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久住女中本舗

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2008年 05月 15日

フリーサウンドノベルレビュー 『鉢の底』

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今日の副題 「さなぎから蝶へ。蝶から……」

ジャンル:サイコホラー+α(?)
プレイ時間:約1時間
その他:選択肢無し、一本道。15禁。15歳以下の人はプレイしちゃ駄目。本レビューは「フリー版」にてプレイ。
システム:NScripter

制作年:2008/5/10
容量(圧縮時):60.9MB



道玄斎です、こんにちは。
かなり気になるゲームがあったのでプレイしてみたら、アタリでした。
というわけで、今回はいつも独自の世界観で新しいホラーを見せてくれる「ぱんけーき」さんの『鉢の底』です。
良かった点

・どこかノスタルジックな雰囲気と独自の狂気の世界が、好きな人にはたまらない。

・雰囲気にあった音楽をチョイス。


気になった点

・少し、リアルな効果音に好き/嫌いが分かれそうw

・(少なくとも「フリー版」では)明快なオチとかテーマ性は乏しい。

ストーリーは、サイトの方でご確認下さい。こちらから「通常版」→「物語」でいけると思います。


さてさて、「ぱんけーき」さんがまたやってくれました。
一ひねりある怖さというか、狂気の世界を描くのが本当に得意な作者様ですよね。
私が無知なだけかもしれませんが、この独特な世界観は、唯一無二のものなのでは?

シェア作品だけでなく、フリーもしっかりリリースしてくれているので、私のような「フリーサウンドノベル/フリーノベルゲーム」愛好家も満足出来ます。

兎にも角にも「ちょっと切り口の違う怖さ」が満載です。
「うわっ、ここは悪霊が住み着いている館だ!」とか、そういう直球とは一味違う。いや、勿論そういうのも、大好きなんですよ?

本作は、前編・後編の二部構成。
舞台は大体今から50年ほど前。ほんの少しノスタルジックな香りがするアパートが主要な舞台という事になりましょうか。

前編では名前すら判明しない謎の少女が、男に拉致監禁されて……、というものなんですが、ただ単に「見ず知らずの人に拉致監禁されました」という怖さだけじゃなくて、その犯人に少しづつ好意を少女が抱いていってしまうという、「ストックホルム症候群」みたいなところが、凄くいいですねぇ。
プレイヤーが少女に感情移入して感じる怖さと、プレイヤーとして客観的に物語を眺めた時に生じる怖さ。この二つの怖さが同時に感じられて、物凄く新鮮で面白い。
敢えて言うなれば、「ちょっと知的なホラー作品」という感じでしょうか。

前編では、割と何が起こったのか分かりづらい面があるのですが、その謎は後編で明らかになります。

後編は前編から二年前の世界。
こいつを読むと、前編・後編の繋がりが一気に分かってきます。
また、後編が恐いんだ……。

センシティブな少女の内面の怖さっていうか、そういうものがフィーチャーされてきます。
或る意味では、「女の業」みたいなものを描いているって言っても良さそうです。ヒロイン(?)は二人ともセーラー服を着た女学生ですしね(マリ見て風のセーラー服。志摩子さん系)。

私は、自分が男ですから「少女の内面描写」みたいなものに物凄い関心があったりするのです。
結局の所、永遠に男は「少女」であったり「女」っていうものを理解出来ないわけですから。多分、私の少女漫画好きって、そういう所に起因しているんでしょうねぇ。特に谷川史子が好き、というのもイカニモな感じです。


気になった点としては、やっぱり好き嫌いが割と如実に表れる感じ、というアタリでしょうか。
私は好きですが、やっぱり15禁というだけあって、暴力描写・グロテスクな表現(+それを喚起する効果音)や、性的表現なども入ってきますから。
結構、効果音がリアルでねぇ……w 「本当にいいのかよ……」と「この効果音恐すぎるよ……」という二つのタイプが入っています。

それと、オチみたいなものは無いんですよね。逆に言えばそれで違和感がないというのは凄い事なんですが、ストーリー性を求める人には向かない所もあるんじゃないかと思います。
そうそう、蛇足かもしれないのですが、誤字が一箇所ありました「惹きつけられる」とすべきところが、「挽きつけられる」となっていました。
まぁ、その……、「惹く」が「挽く」になってるという誤字だけでも、結構恐いですよねw


んで、本レビューは「フリー版」にてプレイした、と最初に書きましたが、「フリー版」という事は「フリーじゃない版」もあるというわけです。
一応、「フリー版」でも本編が丸ごと入っているので、プレイに支障は来さないのですが、よりこの作品を深く味わいたい人は是非シェア版をプレイしてみて下さい。
ダウンロード販売などもなさっているようです。

こことか

こことか

ここ

で購入出来るみたいです。興味のある方は是非。

それでは、また。

by s-kuzumi | 2008-05-15 13:32 | サウンドノベル | Comments(0)
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