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久住女中本舗

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2007年 07月 27日

フリーサウンドノベルレビュー 『君が好き』

フリーサウンドノベルレビュー 『君が好き』_b0110969_18563645.jpg

今日の副題「まっすぐなきもち」


ジャンル:シンプルな恋愛ノベル。
プレイ時間:~30分くらい。
その他:選択肢なし、一本道。
システム:NScripter

制作年:2007/5/?
容量(圧縮時):21.2MB


道玄斎です、こんばんは。
またしてもこんな時間に一本レビューを。何しろ、他のサウンドノベルのレビューを書いていらっしゃる方は、何十本もレビューをぶち挙げているわけでして、少しでも彼らに近づくために出来るだけ頑張って、取り敢えずは「数」を増やしたいな、と。

で、今回は「ケイトー」さんの『君が好き』です。
何とも直球なタイトルで、人目で恋愛モノだと分かりますね。

恋愛ものは、このレビューを読んで下さっている方はお分かりかと思いますが、俺は最近、意図的に恋愛モノをプレイするのを避けています。
恋愛的要素のある作品はそれこそ大量にありますし、「恋愛がメイン」というタイプのものも大量にプレイしてきています。半ば食傷気味なんですよ。
「恋愛の要素もあるけれども、メインは別」みたいなタイプを、ここではメインに扱ってきたつもりです。

では、何故今になって恋愛モノでレビューを書こうと思ったのかと申しますと、「プレイ時間が短そうだった」からですw ダウンロードファイルの容量を見れば大体、どの程度でプレイし終わるか、いい加減見当も付きますよね。
それに、敢えて避けてきたけれども、レビューも10本を越えましたので、そろそろ一本くらい……、という気持ちもありました。

それでは、いつものように……。


良かった点

・最初に主題が明確に示される為、話が最後までブレる事無く進行していく。

・ギャグがなかなか面白い(これは好みの問題だと思うけれども)。
ギャグと言っても、幼なじみの由梨を振り向かせる為の行動が空回った末、ギャグになるのであって、単なる「ウケ狙い」的なギャグではない。

・テキストにスペースを設ける事で、読者に読みやすい様に工夫が見られる。


気になった点

・何て言っても、あのラストのオチはひどいw

・後半部で一気に展開が進みすぎる。もう少し前半と後半を繋ぐ部分を描写して欲しかった。


本作は、光之が幼なじみの女の子由梨に、告白をする、というメインテーマが冒頭で示されます。冒頭部でテーマを明確に示したせいか、話の焦点は最後までブレません。
こうした手法は、良い面もありますが、悪い面もあります。最後までプレイする事で主題を示す、という方法もあり、そちらの方が作品全体を見た時に、印象に残りやすいからです。
しかし、本作は短編、といって良いほどの長さですので、こうした主題を最初に打ち出す、という方が合っている気がしました。

好きな女の子に良い所を見せようとして、計画を練ったり、或いは本人は至って真面目なつもりが、周りから見るとただのアホというw そういう描写はリアリティがあり、評価出来ます。
それがギャグに繋がっていくのですが、光之の試行錯誤とその結果生まれるギャグのテンポが良いですね。やはり、「ギャグになってしまう」必然が存在しているのが評価のポイントです。

至ってオーソドックスなスタイルですが、テキスト部分に工夫が見られます。
長い文章や間投詞を冒頭に持ってくる場合、句読点を使ったあとすぐに次の文章なりセリフを持ってくるのが割と普通のやり方だと思いますが、本作では、読者の読みやすさなどを意識して、句読点の後に少しスペースが空けられています。
ただ、少しスペースが空きすぎかな?全角で一字若しくは二字分くらいが丁度いいのかも。
ともあれ、こういう読みやすさを意識した姿勢は評価出来ると思います。

気になったのは、後半部の急な展開です。
それ以前までは、ツボを抑えつつテンポ良くストーリーが進行していたのですが、「ありのままの自分を見せる事」に光之が気づいてから、由梨に告白するまでの描写が薄すぎると感じました。

もっと言えば、「ありのままの自分を見せる事」の重要性を光之が気付く、その描写が少し足りなかったと思います。もう一つでも短めのエピソードを入れて、そこの所を改良すれば一個の作品としての纏まりが今以上に生まれたのではないでしょうか。

あとは、由梨サイドの描写も欲しかったですね。
恋愛モノの大半がそうであるように、恋愛は成就するのですが、由梨が光之の事を本当は好きだった、という設定を支える描写が足りないと思います。
マラソンのイベントがそれに相当するのかもしれませんが、もう少し分かりやすい形(セリフや地書きなど)で、伝える必要があると思いました。

後半部までは、なんだかんだいいつつも、ちょっと甘酸っぱくて良い雰囲気だったのですが、ラストのラストで……。ちょっとこれはないんじゃないかなぁ? なんて思ってしまいましたw


ちょっと厳しい評価でしたが、サクッとプレイできますので是非おためしあれ。
なんだかんだ言っても、処女作でこの出来映えですから、次回作が楽しみです。今の内に目を付けておくと良いかもしれませんね。

例のラストも……或る意味必見です。

by s-kuzumi | 2007-07-27 03:36 | サウンドノベル | Comments(0)
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