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久住女中本舗

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2007年 08月 12日

フリーサウンドノベルレビュー 『call pure pain』

フリーサウンドノベルレビュー 『call pure pain』_b0110969_2182633.jpg

今日の副題 『痛みの在処』

ジャンル:病院モノ(?)
プレイ時間:一時間半~二時間程度
その他:選択肢なし、一本道。
システム:吉里吉里/KAG

製作年:2007/8/2
容量(圧縮時):24.4MB



道玄斎です、こんばんは。

今日は今まであまり扱ってこなかった「病院」をメインにした作品を取り上げようと思います。
「呼び声のするトコロ」さんの『call pure pain』です。

以前、『カレイドスコープ』のレビューにて、ちらっと書いたのですが、私も結構入院を沢山している方なので、病院の描写や病人の生活には割と五月蠅い方ですw
今日は、レビューの他にも入院の話なんかも書いてみようかな、と思ったり。



良かった点

・読みやすいテキストと、それを邪魔しないBGM。

・脇役の看護婦さん(今は看護士さんかな?)達が、なかなかの存在感を持っている。

・右クリック時に、キャラ紹介(ランダム表示)が出るのは面白い。



気になった点

・個々の事件というかエピソードを見れば、盛り上がりがあるものの、難病患者が多すぎて、全体的に見ると、何となく淡泊な印象が。

・セーブして、ロードしようとしたらエラーが出てしまった(私の環境だけ?)ので、一気プレイを余儀なくされる。



主人公の白雪さんは、心筋炎にて入院し、そこで難病を抱えた少女達と交流していく、というのが大まかな筋書きです。
最初っから、少女の抱える病気が明かにならずエピソードを通じて、それが明かになっていく、というのはオーソドックスながら好感度の高い演出だと思います。

ただ、少し色々詰め込みすぎかな?と思う所もあります。
病院関係者である脇役が多数出てくるのは、良いのですが、難病を抱えた子達が沢山出てくると、少し話の焦点がぼやけてしまうというか。
もう少し、個々のエピソードを掘り下げつつ、展開に起伏を持たせた方が良かった気がします。

訃音さん兄妹のキャラは、割と唐突に現れて美味しい所をかっさらっていってしまう印象があったので、その点も気になりました。
雫ちゃんと同じ病気を抱えている、という事で前半部からちょこちょこと顔を出していた方が、唐突に現れました感が無くて良かったかもしれません。

ちょっと厳しく書きすぎていますが、良いと思う所もあります。
病院で入院する、というともすれば重たくなりがちなテーマですが、重たくなく、さらりとプレイ出来るのはこうしたジャンルのゲームにとって貴重だと思います。
特に注目したのは、入院患者同士の交流が、一つのメインテーマとなっている所です。
入院した経験の有る方は分かるかと思いますが、兎に角入院は退屈です。勿論、病気の程度や種類によっても違うのだと思いますが、ヒマでヒマで仕方有りません。

大抵のゲーム(本作でも出てきています)では、中庭に散歩が出来たり、或いは屋上に上がる事が出来たりするわけですが、実際はそんな事は出来ないのです。
それこそ毎日、お見舞いの人が来てくれるわけでもないし、怠い時には本を読んだりする事すら億劫です。
そういう時、入院患者の心の支えとなるのは、同じ入院患者との交流なのです。

大抵の病院には、談話室などがあってそこで決まった時間にテレビを見たり、或いはお茶やお菓子を食べたりする事が出来ます。あとは喫煙所とかですかね。
そういう所で、入院患者同士が交流を深めていくわけです。
勿論、同じ病室で隣のベッドの人とも仲良くなったり出来ますよね。お菓子を交換したり、ちょっとしたおしゃべりをしたり。

勿論、喧嘩が起きたりなんて事もよくありますがw、女性用の病室では、割とみんな仲良くしているんですよね。
ベッドに座りながら、とりとめの無い話をしたり、お菓子を食べたりと。
そしてお互いがお互いを本当に心配しあって気遣いあっている場面を何度も見たことがあります。退院してから、自分の居た病室を尋ねに行くなんて事も良くあります。
入院患者にとって、同じ入院患者との交流は、病と闘う上で、大きな力になるかけがえの無いものなのです。

本作では、白雪さんが涙ちゃん、そして雫ちゃんと交流をしながら、前向きに生きていくようになるわけですが、ゲームというデフォルメがありながらも、患者同士の交流を軸にしたドラマにはリアリティを感じます。
入院経験の有る方なら、結構うなづきつつ読めるような所も多いのではないでしょうか?



さて、ここらで趣向を変えて入院について書いてみましょうか。

兎に角、入院というのは退屈です。
売店が充実していれば、そこで日々雑誌を買ったり、本を買ったり出来ますが、正直、あんまり面白い本が無かったり、或いは自分が定期購読している雑誌は取り扱っていない事が殆どです。

暇つぶしの具が無くなると、今度は病棟ではなく、外来の待合室の雑誌を漁ったりするようになります。本作でもそうした描写がありました。
私の場合、去年肺炎で入院したのですが、外来の本棚で子供向けの本とか随分読みましたね。本当なら、長編で岩波文庫とかで刊行されているようなものを、子供向けにアレンジして短くしたもの。そんなものを良い機会とばかりに読みあさりました。

他の楽しみといえば、食事制限とかが特にない患者は「食べ物」だったりします。
とはいへ、病院で出る食事はお世辞にも美味しいと言い難く……。
だから、こっそり売店でお弁当を買ったり、おにぎりを買ったり、サンドウィッチを買ったりするわけですw ちなみにジュース類も暇つぶしに最適です。毎日違うものを呑んで、全種類コンプリートするとかw

