー 『夏ノ桜にゆびきりを』

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吟醸
今日の副題「こんな作品が読みたかった!」


道玄斎です、こんにちは。
先日、ちょいとノベルゲームをプレイしたら、久々に熱が戻って来た感じがしたので、今日も更新をするのです。
というわけで、今回は「Studio Cyan」さんの『夏ノ桜にゆびきりを』です。
多分……相当久しぶりの「吟醸」作品になります。


良かった点
・物語後半まで読み進めると、評価が(良い方に)ガラッと変わる

・なんとも言えない読後感を残すラストシーン


気になった点
・ある意味で淡々としているかも

・もう少し長尺のバージョンも読んでみたい


丁度昨日でしたか。
私は久しぶりの「箸休め」にて、ストーリーや物語に重きを置いた作品が減っているんじゃ? というようなことを書きました。
で、そういう作品がないか探して回ったところ、見つけたのが本作。
こういう作品が読みたかったんですよね。なんか私の今の気分にあっているというか、ちょっとセンチメンタルな感じもあって、気に入ってしまいました。


さて、本作はガワの部分だけを見れば、ボーイミーツガール的な要素を持った「夏休み最後の一日」を描く作品です。
作品を貫くテーマとして、「夏休みの一日を切り取る」というものがあり、そこが本作の良さでもあり、逆に淡々とした感じになっている要因でもあろうかと。
そうですね、本作の手触りを正確に伝えるのは難しいのですが、短編小説を読み終えた感じ、と言えば伝わるものはありましょうか。


物語の出だしは比較的強引というか、主人公の動機がなんとなく乏しいような、そういう感じなんです。
そして、教室で成績優秀、ちょっとミステリアスな(で、もちろん美しい)女子と出会って、彼女と会話をするもどこかズレた返答をしてくる……と、そこだけ切り取れば、よく目にした作品と同じようなパターンではあるんですよね。


ですので、最初は「このパターンの作品は結構たくさんプレイしたぞ……」と思いました。
が、作品後半くらいでしょうか、物語冒頭で「強引」だと感じていた部分、あるいはちょっと恥ずかしくなるくらいの「大人と子供の対立」みたいなジュブナイル小説感が消化されて、ガラッと作品に対する評価が変わりました。よって、今回は久々の吟醸です。


先にも少し書きましたが、全体としては「淡い」雰囲気。
それは、何ともいえない良い雰囲気、不思議な雰囲気の淡さもありますし、淡々とした、というような淡さもある、という。


ヒロイン秋野は美しいですが、強烈なバックグラウンドや個性があるわけでもなく、作中ではある意味でステレオタイプの造形でしたし、主人公もまた然り。ストーリーに関しても大きな盛り上がりの場……というよりは、淡々とした美しさ、みたいなそういうところを見せようとしていたのかなと。
一方、登場人物の個性が控えめだからこそ、作品の持つ雰囲気に浸れる、という部分もあり、逆にそこに物足りなさを覚える人もいるかもなぁ、という感じ。


後半で「花火」の場面が出てきます。
これは本当に好みの問題だとは思うんですけれども、この花火は上手く使えば、作品にひとつアクセントを入れられたかな、とは思いましたね。
あとはヒロインの名前や彼女が手入れをしているコスモスも確かに、仕掛けとして機能はしているんですが、もうひと押ししてあげてもよかったかな。
そうするためには、もう少し長尺で「一日」ではなく「三日間を描く」くらいのボリュームが必要かもしれません。そういう意味ではもう少し長尺になった本作も見てみたい。そんな気もします。


けれども、あくまで本作が「夏休みの一日を切り取る」というスタイルでもあるわけで、「そんな一日だった」という納得の仕方も当然あります。
また、インパクトのある「盛り上げどころ」「アクセント」を入れてしまうことで、作品の持つ雰囲気がちょっと俗っぽくなる恐れもあるんですよね。
なので、本作の場合、気になった点として挙げたところは、人によっては「寧ろそれがいいんだ!」と言いたくなる部分でもあります。


私がプレイして大体1時間未満くらいです。
そうした尺に反して、短編の小説を読み切ったような満足感があり、また、何とも言えない作品の雰囲気やラストに浸れる、そんな作品です。
「物語」に浸ってみたい。そんな方にお勧めします。


それでは、また。


by s-kuzumi | 2024-11-16 14:59 | サウンドノベル | Comments(0)
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