2007年 11月 27日
今日の副題 「暗くて素敵な物語」 ※大吟醸 ジャンル:ダークミステリックファンタジー(?) プレイ時間:全てのエンドを見て一時間半~二時間くらい その他:選択肢あり。浅井悠一編を読むと渡辺渚編に進むことが出来る。 道玄斎です、こんばんは。 久々の「大吟醸」です。プレイしていく中でこんなにも作品の印象が変わっていくものも珍しいですね。いや、勿論良い意味で。 というわけで、今回は「NOSTALGIC GARDEN」さんの『本当の願い事』です。 良かった点 ストーリーはサイトの方から引用しておきましょう。 浅井悠一は、救いようのない遅刻魔。 こんな感じ。 傑作です。 久々に大吟醸を出してみました。 五種類のエンドがあるわけですが、各エンドを見ていくうちに印象が随分と変わってきます。色とりどりの世界が楽しめていいですねぇ。それも暗いものから明るいものまで。 そもそも図書室だなんて、舞台からして私好みだったんですよね。 「願いが叶う本」なんてキーアイテムも私がいかにも好きそうな感じですよね。 本は私も大好きです。へんてこな本を読んだり、貴重書の類を閲覧したりといった行為は凄く好きですので(私の趣味の一つは古典籍収集だったりしますし。まだ版本ばっかりだけども)、どっぷり作品世界にはまりこんでしまいました。 ストーリーの出だしみたいなものは、良くあるタイプのものですね。 遅刻魔の男子高校生が罰で図書室の整理を押しつけられ、そこでミステリアスな少女と出会う、という一見どこにでもありそうなボーイミーツガール的な印象を受けます。 けれども、この図書室という舞台や「願いが叶う本」というキーアイテム、そしてシナリオの独自性故に、非常に奥の深い作品に仕上がっていたと思います。 先ずは、浅井君視点でのストーリーを読んでいく事になり、彼視点でエンド1、2を見る事になります。感じたのは、凄く心理描写が巧みだなぁ、と。 特にあのくらいの時期の男の子の心の動きみたいなものが、とても上手に描写されていて、思わず唸ってしまいました。あっ、めんどくさい事を押しつけられて悪態をつくとかそういう所じゃないよw 図書室の女の子渡辺さんに恋心を抱いていく過程の描写ですね。 いつも図書室に行けば会える。けれどもある日行ってみると彼女は居ない。 こういう女の子のレギュラーの中に入り込んだイレギュラーな行動は、男の子の心を揺さぶりますよねぇ?渡辺さんがナントカ先輩と話している姿を見て、思わず逃げてしまうなんてシーンもなんか感覚的に良く分かる気がします。 浅井君視点で二つのエンドを見ることになるわけですが、どうにもすっきりしない。 物語は決定的な謎を残しているのです。 そこに来て今度は渡辺さん視点のシナリオがプレイ出来るようになる。上手く言えなくてもどかしいのですが、「先に進ませる力」がある作品です。 渡辺さん視点で物語を読んでいくと、かなりダークな世界が見れるようになります。 私は女性ではないのでアレなんですけれども、年頃の女の子にありそうな、些細なそれでいて本人には決定的に重要な問題を渡辺さんは抱えています。 渡辺さん視点になると、選択肢の数が劇的に増えますね。エンドの種類によってはかなりダークで人によってはイヤな印象を受けるレベルのストーリーに。いや、私はそういうの大好きなんです。 ダークな、と言っていますが、別にスプラッタとかそういうのではなくて、寧ろ人間の持つ怖さとか、女の子の持つ怖さみたいなそういうダークさです。 で、話を読み進めていくにつれ「願いが叶う本」なるものの内実が少しづつ明らかになっていきます。渡辺さんは自身の「願い」を叶える為に、その本を探す事に。 この辺りは、かなりファンタジックな世界が展開されていくのですが、同時にかなりの数の選択肢にもの凄いシビアなものが混ざってきます。ファンタジーとダークな世界の融合みたいなものが堪らなくいいですねぇ。 一応、ハッピーエンドは、エンド5みたいですね。 これは明るいエンドです。一方でトゥルーエンドはエンド2のつもりだと後書きにて示唆されています。私はハッピーエンド大好きです。 どのエンドをトゥルーエンドと捉えるのかは、プレイした個人の問題だと思うのですが、基本的にどのエンドもしっかりと完結しており、丁寧に作品が作られている事が分かります。 そうそう、背景画像のチョイスと、その加工の仕方が良かったですね。 