2007年 09月 24日
今日の副題 「あちらとこちらをつなぐ糸」 お勧め指数:三 ジャンル:現代ファンタジックサスペンス+伝奇(?) プレイ時間:二時間くらい その他:選択肢無し。一本道。 道玄斎です、こんにちは。 昨夜、「夜中に更新予定」とか言っておきながら、結局こんな時間になってしまいました。 何だか、二時半を回った時点で、目を開けてるのが辛いくらいに眠くなってしまって……。申し訳ない……。 というわけで、今回は「Team EXTRA」さんの『常世の星空』です。 良かった点 ストーリーはサイトのURLを張っておきます。こちらからどうぞ。 さて、本作も昔プレイした作品ですね。 少し、伝奇的な要素もありますね。ストーリーの大枠は、妙に老成しているクールガイの紅夜が、公園でアルビノの命(みこと)という少女と出会い、交流していくというわけですが、そこに伝奇っぽい要素が入り込んだりしているわけです。 夜の間だけの話し相手という設定は、以前取り上げたことのある『雪花』に似ていますね。ただ、『雪花』の方では、折角の「夜の間だけの交流」があまり積極的に活かされなかった印象ですが、本作では昼間のパートが殆ど出てこないわけで、純粋に「夜の間の交流」が軸となり物語が進んでいきました。ちょっと面白い設定が、その意味でしっかりと活かされていたと思います。 又、高品質のイラストが付いており物語を盛り上げてくれます。 私は、個人的に死神さんのイラストが好きですねぇ……。「小学校高学年くらい」と描写される彼女ですが、とても可愛くて尚かつミステリアスな魅力が存分に出ていると思います。 今、死神さんのイラストについて触れたわけですが、キャラクターの個性がちゃんと存在しているのも高ポイントです。 主人公の紅夜のキャラクターは、私はちょっとなじめ無さを感じましたが、紅夜の姉である氷雨や、ヒロインの命、そして死神と登場人物は皆個性的です。 命のキャラは、所謂「ツンデレ」ですw この作品が発表されたのはもう、結構前ですよね?ですので、なかなか時代を先取りした、目の付け所が良いキャラクター設定だったのかな、と思います。 こうしたキャラクターと個性が、上手に絡み合いながらストーリーが進行していくので、キャラだけが浮いているとか、そういった事もなく、安心してプレイ出来るのも特徴です。 ただ、紅夜と命が初めて出逢った時の描写は、少し冗長だったような気も。 完璧超人高校生+無愛想な紅夜と、ツンデレ娘の命の掛け合いはバランスを取るのが難しいのかもしれません。 中盤~後半に掛けて紅い夜空を持つ「常世の世界」がフィーチャーされてくるわけですが、こうした設定はまぁ、言ってしまえば割とありふれた感じです。 ただ、やはりその「常世の世界」の住人たる死神のキャラが良い為に、意外と気にならないのも又事実。キャラクターメイキングって大事なんですよねぇ。 さて、ラストの辺りでは、紅夜が命を賭けて命(みこと)を助けようとするわけですが、どうにもここに唐突な印象を持ちました。 命に対して、無関心で通していた紅夜が、急に命に対して執着を見せ始めるというか。 その点に関して、死に神さんとのやり取りがあり一応の説明がつくものの、やはり唐突な印象は否めません。もう少し紅夜が他ならぬ「命」の為に頑張る為の理由が欲しいな、と思いました。 そうですねぇ、例えばですけれども、本当の命は医療設備万端の屋敷の中で、延々と眠り続けているわけですよね。それで、紅夜の祖父、そして姉が彼女の治療に当たっていたのですから、元々姿形は知らなくとも、紅夜はその少女の存在自体は知っていて、興味を持っていた、とかそういう伏線があってもよかったのかな、と。 あとクライマックスのシーンで、死神さんは実は「紅夜の死神」だった事が明かされるのですが、だからといって紅夜は死なないわけで、ちょっと「?」が出てきます。 魅力的なキャラクターでしたので、もう少しストーリーの中の必然性を明確にした上でシナリオが進んでいくと、ラストの難解さは軽減されたのではないでしょうか。 ま、こういう「想像の余地のあるのりしろ」を残しておく、という手法なのかもしれませんね。 あっ、ちなみにラストはハッピーエンドです。鬱エンドを警戒していらっしゃる方も安心してプレイ出来ると思いますよ? 一本道で、わりとさっくりプレイ出来る作品です。 少し幻想的な雰囲気を楽しみたい方は、是非プレイして欲しいと思います。 今まで、「日常と位相の異なる空間」が出てくるような作品を何本か取り上げてきましたが、本作は、そうした作品群の中でもプレイのしやすさは高いと思います。 美麗なイラストと共にちょっとミステリアスな雰囲気を楽しむ事が出来ますので、気負わずプレイしてみて下さい。
by s-kuzumi
| 2007-09-24 14:32
| サウンドノベル
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