2007年 09月 28日
今日の副題 「いつか一緒に夜空を眺めよう」 ※吟醸 ジャンル:恋愛感動系(?) プレイ時間:一時間半程度 その他:後半部にいくつか選択肢があり、トゥルールートとバッドエンドに分岐する。 道玄斎です、こんばんは。 少し、忙しくなってきてまたしても更新頻度が落ちそうなのですが、今日も今日とて頑張ってレビューを書いてみます。 今日は「Presto」さん(正確にはPrestoさんのサークル内サークル「Anrakuis」さん)の『ぼたんゆき』です。 本当に久々にプレイしましたが、トゥルールートのラストで不覚にも少し、涙が……。 本作は、それ以降の作品に恐らく多大な影響を与えている、或る意味でパラダイムシフトを担っていたような作品だと個人的には思います。 良かった点 ストーリーは、サイトへのリンクをはっておきます。こちらからどうぞ。 さて、フリーのノベル作品に、この『ぼたんゆき』が与えた影響は、かなり大きいのではないかと私は思っています。特に恋愛作品には。 今まで、私のレビューを御覧になられた方は、「『ぼたんゆき』テイスト」という文言を、何度か目にしているのではないでしょうか。 必ずしも、本作をお手本にした、とかそういう訳では勿論ないとは思うのですが、それでも私個人としては本作に近い設定の作品を「ぼたんゆき的」という見方をしてしまっている事は確かです。 本作のキモの一つである「双子の入れ替え」というものは、勿論昔からあるテーマの一つです。 タイプは違いますが、例えば『今とりかへばや』(※今私達が図書館などで読むことの出来る『とりかへばや』は、散逸した『とりかへばや』のリメイクです。この二つを区別する為に『今とりかへばや』と記述します)なんかも、男女の双子が入れ替わる話ですし、古来からある或る意味で、定型的な話のパターンです。 別にこれは双子でなくても、良く似た姉妹(兄妹)を入れ替える、なんて事は古典文学、特に鎌倉時代以降の物語作品に良く見られるものです。 私が知らないだけで、『ぼたんゆき』以前にこうしたパターンのノベル作品があるのかもしれませんしね。 兎も角、こうした昔からある話のパターンを、現代の恋愛に、そしてサウンドノベルの作品としてリリースする、という現象自体が、私にとっては非常に興味深いのであります。 「良くある話」というのは、実はそれだけ人気が高く、人々に親しまれてきたという事でもありますしね。 本作も2007年の今から見ると、ベタなオチではあるのですが、そこには古来より親しまれてきた話のパターンという土壌があるんですよね。そういう時代の重みなんかを私は感じてしまいますが、如何でしょうか? さて、つまらない戯言はここまでにして、作品の中身を見ていきましょう。 まず、ヒロインの雪乃ですが、「こんな娘がいたらいいなぁ」と思うタイプの娘ですね。 少し頼りなさげで、清楚。一つの女性の理想型かもしれません。 個人的な意見で恐縮ですが、私はこの手のタイプの女性が大好きです。純情可憐一途。それでいながら芯はしっかりとしたものを持っている。ほんっと、こういう娘さんはいないもんでしょうかねぇ?w 主人公晃の友人達もなかなか魅力的です。晃を見守ってくれる優しさを持った友人なわけで、こういうストーリーには、やはり居て欲しいキャラクターだと感じました。ただ、曜一の方も男の友人としてもうちょっと見せ場があっても良かったかな? ストーリー自体は、今まで語ってきたように今改めてプレイしてみるとベタな印象です。 仕掛けもすぐに分かってしまいますしね。ラストであっと驚くようなどんでん返しがあるわけでもない。或る意味予定調和的に話が進んでいきます。 こういうベタな作品だからこそ、良いところと気になる所がはっきりと分かるわけで、作品の基礎体力的なものが問われる事になるのではないでしょうか。 ですので、ベタなのが悪いっていう訳じゃないんですよね。問題はやはりその素材の料理の仕方です。 で、私の感想ですが、ラストの余韻と感動はなかなかのものだったと思います。 思わず、涙が出てしまいましたから。 ああいう、手紙を小道具としてつかうようなものに、どうやら私は弱いみたいですw 言葉でしか伝わらないものがあるのと同時に、手紙だからこそ伝わるものもあるんですよね。 ただ、敢えて難点を挙げると、雪乃と晃の交流がもう少し描かれていたら良かったかな、と。雪乃の自殺、という行動がやや唐突な感じがしたんです。 勿論、姉の自殺をなぞる形での雪乃の行動なわけですが、少し雪乃が自殺する必然性が弱い気がしましたね。 いや、必然性自体はあるんです。 ただ、それをもう少し描写として表に出した方が、より納得のいく行動だったと思うわけです。 晃と雪乃の二人の交流。これをもう少し描いていくことで、こうした行動に説得力が出てくるのではないかと。