2007年 08月 26日
今日の副題 「閉ざされた世界と開かれた世界」 ※吟醸(2やエピローグを含めると大吟醸) ジャンル:シリアス・病院・死(?) プレイ時間:一時間半~ その他:選択肢なし、一本道。 システム:NScripter 製作年: 容量(圧縮時): 道玄斎です、こんばんは。 今更で、非常に恐縮なのですが今日は「ステージ☆なな」さんの『ナルキッソス』を取り上げようかと思います。そういえば、私のレビューの一本目が『ナルキッソス2』でしたね。 今回は、『ナルキッソス2』に収録されている『ナルキッソス』(分かりにくい……)をプレイした上でレビューを書こうと思います。 いつものように、良かった点・気になった点、或いはストーリーとかは、今回は載せなくてもいいかな?前回のレビューを参考にして頂ければ。 さて、『ナルキッソス2』のレビューでも書いたのですが、本作にはどうにも咀嚼しきれない部分というか消化不良的なモノというか、そういうものを感じていました。 本作が名作である、という点、私も異論はないのですが、敢えて誤解を恐れず言うと、「雰囲気やスタイルで創られた作品」、という見方も出来るのかもしれません。 そう私が多少なりとも感じてしまう理由が、やはり消化不良感であり、咀嚼しきれない部分に因るものなのです。これは本作が「明確なメッセージ」「明確な主張」が見えにくい、という事でもあります。 以前にも書きましたが、逆にそうした消化不良感が、本作の魅力の大きな要素となっている事は否定出来ません。だからこそ、批判覚悟で、誤解を恐れずに言うならば「雰囲気やスタイルで創られた作品」という見方も出来るのかな、と私は思います。 勿論、一個の作品としての完成度や纏まりは、素晴らしいものだと思いますし、私個人の本作への評価は高いのです。 明確な主張やメッセージが読み取りにくいけれども、最後までプレイした時に心に残る、あの何とも言い難い感情は「もののあはれ」的なものです。 とはいえ、実は私は『ナルキッソス2』の方が好みなんですよね。 分量が増え、姫子とセツミを軸にしながらも、脇役との絡みがあったりと、『ナルキッソス』にあった閉鎖的な世界ではなく、そこにはもう少しだけ廣い世界が見えているのです。 今回はエピローグまでプレイして色々と考えました。 ここまで書いておいてなんですが、『ナルキッソス』と『ナルキッソス2』を分けて考える事は実はナンセンスなのかな、と。それぞれリリースされていたわけですが、今配布されているパッケージではこの二つが纏まっていますし、両方を終わりまでプレイする事で始めて「エピローグ」まで読むことが出来るわけですから、もう一々分けないで「一個の作品」として考えた方がいいのかな、ということですね。 阿吽みたいに、二組で一つ、そして+αとしてエピローグ。 この形で、『ナルキッソス』という作品(作品総体とでも呼べばいいのかしら?)を捉えた方が、プレイする側もレビューを書く側も面白いですし、そうする事で、初めて本当に『ナルキッソス』なる作品を捉える事が出来る気がします。 もうちょっと付け加えると、個々の『ナルキッソス』(『ナルキッソス』『ナルキッソス2』)と、総体としての『ナルキッソス』。独立していながら分離しているみたいな。そういう捉え方かな。 いや、自分でも何を言っているのか分からなくなってきたぞ……w エピローグに関しては、多分、蛇足であるとか、様々な意見があると思います。 そういう毀誉褒貶様々な意見を内包出来る捉え方が、「独立しつつも、総体として捉える」というものではないかなぁ、と。まぁ、つまり「八方美人」的な捉え方で、尚かつ「美味しいとこ取り」みたいな、そんな捉え方ですな。 もう少しだけ、考えてみましょう。 んー、例えばですよ?素人の私があれこれ言うのは筋違いも甚だしいのですが、『源氏物語』って作品がありますよね。全部で54帖あるわけですが、「雲隠六帖」なんて、本編の穴を埋めるような偽作も存在していますし、有名な所では「山路の露」なんて偽作もありますよね。 本編は勿論『源氏物語』。だけれども、雲隠六帖も「源氏物語の雲隠六帖」で、山路の露だって「源氏物語の山路の露」なわけです。 個々に『源氏物語』『雲隠六帖』『山路の露』と捉える事も出来ますし、逆に全部ひっくるめて『源氏物語』という総体として捉える事も可能だと思われます。 余計にややこしい事を書いてしまったのですが、『ナルキッソス』『ナルキッソス2』(+エピローグ)を併せてプレイした、今の私の素直な気持ちが、こういう捉え方をした方がいいのかも、という事ですね。 もっと言えば、そうした読み方を赦してくれるような、そんな懐の深い作品なのではないだろうか、というのが正直な気持ちです。 『ナルキッソス』だけをプレイした人、或いは『ナルキッソス2』だけをプレイした人。 そうした方達には、是非ともこの二つを併せて読んで欲しいと思います。そしてエピローグも。 その時にどういう評価がなされるのか、非常に興味深いです。 単体の『ナルキッソス』での私の評価は四。 総体として『ナルキッソス』を見た場合の評価は五、という事です。 今回は、評価欄がややこしですし、なんだかレビューのスタイルも変則的で申し訳ない。 そもそも、今回はレビューですら無いようなただの落書きな気もする……。 やはり『ナルキッソス』は良くも悪くも、影響力の非常に強い作品であった事は確かです。 そうした作品に対して、兎に角正直に、真っ向からぶつかってレビューを書くのは、勇気の要る事ですが、私自身としてひとつのけじめみたいなものだと思い、今回の文章を書かせて頂きました。それに『ナルキッソス2』だけしかレビューを挙げていないっていうのも、気持ち悪いしね。 最後に。 柄にもなく古典文学なんてものを持ち出したのですが、お詳しい方から見れば、本当に素人の戯言みたいなもので今更ながら後悔したりしています……。 どうぞ、素人の戯言だと思って、スルーして下されば幸いです。
by s-kuzumi
| 2007-08-26 02:23
| サウンドノベル
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