2008年 08月 10日
道玄斎です、こんばんは。 結局、あれから怖い話をあれこれ検索したりして、今日も一日が終わりました……。 以前、住んでいた場所にまつわる怪談を発見したりして、中々面白かったんですけれどもね。 さて、今回はタイトルに「超番外編」と銘打ってあるわけで、内容はただの日々之雑記ではなくて、やっぱり変則的なものでいくつもりです。 滅多にこういう事はやらないつもりですので、超番外編、なわけです。 「InverseKinematics」さんの『御伽噺食堂』を体験版の頃から、追っていたので、その続報というかざっとレビューみたいな事をやってみようかと。コミケも近いみたいですし(私は不参加予定)、少しでもお役に立てたら、と。 かと言って、普通のレビューの括りにしてしまうと、「フリーのサウンドノベル/ノベルゲーム」というここの大原則が崩れてしまいます故に、こうして「日々之雑記」の括りでやらせていただきます。ちなみにお世話になっておきながら、一応フリーではないので、いつもより辛口でいこうかと思いますw じゃあ、先ず、お約束のスクリーンショット。 以前、かなりグーな一枚絵も載せたので、今回は立ち絵のみ。しかも私イチオシの神楽ちゃんのソロですね。この表情、溜まりませんね……w 正直、いつもフリーのものは遊んでいるのですが、所謂「同人ゲーム」なるものに触れるのは、極めて希な事ですので(そうは言っても、元同人ゲームとしてリリースされていた、フリーのものもありますよね。I'mとかね)、同人ゲームという業界に於いて、本作がどの程度の位置を占めるのか、自分なりの基準も持てないままなのですが、まぁ、いつものように思いついた事をつらつらと。 先に神楽ちゃんの立ち絵を見て貰ったわけですが、この娘さん、直球で私の好みですね……。姫カット最高です。涼しげな目元に翠の黒髪、抜けるように白い肌。最高ですな。 ともあれ、恐らく確実に言える事は、ヴィジュアル面に滅茶苦茶力が入っているな、という事です。立ち絵、一枚絵共に掛け値なしに美麗だと思いますね。 最近の私の好みの絵柄は、デフォルメの効いたものより、或る程度のリアリティを持ったものの方が好きなので、そういう私の好みとの合致もあるのですが。 ちなみに、結構好きな立ち絵のパターンが、里子の「うつむき立ち絵」です。 片手を口元にあて、もう一方の手はお腹の辺りに。何か、つわりっぽいような……w 中々味のある立ち絵で気に入ってます。 キャラクターで言えば、他には綾乃ちゃんがいいですね。この子もかなり好みです。どうでもいいのですが、私の本命の好みは(あっ、リアルでって事です)「綾乃ちゃんみたいな、割と大人しくて品行方正、且つ成績優秀を絵に描いたようなタイプが、成長してクールビューティーの神楽みたいになった人」ですw 大体、「私の好み」なんて発言を色んな作品のヒロインやキャラに対してしてきていますが、今述べたように「大人しめの成績優秀タイプ」か、「ちょいと融通の効かないクールビューティー系」に二分されているハズです。ほんっとどうでもいい話ですね。 まぁ、立ち絵や一枚絵に限らず、背景も力が入っていて良かったと思います。 このビジュアル面で物凄く作品の印象が良くなっているのは事実ですね。「結構ややこしいかな?」と懸念していた背後霊システム(相互好感度増減システム)も、実際にプレイしてみるとすんなりと理解出来るはずです。 で、この『御伽噺食堂』。どうも「ストーリーの第一話」っぽいような印象があるんですよ。 キャラの紹介、物語の舞台の紹介、そしてファーストエピソード、という感じで「よし、これからだ」という所でエンディングになってしまうんですね。 例の背後霊システムと、エンディングの種類で、エンド自体は相当数に分岐するのですが、基本は2つのエンディングがある、と考えると分かりやすいかな。