2007年 09月 21日
今日の副題 「延々と続く闇夜を照らす曙光」 ※お勧め指数の付け方を検討しており、もう暫くしたら全面的に切り替える予定です。それまでは従来通りのお勧め指数を付けていきます。 お勧め指数:五 ジャンル:ホラー&サスペンス&恋愛(?) プレイ時間:全てのエンドを見ようとすると3時間くらいかかるかも その他:やや残酷でグロテスクな描写あり。 道玄斎です、こんばんわ。 今回は、私がこうしたノベルタイプのゲームに傾倒するきっかけとなった作品を紹介したいと思います。それだけインパクトの強い作品だったわけで、今でも私の中では不朽の名作となっているものです。 ということで、「Project Ekusia」さんの『柵の淵』です(作者様のHP消失の為、ベクターのダウンロード先にリンクを張っておきます)。 良かった点 こんな所ですね。ストーリーはベクターでの紹介文から引用しておきましょう。 夏休みを満喫していた主人公が、ふと知り合った女性に屋敷に誘われる。 いや、何から書けば良いのやら……。 兎にも角にも、一番私自身がインパクトを受けた作品ですね。 ノベルタイプのゲームでは、レビューは「NaGISA net」のNaGISAさんのレビュー、作品はこの『柵の淵』が最も私に影響を与えています。 少しづつノベルタイプのゲームをダウンロードしてプレイしていた頃の事です。 あの頃は割とホラー作品が主流だった気がします。私は恐いのは苦手ですが、結構好きなのでそうしたゲームをちょこちょこと遊んでいました。そんな時に出逢った作品です。 衝撃的でしたね。 他の名作と言われるようなホラーゲームにはあまりピンと来なかった私だったのですが、本作は夢中でプレイした記憶があります。 一つのエンドを見ると、その背景に隠されたエピソードを解き明かして、何としても物語の全貌を早く掴みたい、と強く思わせるシナリオの展開。 どのエンド(バッドエンドも含む)に辿り着いても、攻略の為の手引きが出てくる親切設計。 一応、登場人物では玲奈がメインとなっているようなのですが、どのキャラにも複数のエンドが存在し、どれか一人のシナリオだけが突出しているとか、そういう事のない作り込まれた作品世界。 本当に圧巻でした。 全体的なトーンは暗めです。 しかし、各キャラのトゥルーエンドでは、その暗さを払拭してくれる希望を見せてくれるようなそんなエンドになっており、全体で見ると暗さ自体はそんなに気になりません。 ただ、前半部から中盤に掛けては、『柵の淵』というタイトルが示唆するような、どろどろとした怨念や執念の物語が展開されていきます。しかしそれは物語の中に一気に読者を惹きつける装置にもなっていて、そのバランスが凄くいいですね。 実は、本作は、プレイ後にゲームの作者様に初めて感想を送らせて頂いた作品でもあるのです。勢いに任せてあれこれ今思えば恥ずかしい事を書いた記憶があるのですが、丁寧な返信を頂いて恐縮したものです。 その時に、作者様は「暗い、怨念の塊のような物語」と本作を語っていました。 なるほど、確かにそういう側面はありますし、そこが物語の重要な位置を占めているのも事実です。しかし、その「怨念」は後半(トゥルールート)で解放されるわけで、そこを含めずに本作を語る事は出来ないだろう、と。 個人的には、涼華のトゥルーエンドなんかは結構好きですね。 涼華の誤解・怨念・呪詛…… こうした負の感情が解放されるわけですが、全員が全員幸せになるわけではないのです。「もしかしたら、救われたのかも……」と想像の余地を残すようなエンドで結構印象に残っています。 ただ、全ての人間の「柵」が解き放たれるのは、玲奈のハッピーエンド(トゥルーエンド回収後に見ることが出来る)でしょう。 そうした意味でも、敢えてメインのルートを挙げるならば玲奈のルートという事になるかと思います。確か玲奈のルートは七種類のエンディングがあるんだっけかな?中には猟奇的なバッドエンドもあるわけですが、是非全てのエンドを見た上でハッピーエンドを回収してほしいと思います。 気になった点でも書きましたが、イラストは決して上手とは言えないのですが、妙に味があります。二、三周回る頃には「このイラストしかないだろう」と思うかもしれませんね。 却って、こうした雰囲気の作品に洗練されたイラストが付いていると、却って雰囲気に合わないような気がしますねぇ。だから実はこれはこれでいいのかな?というのが私の感想です。 ところで、昔は全てのエンドを見終わってある「キーワード」を書いた上で作者様にメールを送ると、追加シナリオのダウンロード先を教えて貰えたのです。 追加シナリオは、それぞれ芹華・涼華・玲奈のトゥルーエンド(或いはハッピーエンド)の後日談のシナリオとなっています。 芹華や鈴華のものは、独特の余韻を残して終わるかなり良いものだったのですが、玲奈のシナリオは結構本編での印象がぶっ壊れるかも?w とは言え、本編に加え、この追加シナリオまでプレイする価値はあると思います。 ただ、今は作者様はHPが消失して連絡の取りようがないんですよね。 実は、教えて頂いた追加シナリオダウンロード先を見てみたら、まだダウンロードが可能みたいです。 もし、本作をプレイして、追加シナリオが見たい、という方がいらしたら私の所にメールでも送って下さい。URLをお教えします(いいのかな??)。 メールアドレスは、 kazenitsurenaki アットマーク gmail.com です。 今日は、また一段と纏まりのないレビューになってしまったのですが、百聞は一見にしかずと申しますので、兎に角プレイしてみて貰いたいと思います。最高にハマれる事請け合いです。 皆様がどんな感想を持たれるか、私も興味津々です。 /* そういえば、システム面でちょっと不備が。既読スキップなど基本的なものは備わっているものの、文章の読み返しがやりづらいとか、謎のエンジンを使用している為か、妙に不安定だったりします。けれども昔プレイした時には、不安定な動作はしなかったので今の私の環境に問題があるような気も */
