2008年 01月 14日
![]() 今日の副題 「是非アニメ化を」 ※吟醸 ジャンル:幽体離脱恋愛ストーリー(?) プレイ時間:三時間~ その他:選択肢有り。三つのルートがある。 システム:LiveMaker 道玄斎です、こんばんは。 昨晩、「明日更新します」といっておきながらこんな時間に。 あっ、いや、昨日あれを書いた時には日付が変わっていたから予告通りか? まぁ、ともかく今回もお付き合い下さいませ。 というわけで、今回は初期の名作の一つ「はむたいら」さんの『ゆうとっぷ』です。 笑いあり、感動ありのボリュームもしっかりある良作ですね。 良かった点 ストーリーは、サイトから引用しておきましょう。 主人公、志野明雄 最近、割と昔の、それも初期と言っても良いような作品をちょこちょこっと取り上げています。 まぁ、どんな基準で初期って言っているのか自分でよく分からないのですがw この期の作品には、なんて言うか「パワー」がありますよね。 勿論、昨今の作品を否定するっていうわけじゃなくて、あの時期、まだここまで大量に新作が次々と出回ったりしなかった頃、或る意味で一部のマニアがこうしたサウンドノベル形式のゲームを楽しんでいた頃の、プレイヤーの飢餓感を丸ごと受け止めてくれるような、そういう感覚がするのです。 或る意味で作者もプレイヤーも手探り状態の、あの良い意味での荒っぽさ、初期衝動みたいなものをひしひしと感じます。 本当に昨今のゲームを否定するつもりはないのだけれども(新作も大好きで、しょっちゅう取り上げている事からも分かっていただけるかと)、或る意味で最近のゲームは一種の「文法」みたいなものが確立されてしまったなぁ、と感じる事があります。上手く言えないんだけどもね。 まだ、どういった作品が読者(プレイヤー)にウケるのか、どういう風に創ればいいのか、といった情報がまだまだ不足していた時代、手探りをしながら、一生懸命創られた作品はやっぱり力強いし、読者を引きつけるパワーがあるように思えます。 なんて事を書いていますが、実際本作をプレイしてみると、そこまで古くないんですよね。 正確なリリース時は分からないのですが、「ハリーポッター」なんか出てくるし、携帯電話も十分普及していたり、ね。 携帯電話がここまで普及し出したのって、2002年くらいでしたっけ?それ以前には確かポケベルとPHSブームがあったのは覚えているのですが……。 そうやって見てみると、本作は意外と新しい作品に思えてきます。けれども、先に述べたパワーのある作品としても成立しているように感じます。 幽体離脱のお話なんて、良くありそうですよね。マンガの世界とかソッチ系ではおなじみのパターンの一つだと思うのですが。 けれども、こういうゲームではあまりお目に掛かったことが無い。 今記憶にある限りでは『Moonlight Blue』なんて作品がちょっとそれっぽかったかな。いや、あれは幽霊モノか? まぁ、そういう意味でも本作の着想みたいなものは良かったなぁ、と。 そうそう、昨日「最初にプレイした時の印象が薄い」とか書いたんですが、ここで恥ずかしい事を告白しなければなりません。 というのは、私はルートを一つ回収するのを忘れていたのでした……。ツキミのアナザーエンド(ハッピーエンド?)です。これを見なきゃ、始まらねぇ……。 今回、レビューを書くに辺り、もう一度全てのルートをプレイし直しました。 最初は強制的にツキミの通常ルートに入るみたいです。けれども、決してこのルートも悪くない。ちょっとしんみりとしたもので、最後の感動というか盛り上がりには欠けるものの良いエンドでしたよ? で、二度目のプレイから更にルートが二つ追加されます。水村さんルートと、ツキミアナザールートです。どうやらツキミのルートではこっちのアナザールートの方が「本命」です。 もし、私のように通常ルートしかプレイしていない方がいらっしゃいましたら、是非こっちのルートも回収してください、ってそんなヤツ私以外に居ませんか……。 水村さんルートは私がかなり好きなタイプのシナリオでした。 所謂優等生の水村さんがメインヒロインになりながら、ストーリーが進行していく。勿論ツキミも登場しますけれども、割と黒子に徹している感じですかね。 このルートで、抜群にいいなと思ったのが、明雄と水村さんのお互いが「夢の中」と思いこんでいる(実際夢の中なんだけども)状態での会話です。 夢だと思って、普段見せない素顔を見せてくれる水村さん。そしてやはり夢の中という事でちょっと無茶な事(スリーサイズとかw)を聞いたりする明雄。 片方が意識不明という状況で、こういう仕掛けで二人の距離を縮めていく手法は見事の一言です。しかも夢の中の会話はその後のストーリーでも重要なものになるのですが、二人のやりとりが笑いありで、読んでいて楽しい。 物凄くいいシーンだと個人的に思いましたね。 ちなみに、この水村さんのルートがテンポという観点から見ると、抜群に良かったです。 ツキミのルートは後半部、これも個人的な意見なんですが、少し冗長な気がするんですよねぇ。ちょっとだけダレちゃうんです。 水村さんルートは、割とさくさくとテンポ良くストーリーが進行していくので、そういう所もこのルートは良かったな、と。 で、以前私が回収し忘れていたツキミアナザールートですが、良い意味で王道と言えるエンドでした。