2008年 04月 29日
![]() 今日の副題 「人生の+α」 ジャンル:詩的短編(?) プレイ時間:約1時間 その他:選択肢なし、一本道。 システム:NScripter 制作年:2008/4/2 容量(圧縮時):37.1MB 道玄斎です、こんばんは。 レビューを書くのは久々ですね。まだ本調子ではないのですが、ふと思い立って落としてあったゲームをプレイいたしました。 「復活しました!」っていう感じでもなくて、まぁリハビリを兼ねつつ、という感じでしょうか。 で、今回取り上げる作品は、まだほんの少し固さみたいなものはあれど、良いものを持った作品なんじゃないかな、と思います。というわけで、「空と雲と風」さんの『そよ風の街道』です。 良かった点 ストーリーはサイトから引用しておきましょう。 とある街の話。 こんな感じのお話になっています。 久々にゲームと真っ正面からぶつかってみました。 久々と言っても、実はせいぜい二週間くらいでしょうか?それでも自分にとっては物凄い長い蓄電期間なわけで、しかも復活(?)にあたってこのようなじんわりとくる作品に出会えたのは僥倖というべきでしょう。 一応、短編と銘打たれていますが、大体一時間くらいの作品ですから実は短編って程でもないのかな、なんて。いや、ここ一月ばかり集中力が持たずに一時間の作品であっても、まともにプレイ出来なかったので。。 で、本作ですがジャンル分けがとても難しい作品です。 恋愛っていうのでもないし、ファンタジーとも違う。かといって所謂「泣き」とも違うわけで、作者様のサイトの文言に従えば「詩的短編作品」という事になりましょうか。先に挙げた要素を微妙に含みつつもジャンル分けそれ自体を拒否するような、或る意味で不思議な手触りの作品になっていました。 設定も意外と面白いんですよ。 生きるためだけに暴力癖のある親方のもとで、特に目的もなく働く少年が、ある日ミステリアスな踊り子の少女に出会って……、という感じなのですが、安直なボーイミーツガール的なスタイルに走らない所もまた好印象。 結局、人間「生きる為に働かないといけない」わけですが、そこに充足感を得られるかどうかってのはまた別問題です。 貰えるお給賃が低くても、そこに自分が満足出来るような要素があれば、それはとても素晴らしい事だと思うし、逆にお給賃が高くても全く自分の仕事に誇りを持てなかったり、或いは一つも満足出来る要素がない、なんてのはちょっぴり寂しい。 或いは、仕事では充足感が無くても、自分がお金の授受とは無縁の所でやっている活動が充実していればOKなのかもしれません。 兎も角、人はパンだけで生きているわけでなくて、何か「生き甲斐」っていうと大げさだけれども、そういうものが必要なんでしょうねぇ。いや、勿論お金を軽く見てるってわけじゃないし、いざという時に頼りになるのはやっぱりお金だったりするわけでw けれども、何か+αがあると人生、楽しいよな、なんて考えてしまいました。 作品のテーマっていうと語弊があるかもしれないけれども、まぁそんな事をつらつらと考えさせてくれるような作品でした。 まぁ、言ってしまえば割とありそうな感じである事は確か。だけれども少し切り口が新しいというか、そういう意味で新鮮みがあったように思えます。 これが、やっぱり現代日本を強く意識されるような文脈で語られていたら、やっぱり陳腐になったのかもしれませんね。 だけれども、街道のあるヨーロッパっぽい舞台が、良くあっていたと思います。 ただ、もう少し舞台についての説明があっても良いのかな?なんて。最初読みながら「舞台は日本なのか?どこなのか?」とちょっとだけ混乱してしまいましたw タイトルにも入っている「街道」をもう少し意識させ、リンクしてくれるような、舞台の説明があると全体の纏まりも更に良くなったのではないかと思います。 そうそう、挿入歌とかが入るんだけども、ヴォーカルが高レベル。 「を、巧いじゃん!」と思わず思ってしまいます。 本作は、割と音楽が重要な部品の一つなので、随所随所で音楽を奏でるシーンが出てきたりするのですが、例えば先に述べたヴォーカルが入る所、或いは主人公の男の子が笛を吹いたりする所で、微妙にウエイトが掛かるのが、個人的にちょっぴり気になりました。 最初、ヴォーカル曲が流れてきた時に「こりゃ、フリーズか?」と一瞬思ってしまったくらいでw ラストの余韻も中々でした。 結局、消化不良な所も出てきてしまうのですが、最後のシメ方はじわりとくるものが。 こういう、どこかファンタジックでそしてどこかノスタルジックな雰囲気、私は好きなんですよねぇ。バリバリのリアルさのあるノベルも決して嫌いじゃないけれども、現代日本とは少し違うという部分が、緩衝材というかそういうものになって、心地よく響いてきます。 消化不良の部分ですが、やっぱりヒロインに関して謎が残ってしまうのがちょっと……。あの眼鏡の優男はうっすらと正体が分かるものの、何かしらの説明や、示唆があっても良さそうな。とはいへ、「詩的」な作品ですから、全部語ってしまわないのが却って良かったりするのかも?? 全体的に、まだ少しの荒さや固さはあるものの、キモの部分はきらりと光るものがある作品でした。作者様は連作のノベルゲームもリリースしているみたいですので、本作を気に入った方はチェックしてみると良いかもしれません。 それでは、また。
by s-kuzumi
| 2008-04-29 22:12
| サウンドノベル
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