2007年 11月 17日
今日の副題 「熱血教師あらわる」 ジャンル:熱血教師アドベンチャー+恋愛(?) プレイ時間:3~4時間くらい その他:二箇所選択肢アリ。最初の選択肢では誤ると即死。次の選択肢ではエンディングが分岐。 道玄斎です、こんにちは。 昨日は、もう十年振りくらいに、午後十時に就寝という荒技をやってしまいました。いや、ちょっと本気で疲れていたもので……。 というわけで、今回は「あおぞら幼稚園」さんの『桜日和』です。 結構前にプレイした記憶があるのですが、何故かファイルが無かった為、もう一度ダウンロードして最初っからプレイしました。 いつものように、凄い熱血が楽しめる作品だったと思います。 良かった点 ストーリーはサイトから引用しておきましょう。 「はい、ありがとうございます。」 こんな感じです。 熱い!熱血です! 今まで何度となく取り上げている「あおぞら幼稚園」さんの初期(という事でいいのかしら?)の作品の一つです。本作を皮切りに怒濤のリリースラッシュが続くわけですが、その最初期の本作は、兎に角熱い。熱血教師モノです。 教師モノというのは、そもそも人気のある題材でして、ドラマやらなにやらでも一定の人気を確保していますよね。私も「金八先生」とか若い時結構好きでした。 教育実習として、学園に赴任する事になった主人公神崎。 息つく暇も無いほどの事件の連続に遭遇し、「生徒を守る!」という熱い思いでそれを解決していきます。 こういう中途半端な熱血じゃなくて寧ろ清々しい程の、熱血はいいですねぇ。 熱血+次々起こる事件というコンボで、特に前半かなりスピード感のあるプレイが出来るんじゃないかと思います。多少の粗なんかを隠してしまう程のパワーがそこにはあるのです。 主人公は教育実習生、という事なのですが、ちょっとリアリティの欠如が気になった面はあります。一応私も昔、教職課程を履修していますから。無免許ですがw 大抵の場合、大学生が、通常の授業とは別枠で「教職課程」という課程を履修する事で、教師への道が開けます。本作の主人公は、なんだか学生ではないと記されていて、大学卒業後に、通信教育で必要単位を取得したんでしょうかねぇ?細かい所を気にしすぎですか?w ちなみに関係ないですが、お坊さんや神主になる為には「神職課程」とかそういうのを履修し、必要資格を満たせばOKです。基本的には教職と一緒です。 教職と一口に言っても、中学校・高校は別の資格になりますが、必要とする殆どの単位は共通していますから、一緒に取得するのが一般的です。大体40~50単位くらい(年々増える傾向にあるみたいです)教職課程として履修する事になります。 小学校の先生になるのはかなり大変です。何しろ全教科を一人の先生が教えないといけないわけで、取得しなければいけない単位が非常に多くなります。 いづれにせよ、この教職課程にプラスして、学部での専門課程の単位が教職には必要になるわけです。 教職課程として履修しなければならないものは、それぞれの教科の「教授法」とか、「教材研究の仕方」とかは勿論の事、「教職概論」とかはたまた「法律」とかも学ばなければならないのでした。あと体育とかもね。 こうした単位を地道に履修し、大学四年時に、「この年度で教職課程を全て履修出来る」という見込みのある者だけが、「教育実習」へと向かう事になります。 本作の場合、一週間の実習期間が最初に提示されているのですが、実際は三週間くらいが標準でしょうかね。割と受け入れ先の学校によって違うのですが、早い所で二週間、標準で三週間くらいだと思います。大体、約一月ばかり実習を経験しないといけないのです。 まぁ、一週間っていうのは流石に無いんだろうなぁ、と。 実習を終え、必要単位を全て取得すればめでたく教員免許を入手出来るわけです。 ちなみに、実習先は大体自分の母校です。まぁ、だから割と簡単に実習が終わってしまうなんてケースもあるんですけれども。 そんなわけで、多少本作の教育実習なるものにリアリティが無いような気がしない訳でもなかったり……。しかもどうも、本作の主人公は給料が支給されてる気配があるんですよ。 教育実習なんてのは「お願いしてやらせて貰う」という立場なわけで、当然ただ働きです。寧ろこっちが担当してくれる先生に少しお金を包む、なんていう悪しき慣習もあるくらいで。 けれども、そんな細かい事を吹き飛ばすパワーが本作にはあって、それが最大の魅力ですね。なんて言うか、ご都合主義的な所が多分にあって、そこが気になる点ではあるのですが、同時に大きな魅力にもなってるんですよね。 勢いの凄さが、粗をカバーしているという印象です。 生徒に襲いかかる事件は、生徒同士のもめ事からテロリストの襲撃まで(!)様々です。 なんだか割とエッチ系に話しがいきがちな気がしないでもないんですがw バラエティに富んでいて面白さは十分確保されていると思います。 妙にすれた生徒が出てこないというのもいいですねぇ。みんな素直でいい子。悪い事をしてもちゃんと反省出来る子ばっかりです。そういった意味で安心してプレイ出来ると思います。 イラストも作品の雰囲気にあった、可愛らしいものです。 