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久住女中本舗

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2007年 10月 22日

フリーサウンドノベルレビュー 『さくら』

フリーサウンドノベルレビュー 『さくら』_b0110969_22212320.jpg

今日の副題 「桜花絢爛」


※大吟醸
ジャンル:学園モノ&伝奇(?)
プレイ時間:3時間~(一週目。二週目からは短縮出来る)
その他:「完全版」にてプレイ。三ルート・三ヒロイン。


道玄斎です、こんばんは。
マシンを新調してから初のレビューという事になります。
週末に一本、何か書きたかったのですが、風邪を引いたり、マシンの設定が上手くいかずにこんなに時間を空けることになってしまいました。
結局、上手くLanが出来ないので(マニュアル本でも買ってくれば一発かしら?まぁ、完全なデータの移送はまだ時間が掛かりそうです)、今回新たにファイルを落としてきてプレイ。
幸い、NScripterはちゃんと動いてくれているので、なんとかなんとか。

さて、今回は「ぷれぷれPROJECT」さんの『さくら』です。
非常に丁寧に作られた秀作だと思います。
良かった点

・随所に丁寧な作品作りが見える。

・三人のヒロインがいるが、誰かがメインという事もなく、バランスも良好。

・全体的に非常に完成度の高い作品。


気になった点

・前半部は、全員のヒロインと接触していかなければならない為に、多少冗長だと感じる部分も。

・個人的にちょっと気になったのは、立ち絵と一枚絵で微妙に雰囲気が違う所があったりする点。

・あまり使わないけれども、既読スキップがあったら良かったかも。

ストーリーですが、サイトの方のURLを張っておきます。こちらからどうぞ。


さて、本作は2006年リリースですから、もう一年くらい前の作品ですね。
今回、改めてダウンロードしてプレイしたのですが、やっぱり良いものは良い。

全体的なスタイルという点では、非常にオーソドックスなノベルゲーム。
だけれども、市販されている商業用のゲームと比べても遜色のないようなハイクオリティを実現していると思います。

こういう学園が舞台となるゲームっていうのは、「目的もなく日々を過ごす主人公がある女生徒(ヒロイン)との出会いで変化していく」みたいなそういう設定が多いような気がしますが、本作の場合、「神道士」の修行と「伴侶」を探す、という目的が明確である為に、他のゲームとはちょっとひと味違っています。
こういう方向付けみたいのが明確だと、安心してプレイできる利点がありますね。

ヒロインも全員魅力的。イラストも非常に美しくて好印象。画面の構成っていえばいいのかな?会話ウインドウとか、そういう細かな所も丁寧に作り込んでいました。
ちなみに、私の直球の好みは勿論「彩乃」ですw まさに理想像……。子供の頃からこういう娘さんをずっと求めているのですが、いまだに出会う事が出来ません。。

そうそう。本作では、主人公の洋平が「一年間」学園で過ごし、「神道士」としての修行と「伴侶」探しをするわけで、「一年間」という時間の流れが随所で意識されてきます。
春・夏・秋・冬と四つの季節が順番に描写されていくわけですが(一つの季節が終わるとアイキャッチが入って季節が変わります)、ヒロインの洋服なども、半袖になったり、長袖になったりと変化していきます。私服にもちゃんと変化があるので、そういうのに注目しても楽しいですね。

もう一つの本作の特徴としては、クリッカブルマップシステムを採用している、という事です。
要するに、行動選択画面にて、マップが出てきてヒロインの所在地が分かると。
それを元にお目当てのヒロインの所に行くようにしていけば、自ずとそのヒロインのルートに入っていけます。
ただ、春に関しては共通ルートという事で、ヒロイン全員と面識を得て、それなりに親しくならないと夏に進めません。この辺り、少し冗長と感じる人もいるかもしれません。
ですので、春が終了した時点で、セーブをしておけば、二週目からは春の部分を飛ばせる事になります。

脇役のキャラもなかなか良いですよ。
クリッカブルマップにて、ヒロインじゃなくて脇役の友人永田や、その連れ合い(?)真弓、或いは学園長や担任の先生などを選択する事も出来ます。脇役との接触でより物語を深く知る事も出来ますし、こういう脇役キャラとのエピソードが盛り込まれているはいいですよねぇ。
定番の主人公のお友達永田も、まぁ言ってしまえばステロタイプなキャラなんですが、いい味を出しています。妙な嫌みが無いって言うか、素直に「こいついい奴だなぁ」と思えるキャラです。
注目したいのは、永田に密かに恋する(?)真弓の存在です。
口やかましくて、あれこれ世話を焼きたがるこれも又、典型的なキャラなんですが、普通、この手合いはやっぱりヒロインなんですよね。それが、友人として出ているという。そういう立ち位置はちょっと新鮮でした。又永田とのみていてちょっとじれったいやりとりもいい感じ。
まぁ、「彩乃」ほどじゃないのですが、かなり真弓も好印象で、好きなタイプです。多分、誰から見ても好感度の高い女性キャラなんじゃないかな、と。

