2007年 10月 14日
今日の副題 「完成された短編」 ※吟醸 ジャンル:夜の列車での不思議な出会い(?) プレイ時間:15分~20分程度 その他:選択肢無し、一本道。英語版アリ。 道玄斎です、こんにちは。 休日ってことで、またしても一本ぶちあげておきますか。 最近、昔プレイしたゲームを入れておくフォルダを漁って、面白そうなゲームや、印象に残っているゲームを掘り起こしたりしています。 で、今回は「LUNA BLESS」さんの『それじゃあ、またね。』です。 かなりの短めの作品ですが、それだけに作者様の力量が伺える良い作品だったと思います。 いや、今更ですかね?かなりの有名作品ですからね。 作者様のページを見ると、国内だけでなく海外でも高評価だったという凄い作品です。でなきゃ英語版なんて作られないわな……。 それでは、いつものように。 良かった点 こんな所ですね。 どの作品にも言える事なんですが、「良い所」を探す事はそんなに苦労しません。 それはそのハズで、どの作品でも作者様が頑張って作っているわけですから、良いな、と思える所は割と簡単に探したり、気付く事が出来ます。 一方で、「気になった点」っていうのは、探すのが難しい。いつもなんだかんだで難癖付けているような気がしないでもないのですがw それでも、あら探しにならないように気を付けて書いている積もりです。結構個人的な趣味みたいなものが反映されやすい所ではあるんですけれども、「こうしたらもっと良くなるんじゃないか?」みたいな示唆が出来たらベストですねぇ。 本作は、短編っていってもかなり短い部類に入るので、なかなか「気になった点」を挙げるのが難しかったです。 ま、それはさておきストーリーです。 ベクターの紹介文から、引用しておきましょう。 この路線に古くから伝わるお話なんですが、 こんな感じです。 いい作品ですね。 ほんの少しだけ、ホラー的な要素がありつつも、じんわりとくる優しいストーリー。 プレイ時間も短くサクッと遊べます。 作品の雰囲気がまた素敵で。 モノクロの画像と的確な音楽のチョイスが良いですね。舞台も「夜の列車の中」というちょっとひねりがあって面白いです。 短い作品ですので、場面場面を挙げての解説めいた事は今回はやめておきましょう。 今回は、英語版が出ている、との事でしたので、そちらの方も落としてプレイしてみました。 ただ、.torrentファイルだったので、BitCometをインストールした上でダウンロードしたわけで、ちょっと手間が掛かったのですが……。 本作のレビューは多数あれども、英語版までプレイした上でのレビューは少なかろう、というわけで、やってみたのですが英語版も面白い。 やっぱり言語の違いっていうのがあって、自縛霊は「自殺者の霊」になってました。あとおなじみの単語ツインテールも「twin pigtails」と、ブタのしっぽになってたり、日本語版をプレイしたあとに英語版をやると面白さが増しますねぇ。 後半くらいから、女の子はどうやら青年の「守護霊」なんだな、と気付くわけですが、英語版では「ガーディアン」と表記されていました。英語圏で守護霊なる概念があるのかどうかは兎も角として、言語による差異っていうのは非常に面白く感じます。 けど、こういう差異って非常に重要で、日本語だったら「それじゃあまたね」と一気に書く事も出来るし、「それじゃあ、またね」と書くことも出来る。或いは「それじゃあ……またね」なんて三点リーダを入れたりも可能。 けれども、英語版のタイトルは「Until We meet again」となっていて、こいつを「Until,We meet again」にするとオカシクなっちゃうし、「Until...We meet again」なんてのもやっぱり違う。三点リーダを使う場合だったら恐らく「Until We meet again…」と文末に入れるのが普通だと思うのです。 こういうちょっとした表記の違いで、雰囲気ががらりと変わってしまうところが、日本語の難しい所なんでしょうね。いや、言語学者でもない私がそんな事をいっても全く説得力がないのですが……。 本作を一言で纏めると「完成された短編作品」といった所でしょうか。 最後の〆となる「それじゃあ、またね」というセリフが効いてますね。短編の〆として相応しい終わり方だったんじゃないかと。 この〆方を見た時に、私は『ガラスの仮面』を思い出しました。 あれは何だったかな?何かのオーディションでマヤがレストランで悪漢の悪事の計画を盗み聞いて、かくれんぼをしながら逃げる、というそういうショートドラマを演じた時です。 最後の最後にそのドラマの〆として、マヤは客席に向かって「もう~いいかい?ま~だだよ」とか言うわけですよ。 それを聞いたプロデューサーが「こいつ、芝居ってもんを知ってやがる……」と驚くのですが、本作の〆「それじゃあ、またね」もこのマヤのラストのセリフに非常に近いものを感じます。 そんな良質の短い一本の芝居のような作品。それが本作の持つ感触ですね。 敢えて、気になった点を述べるならば、女性が「悪霊」だとすぐに分かってしまうあたりでしょうかね。 自分と女性しかいない夜の列車の中。そんな女性が「この路線では悪霊が出るんですよ?」なんて話しかけてきて、じゃあ悪霊って誰よ?ってことになったら目の前の女性しかいないわけでw けれども、実際にプレイしてみるとその辺りもあまり気にならないとは思うんですけれどもね。 あとは、少しインパクトが欠けていたのかもな、と感じるところがあります。 作品の雰囲気からいえば、このくらいが妥当だろうと思うのですが、何かもう一歩、読者にインパクトを与えて欲しかったですね。 短編作品は、やっぱりその短い中でガツンと手応えのあるインパクトをどこかに持っていた方が、私は好きなんですよね。その意味で本作は少し淡々としているような気がしないでもないかな、と。 もし、まだプレイしていない方がいらしたら是非プレイする事をお勧めします。 非常に完成度の高い作品ですし、本当に短い作品ですからさっくりプレイ可能。 日本語版を堪能して、まだ余力があれば是非是非英語版の方もプレイしてみて下さい。 日本語版との差異を探すのも又楽しいですよ?
by s-kuzumi
| 2007-10-14 13:18
| サウンドノベル
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