2008年 02月 09日
今日の副題 「ほんの少しのもの悲しさと」 ジャンル:SFアドベンチャー(?) プレイ時間:一ルート一時間~一時間半くらい。 その他:選択肢有り。ベストエンドやグッドエンド、バッドエンドなど多数。 システム:吉里吉里/KAG 道玄斎です、こんばんは。 今回は、私自身結構好きなSFというジャンルの作品をご紹介致します。 ほんの少しだけ、もの悲しい「何か」が残る作品だったように思えます。 というわけで、「まひるかん」さんのさんの『Project Lavender』です。 良かった点 ストーリーはサイトの方から引用しておきましょう。 「服部エレクトロニクス」。 こんな感じ。 私は、何度も書いていますように、SF作品が好きです。 けれども、あんまりハードなSFは実は苦手で、「スパイス」としてSFの風味が効いているような、そういう作品が好みなのです。アーサー・C・クラークの『白鹿亭奇譚』が私の大好物なので、そこらへんからも分かって貰えるのではないかと。って、『白鹿亭~』は結構「科学」してますね……。 まぁ、それは兎も角、本作くらいのSF風味はプレイしていて心地よいです。 エレクトロニクスの大企業に高卒の女の子が就職試験を受ける、という所から始まる本作は、ツカミ的なものはばっちりです。 しかも、プレイヤーがちゃんと試験を受ける、という形式も良かったですね。全然難しい事はないのですが、この試験問題に答えられないとバッドエンドを迎えてしまうようです。 良くこうしたノベルゲームで、例えば学園モノだったら定期試験だとかそういう「試験の場面」が出てきますよね。実は私は結構それに不満を覚えていたりしたのです。 というのは、プレイヤー(=自分)なら答えられるのになぁ、というちょっとしたもどかしさを覚えてしまうんですよ。まぁ、いちいち自分が解答しなきゃいけないとなると、めんどくさいって事もあるんですが、「テストで強制的に悪い点を取る」みたいなものに対して、反逆精神を刺激されているというw 一応、滅茶苦茶簡単なんですけれども(本作のサークル名を問うたりw)、プレイヤーが実際に試験を受けることが出来る、という仕掛けは私にはちょっとだけ嬉しかったりします。いや、私は凄い馬鹿なんだけどもね……。 ですので、もう最初の数分で、私のフラストレーションが解消されてその後楽しんでプレイが出来ました。 ストーリーにも書いてあるように、主人公のさゆりはエレクトロニクスの大企業に就職し、そこでラベンダープロジェクトの担当者になります。 要するに、仮想空間に生きて(存在して?)いるラベンダーなる少女を育てる役目を与えられるわけです。 このラベンダー育成も、神経衰弱という形で行われるので、楽しんでプレイする事が可能です。失敗するとバッドエンドへの道が開けたりするらしいのですが……。けど、実際プレイしてみた感触では、そんなに難しい事はないと思うのでこうした「ミニゲーム」的なものも楽しんで貰いたいな、と思います。 そうそう、イラストも可愛らしい感じで、好感が持てるタイプのイラストです。 そういえば、後書きを読むと分かるのですが、音楽もオリジナルのものを多く使っているようです。しかもDTMを初めて二ヶ月という方がかなりの曲をお書きになられているのですが、本当に二ヶ月かよ……、と凄い絶望感を味わいましたw 最近、私もシーケンサーの力を借りて、二曲くらいオリジナルのものを作っているのですが、実際に自分でも音楽制作という事をやってみると、ゲームで使用される音楽の見方(聴き方)も変わってきますね。 最近、間違って「同人音楽」みたいなキーワードでうちのサイトの方を訪れてくれる人もいるので、それはちょっと嬉しいんですが。詳細はまだ言えないのですが(←自分で判断が付かない)、音楽の方でちょっと進展があったので、それもいづれお話したいと思います。 本作のもう一つのキモは、「懐かしさ」だと私は思います。 SFなのに懐かしいとはこれいかに、といぶかしがる方もいらっしゃるかもしれません。 けれども、調査のパートなど、昔のノベルゲームを彷彿とさせるような所があって、どことなく懐かしい気持ちがするのです。 昔、良くプレイした「館脱出系」のゲームは、こうした調査パートみたいな、そういう選択肢の選び方が数多くのエンドへ繋がるものとして機能していたような気がします。 本作も、それを踏襲するかのように、調査の仕方でエンドが変化していくようです。 そういう訳で、どことなく古式ゆかしい懐かしい手触りを覚えたのでした。勿論、良い意味でね。 上記の点とも関係するのですが、ベストエンドはやっぱり良いですねぇ。 