その二つのエンドに対して、「誰と一緒に(或いは一人で)事件を解決するか」という部分で、エンド自体の数が多くなっている感じです。 ですので、ノベルゲームにしては珍しい、“やり込み型”なのかもしれません。 かなり細やかな設定が出来ますし、勿論既読スキップも完備しているので、そこまで大変ではないのですけれどもね。 とは言え、「俺はこいつが大好きなんだ!」というお気に入りのキャラがいる場合、ついつい、そのキャラをストーリーに参加させたくなってしまうと、コンプリートは難しいw 独特のカッコよさもポイントです。 普段は町(街に非ず)の大衆食堂の店員をやっているやつらが、実は裏の家業を以て、人知れず事件を解決する、というコンセプトは、私的にストライクでした。 最初っから、「~はかの英雄~の子孫であり、~の神主としてこの国で有名である」とかよりも、ちょっぴりダサイ雰囲気の“表の顔”があり、一方でカッコいい“裏の顔”がある、とかの方が味わいがあると思うのですが如何でせうか? 和風のテイストも非常にいいですね。そもそもああいう大衆食堂なんて極めて和風だと思いますし、グラフィック周りだったり、はたまたシステム画面だったりで、随所に和風のテイストが厭味にならない程度に使用されていて、江戸時代とか平安時代じゃなく現代が舞台でありながらも“純和風”の香りがします。 結局、私の考える和風も、そういう感じなんですよね。勿論コテコテの和風な時代も好きなんだけども、夕暮れの町の路地裏とか、豆腐屋の笛の音とか、一見無造作にさりげなく活けてある草花とか、なんかこう現代でも妙に懐かしさを覚える感覚っていうのかな? そいうのを刺激してくれるものが私の和風の基準だったりします。 そういう意味でも、本作は素敵なテイストで好みの雰囲気でした。 気になった最大のポイントは、ストーリーの濃淡の問題でしょう。 先に「第一話目的」と述べたのと関連があるのですが、エンドに向けての材料が揃い、クライマックスへ一気に物語は進みます。なんだけれども、所謂「解決パート」ではもっともっと時間を掛けて、じっくりと話が進んでも良かったかな、と思います。 単純にプレイ時間の配分で考えてみると、 導入→事件のカケラの提示(日常パート?)→事件勃発→クライマックス(事件解決) という一連の流れに於いて、大体どのパートもプレイ時間が同じくらいなんですよ。 どのパートも等しく増補する、という手(それでもやっぱりクライマックスはじっくりと且つ、畳み掛けるような勢いが欲しい所)や、或いは日常パートの後半くらいから、じっくりとじわりじわりとエンドに向けて、緻密に描いていくなんてのがあっても良かったのかな、と。 もう少し「日常パートを読みたいなぁ」とか、「こいつらの正体について、もっと知りたいなぁ」と思うわけで、そこらへんに増補のポイントがあるような気がしています。 独特のグーな雰囲気や、潜在的に物凄い良いモノをもっていながら、全体的に少し語り足りない部分というか、ボリューム不足は否めません。 飽くまで私だったら、という事で考えてみると、例えば、敵が自然発生的に出てくるのではなくて、「何でこのタイミングでこいつが出てくるんだ?」というような敵のバックグラウンドにまで踏み込んで、且つ、敵を倒す、というよりは、敵も救ってやるみたいな、そういう雰囲気の方が作品には合っているように思います。同時に「何でそれで倒せるんだ?」というような、主役達の異能にも踏み込めそうな気も。。 折角の、伝奇っぽい作品ですから、それっぽい解説も入れていきましょうか。 「急急如律令」というお馴染みの呪文のシメの言葉があります。「急」に「口偏」が付いている方が正式だと思うのですが、まぁそれはどうでもいいでしょう。 肝心なのは、この系統の呪文が中国由来だという事です。つまり「漢文として読める」んですよ。又、例によって返り点を付けて、読み下してみましょうか? 急急如二律令一 で、“急急ニ律令ノ如クセヨ”と読めばいいのかな? 