2007年 09月 11日
今日の副題 「良質の魔法学園型コメディ活劇」 ※吟醸 ジャンル:ファンタジックコメディ プレイ時間:二時間半~ その他:選択肢無し、一本道ノベル 道玄斎です、こんにちは。 人の目を盗んでこんな時間に更新をしています。 何と、この記事で記念すべき100本目の記事みたいです。最近じゃすっかり、サウンドノベルのレビューばかりなのですが、又折を見ながら、読書記録なんかも付けていきたいなぁ、と。 尤も、ちゃんとしたサイトが出来れば、もうちょっとそこらへんの融通が利くようになるんですけれどもね。 さて、今日扱う作品なのですが……、タイトルがややこしくて。もう『魔法学校』でいいっすか?w フォルダ名は『魔法学校』だし。 正式なタイトルは、 『大体の人が魔法についてロマンチックなイメージを抱いているとは思いますが、しかし実際はそんなことはまったくなく、陰謀と欲望と横暴と危亡が上手い具合に入り混じっているものであって、私もその弊害を受けた一人なのですが、それでも立派な力であることも確かなので、結局のところ、この一つの知られざる文化がよい方向に進んでくれと願うしかないわけなのです』 という、超大なタイトルでw なんだかんだ言ってますが、このタイトルを見た時に私は思いました。「こりゃ、すごい当たりか、凄いハズレかどっちかだな……」って。 幸い、前者の方だったので、ホッとしていますが。 ちょっと変わったタイトルを付ける作品は、私は今までプレイしてきた中では「当たり」が多いです。例えば、『挽歌の候、如何お過ごしでしょうか』などは、誤字の関係でお勧め指数を「四」にしていますが、私個人は傑作だと思っています。 さてさて、前置きが長くなりましたが、今回は以前も『Gun Sad』で取り上げた「Magicair」さん(ゲームを作る時のサークル名がMagicairとの事です)の『大体の人が魔法について(以下略)』です。 それでは、いつものように……。 良かった点 ストーリーはこちらからチェックしてみて下さい。 本作は、非常に良質のコメディだったのではないかと。 コメディな部分とシリアスな部分のバランスが良かったですね。基本は笑いながら楽しんで読めるコメディ作品なんですが、ちゃんとシリアスなストーリー展開もあって、結末も綺麗に纏まって魅力的な作品だと思いました。 「お下劣ネタ」がある、なんてサイトの方に書いてありますが、思ったほど酷くなくて多分どなたも安心して楽しめるのではないかと思います。結構、いろんなジャンルのネタをぶち込んでいますので、元ネタ探しも楽しいです(勿論、元ネタを知らなくても十分楽しめる)。 まぁ、『恋のミクル伝説』をカラオケで歌うのは、私くらいだと思っていたのですが……w これ以上やるとくどくなる、というギリギリの線でギャグを抑えているのが良かったです。面白さとギャグを両立させるのは、意外と難しいんですよね。 兎に角、テンポの良いストーリー展開が大きな魅力です。 プレイ後に後書きを読むと、コメディ作品の練習作として本作が作られた事が分かります。 練習どころか、かなり良作なのでは……? 兎角、コメディとかギャグというと、コテコテでくどいキャラクターが出てきたりするものですが、本作は主人公、黒人のキャラクターメイキングが良かった為か、そうした「くどさ」を感じる事はあまりありませんでした。 敬語・丁寧語で喋る好青年、そんな黒人が主人公で、もっぱらコメディ要員は、くるとカーラが担う事になります。やっぱり、コメディとは言え全員が全員ギャグに走ってしまってはしょうがないですから。 冷静に(時に鈍感に)くるとカーラのギャグを見つめる黒人の存在が、本作をコメディの成功作としているのではないでしょうか。とはいへ、黒人自身も妹絡みでトラウマがあって、思わぬ醜態を見せてくれたりと、笑わせてくれる存在でもあるのです。 ストーリーはコメディでありながらも、しっかりとしています。 要するに「召還士学校と白魔法学校の確執を取り除く」という事なのですが、このテーマが一貫したものであった為、読む側の焦点がブレる事なく物語を楽しむことが出来ます。 こうしたストーリーラインの上に、恋愛的な要素が入り込んだり、ギャグ的な要素が入り込んだりしているので危なげなくストーリーを追っていく事が出来ます。 細かい所ですが、こういうテーマの一貫性みたいなものがちゃんと存在していると、好印象です。 恋愛絡みの描写も良かったですね。 すぐにくるが、黒人に惹かれるというわけじゃなくて、ちゃんとした段階を経て、徐々に惹かれていく過程がしっかりと描かれていたので良かったです。 ただ、少し冗長な部分もあったように感じました。本当にさじ加減が難しいところだと思いますが、もう少しすっきりと全体の中で、恋愛描写が描かれると良かったのかもしれません。 脇役についても触れないといけません。 ちょろっと言及しましたが、カーラやツェッペリンといった脇役が良い味を出していました。 それぞれにちゃんとした個性が付与されていて、物語を盛り上げてくれます。 基本的に悪人が居ない、というのも本作の作風にあっていたんじゃないかなぁと。 気になった点は、先に挙げた通りで、イラスト絡みで少し。 意外と戦闘場面でのエフェクトなんてなかなか凝っているんですが、少しイラストが少ない気もしました。 これだけの分量がある作品なので、もうすこし多くの一枚絵を見てみたかったな、と。 立ち絵が無い分、少し寂しい気がしましたね。 あとは、微妙に胴体と頭部のバランスが悪い所があって……。くるの表情ウインドウに出てくる顔なんてかなり可愛いんですけれどもね。 割と長目な作品なのですが、テンポの良さとストーリーの確かさが相俟って、あっという間にプレイが終了していた、という感じです。 魔法学園で繰り広げられるコメディ活劇。単なるファンタジーでもなく、コメディでもない独特の世界が本作にはあります。 ライトに読めて楽しめる。そんな作品ですので、気負わずプレイしてみて下さい。
by s-kuzumi
| 2007-09-11 14:50
| サウンドノベル
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