普通にプレイした時には「ノーマルエンド」ばかり見てしまったわけですが、ノーマルエンドとかだとやっぱり、物語は決定的な消化不良感を感じるようになっています。 とはいえ、「謎の電脳少女ラベンダー」の存在とか、そういうものは割と簡単にオチが分かってしまうのですが……。 なんて言えばいいのかしら。 ベストエンドは、ハッピーエンドなんですが、どことなくもの悲しさを感じさせるエンドで、とても印象的でした。私の好みが、こういうほんの少しのもの悲しさを感じさせるタイプの作品なので。 思いっきりポジティブで明るいゲームをやるのも大好き。けれども、時にはこういうゲームも良いものですよ。 さて、気になった点は、なんといってもベストエンドへの道のりがかなり険しいという所でしょう。実は、攻略サイトを見つけて、それで以てベストエンドへ到達したのですが、結構選択肢の選び方、話の進め方はシビア。 先にお話した、古式ゆかしい昔のゲームのような良さとこれは表裏一体になっているものですから、単純に「良くない」とは言えません。けれども、少し難しかったかな、と。 これも先に話しましたが、例の調査パート的な部分なんですよ。必要な調査を必要なだけ行う、というような事が必要になってきます。 あと一点挙げるとすれば、少し盛り上がりに欠けていたのかも、という所。 ストーリー自体は、ありがちといえばありがちなんだけども、私は凄く好きなタイプの作品です。ですが、もう少し思いっきり盛り上がる所があって、全体で見たときに起伏を感じさせたらもっと良かったのではないかと。 少しだけ平坦な印象があるので、そこが少し残念だったなと思いました。 何はともあれ、良い作品です。 SF好きもそうでない人も、「無条件試験終了型」に飽きている人もそうでない人もw 是非プレイしてみて下さい。 一ルートは大体一時間~一時間半くらい。気に入った方は、是非plus discというシェア版も出ているみたいなので、そちらの方もチェックしてみて下さい。
by s-kuzumi
| 2008-02-09 00:17
| サウンドノベル
|
Comments(0)
|
アバウト
カレンダー
メモ帳。らしきもの。
■レビューリストを作りました。随時更新予定です。こちらからどうぞ。
■ノベルゲームのコミュニティと素材ポータル始めました 制作者の方とプレイヤーを繋ぐような、そんなコミュニティを作りました。 こちらからどうぞ。 そして、ゲーム制作に利用出来る素材ポータルサイトも作りました。 こちらからどうぞ。 どちらも、是非ご覧になってみて下さい。そして、ご参加/ご利用頂ければ幸いで御座います。 フリーのノベルゲーム/サウンドノベルをレビューをやっております。たまに私のどうでもいい日々之記録が入る事がありますが、ご了承下さいませ。 ・“引用”としてスクリーンショットやストーリーの概略などの文章を使わせていただいております。問題が御座いましたらご連絡下さい。対処いたします。 連絡先はkazenitsurenaki あっとまーく gmail.com です。 ・レビューは「甘口~中辛」くらいです。 ・評価は完全に私個人の主観に基づいています。評価は「大吟醸」「吟醸」「無印(=純米)」の三段階となっております。参考までに。 で、実は、 こちらが本館です。ブログは別館的な位置づけなのですが、何故かこちらがメインになってしまっています……。バナーなんかもあるので、リンクを張って下さる方はご利用下さいませ。 リンクに関しては、お好きにやっちゃって下さい。許可なんかは一切要りませんので。 本館の方では、謎の音楽制作などをやっております。こっそり更新している事もありますので、たまに見てやって下さると嬉しいです。 カテゴリ
以前の記事
2024年 11月 2024年 05月 2023年 07月 2020年 08月 2020年 05月 2020年 01月 2019年 12月 2018年 09月 2017年 09月 2016年 12月 2016年 06月 2016年 04月 2016年 02月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 10月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 04月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 検索
タグ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||