晃自身が、三年前の桜羽さんじゃなくて、今目の前に居る桜羽雪乃を好きになる為のエピソードがあったら良かったな、と思いました。 後半、少し辛口になってしまったのですが、私の中で「居なくなってしまった姉乃至妹の代わりを務める」系の話の元祖となっているのが本作『ぼたんゆき』です。 勿論、私自身の偏向があるわけですが一種の風格というか、オリジナルの凄みというか、そういうものを感じてしまいますね。 兎にも角にも、まだ未プレイの方がいらしたら是非プレイして貰いたい作品です。 押し付けるつもりは毛頭ないのですが、必読文献のようなそういう感じですねぇ。 トゥルールートのラストの余韻。あなたの涙腺は耐えられますか?w ※9/28 午前零時半頃、少し手直し。大事な言葉を忘れていました。
by s-kuzumi
| 2007-09-28 00:13
| サウンドノベル
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Comments(7)
本日に訪問させていただきました。
実はこちらが夢幻ゲームショップブログを移動しました。よろしければ是非遊びに来て下さい。 o(^0^)o http://blogs.yahoo.co.jp/mugen_rmt …ちなみにこちらは色々なネットゲーム通貨取引のサービスを運営しています。 http://www.rmt-trade.com これからどうぞよろしくお願いします(*′ `*)
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SiA
at 2007-09-29 00:48
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こちらに書き込むのはやや久しぶりですね。NaGISAさんのサイトのほうでもお世話になっております。
テーブルを乱用したサイト製作は順調でしょうか(笑) 突然ですが、レビューを見ていると道玄斎さんは非常に古典文学に通じていらっしゃるようですが、これは単なるご趣味ですか? 私は学生・・・もとい高校生ですので、古典は読んでいますが、(最近は漫画版源氏物語でも読んでおこうかなぁなどと。)知っている作品も出てきたりして面白いです。 NaGISAさんが得意なのはピアノ、道玄斎さんは古典他、私は・・・英悟?何かあまりレビュー作成には役立ちそうにないですね(焦) 最近こちらで紹介された「常世の星空」を読みました。 まぁ絵はきれいですが、ストーリーに関しては普通、というのが正直なところ。何と言いますか、良作というものは読んでいく中、引き込んで飽きさせない部分があるのですが・・・。主人公への感情移入が難しかった点もその要因でしょうか。また道玄斎さんもご指摘の通り、ラストで死神と明かされるシーンで主人公が死ななかったのは・・・?です。あと創造させる、という点ではアリかもしれませんが、ラストはもう命が復活してからのもう1エピソード欲しかったです。
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s-kuzumi at 2007-09-29 01:23
>>SiAさん
こんばんは。こちらこそいつもお世話になっております。 テーブルレイアウト全開のサイトは、まぁぼちぼちと言ったところですw 早めに公開出来れば、とは思うんですけれどもね。 古典文学の件ですが、大学・大学院でそういうのを専攻していただけですよw まぁ、趣味でもあるんでしょうねぇ。基本的に古典を読んだりするのは大好きですしね。 それよりもSiAさんが高校生だったとは驚きです。 受験で国語(古典)は必ず入ってきますから、『あさきゆめみし』なんかを読むといいんじゃないでしょうかね?『源氏物語』は知っていて損はないですから。英語がお得意なのは大きな強みだと思いますよ?私はせいぜい人並みくらいしか英語は出来ないので、英語にお強い方は羨ましいです。 『常世の星空』はバランスが取れた作品だとは思うんです。ただ、もう少しインパクトがあったらな、と。面白い設定があるので、そこらへんをもう少し積極的に活かしつつ、消化不良感が無いエンドだったらもっと良作になると思うので、やはり少し「惜しい」印象でした。 やっぱりエピローグは必要だと思います?私は個人的にはああいう終わり方結構好きなんですよねw
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SiA
at 2007-09-29 02:10
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いつも思いますが、道玄斎さんって基本的に活動時間が遅いですね(笑)
