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久住女中本舗

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2007年 10月 15日

フリーサウンドノベルレビュー 『私の黒猫』

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今日の副題 「君が主で……」


ジャンル:動物交流型感動系(?)
プレイ時間:20分~30分くらい(一ルート)
その他:選択肢によって、三つのルートに分岐。



道玄斎です、こんばんは。
今日は、お勧めして頂いたゲームのレビューを書いてみようと思います。
動物との交流モノは、私は個人的に好きなテーマだったりします。スタイルこそ違いますが、以前レビューさせて頂いた『ON ~恩返し~』という作品も動物転生モノでしたね。
動物を飼っていたりすると分かるんですが、動物っていうのは感情があって自我があってと、本当に私たちと変わらないくらいに、気持ちを持っているんですよね。
そういう意味で、今回の作品を紹介して頂いた時には、「こりゃ、楽しみだな……」とニヤニヤしてしまいました。
さて、今回は「QUADRIENNALE」さんの『私の黒猫』です。
良かった点

・言葉を話す黒猫との交流というテーマが良かった。

・短い作品ながらも三つ分岐があり、楽しめる。


気になった点

・少し、後半部のインパクトが薄かったか。

・ドン吉(黒猫)をもう少しフィーチャーして欲しかった。

ストーリーは、サイトの方から引用しておきましょう。
人間の言葉を話す、不思議な黒猫がいた。
黒猫はある日、1人の少女に出会った。

「あたしは藤田亜希。今日から君のご主人様だよ!」

『ドン吉』と名付けられた黒猫は、彼女の元で過ごすようになった。
気が強く、けれどその反面、傷つきやすい心を持つご主人様。
黒猫はそんなご主人様が心配でならない。
黒猫は、いつでもご主人様の事を考えていた。
黒猫は、ずっとご主人様の傍にいようと思っていた。

けれど…。

こんな感じです。
非常に面白い設定を持っていて、読者を最初から引き込んでくれます。

一応、三つのルートがあるわけですが、冒頭部に示されるドン吉のものと思しいモノローグから考えると、ルート3「私の黒猫」エンドが、メインのルートという事になりましょうか。
全てのルートをクリアすると見ることが出来るあとがきでも、そのような事が書いてあったかと思います。

NScripterの操作を覚える為に作った、との事ですが、それにしてはしっかりとしたストーリーとエンドが用意されていて、今後が楽しみな作者様ですね。
今調べてみたら、あの「Twin Love」の作者様でした……。「Twin Love」は楽しく遊んだ記憶があります。直球でシンプルだけれども、妙に面白いゲーム。そんな印象でした。

さて、本作の要はやっぱり、言葉を話す猫、ドン吉でしょう。
飼い主の亜希がご主人様で、それに使える執事みたいなポジションですね。
丁寧な言葉遣いでしかも主人の事を一番に考えるという、本当に執事というか従者みたいな奴です。

またこのドン吉が魅力的なキャラでして、特に自己主張するわけでもない(言葉を話す時点で自己主張してるのかもしれないけれども……)のですが、存在感と親しみやすさを同時に感じさせてくれる良いキャラクターだったと思います。
こいつが表に立つ、というよりも主人である亜希が表に出ることで、却って「裏から支える存在」としてのドン吉が目立っていた感じですね。
ドン吉の登場が描かれる前半部は、かなりワクワクしますしその後の展開を期待させてくれます。

と、こうして非常に美味しいキャラクター、ドン吉がいるわけですが、後半部になるとどうにも存在感が薄くなってしまいます。
ああいう形でのラストですと、どうしようもないのかもしれないのですが、もう少し前半部や中盤で、ドン吉と亜希との交流を描いて、二人(一人と一匹?)の関係を読者に強く意識させたら、もっと良かったかな、と。

あとは、少しラストの部分が性急な展開だったかもしれませんね。
結末部に向けて急テンポで進んでいくというか。病院にお見舞いに行くあたりから急激に結末に向かっていくわけですが、お見舞いも一回で終わらせずに、複数回行って、その中でドン吉がどう亜希に言葉を掛け、どのように考えていくのか、という部分が個人的には欲しかったところ。
やはりドン吉の良いキャラクターをもう少し活かして欲しかった、というのが正直なところです。

とはいえ、私の一番のお気に入りはルート3の「私の黒猫」です。
冒頭で示されるモノローグと対応した形のエンディングが見れるわけですが、そのシーンは抜群に良いんですよね。或る意味ベタなのかもしれません。けれども私は大好きです。
ここにきて初めて、というわけでもないのですが亜希とドン吉の心が通じ合うみたいな、そういうエンドは印象的で、良かったと思いますね。


何はともあれ、さっくりと遊べる作品です。
選択肢の数はこの長さにしては多いような気がしないでもないのですが、作品自体が短い為にそこまで気になる事はないでしょう。寧ろ古式ゆかしいノベルゲームの姿を残しているっていう感じでしょうかね。
老若男女にお勧め出来る作品です。
猫を飼っていらっしゃる方は固より、多くの方にプレイして貰いたい作品です。

というわけで、ちょっと猫を構ってくる事にします。

by s-kuzumi | 2007-10-15 22:38 | サウンドノベル | Comments(0)
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