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久住女中本舗

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2007年 10月 30日

フリーサウンドノベルレビュー 『夏夢海詩』

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今日の副題 「八年前の約束」

※吟醸
ジャンル:郷愁アドベンチャー
プレイ時間:四時間くらい
その他:選択肢多数。トゥルーエンドには「TrueEnd」の文字が表示される。「オマケ」からエンディングリストを見ることが出来る。


道玄斎です、こんばんは。
今日は、ちょっとプリンタを新調してきました。どうせならスキャナー機能を搭載したものにしようかと思っていたのですが、値段が数倍に跳ね上がったので、結局普通の書類用のプリンターにしてしまいました。多分、スキャナーは別に買った方が安く済む……。
それにしても、最近はプリンタポートに繋ぐ形式のものって無くなってるんですね。みんなUSBで繋ぐみたいです。帰宅して自分のマシンを見てみたら、そもそもプリンタポート自体が搭載されていないという。

さて、今回はちょっと季節がずれるのですが、夏を描いた作品です。
ノスタルジックな雰囲気と、ちょっとファンタジックな雰囲気の「AFTER CARNIVAL」(作者様活動停止の為、ベクターのリンクを張っておきます)さんの『夏夢海詩』を紹介します。昔プレイした事があるのですが、何故かフォルダに入っていなかった為、今回改めてダウンロードしなおしてプレイしてみました。
良かった点

・幼い日の思い出を辿っていく、ノスタルジックな雰囲気が良い。

・脇役も存在感があり魅力的。

・トゥルーエンドの読後感は爽やかで、余情あるエンド。


気になった点

・前半部~中盤にかけてやや冗長な所も。

・主人公の才介が、ヒロイン瑠衣を殴りすぎw

大体、こんなところでしょうか。
ストーリーは作者様HPが閉鎖した為、私が軽く纏めておきましょう。
夏、才介の元に一通の手紙が届く。
八年前住んでいた土地に住む、幼なじみの瑠衣からの手紙。会いたいというそのメッセージに才介は両親の死をきっかけに離れる事になった故郷を訪れる事に……。

こんな感じです。

今回、割と選択肢が多く、またエンドの数も多いので途中で攻略情報などを参照しようと、検索を掛けてみました。実際、あまりピンポイントで攻略に役立つような情報は無かったのですが(ざっと見てみただけだしね)、あんまり評価が高くなかったような。
けれども、私はこういう作品、結構好きです。そうですねぇ。敢えて言うならば『おもひでぽろぽろ』とかに近い感触かな。
本作の持つファンタジックな面を抜かせば、何となく初期の谷川史子の漫画に通じるようなちょっとどこか懐かしい雰囲気を持っていて、そういう所が非常に魅力的だったと思います。

立ち絵は存在しません。が、一枚絵が時たま、ちょろちょろっと出てきます。
絵に関しては、洗練されている、というわけではなくてやはり好みに合う合わないの問題があるかと思うのですが、やっぱり私はこの作品にはこの絵がふさわしい、と感じてしまうのです。

脇役である、瑠衣の執事を務める山本さん、やはり瑠衣の家で働く湊さん、或いは才介のお姉ちゃんなどが、かなり存在感があって、良い味を出していました。
ただ、一方であまり意味の無い脇役みたいのが居て(瑠衣の同級生や先輩です)、少し彼らが絡む話でテンポが悪くなっているような所があったように思えます。

全体的な内容で言えば、瑠衣と一緒に子供の頃の思い出を辿る、或いは八年間の時間を埋め合わせていくというような要素に加えて『ひとかた』みたいな、そういうテーマも内包している作品です。

才介の持つ異能が作品のキモの一つです。
封印破壊という、「結界を再構築する能力」なのですがこれが後半で利いてきます。
前半部では、なんだこいつ?みたいな所があったのですが、意外と自然な形でこの異能を作品の中で活かしていったかなとプレイ後に思いました。
才介の持つ、この異能とはなんぞや?と思わないわけでもないのですが、そういう細かい説明が無くても消化不良感を持たせる事なく、プレイ出来、この異能が作中で妙に浮くような事もなく構成としては中々のものがあると思いました。

テキストも読みやすいですね。
結構、ギャグが利いています。なんて言うか意外と言葉遊び的なギャグが多いかな?私は言葉遊びが大好きなので、この手のギャグは大歓迎です。割とセンスを感じさせる文章とギャグだったので、作品の中の良いアクセントになっていたと思いました。
一方で、シリアスな選択肢の中に「ギャグ的な選択肢」が紛れ込んでいるのはちょっとどうなのかな?と思わないでもなかったりw

前半部に関しては、割と好き勝手な選択肢を選んでも物語は順調に進行していくのですが、中盤くらいから、選択肢選びが重要になってきます。一見すると普通にエンドを迎えたような形に自然に移行してしまうので注意が必要。
トゥルーエンドの時にはちゃんと「True End」と表示されますからね。エンディングは何種類あるのかしら?今回のプレイではトゥルーエンドを含めて五個のエンドを確認しています。
ただ、途中の選択肢で「これはバッドエンドかな?」というのをいくつか排除していますから、恐らく五個よりも多い数のエンドがあるハズです。気になった方は是非全部のエンドを回収してみましょう。


さて、一方で気になって点ですが、先にも述べましたがあまり意味のない脇役ですかね。
もっと物語に積極的に介入するならば良いのですが、なんだかあまり物語そのものに関わってこないんですよね。しかも、この脇役達絡みのイベントは(物語そのものに関わらないだけに)妙に冗長になってしまっていたように思えます。
もしかするとすっぱり切り取ってしまうと、より一層すっきりとした形になるのかもしれません。

あと、才介が瑠衣を殴りすぎですw
瑠衣とのコミュニケーション。二人の八年分の時間を埋め合わせていくようなやりとりが、本作で重要なパートなわけですが、んもう、ポカポカと殴りすぎてます。
ドライで直情的な性格という才介のキャラクターもあるんですが、あまりにこれはやり過ぎだろう、とw いや別に殴るな、とは言っていないんですよ。効果的に要所要所で殴るようにした方が良かったかな、と。才介は瑠衣と会話する度にポカポカやってますから、大事な所でのポカポカの印象が薄れてしまう気がしました。


本作の魅力はやっぱり、ノスタルジックな空気感です。
故郷での再会、出会いが上質な空気感の中で描写されており、そこが秀逸でしたね。
トゥルーエンドに限らず、各エンドもしっかりとしていて、「これでおしまいでもまぁありだよね」と思えるくらいのレベルです。
だけれども、是非トゥルーエンドを見て頂きたい。爽やかな余韻を残したエンドは必見だと思います。

実力のある作者様でしたので、サークルの活動停止(?)は本当に残念です。
又、何かしらの形で作品を発表して欲しいですね。

by s-kuzumi | 2007-10-30 00:35 | サウンドノベル | Comments(0)
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