さて、それぞれのヒロインのシナリオもなかなか良かったと思います。
どのシナリオも、洋平が目指す「神道士」との関わりがあって、全体的にバランスが良いシナリオだったな、と。
彩乃シナリオは、ちょっと伝奇っぽい感じで、千春は家族愛みたいなものを描いたりと、それぞれヴァリエーションがあって楽しめます。数菜のシナリオに顕著なのですが、何か一つ、事件を解決すると別口の事件が起きて……、みたいに単一のテーマだけでシナリオが動かないのも深みがあっていいですね。

ただ、数菜のシナリオの序盤で出てくる「失踪した兄」が、急に戻ってきたりと多少ご都合主義的な展開があるのですが、誰も不幸にならない結末、っていうのが本作には合ってるんでしょうね。
そういえば、やはり数菜シナリオで、「神道士」と対立する「陰陽師」が怪しいクスリを幼い頃の数菜に呑ませていた事が発覚するのですが、せっかく戻ってきた兄貴が医者の卵なので、洋平と兄貴のコラボレーションみたいな感じで、数菜を救っていくようなそういうのがあっても良かったかもしれません。

どのシナリオが一番っていうのは中々言えないのですが、千春シナリオでのエピローグが非常に印象的でした。元気印で猪突猛進型(?)の千春ちゃんの成長がはっきりと見て取れるので、なんか妙にじーんときちゃいましたねw

気になった点は、これは私だけかもしれないのですが、特に彩乃の立ち絵と一枚絵が少し雰囲気が違うような気がする、という点ですかね。あとやはり彩乃なんですが、立ち絵だと頭と体のバランスが少しだけ悪いような気も……。
いや、どっちも美麗なイラストなんですが、何となくそう感じるってくらいのレベルです。そう感じるのは私だけですかね……。

あとは、既読スキップです。
まぁ、春が終わった直後にセーブをしてしまえば、問題なくゲームを進める事が出来るんですが、たとえば、二週目で「今度はクリッカブルマップにて脇役とガシガシ接触していこう」とか考えている人が居たときには、やっぱりあった方がいいのかな?と。
これは本当に些細な点ですが、「裳着」とすべき所が「裳儀」になっていた所がありました。古典とか好きなので、どうしてもこういう所に目がいってしまうんですよw


全体的に見れば、これといった粗もなく、非常にクオリティの高い作品です。
これならお金を出してもいい、と思ってしまうくらいの出来なんですよ?まだこういったフリーのノベルタイプのゲームの経験の無い方がプレイしたら驚くんじゃないでしょうか?とにかくお勧め出来る作品です。
コンプリートセットの委託販売などもなさっているようですので(まだ商品があるかどうかは分からないけれども)興味のある人は、製品版の方の購入も検討してみては?


/* ClipDeskがちゃんと動いてくれているので、助かりました。こういうOSを変更した時のソフトの互換性ってめんどくさいですよね……。 そういえば、全く関係ないのですが、日本酒が切れていたので『梅乃宿』という奈良のお酒の純米吟醸を購入。なかなか美酒なる哉 */

by s-kuzumi | 2007-10-22 22:23 | サウンドノベル | Comments(2)
Commented by JKC at 2007-10-23 00:54 x
> さくら
大吟醸でましたね。ここまで完成度が高いと、いわゆる数字評価でも高得点が出るのでしょうね。私の観点では、長い作品はマイナスになりやすいのですが、この作品は最後まで見続けたい何かがありました。千春エピローグはお気に入りです。

> DTM
文章は得意、絵も音楽も挑戦となると、いよいよノベル制作ですね!
おすすめツールは「テキスト音楽サクラ」なのですが、「サクラエディタ」と相性が悪いとか。サクラが3つもかぶってしまった(笑)。

> 私の黒猫
さっそくのレビューでびっくりしました。さすがです。仕事が早い。
コンパクトに凝縮された作品は好きです。「Twin Love」もそうでしたが、あのようなあとがきを見ると、制作意欲が沸きますね。

> それじゃあ、またね。
今日の副題「完成された短編」
↑ナイス副題です。これも泣けました。最後のショットが良かったです。
Commented by s-kuzumi at 2007-10-23 12:52
>>JKCさん

久々にこのブログの「本筋」をアップ出来て、少しほっとしています。最近、中々時間が取れずに、情報を欲しがっている方や、楽しみにしてくださっている方にご迷惑をお掛けしてしまい、申し訳なく……。
で、『さくら』はもう、ちょっとした商業作品と同等ですよね。けれども、同人であることの良さ、みたいなものも持っていて良作だと思いました。
やはり、エピローグは千春ですよね?あれは素敵な終わり方で、非常に印象的でしたね。

DTMは、ずぶの素人でして、本屋にてそれっぽいコーナーを探しても何故か「現代農業」なる雑誌しか見つからずに困ってます。メロディは頭の中で鳴っているのですが、アウトプットの仕方が分からないっていうのはすごいジレンマですw

向こう一年の間に一本は作品を作りたいと思っているのですが、やっぱり創作っていうのは本当に厳しい道ですね。原案は少しづつですが固まってきています。ただ、公開する時にはかなり意表を突いた形でお見せする事になる予定ですw
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