通常ルートだと、最後が妙に寂しい終わり方というか、私はそういう寂しい終わり方って結構好きなんですけれどもw まぁ、やっぱりちゃんとしたハッピーエンドが欲しいですよね? そういう期待に十分に答えてくれるエンドだったと思いました。 ツキミのルート(二つともね)だと「アリス」ちゃんという女の子のエピソードが挿入されてくるんですが、このエピソードは秀逸でした。 自分たち以外の幽霊の事を描く事で、作品世界の中で、幽霊という存在にリアリティと厚みが生まれていましたし、あのエピソードそのものも抜群に良かった。 どうも、私は幼い女の子を主人公が面倒を見て、一種の擬似的な「家族」になる、というエピソードが好みみたいですねぇ。以前ご紹介した『ななつのユメをみる』なんて作品もそういう感じでした。 本作の良さは、本当に色々とあるわけですが、キャラクターの魅力は無視出来ないと思います。結構な量のキャラが出てくるんですよ。けれどもみんな個性的で魅力的。だけれども存在が五月蠅いなんて事はなくて、作品の中に自然にとけ込んでいながら存在感もばっちりという。 明雄の家族(特に妹葉菜子)とか、進路調査のプリントをダシにしながら明雄に絡んでくる委員長とか、巫女の久生さんとか、みんな凄い魅力的。 敢えて「気になった点」では挙げなかったんですが、「イラストが微妙」という言い方が良くなされています。実際さっきベクターのダウンロードページでコメントが読めるので、読んでみたんですが、まぁ同じような事を書いてた方がいらっしゃいました。 けれども、自分の記憶の中にある絵よりも、全然良かったんですよね。私にとっては。 だから今回プレイして絵の違和感というか、下手さ(?)みたいなものは全然感じませんでした。 だって、水村さん可愛いし、明雄の妹葉菜子も可愛い……w ただ、一般的傾向として、イラストが少し気になる方が多いようです。 けれども、例えばちょっと天然の女の子鈴木さんとか、プレイ後には「このイラストしか認めない」と思えるくらいですし(オマケシナリオでもオイシイキャラです)、ヒロインだってプレイ後にはもうあのイラスト意外認められないような、そんな実は物凄い魅力溢れるイラストだと思っています。褒めすぎですか?w 全体的にみてレベルの高い作品です。 一応、本作はサウンドノベルというかノベルゲームというかそういうものなんですが、意外とこれアニメーションになったら滅茶苦茶ハマるんじゃないでしょうか? 実際、私もアニメーションを見るような感覚でプレイしていました。よくよく考えたら、本作のイラストって割とアニメっぽくないですか?w アニメーション化に耐えうる作品は、本作の他にも色々ありますし、アニメだからこそ作品が更に活かせるようなものも沢山あるような気がしています。 いつか、ノベルゲーム発のアニメが出来る事を祈って、筆を擱きたいと思います。
by s-kuzumi
| 2008-01-14 04:37
| サウンドノベル
|
Comments(0)
|
アバウト
カレンダー
メモ帳。らしきもの。
■レビューリストを作りました。随時更新予定です。こちらからどうぞ。
■ノベルゲームのコミュニティと素材ポータル始めました 制作者の方とプレイヤーを繋ぐような、そんなコミュニティを作りました。 こちらからどうぞ。 そして、ゲーム制作に利用出来る素材ポータルサイトも作りました。 こちらからどうぞ。 どちらも、是非ご覧になってみて下さい。そして、ご参加/ご利用頂ければ幸いで御座います。 フリーのノベルゲーム/サウンドノベルをレビューをやっております。たまに私のどうでもいい日々之記録が入る事がありますが、ご了承下さいませ。 ・“引用”としてスクリーンショットやストーリーの概略などの文章を使わせていただいております。問題が御座いましたらご連絡下さい。対処いたします。 連絡先はkazenitsurenaki あっとまーく gmail.com です。 ・レビューは「甘口~中辛」くらいです。 ・評価は完全に私個人の主観に基づいています。評価は「大吟醸」「吟醸」「無印(=純米)」の三段階となっております。参考までに。 で、実は、 こちらが本館です。ブログは別館的な位置づけなのですが、何故かこちらがメインになってしまっています……。バナーなんかもあるので、リンクを張って下さる方はご利用下さいませ。 リンクに関しては、お好きにやっちゃって下さい。許可なんかは一切要りませんので。 本館の方では、謎の音楽制作などをやっております。こっそり更新している事もありますので、たまに見てやって下さると嬉しいです。 カテゴリ
以前の記事
2025年 02月 2024年 12月 2024年 11月 2024年 05月 2023年 07月 2020年 08月 2020年 05月 2020年 01月 2019年 12月 2018年 09月 2017年 09月 2016年 12月 2016年 06月 2016年 04月 2016年 02月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 10月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 04月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 検索
タグ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||