割と、背景画像(写真)に対して、キャンバス地加工(?)が多いような気がしているのですが、本作では、半透明の白いドットが画像に覆い被さっており、こういう加工もアリだな、と。何となくですが、洗練されたデザインになっていると思います。 一枚絵も勿論存在しているのですが、意図的に「顔を見せない」絵なんかもあったりします。それが為に、後半での一枚絵にて、やっと浅井君や渡辺さんの顔が出てきた時に、何とも言えない物語を解き明かした達成感みたいなものを感じました。 正直、渡辺さんは凄く可愛いです。 凄く好みです。私はこういう娘さんが大好きです。大体、私の好みは二種類くらいあって、和風のおっとり美人か、本作の渡辺さんタイプに二分されます。ただ、渡辺さんはちょっと蓮っ葉かも?本当にどうでもいい事ですが……。 エンドによっては、かなりダークでブラックな世界になってしまうのですが(男ならヒヤッとするような場面があったり……)、そういうのも纏めて一つの作品として、とても完成度の高い傑作だと感じました。12歳以上推奨という事ですが、みなさん12歳以上ですよね?w 久々に凄い作品を引き当てて、私自身興奮しています。 お勧めです。 兎に角プレイしてみて欲しいと思います。
by s-kuzumi
| 2007-11-27 23:35
| サウンドノベル
|
Comments(4)
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吾妹木綿
at 2007-11-28 11:39
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ふりげストアさんの投票見るとやっぱり評価は人それぞれだなぁって思っちゃいますね。あと点数より投票数が重要だなと思う。
現在1票で3点でも道玄斎さんが10点と考えれば平均で6.5点になりますからね。 数人で10点満点より100人で9点の方がすごい価値ある感じします(^^;
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s-kuzumi at 2007-11-28 20:01
>>吾妹木綿さん
評価は本当に人それぞれですからねぇ。 ただ、ふりげストアさんの方で、これが3点だったというのにびっくりしました。もしかすると私の感性が特殊なのかもしれませんね。これどもこういう作品は凄く好きなので、強力プッシュ致しますw ふりげストアさんの場合ですと、点数よりも断然評価人数が重要ですよね。 評価を付けてくれる人というのは、手間を掛けてわざわざ評価頁に飛んでクリックしてくれているわけですから、その作品には「そこまでさせる理由」が存在しているのだと思います。実は私も良いな、と思ったものはちょこちょこ評価させて貰っていますw
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くじら
at 2007-12-02 22:53
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はじめまして。
私は乙女サイトから飛んでプレイさせてもらいましたが(あっ引かないで下さい…汗)、一気に全部の話を読んでしまいました。 ダークが私には重かったりしましたが、ハッピーエンドで救われました(*´∨`) なんか自分がプレイしたモノがレビューされているのが嬉しくて、ついついコメントしてしまいました。 これから過去レビューをダウンロード参考にさせてもらうやもしれませんo(_ _*)o ではでは長文失礼しました。
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s-kuzumi at 2007-12-03 21:10
>>くじらさん
こちらこそはじめまして。 乙女サイトでも紹介されている作品だったんですね。 いや、別に引いたりしないので、安心して下さいw 大体、100本近くのレビューがありますので、くじらさんのプレイの参考になれば幸いです。 どうぞ、これからも久住女中本舗をよろしくお願い申し上げます。 |
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