by s-kuzumi
| 2007-09-21 02:04
| サウンドノベル
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Comments(6)
これはまた、懐かしい作品ですね。私もこの作品は随分前にプレイしました。少々好みに合わなかったせいか、途中で挫折したのでレビューには入ってないんですけど。
これは、もう一度プレイしてみますかねえ? >却って、こうした雰囲気の作品に洗練されたイラストが付いて >いると、却って雰囲気に合わないような気がしますねぇ。 >だから実はこれはこれでいいのかな?というのが私の感想です。 「ハーバーランドでつかまえて」もそんな感じですよね。「ゆうとっぷ」もかな。「絵が上手いとは言い難いけど、読み進めるうちに何故か愛着が沸き、『この作品にはこの絵じゃないと駄目だ』と思えて来る作品って、結構ありますよね。不思議なものです。
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s-kuzumi at 2007-09-23 00:23
>>NaGISAさん
かなり前にリリースされた作品ですよね? 私自身も何年前にプレイしたのか覚えていないくらいで。ただ、非常に印象に残っているゲームだったのでいつかは取り上げよう、とずっと思っていました。 少し、クセが強い作品かもしれませんね。 意外と好き嫌いが分かれそうな。単純な「洋館閉じこめられホラー」とは違って、どろどろとした怨念みたいなものが語られるわけで……。 是非、NaGISAさんのご感想を伺ってみたく思います。 イラストに関しては、本当にその通りですよね。 「ハーバーランドでつかまえて」も「ゆうとっぷ」もプレイし終わると、「意外とこの絵いいじゃん!」と思ってしまうんですよねw やっぱり、おっしゃる通り「愛着」なのかもしれませんねぇ。 最近は洗練されたイラストが多いので、たまには「手作り感」溢れるイラストを持った作品もプレイしたい所です。
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速水(仮名)
at 2008-01-13 18:33
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懐かしく遊ばせていただきました。
ご紹介ありがとうございます、今になって(笑)某汎用人型決戦兵器の 作に触れてから「柵の淵」をプレイするとなるほどーと思うことも多かったりしておりますが^^; 作者様のキャラに対する愛情と音楽の選び方に すごく感動させるものが多かった気がします。思えばこのゲームをやってた頃はWIN98だったんですが、 いいものは時間を越えても愛されるんだなと思いました。
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s-kuzumi at 2008-01-14 04:53
>>速水さん
こちらこそ、コメント有り難う御座いました。 そういえば、本作は私も最初にプレイしたのはWindows98だったような気がしますねぇ。当時プレイした時には、システム的な不安定さは全然無かったのですが、2000、vistaでプレイすると(或いはXPでも)非常に不安定でシステムが落ちまくりましたw 作者様は確か、新作をコツコツとお作りになっていたと記憶しているのですが、HPが消失した今となっては新作お披露目は絶望的ですかね……。ファンの為にも是非華麗に復活して欲しいなぁ、と思っているのですが。
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ウイ
at 2020-04-01 08:22
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この作者さんの次の作品となるはずだったのはVonOrsea(フォン・オルゼア)というタイトルですね。序章を収録したデモ版だけ公開されて、結局今に至るまで完成版は公開されていないという。
インターネットアーカイブで当時のサイトの開発日記を見てみると、序章を公開した時点で、シナリオは全体の9割書き上げてある。と書かれており、どうしてそこまで作っておきながら完成版は公開されなかったのだろうと、非常にやるせない気持ちになります。 それで始めは、たとえばパソコンのHDがクラッシュしてデータが失われやる気をうしなった、とかなのかな?と思ったのですが、それだと、もう16年経つわけですから(デモ版の公開は2004年)、VonOrseaの作成は頓挫したにしても、この間に別の新作を一つくらいは作成、公開していてもよさそうなものです。 しかしそれさえもないのだから、おそらく、作者の身に何かあった・・・という可能性が高そうです。
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s-kuzumi at 2020-05-04 18:12
> ウイさん
こんばんは。 作者さんとは、少しやり取りをしていて、新作も意欲的だったような記憶があります。 ただ、こういう創作界隈では、私生活の忙しさとかで離れて行ってしまうということもあり、しかたない部分でもあるのかなぁ、と思ってます。多分、何かあったというわけではないんじゃないかなぁ……。 凄く素敵なイラストがついて、内容も絶対に面白いものだと思えたので、また……復活してくれたらいいなぁ、なんて思ってはいます。 |
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