2007年 09月 29日
今日の副題 「やさしい手触りのファンタジー」 ジャンル:現代ファンタジック学園モノ(?) プレイ時間:一時間~一時間半 その他:一本道。選択肢無し。 道玄斎です、こんばんは。 今日も今日とて、新作を探し回ったり、自分が過去にプレイした作品を収めているフォルダを漁ったりして、レビューすべき作品を探していました。 その中で、ちょっとタイトルで目に留まるものがフォルダの中に入っていたんですよね。 というわけで、今回は「AMETHYST」さん(作者様のHP消失の為、ベクターのリンクを張っておきます)の『白銀妖精』です。 良かった点 ストーリーは、やはりベクターの説明文から引用しておきましょう。 秋の学園祭に向かって、それぞれの想いをつなげてゆく若者達… 本作は、なんと1997年にリリースされたものです。 もう十年も前ですね。1997年に販売されて、その後フリーとして公開される事になったわけですが、テキストやシナリオ自体が変更しているわけではなく、画像の有無や解像度が違うだけのようです。 やっぱり、この十年前の作品、という事を少し念頭に置いてレビューした方がいいでしょうね。 多分、十年前なら、かなりハイクオリティな作品だったのではないでしょうか? ボリュームもそこそこあって、ストーリーも荒削りながら作者の伝えたい事が盛り込まれていて、ノベルゲームの揺籃期のものとしてはかなりのものだったのではないかと。 良い意味での手作り感みたいなものもあって、私は結構こういうテイストは好きですね。 作品自体は、ファンタジックな学園モノ、という事になるんでしょうかね。 学校の学芸会(文化祭?)で、『白銀妖精』なるオリジナルの演劇をやるわけですが、この白銀妖精はタイトルでもあるわけで、重要なキーワードです。 登場人物もバラエティに富んでいます。 三木さんと相沢くんの幼なじみコンビ、内気な木之元さん、そして「白銀妖精」こと杜若さんと、無感情少年の南雲君。 どのキャラクターも物語の中にしっかり絡んでくるので、そういう所は評価すべき点ですね。 本作の魅力は、何と言っても「白銀妖精」の設定でしょう。 この白銀妖精という種族(?)の存在や、その在り方みたいなものが、物語の重要なポイントです。 こうした白銀妖精という存在と、無感情少年の南雲君の交流が後半部のキモとなってきます。 ただ、四章までかな、そこまでは三人称の語り口なんですよ。んで、五章以降は南雲君の一人称の語り口になるという。 だから、最初は主人公というか視点人物が分からなくて、少し戸惑いを覚えました。途中で人称が変わるのは、やはり避けた方が良いんじゃないかな、と。 そういう意味でテキストに難が少しあるわけです。 まぁ、南雲君は無感情少年という設定なわけで(後半から、南雲君は感情を持つように。何故か、は実際プレイしてみて下さい)、そういう人の一人称の語りだと味気なくなっちゃうから最初は三人称にしたんでしょうね。 ストーリー自体は、荒削りですが良いものを持っていると思いますね。 やはり、先も述べたように「白銀妖精」という存在が魅力的です。その設定が物語の中でそれなりに活かされて描写されているところもいいですねぇ。 前半は、割と普通の学園モノ、という感じなのですが後半から一気に「白銀妖精」の設定などが明かになり、テンポや重みを増してきます。ただ、ちょっと前半部と後半部が乖離しているような印象がありました。 ラストは、ちょっとファンタジックで、なかなか感動的なものです。 こういう日常の中に、おとぎ話的なやさしいファンタジックな要素が入ってくる作品は意外と珍しいんですよね。実は私は伝奇作品よりも、こういう現代ファンタジーの方が好きなんですよね。 そういう作品が増えてくれると嬉しいのですがw 兎も角、十年前にこれだけの作品があった、という事で今回レビューを書かせて頂きました。 作者様のHPは消失しているのですが、是非、又新作を発表して貰いたいですね。
by s-kuzumi
| 2007-09-29 02:06
| サウンドノベル
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