2007年 08月 30日
今日の副題 「袖振れ合うも多生の縁」 ※吟醸 ジャンル:感動系(?) プレイ時間:一ルート30分~一時間くらい システム:Yuuki! Novel 製作年:2007/3/21(プレ公開日) 容量(圧縮時): こんばんは、道玄斎です。 久々に「遊んだ」感のあるゲームをプレイした気がします。 ということで、「KUROFUNE PARADISE」さんの『ON ~恩返し~』です。 サイトの方だけだと、概略が掴みにくかったので、100%ふりげストアの該当ページにもリンクを張っておきます、 全部で四つほどルートがあると思うのですが、どのルートへも比較的入りやすい。 しかも、メインルートみたいのが存在しているわけでもなく、各ルートがちゃんと独立していて、どれか一つのルートに比重が偏るということもなく、ちゃんとボリュームがあって良いなぁ、と。 エンディング数が10を越えてしまうような作品だと、流石にプレイするのがダレてしまうんですよね。細かい選択肢を気にしないといけないのは、やり込み派のゲーマーにはたまらないかもしれないのですが、私のように「普通に楽しむ」タイプのゲーマーとしては、あまり有り難くないといいますか……w ま、ルートへの入り口は簡単な方が個人的には好きって事ですな。 良かった点 ・オープニング・エンディングにヴォーカル曲有り。特にエンディング曲は必聴!80年代テイスト全開で、懐かしさのあまりについ涙が……w ・シンプルで、先読み可能なストーリーながら、しっかりと読ませてくれる上手なストーリーの描写と構成。 ・イラストがこうしたノベルタイプのゲームであまり見ないような彩色が。上手く言えないけれども、パキッとした色遣いでちょっと新鮮。 気になった点 ・良く聞く音楽・良く見る背景だったので、そこの所もう一工夫あっても良かった。 ・本体がYuuki!NOVELだった為、操作性が……。 返す刀で、ストーリーも紹介しておきましょう。 主人公の掛田雪之丞はどこにでもいるような 平凡な高校生。 ただ、少しばかり動物好きで、動物にもよく好かれた。 平凡な毎日を暮らす雪之丞だったが、 最近ヘンな夢を見るようになる。 それを境に、色々な人に出会い、色々な事に 巻き込まれていって・・・。 動物との愛情や、愛情のあり方などを描いた物語。 こんな感じです。 いやぁ、久々にシンプルだけども面白いゲームをプレイした、という印象です。 シナリオのネタバレ部分というか、キモの部分は実は冒頭で明示されます。 先に、「どういうお話しなのか」を説明しておく、というのも一つの手なのかもしれません。 そうすることで、読者は「物語の方向性」を理解した上で、それぞれのストーリーそのものに没頭出来るからです。 ただ、こういう形式ですと、最後の最後で謎が明かされる、みたいなそういうどっきり感とかは無くなってしまうんですけれどもね。 これらのスタイルが良い/悪いではなくて、作品やストーリーに合ったスタイルを選択する事が一番です。私は、本作はこのスタイルで良いかなと思っています。 ストーリーは単純明快。『夢の少女~DreamGirl~』+『ごんぎつね』みたいな。ちょっと違うかも?w ま、タイトルが作品内容を示唆してしまっているわけですがw 本当に良くあるタイプのお話しです。最近のフリーのノベルゲームでは「あおぞら幼稚園」さんの『MYペット曜日』がかなり近いですね。 ちなみに、「あおぞら幼稚園」さんはまた九月に新作が出るそうで……。いや、本当に吃驚させられますね……。 非常にありがちなストーリーで、尚かつ非常にありふれてる音楽や背景の選定。 なんだけれども、無駄の無い丁寧な描写や、起伏のあるストーリーで読んでいて退屈する事がありません。 ダラダラと特に意味の無い日常が続くわけでもなく、かといって一つのシナリオが長すぎず短すぎずと絶妙なバランスで構成されています。 ストーリーのありきたり感や、おなじみの音楽・背景も、無駄を省き、且つ丁寧に上手に語る事でここまで昇華出来るのか、と思われますね。きっと作者さんのライティングセンスがかなりのものなのでしょう。正直、兄檄ラブな妹の存在はあってもなくても、なんですがw。 私事で恐縮ですが、私は以前ウサギを飼っていまして、非常に可愛がっていたんですね。 まぁ、約10年ほど生きたんですが、死んでしまった時はそれは悲しかったです。ペットロスなるものを身を以て体験しました。 動物をお飼いになった事の有る方は、ピンとくるかと思いますが、奴らは日本語なんて理解出来ない顔をしつつ、ちゃんとこちらの考えている事を分かってるんですよね。 多分、「悲しい」とか「嬉しい」とかそういう大雑把な感情を掴んでいるんでしょうけれども。 こちらが落ち込んでいると、向こうも妙に神妙な顔をしてじっと側についていてくれていたり、と動物って本当に気持ちのあるものなんだなぁ、と思いました。 だから、本作のような或る意味でファンタジックでそしてベタベタなストーリーも、私はあまり気になりません。寧ろ、好きなくらいです。 動物が恩を返しに、生まれ変わってやってくる。いいじゃありませんか!w ただ、こういう動物転生モノには、タブーがあります。 例えば『鶴の恩返し』を思い出して下さい。そう、転生した動物は、その正体を知られると姿を消さなければならないのです。 四つのルートの内、一つこういうエンドのものがあります。ただ、ちょっとだけひねりがあって……。 又、全体で四つのルートがあるので、バラエティに富んでいます。 ありがちなストーリー、という事を何度も言っているのですが、四つも見せてくれると危なげなくプレイ出来、且つ色々と楽しめるわけで作り方として上手だよなぁ、と。 ちょっと悲しめのエンドから、ハッピーエンド、余情を残すエンドとエンドのパターンも複数あり、良いですね。生命倫理の問題に触れるようなストーリーもあったりするので、意外と内容は深いんですよ? 個人的に好きなシナリオは「咲姫」ルートです。 終わり方の余韻がたまらないです。 Yuuki!NOVELなので、操作性の方はアレなんですがw、本当にどなたにもお勧め出来る作品です。 ちょっとノスタルジックで、心温まるストーリーを是非味わってみて下さい。 ※8/30 午前四時頃、ちょっと文章の一部を手直し。もう眠ります……。おやすみなさい。
