2008年 01月 21日
![]() 今日の副題 「大切なものは何ですか?」 ジャンル:ファンタジー恋愛(?)。 プレイ時間:一時間半くらい。 その他:選択肢無し、一本道。 システム:LiveMaker。 道玄斎です、お早う御座います。 なんだか、先ほど目が覚めてしまいましたので、ちょこっと途中だったゲームをプレイしたら最後まで行き着いてしまいましたので、こんな時間にレビューを書いています。 本作が処女作という事になるかと思うのですが、将来性を感じさせる作品だったと思います。 というわけで、今回は「Alege」さんの『だから、貴方と前を向こう』です。 良かった点 ストーリーはサイトの方から引用しておきましょう。 僕と妹は世界でただ二人の魔法使いだ。 こんな感じ。 シンプルなタイトルにだまされる事なかれ。 最初は、割と良くあるタイプの恋愛作品を予想していたのですが、プレイしてみてびっくりです。ちょっとダークな感じがあるものの、面白いんですよ。文章や描写力も十分あるし、何より「密度」が高いと感じました。 大体、一時間半くらいの作品ですが、ギュッと中身が詰まった作品、という印象。 ただ、ジャンル分けが難しいですよね。ファンタジーとも言い切れないし、伝奇とも違う。不思議な感触の作品です。 女性キャラは三人。なんか女三人三つどもえの戦いみたいな、そういう感じがしないでもないw 妹のクレハと、魔族のアム、そして悠里。この三人の女性と主人公を巡るエピソードがてんこ盛り。だけれどもそれが五月蠅くなく、作品の密度を高めて読者に提示されるので、好印象。一言で言えば作品の雰囲気と相俟って「重厚」な感じがするんですよね。 けれども、同時に、この三人の女性キャラの存在が微妙に作品全体の焦点をぼやけさせていたかなぁ、とも思いました。 プロローグを見ると、主人公にとって大事なのは妹のクレハである事が分かります。 けれども、クレハが居なくなった後に割とあっさりアムと仲良くなったり、次の章に行くと悠里なる恋人が居たりする。 結局、「誰の為に主人公は行動しているのか」が分からなくなっちゃうんですよ。特にクレハとアムのどっちに比重が置かれているのかが分かりづらい。 ですから、ラストを見ても、なんだか性急に終わってしまったような気がする。 或いは、ラストでもうちょっと前半部での伏線を綺麗に消化して、時間を掛けて描写をすればこうした違和感みたいなものは或る程度解消されていたのではないかと思います。 そして、それが出来るだけの描写力、文章力があるので惜しい所です。 あと、ちょっと悠里が可哀想w メインヒロインって事になるのかな?アムというキャラは魅力的ですね。 或る意味で、こういう娘がいたらいいな、と思える一種の理想的女性。包容力があるというか、ちょっと後ろ向きな主人公を包み込み、尚かつ巧みに導いてあげるようなそういうキャラ。 言葉遣いやら、物腰やら、主人公をリードしていくアムの姿は、きっと多くの男性にとって魅力的なものとして映るに違いありません(私だけですか……?w)。 そういえば、女性キャラの立ち絵が美麗でしたね。 デフォルメされすぎない適度なリアルさを持っており、オリジナリティのあるイラストで良かったと思います。ちなみに例の「影絵」のキャラとかもいるわけですが、立ち絵は立ち絵として、全部のキャラに或る程度の整合性が合った方が良かったかな、とも思いました。 実際、主人公の友人キャラの絵と、女性キャラの絵が並ぶと、やっぱり違和感があるんですよね。例えば、もう召使いキャラは立ち絵無し、とかそういう処理でも良かったんじゃないかしら。 で、これも惜しいなぁ、と思ったのは文字の表示です。 文章自体が良いだけに、その「見せ方」みたいのにもう一歩踏み込んで欲しかったな、と。 適度な改行があれば、ぐっと作品が締まったのではないかと思うわけです。 文章ウインドウがあるわけじゃなくて、画面の上から下に文章が流れていく例の形式です。 これは本当に個人的な意見なんですが、適度なスペースを空けるとか、読みやすいように適宜改行するとか、そういう配慮があったらより良かったと思います。 これは蛇足なんですが、最近LiveMakerの作品が随分増えましたね。 ツール自体も基本的な機能は搭載しているし、プレイする分に何ら支障はない。 本作もLiveMakerで作られています。使いやすいツールで今後もLiveMaker製のゲームが増えそうな予感が。 ラストが少し性急すぎて何となく宙ぶらりん感があったとはいえ、処女作とは思えない、確かな将来性を感じさせる作品だったと思います。 ファイルを解凍してみた所「声優募集」のファイルが入っていました。 次回作は、ヴォイス付きの作品がリリースされるんでしょうか。 今のうちに注目しておくべき作者様だと思われます。そこまで長目の作品ではないですから、是非プレイして下さい。 次回作、楽しみですね。
by s-kuzumi
| 2008-01-21 05:43
| サウンドノベル
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