2008年 08月 13日
今日の副題 「久々に泣きました」 ※吟醸 ジャンル:感動ノベルゲーム(?) プレイ時間:2時間半~3時間くらい。 その他:選択肢無し、一本道。 システム:NScripter 制作年:2008/2/23 容量(圧縮時):118 MB 道玄斎です、こんばんは。 まだ少し調子が出ないのですが、今日は久々のレビューです。ここ数日時間を掛けてプレイしていたものです。というわけで「HIMMEL」(でいいのかな?)さんの『君といた夏』です。 良かった点 ストーリーは、サイトのURLを張っておきましょう。こちらからどうぞ。 というわけで、吟醸は久々ですね。 ボリュームもたっぷりだし、季節も今にぴったりで感動出来る良作だったと思います。 そうそう、ちなみに本作、筑波大学内サークル現代視覚文化研究会有志メンバー集団『フセソフト(仮)』さんが制作なさったゲームに、加筆・修正などを施して「HIMMEL」さんがリリースなさっている、という体裁のようです。 結構、プレイするのに時間が掛かったように思います。 何日にも分けてプレイしていたからなんですが、大体、普通に読んだら3時間くらいは掛かりますね。或いはもうちょっと掛かるかも。 さてさて、肝心の中身なのですが、中盤からが物凄くいいですね。 最初前半部をプレイしていた時には、「ん~? なんだかなぁ?」という割とマイナス評価だったのですが、途中で物凄く化けました。 前半部のどこが厭だったのか、というと、主人公が「他人を寄せ付けない孤高タイプ」で、且つ、なんだか分からない内に謎のパワーを秘めた女の子がやってきて、押しかけ女房的に主人公の家に居着いてしまう、という辺りですかね。主人公もなんだか可愛げがありませんし、割とありきたりの設定に感じてしまったのでした。 しかし、中盤からキャラクターも増えて、一気に楽しい雰囲気が出てきます。そう、前半は割と暗い感じなんですね。 にぎやかし系の神永さんの存在が、本作を一気に変化させてくれた感じです。更に謎の少女チトセを巡る謎も、全然推測出来ず(前半部で、こりゃすぐにネタが分かるぞ……と思ってた)、物語の中に引き込まれていきました。 今、全体を通してプレイしたわけですが、ギミックといった部分で真新しいようなものはないんですよ。パーツパーツで見れば、どこかで似たような系統のお話をプレイした事があるんです。ですが、それでも尚、やっぱり中盤~ラストまでの流れはとっても良かったですし、ラストは素直に泣いてしまいました。ちょっぴり、だよ? 最初はチトセのキャラクターメイキングも「ちょっと過剰なんじゃないかなぁ?」と思ったりもしたんですよ。何しろ口癖が「うみゅ」とか「うみゅー」なわけで、まぁ要するに一種の「うぐぅ」ですねw そんな違和感もプレイをしていく内に気にならなくなってしまいますし、チトセの無垢な性格付けに必要だったのかもしれないなぁ、と思わなくもないw 単純に、プレイしていて「この空気感、心地よいな」と感じる事があります。 それは特に事件が起きたりしている最中ではなくて、何気ない日常が続くシーンだったりするのですが、そういうなんてことない日常描写に魅力があるか無いか、結構重要なポイントだと個人的に思います。 で、徐々にチトセや神永さん(或いは地域密着型スーパーのおばちゃん)と交流して、無愛想一辺倒だった主人公が徐々に変化していく日常シーン。王道の展開ですが、なんだか妙に良かったですねぇ。 こういう日常シーンを積み重ねていく事で、キャラクターに対する、そして作品そのものに対する思い入れが増してくるように思えます。 後半からは衝撃の事実が明らかになるわけですが、ここらへんも読み応えがありました。 前半部よりも中盤・後半以降が文章もなんだか読みやすい印象です。 チトセを巡る謎が明らかになり、物語は一気にラストへ。感動の伏線みたいなものはそれまでに十分張られているので、泣けること請け合いです。 主人公の抱える問題、そしてチトセを巡る謎が上手く絡み合っていて、本当に言ってしまえば王道なんですが、やっぱり、いいですよ。 私は個人的に主人公の抱えているトラウマ(やそこに由来する悩み)に妙に共感してしまいました。うんと簡単に纏めてしまうと「悲しい別れが必ず待っているのだから、最初から関わらないようにする」という辺りです。特に好きになってしまった女の子が相手ですから、共感度はMAXです。 また恒例の脱線ですが、一度でも悲しい別れを経験すると、男はとっても臆病になってしまうように思いますね。それが一度ならず二度三度と続いたら、もう私のようななっちゃいますよ?w まぁ、その上手く言えないのだけれども、相手の事が好きな分、別れが辛いですな。当然のことですが。 本作の主人公を始め、この手の作品の主人公は、ラストでちゃんとこういうトラウマを克服して現実に立ち向かいます。正直な所、羨ましいくらいの強さです。悲しい部分を抱えて抱えて、それでも生きていく、とっても難しいですが、そうあれたら、と思います。 恒例の気になった点ですが、立ち絵の処理がちょっと甘いかもしれませんね。 少しぼんやりとした絵になってしまっているので、残念でした。多分、想定しているサイズの二倍で作ってそれを二分の一に縮小するように制作すると、良いのではないかと。 絵自体も若干の垢抜け無さがあるものの、私は嫌いじゃないですよ? そんなわけでもうちっと立ち絵の処理がしっかりしていた方がより良かったな、と。 もう一点は、誤字です。 すっごい良いシーンなのに、「線香花火」が「閃光花火」になってしまっていて、「ありゃりゃ」と。 あと、ちょっと辞書を引くのが億劫なので調べていませんが、微妙に文章で誤用があったような、「あわよくば~」という文章なのですが、どうも普通だったら「ねがわくは~」にするんじゃないかなぁ? と思ってみたり。 あと、半分脱線気味なのですが、皆さんは「ねがわくば」にしますか? それとも「ねがわくは」にしますか? 私は「ねがわくは」です。だって、西行の歌で「ねがはくは 花の下にて」ってあるじゃないか。それに、昔漢文を勉強していた時に「“ねがわくは”と訓んだ方がいい」と言われた事もあるので。まぁ、現在では、一般的には「ねがわくば」なんでしょうけれども、私は「ねがわくは」を使ってしまいますね。 一夏の出会いを描く作品です。 季節も今が丁度ストライク。秋風の吹く前にプレイしてみて下さい。 そうそう、サークル様はコミケにも出店なさるようなので、興味があれば新作を購入してみるのもいいかもしれませんよ。 それでは、また。
by s-kuzumi
| 2008-08-13 18:55
| サウンドノベル
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