by s-kuzumi
| 2007-08-30 01:02
| サウンドノベル
|
Comments(5)
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航海士
at 2007-09-11 21:47
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お言葉に甘えまして、恥ずかしながら書き込みに参りました。
まずは作品を取りあげていただきまして御礼申し上げます。 好評いただいた事もそうですが、まずもって嬉しいのが、 自分の関係者以外で、『プレイしてくれた方が確かにいたのだ』という 事実を知った事でございます。 公開から何人かが、プレイ報告をくれたものの、いまいち実感が わきませんでした。ベクターのDL数や、登録サイトのHIT数を見ても、 たとえ落としたとしてもゴミ箱行きになっているのでは・・・と(苦笑 これは多くの作者にとって同様の思いではないでしょうか。 こう確かなカタチでレビューされ、かつそのレビュー内容が、良い部分も 悪い部分も『プレイヤーにこう感じて欲しい』と思った通りでありますと、 『やってもらえたんだ』と深く実感できます。
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航海士
at 2007-09-11 21:48
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大なり小なり、作者は自分の作品に『愛』を持っています。
作品は我が子のような存在であり、そのための苦労は惜しまず、 作品の幸せこそが作者の喜びでもあると思います。 多くの人の目に触れ、プレイされ、思いを感じていただける事こそが 作品の幸せであると思います。 しかし、『我が子は可愛い』と素直に声を張れないのも作者であります。 ですから、こうして取り上げていただける事にただただ感謝いたします。 その他のレビューを拝見いたしましても、真摯にコメントされている 様子にとても好感を持てました。 そして何よりレビューを読んでいて感じたのは、 『ああ、この人は確かにプレイしたんだな』という事です。 作者がレビュアーに一番求めるのはこの部分だと思います。 言葉の上手さや、褒め上手だったり、批評が的確だったりする事よりも、 一番基本的で、大切にしていただきたい部分であると思います。 今後も長く拝見させていただきたいと思っております。 ありがとうございました。 追伸・・・長文失礼いたしました。
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s-kuzumi at 2007-09-12 00:55
>>航海士さん
コメント、有り難う御座いました。 こちらこそ、本当に私が「レビューで伝えたい」と思っていた事を読み取って頂いて嬉しいです。 飽くまで「レビュー」ですから、掲載する作品をレビュワーは選ぶ事が出来ます。多くのレビュワーの方は、辛口であれ又、ベタ褒めのレビューであっても必ず、 「心に残るものがあったからレビューを書いた」 「もっと多くの人にプレイして貰いたいからレビューを書いた」 という良い意味の動機が必ず存在しているものと信じております。 かく言う私も、一応「お勧め指数」なるものを付けて(大変烏滸がましい事ではあるのですが)はいるのですが、基本的には、 「面白い作品があるという事」 「どこか心に残る作品があるという事」 を伝えたく、作品を選んだ上で、こうしてレビューを書かせて頂いております。
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s-kuzumi at 2007-09-12 00:55
又、私のレビューのスタンスでもあるのですが、
「出来るだけ作品の良い所をすくい上げたい」 というものもあります。なんだかんだで厳しい事も書いたりするのですが、思わず食指が動いてしまうような、「ちょっとプレイしてみようかな?」と思って貰えるレビューを書きたいと思い、こうして活動を続けているので、その点を読み取って下さって本当に嬉しく思います。 勿論、作品の良いところが、作品の気になる所と表裏一体となっているようなケースもあり、そうした場合には多少烏滸がましくも、厳しい事を書かせて頂いております。それもみなひとへに「作品の良いところ、面白い所をすくい上げたい」というスタンスに拠るものです。
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s-kuzumi at 2007-09-12 00:55
航海士さんもお書きになっているように、ゲームを作られた作者様にとっては、作品は本当に我が子のような存在だと私も思っております。
ですので、多少厳しい事も書いたりするのですが、それはレビュワーがフリーで公開して下さっている素晴らしい作品達に対して、礼儀として、真っ正面から作品に向き合った証のようなものでして、多少ご無礼があろうかと思いますが、お赦し下されば幸いです。 まだまだ私自身、至らない点も多く、作品の魅力を十全に伝える事が出来ないのですが、今後とも長い目で見て頂いて、時にはご指導ご鞭撻を賜りたいと考えております。 今後とも、どうぞ宜しくお願い申し上げます。 本当に、コメント有り難う御座いました。 |
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