2007年 10月 30日
――――百年待ったら百合の花 道玄斎です、こんにちは。 ちょっと開いた時間に、是非とも紹介した作品があったのでプレイしてみる事にしました。 まぁ、五分もあれば読み終わってしまいます。だからこうしてこんな時間に更新が可能なのでした。 今回の番外編は、「路地裏の茶屋」さんの『夢十屋』です。 より正確に言うならば、「路地裏の茶屋」さんがサウンドノベル形式にして発表して下さった、夏目漱石の『夢十夜』です。 例によって、番外編では良かった点・気になった点など特に挙げていくような事は致しません。ご了承下さい。 さて、『夢十夜』。皆さんご存じですか? 『吾輩は猫である』『坊ちゃん』とか、或いは『三四郎』『それから』『門』、はたまた『彼岸過迄』『行人』『こころ』なんかは聞いた事があるかと思います(全くの余談ですが、高校生の時分に、『こころ』の例の「お嬢さんを下さい!」の下りを朗読せよと言われ、情感たっぷりに読み上げたら、冷笑されたという悲しい記憶があります)。 そんな、日本を代表する作家の一人である夏目漱石の中でも異彩を放つ作品、それが『夢十夜』です。 要するに、「こんな夢をみた」と書き出される短編が十本集まった作品です。本作ではその「一夜」目をプレイする事が出来ます。 普段の「レビュー」でも又「番外編」でも基本的に「シリーズモノ」みたいのは扱わないつもりだったのですが、これは紹介しなきゃ駄目だろう、と一人で思ってしまったので、こうして紹介させて頂いております。 本作の嬉しい機能の一つとして、「旧仮名遣い」を選択する事が出来るのです! やっぱり旧仮名遣いでしょう!私は現代仮名遣いよりも、寧ろ旧仮名遣いの方が読み慣れているわけですが(たま私も変な仮名遣いしてますよね?)、こういう作品はやっぱり旧仮名遣いで読むと楽しいし、雰囲気が出ますよ。 勿論、現代仮名遣いでプレイも可能。読者に優しいこだわりが嬉しいですね。 さて、もう太古の昔にこの『夢十夜』を大学の授業で扱った事がありました。 近代作家の短編を沢山読んで論評していく、みたいなそういう形式でした。 まず、先生がご高説を垂れてくれるわけですが、この『夢十夜』の中で、女は「百年待ってくれ」と言うんですよね。んで、実際百年待ってみると、「百合の花」が咲く。 ここで「百」という字が掛かっている、なんて説明を聞いて、「なるほどなぁ……」と妙に感心した記憶がありますねぇ。 本作では、原作の雰囲気を損ねない雰囲気たっぷりの背景・音楽がついています。好みの問題はあれど、巧みな演出だと思いました。 名作ですから、私が四の五の言う必要はなくて、「何はさておき、読んでみて下さい」と。 高校生は勿論、大人にも是非是非読んで貰いたい名作です。 是非プレイしてみて下さい。 今後、二夜、三夜と追加されていくでしょうから、今から楽しみですね。 豚を杖で叩くなんて、謎の「夢」もあったりして、面白いですよ? /* ちなみに作者様は、同人ゲームレビューなどもお書きになられているので、そちらの方も是非どうぞ */
by s-kuzumi
| 2007-10-30 15:01
| サウンドノベル
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