律令というのは、日本史でやった「律令国家」の律令ですね。法律とかそういう意味なんですが、この場合は「定め」とかそのくらいで訳した方が良さそう。 つまり、「速やかに定められた通りに作用せよ」という、呪文のシメの言葉となっているわけです。呪文や術って一つの装置ですから、仕掛けを作ってやって最後にスイッチをONにしてやるわけです。このスイッチを入れる為の文言が急急如律令という事になりましょうか。 こうやって伝奇作品を読み解く上でも役に立つ、学校教育。意外と侮れませんね。 ちなみに、衝撃の事実をお伝えしましょうw 「漢文って読み方は一つじゃない」んです。学校教育では、所謂「お手本」的な読み方があって、それに外れるとテストで×を付けられちゃうんですが、漢文を読むという行為を本質的に考えてみると「古代中国語を古代日本語で強引に読む」という事になるわけです。文法の体系が違うからレ点だ一二点や、上下点なんてものを使って「日本語の文法で読める」ようにするわけですが、そんなのは枝葉末節でして、もっとどえらい問題は「日本語で読めれば良い」という所にあるわけです。 そうね……、適当な例を挙げると「見義不為、無勇也」という有名な言葉があります。が、これ「義を見てせざるは勇無きなり」と読んでも、「義を見て為さざるは勇無きなり」と読んでもOKなんですよ。どっちも日本語で通じますから。 大体、今の漢文では或る程度の「読み方の統一」が行われているわけですが、各流儀で読み方の秘伝があったりするんですね。アンオフィシャルなものですが、私も某流派の読み方を微妙に習った事があります。 ちょっと変わった読み方では「文選読み」というものがありますね。 これは漢語を「音で読み、更に訓で読んで重ねる」というものです。ぱっと今思いつくものだと「宇宙」という語を読む時に「うちゅうのおほぞら(=大空)」と読んだり、「宮殿」という語を読む時には「きゅうでんのおおとの(=大殿)」と読む読み方です。 詳しく知りたい方は、『千字文』を読むといいですよ。岩波文庫が一番入手しやすいと思います。あっ、そういえば昔作ったださいバナーの背景に使っているのが、『千字文』でしたね。 で、またど派手に脱線してしまいましたが、「急急如律令」に代表されるような(?)主人公達の異能のパワーについて、もっとディープに語っても良かったんじゃないかな、と思うのですよ。 言わば、伝奇作品で、主人王、或いは敵の持つ異能の力は、一つのキモなわけですから、もっと密度が欲しい所。そうすると、敵との相性の問題とか、まぁ色々ストーリーを拡げていく事が可能だったのかな、と愚案するのでありました。 そう、ね、たとえば誰がどの系統の術を使うのか? とか、どのくらい強いのか?とかも知りたいですよね。 今回は、ちょいいつもより辛口なんですが、気負わず気軽に楽しめる、という部分では良い作品だったと思います。 さじ加減が難しい所だと思うのですが、やったらめったら設定に凝り過ぎちゃって読むのが苦痛になってしまうようなものよりは、このくらいの方が、プレイヤーとしては楽しめますよね。 それにつらつらと挙げてしまった、短所を美麗なイラストがかなりカバーしていますし、正直、可愛い女の子達のイラストを見る、という意味で購入するのも全然アリだと思いますよ? 一プレイヤーとしては、この世界観をもっと掘り下げていった第二弾、第三弾が出てくれたら言うこと無しですね。序章的な印象が強いので、是非「次のミッション」を見せて欲しいなぁ、と。 ともあれ、少しでも気になる部分がある方は、購入してみて下さいね。 そんなこんなで、朝になってしまいましたねw さて、これから眠るとするか……。
by s-kuzumi
| 2008-08-10 04:38
| 日々之雑記
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