物心付く前から、そして今に至るまで入院を割と沢山している私の知恵として、入院する時には「ふりかけ」を持っていく、というものがあります。
病院のオカズはどうしても不味かったりするので、ふりかけがあれば、最低でも白米を食べ力を付ける事が出来ます。日々の食事に変化を付ける、という意味でも複数種類のふりかけや、梅干しなんかを持っていくといいですね。

あと、入院患者の最大の楽しみの一つとして、「入浴」というものもあります。
それも病気の種類や程度によって違うのですが、毎日毎日、蒸しタオルで体を拭くだけだと、どうしても気分がさっぱりしませんよね。髪の毛洗えないし。

「~さん。今日から入浴の許可が出ていますけれども、どうしますか?」

なんて言われると小躍りしたくなりますね。
入浴許可が出ても、二日に一度くらいしか入れなかったりするのですが。
だからこそ、洗顔料とかそういうのも入院生活には必須ですね。

色々つらつら書きましたが、一番嬉しいのは、やっぱりお見舞いに人が来てくれる事。
向こうも貴重な時間の合間合間に来てくれるわけで、何時間も居てくれるわけじゃないのだけれども、「今日は~が来る」なんて日だと、朝からやっぱり楽しみですよね。
来てくれた人が帰ってしまった後っていうのは、又独特の寂しさがあるわけですが、そういうのを埋め合ったり出来るのが、患者同士の交流だったりするわけで。

そうさね、後は何か書こうかしら?
入院の際に持っていくと便利なモノでも書いてみましょうか。

・湯飲み(マグカップ)
お茶の配給の時などに使用。歯磨きの際のコップになったりもする。

・タオル類
リースをやっている病院も多いけれども、定期的に家人などに持ってきて貰うと、余計なお金もかからず経済的。使い慣れたモノの方が安心するしね。

・寝間着
意外と、あの浴衣チックな入院服はスカスカで寒い。
季節によっては辛い事も多いので、寝間着を持参する事をお勧めしたい。

・ナイフ
果物を剥いたりするのに使用。
所謂果物ナイフがあればそれでも可。私のお薦めはスイスアーミーナイフで有名な、ヴィクトリノックスのソルジャー。ナイフ・栓抜き・缶切りと必要最低限のツールがついていて、ちょっと便利。割り箸を削って楊枝を作ったりも出来る。
刃物の類を持ち込んじゃマズイ場合もあるので、許可を取った上で使用する事をお勧めしたい。

・ノートパソコン
これは許可が出るかどうか微妙。病院によって扱いが異なる。
私もノートパソコンを持っていたら、大量にフリーのサウンドノベルを詰め込んで、入院中ずっとプレイしていただろうに……。

大体こんな所かな。

入院生活っていうのは、大変で退屈なものですが、そこには必ずドラマが存在します。
それは患者同士の喧嘩だったり(大抵、騒音絡みで喧嘩になる)、入院患者の財布の中身を盗みに来る泥棒が現れたり(昔、隣の病室で深夜、その類の泥棒が出た)と意外とドラマチックな世界なのです。
健康で、病院なんて縁がないよってな方も、病院モノのゲームをプレイしてその一端を知ってみると意外と面白いんじゃないかと思いますよ?

by s-kuzumi | 2007-08-12 20:32 | サウンドノベル | Comments(2)
Commented by 吾妹木綿 at 2007-08-15 01:06 x
初めまして。レビュー読ませて頂きました。
セーブロードのエラーは全く気がつきませんでした。今でも確認できていません。もしよろしければ状況を教えてもらえると助かります(^^;
物語については…今回は焦点を絞ったつもりだったんですがまだ甘いみたいですね。毎回言われる部分です…。欲張り過ぎるのでしょうか。
中庭は私の入院した病院では自由に出れまして患者さんの団欒できるスペースもありました。流石に屋上は出れなかったですが昔からの病院なら屋上が物干し場になってるところもあるので出れる病院もあるのではないでしょうか。最近は乾燥機もあるし使われないでしょうけど。現実的には病院の体制や病気の程度に依るのかもしれません。
患者さん同士の交流については私が同室の方とも仲良くなったりして、でもやっぱり隣のベッドの方としか話さなかったりですとかいろんな部分で私自身の入院経験で書いてます。
そういう部分から見ても地味な物語に仕上がっているのではないかと思います(^^;
でも医療関係者や入院経験者の方の意見っていうのはとても参考になりますね(^^
今回のレビューも今後に活かしたいと思います。
ではでは。
Commented by s-kuzumi at 2007-08-15 17:09
>>吾妹木綿さん

道玄斎です。コメント有り難う御座いました。
セーブ・ロードのエラーなんですが、ログを見ると、

16:58:22 エラーが発生しました
ファイル : first.ks
行 : 5685 タグ : eval ( ← エラーの発生した前後のタグを示している場合もあります )
メンバ "DemoSkipToStop" が見つかりません

以下、ずらっと処理が続きます。尚、同じ文章がダイヤログでも表示されます。因みにWindows2000が走る自作PCでプレイしました。
セーブ自体は可能なのですが、それをロードしようとすると、上記のエラーが出ます。
今、試みにセーブデータのフォルダを空にして、再びセーブとロードを実行してみた所、正常に動作致しました。
さて、丁寧なコメント、感謝致します。
中庭に出れる病院があるとのこと、認識不足でした。ご指摘有り難う御座います。流石に、屋上に出れる病院はあまりないとは思いますが、やはり個々の病院によって差異がありそうですね。
割と辛口なレビューを書いてしまって非常に恐縮なのですが、是非、今後とも他の作り手さんには無い、独自の路線でゲームを作って欲しいと思います。
コメント、本当に有り難う御座いました。
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