2007年 09月 29日
今日の副題 「上質な少女漫画の手触り」 ※吟醸 ジャンル:巫女さんとお話ししたり、恋愛したり(?) プレイ時間:一時間半~二時間くらい その他:Ver.1.2にてプレイ。おまけシナリオ『八月の雪』もプレイ可。 道玄斎です、こんばんは。 今日も昔プレイした作品を掘り起こしてみました。以前『ほしのの。』という作品をレビューで書いたのですが、それを制作していらっしゃる「むきりょくかん。」さんの『ごがつのそら。』です。 まぁ、有名作品ですよね。名作という評判を裏切らないクオリティの高い作品だったと思います。 では、いつものように……。 良かった点 こんな所です。 ストーリーは、今回は私が纏めてみましょう。 新人社会人の溝口は、ある日近所の神社から聞こえてくるピアノの音に惹かれ、神社に足を向ける。神社でピアノを弾いていたのは、巫女さんの恰好をした女子高生みのりだった。 相変わらず、ヘタな説明ですがこういう感じです。 いや、やっぱり名作だと思いますよ。 特に何かどでかい出来事が起こるわけでもない(誰かが死亡するとか)、或る意味で淡々とした日々が描写されていくのですが、そのほのぼのとした優しい空気が上手に表現されていて、良かったです。 全体を通してみれば、ほんのり心が温まるみたいな、そういう感動的なストーリーでした。 音楽も場面場面に合っているものをチョイスしている印象です。 兎に角、読みやすいテキストと独特の優しい空気感。雰囲気を非常に大切にした作品だな、というのが第一印象です。 本作で、私が一番気に入った場面は、ラストのみのりのモノローグの場面です。 「きっと、あの人のことで涙を流すのは、これが最初で最後になると思う」 「この格子戸を開けると、私の恋は終了する」 このセリフが、もうツボにはまりまくりでしたねぇ。私にとっては凄い衝撃的なセリフでした。頭を金槌で殴られるような……。 いや、こういうセリフが大好きなんですよ。敢えて言うなら、本作は上質の少女漫画に近い手触りがあるような気がします。特にセリフ回しみたいな、そういう所で。そう、谷川史子(知ってる?私は小学生の頃から谷川氏の漫画の大ファンです。最近、やっと一般への知名度が高まってきたようで何より)の初期の作品のような……。 谷川史子の初期の傑作『早春に降る雪』のラスト付近のセリフ。 「この気持ちを恋と呼んではいけないのなら、私は恋なんてしらなくていい」 に並ぶくらいの、名セリフなんじゃないでしょうか?ちょっと書庫を漁ったのですが、漫画本が見つからず、記憶の中からセリフを書いているので、もしかしたら細部は違うかもしれません。 まぁ、ともかくこのセリフが、もの凄い印象的で、ガツンとやられてしまいました。 ラストへ向かっていく最終段階でのセリフ回し。凄く重要だと思いましたね。こういうノベルタイプのゲームは、ストーリーやキャラクターの魅力もさることながら、魅力的なセリフを見せる(魅せる)というのも非常に重要なのではないかと。作品のテイストに合うような形で、ここぞという時に繰り出す良質のセリフ。 意外と、セリフに拘った作品は少ないと思うので、余計に印象的でした。 先にも書きましたが、特に事件があるわけでもない淡々とした生活の中にある出会い、が物語のポイントです。 舞台がですね、私事で恐縮なのですが我が家から電車で30分くらいの所なんですよw 本当に極々淡々とした日常が描かれている為か、「もしかしたら私も近所の神社に行ったら巫女さんと……」なんて考えてしまうわけでw 誰にでもありそうな、いや、あり得るようなそういうお話しの雰囲気なので、親しみやすさみたいなものがあるんじゃないかな、と。 さて、気になった点です。 ヒロインみのりが、手放しで「魅力的」とは言えないんですよねw ちょっと、偏屈な所があるというか、妙に他人と距離を取りたがる奴というか、淡々としすぎているというか……。 そこが彼女の個性でもあるのですが、もう少しそういう性格である必然性みたいなものが描かれても良かったのかもしれませんねぇ。 あとは後半部に急に恋愛モノにシフトしてしまうような印象があります。 いや、最初っから男が巫女さんと出逢えば、もう恋愛しかないわけですがw 溝口がみのりを好きになる過程、或いはみのりがラストで恋を自覚する過程みたいなものが、上手く作品の中に織り込まれていると良かったと思いました。そういう意味で、少し唐突に恋愛譚に突入してしまうような印象があるかと思います。 あれこれと書いてきましたが、クオリティの高い作品です。 ま、私がこんな事を書いても「いまさら」感がある程に、有名な作品ではあるのですが、是非プレイしてもらいたい作品ですね。 そうそう、『ほしのの。』と合わせてプレイしてみて下さいね。本作が気に入った方ならば『ほしのの。』の方も楽しめるはずです。『ほしのの。』にはみのりも出てきますしね。
by s-kuzumi
| 2007-09-29 23:00
| サウンドノベル
|
Comments(2)
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SiA
at 2007-09-30 01:01
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ではご要望通り(笑)最新記事に書いてみました、一応最新のコメントは表示されるようになってますが、あまり下になるとwですね。
「ごがつのそら。」「ほしのの。」ともにプレイ済なんですが、どちらもかなりの秀作ですね。ヒロインとしてはほしのの。の方が個人的には好き。ただ、ごがつのそら。は印象的な台詞回しもありましたし、どちらも魅力的ですね。 というかごがつのそら。って未レビューでしたね。そういえば(笑) 恋愛系ではないのですが、NaGISAさんの方でレビューされている「奇跡の外科医に」(1、2があります)はお勧めですよ。システム面での評価はマイナス度が凄いですが(笑)内容自体はかなりいいものかと。 やはりプレイし直しは必要ですね。 仰るとおりうろ覚えの部分があって(焦)今後新たに読む作品についてはその都度、レビューを下書きする事にして、過去に読んだものはもう1度読み返してからにしたいと思います。 今度、NaGISAさんにもお聞きしようと思っているのですが、こういうことを書いたほうがいいとか、こういうところに着目・意識してプレイするいい、とというようなレビューを書く上でのアドバイスを頂けないでしょうか??
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s-kuzumi at 2007-09-30 01:15
>>SiAさん
「むきりょくかん。」さんの作品は、レベルが高くて安心してプレイ出来ますね。『ほしのの。』もNScripter版が出ないかしら? 「奇蹟の外科医に」はプレイしたけれども、あまり印象に残らなかった記憶が……。システム面でのマイナスがあるって事は、途中で放り出した可能性も高いですw いつも言っている事なのですが、(よほど古い作品でない限り)システムは実は作品の中身とも関わっているような気がしています。システムがしっかりしている、という事はそれだけ細部に気を遣って作られた作品というわけで、良作が多い気がしますね。 レビューのポイントですか? 私よりやはりNaGISAさんの方が……。 私見ですが、批評的な目で作品をプレイするよりも、自分自身がその作品を楽しむ事なんじゃないでしょうか。 ゲームなんですから、楽しみ方やツボみたいなものも、千差万別だと思うのです。だから、「レビューを書く」というよりも、「自分が面白いと思ったものを紹介する」みたいな、そのくらいのスタンスで書いた方が良いのではないかと。それに多分、今後作品をプレイしたり、或いはレビューを書く中で、自分なりの着目点みたいなものもきっと出てくると思いますよ? |
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