>早めに公開出来れば、とは そうですね~。量が増えて結構見づらくなってきてますし。頑張ってくださいね。 >高校生だったとは驚きです。 そうですか??どのあたりが・・・? >『あさきゆめみし』 調べてみましたが、15年くらい前の少女漫画らしいですね。中々普通の本屋にはないかもしれませんが、古本屋などで探してみたいと思います。 私の場合は英悟に限らず語学だとかコミュニケーション・会話が好きなのだと思います。大学ではまず中・仏語あたりをやりたいですねぇ。。古典も本格的にはやらないでしょうが、趣味程度に。 ただ、本当に道玄斎さんの雑学、といいますか、には恐れ入ります。 確かに世界観の設定自体は面白かったですね。確かに同じような事を思いました。 私も余情のある幽玄?的な終わり方は嫌いではないですが、そういう終わり方をするには、設定の説明や心情描写不足という点でラストの展開を急ぎすぎた気もします。もう少しラストの展開を色々な方面から厚くしていればもっと満足できたかな、と。 まぁ全体を見れば良作の部類ですが。
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s-kuzumi at 2007-09-29 03:37
>>SiAさん
ええ、夜型人間なもんで、こんな時間に返信をしたりするわけですw で、私が高校生の頃って、もっと子供だった気がするんですよねぇ。 こっそり人の目を盗んで煙草を買って、かといって外で吸う勇気もなくてやっぱりこっそり自室で吸った後で吸い殻の始末をどうしようかと悩む、みたいなw それに比べてSiAさんはもっと良い意味で老成しているようにお見受け致します。 『あさきゆめみし』は普通に増版を重ねている筈ですので、簡単に手に入りますよ。最近じゃ確か文庫版もあった筈。是非一度読んでみて下さい。 語学だなんだってのは、本当に役に立つスキルですよねぇ。 語学も含めて、まだまだお若いのですから、沢山勉強して色々な知識を身につけて下さいね。 と、年よりのお説教みたいになってしまいましたw 私の雑学は、私が通っていた大学のカラーみたいなもんかもしれませんね。好き放題やらせてくれる大学で、あの四年間に役に立つもの、立たないものを含めて、色々学んだなぁと今にして思います。ヘンテコな大学だったんですけれどもねw
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SiA
at 2007-09-29 19:39
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コメントは最新の記事に書き込んだほうがいいんですかねぇ?
ありがとうございますwまー煙草はさすがにやってません(笑)何と言うか、ネット上では相手と対面してコミュニケーションするわけではない分、無意識に文章には気を遣っているのかもしれませんね。 >普通に増版を重ねている筈 では明日、出かけるのでついでに本屋で見てみようと思います。。できれば文庫版がいいかな。 そうですね。語学に限らずパソコンだったりある分野の色々な知識がある、というのは非常に役立つものかと思います。 大学では今よりは時間ができると思うので新書を乱読してみたり、語学をやってみたり、友達と遊んだり、色々したい事がありますね~。まぁまずは志望校に行けるように、と。 サイトの解説自体は先になりそうなんですが、最近、少しずつでもレビューを書き溜めておこうかなぁ、と思っているのですが、ストーリー自体は覚えているものの、レビューとなると、よい点や気になった点も書かないといけませんから、前に読んだ作品は結構忘れてますね(焦) 道玄斎さんは以前に読んだ作品のレビューをする時には読み返してますか?
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s-kuzumi at 2007-09-29 19:56
>>SiAさん
いや、もう好きな所に書き込んでくれれば。 ただ、最新の記事とか或いは「箸休め」とかそういうのに書いてくれると、すぐに発見出来るかと。 以前読んだ作品のレビューの件ですが、私は読み返しています。 場合によっては、ダウンロードし直してプレイしたりしています。 私の場合、プレイした直後にレビューを書く、という形で更新しているので、どうしても「読み返し」というか「プレイのし直し」は必要になってきます。 人間の記憶は意外とアテにならないもので、覚えていた筈のものを忘れていたり、或いは見落としていたりするんですよ。 うろ覚えのままレビューを書くのは、作品に失礼だろう、という事で必ず読み返して(プレイし直して)レビューを書いています。 |
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