私の好みは、なんと言っても「葉月さん」です。ああいうタイプの子に、ぐらっと来てしまいます。 さて、気になった点ですが、後半部に割と多く出てくるような気がします。 「お約束のオンパレード」みたいな所もあるんですけれども、本作の場合、それはむしろ魅力として評価されるべきだと思うので、そこは割愛します。 で、後半部、特にテロリストが学園を襲撃するくだりなんですが、なんでテロリストが学校に?という根本的な疑問を禁じ得ません……w しかもテロリストといいつつもその内実はただの強盗にしか見えないという。テロリストの首魁は熱血教師(教育実習生)神崎の行動によって、すぐさま改心してしまいます。まぁ、それはいいとしても、なんだかテロリストが学校を襲撃して、生徒を人質に取ったぜ、っていうと話が大げさすぎる気がするんですよね。 普通の強盗とか、そういうのでも良かったのかも。あー、けれども強盗でも学校なんて狙うかなぁ?しかも立てこもりまでして……。 もう一点。 エンディング付近で、恋愛描写が出てくるんですが、ちょっと急展開すぎるかなぁ?と。 最終的にヒロインが二人、という事になるわけですが、あんまりそれ以前にその二人と恋愛に移行していくような描写がないんですよね。 それはヒロインであろうと、他の生徒であろうと平等に「生徒を守る」熱血教師だからこそなのかもしれませんが。 例えばですよ? 事件の中に、このヒロイン絡みのものを入れて、事件解決後に、お互いがお互いを意識し合うくらいの描写があっても良かったんじゃないかなぁと。 それっぽいヒロインがいないわけでもないんですが、どうにも恋愛を結末として持ってくるには薄い印象でした。 先生に普通の好意を持ってくれている子と、恋愛感情を持ってくれている子の書き分けみたいなものも必要ですかね。 もう一つ、恋愛に関していえば、主人公神崎は、生徒とのキスシーン(目をつぶってろ、と言われて律儀に目をつぶっていたら生徒にキスされちゃった。うらやましい!)を校内新聞で取り上げられ、クビになるわけですが、ラストではヒロインと愛を確認しあって校内でキスしてしまうという……。 まぁ、しょうがないっちゃしょうがないんだけどもw 正直、勢いやパワーが本当に凄いので、気になる点はあるものの、そういうのを押し切ってしまう「力」のある作品です。色々と気になる点も挙げたりしたのですが、プレイし終わっての感想は「面白かったなぁ」と素直に思えるものとなっていると思います。 妙に陳腐な所もないわけじゃない。けれどもそういうのも笑いながら読めちゃうような、そういう作品です。 今月中に一本(本当は先月のハズだったが延期した模様)、また新作がリリースされる「あおぞら幼稚園」。まだまだ追っていきますよ?
by s-kuzumi
| 2007-11-17 14:18
| サウンドノベル
|
Comments(2)
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吾妹木綿
at 2007-11-19 19:03
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私もこの作品はプレイしましたが「教職」について詳しくないものでなんの疑問も抱きませんでした(^^;またべったべたな展開が大好きなんで思い切り楽しめた気がします。
やっぱり詳しい人が見ると疑問に思ってしまうところってどうしても出てきてしまうんですよね、フリーゲームだと。知り合いにでもいない限り話を聞くことも難しいでしょうし資料を調べるだけではわからないことってすごくいっぱいあります。 詳しいことで作品にのめりこめなくなってしまうっていうのはとても勿体無い気がしますね(^^; まあだからこそ作者は出来る限りリアルを目指すべきなんでしょうけど。 でもそれをやるとあおぞら幼稚園さんの勢いが死んでしまうような気もしないでもないですね(^^;
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s-kuzumi at 2007-11-19 20:41
>>吾妹木綿さん
そうですね、なまじっか「知ってる」という事でゲームの面白さが阻害されてしまう事が、たまーにありますねぇ。けれども本当にこのべったべたな設定と勢いが、あおぞら幼稚園さんの大きな魅力ですから、実はそこまでリアリティ的な面で、気になったという訳ではないんですよね。やっぱり、二度目のプレイでしたけど思いっきり楽しみましたw 寧ろ、そういう些末な点を吹き飛ばすパワーみたいなものこそ、評価すべきかなと。 作品の世界観や作風にもよっては「出来るだけリアルであった方がいい」場合もあると思うのですが、こういうのも勿論アリですよね? 私も今、リアリティと面白さをどうバランスを取ろうかと結構考えています。資料として柳田国男の全集を読んだり、漢文献なんかを読んでいるのですが、やっぱり制作者としては悩みどころなのかもしれませんね。 |
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