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久住女中本舗

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2008年 03月 27日

フリーサウンドノベルレビュー 『ソラヲツカム』

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今日の副題 「二つの翼で空を翔ぶ」

ジャンル:青春泣きノベル(?)
プレイ時間:一時間くらい。
その他:選択肢なし、一本道。微百合。
システム:吉里吉里/KAG

制作年:2008/2/29
容量(圧縮時):12.1MB



道玄斎です、こんばんは。
東京は櫻が満開になりました。こういう時にゃぁ、上野公園だって所に行っても酔っぱらいしかいないから、近所の櫻を眺めて楽しむのが正解なんじゃないかと思っています。
限りなく白に近い薄紅色を楽しむのに、喧噪は却って邪魔になるのかも。
それはさておき、今日はばっちしゲームをプレイしましたよ。
少し、荒さや誤字が気になったものの、ラストの引き込みが中々のものだったと思います。
というわけで、今回は「M.I.C. 」さんの『ソラヲツカム』です。
良かった点

・シナリオに多少硬さが残っているが、後半の引き込みがなかなか。

・主人公もヒロイン(?)も共に女性で、少し珍しいタイプの設定。


気になった点

・誤字などが気になった部分が。

・一枚絵と立ち絵の雰囲気に若干違和感が。

ストーリーは、今回は私がさらっと纏めておきましょう。自分でストーリーを纏めるのは久々ですね。
主人公篠木のクラスに、長期入院をしていた生徒が登校してくる。
彼女の名前は天使翼(あまつかつばさ)。名前の通りの美しい少女に篠木は目を奪われ、彼女に興味を持つようになる。しかし、天使が学校にやってきたのは一日だけ。篠木は友人達から天使の入院している病院を聞き、そして……。

こんな感じですかね。
最初に言っておくと、主人公の篠木は女性です。
これが男性主人公だったりすると、なんだかオーソドックスというか良くあるタイプの学園モノって感じがヒシヒシとするのですが(「可愛い娘がクラスにやってきたぞ!やっほー!」みたいなw)、主人公が女性、ヒロインも女性。そしてこの二人の間に芽生える恋愛感情(?)など、意外な変化球が飛んできます。

プレイスタイルはオーソドックスなもの。
日付が出てきて、その日一日の篠木の動きを追っていくような、まぁ良くあるタイプのシステムになっています。システムは恐らく吉里吉里/KAG。
大体小一時間~一時間くらいで読み終えてしまう作品で、ループなどもありませんから特にシステム的に使いにくいといった事もありませんでした。

前半部に少しシナリオ進行の硬さみたいなものを感じる場面がいくつかありました。
そうですね、翼と篠木が仲を深めていくような描写が少しだけ表面的すぎるような、そういう印象が若干あります。
後半部に活きてくる、「恋愛感情」的な「好き」という気持ちがやや唐突に思えてしまうんですよね。尤も、敢えて控えめに描写している可能性が高いのですが。
というのも、ラストでちょっとした小道具が出てきまして、それとリンクしていくんじゃないかなぁ、と思ったり。
ただ、やはり距離が縮まっていく様子、みたいなものをもう少し丁寧に追っても良かったんじゃないかな、と感じます。

翼と篠木の距離の縮まりや、恋愛的な感情の萌芽を描く機会は実はあったように思えるのですよ。というのは、今まで仲良くやっていた友人である麻衣(本作のアイコンは恐らくこの麻衣です)と翼を天秤に掛ける、みたいな場面があって結構印象的なシーンになっています。
こういう所で、「麻衣ではなく翼」というような、篠木の心の変化が描写されたら良かったのかもしれません。
折角出てきている麻衣というキャラクターを活かしつつ、翼と篠木の物語を深めていけたらベストですね。

ただ、本作は後半から一気にクオリティが上がってきます。
ネタバレは回避しつつ、例の如く歯切れの悪いしゃべり方になってしまうのですが、結構重大な事件が起きてしまって……。
良くあるっちゃ良くあるのかもしれない、そういうタイプの事件なんですが、この辺りから「どうなるんだ?」と読者が前のめりになってしまうような、そういう引き込む力が全開になってきます。正直、どうなるのか予想が付かずにはらはらしながらプレイしてしまいました。

翼の行動の是非はともかくとして、そこに至るまでの動機というか、そういう兆候というか、そういう描写がもう少し丁寧に描かれていたら言うことなしですね。
或る意味で「とても綺麗」なエンドになってしまっているのですが、もう少しそこに「実」の部分があっても良かったように私には思えました。

本作が、二作目ですね。
多分、この作者様は今後大きく伸びるんじゃないか?と将来性を感じさせます。
まだ、多少荒削りで少し堅い部分はあるのですが、これは一皮むけると凄い作品が出てきそうで、今から楽しみです。

最後の苦言を。
致命的に気になったのは誤字でした。
すっごい良いシーンで「篠木」の字が「死の気」になってしまっていて、「ありゃりゃ??」とw
「同性」が「同姓」になってる、くらいじゃ別に驚きはしないのですが、流石に「死の気」はマズイだろう……と思いましたよw

短い目の作品ですが、この手の作品が好きな人はどっぷりとハマれると思います。
後半からの盛り上がりは必見です。
今後、注目する必要がありそうな作者様です。今のうちの青田買いをオススメします。

by s-kuzumi | 2008-03-27 22:05 | サウンドノベル | Comments(0)
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