2008年 09月 11日
今日の副題 「あの女のにおいがする……」 ジャンル:ヤンデレアドベンチャー(?) プレイ時間:1ルート、2時間半~3時間くらい その他:選択肢あり、バッドエンドも多数。今回は9/8にリリースされたものでプレイ。一部、完結していないルートもある。 システム:吉里吉里/KAG 制作年:2008/9/8 容量(圧縮時):97.4MB 道玄斎です、こんばんは。 少しご無沙汰してしまいましたね。ここ数日忙しかったり、疲れが溜まったりで中々ゲームをプレイ出来ずにいました。そうこうする内に、「ヤンデレの大本命」だった作品がリリースされたとの情報を得て、早速プレイ。 とはいえ、まだ体験版という位置づけでいいのかな? ヒロイン(?)の一人であるあやめのルートがまだ未完の状態です。が、ずっとプレイするのを楽しみにしていた作品ですし、近い内に、完全版が出る事を願って、今回取り上げる事に致しました。 というわけで、今回は「ヒロインがみんなヤンデレのギャルゲ作ろうぜ!」スレッドの有志の皆さんの『止マナイ雨ニ病ミナガラ』です。 良かった点 ストーリーは、サイトのURLを張っておきましょう。こちらからどうぞ。 というわけで、楽しみにしていた作品です。 毎回、新着のゲームはないかなぁ? と各情報サイトを巡回しているのですが、その巡回ルートの中に、この『止マナイ雨ニ病ミナガラ』のサイトもあったのです。 中々制作が進まず、待ちきれないユーザー達、それでも頑張って完成させようとする制作者達……。「本当に完成するのか……?」とヤキモキしながら見ていたのですが、今回、三つのルートを最後までプレイ出来る体験版が出来たので、完成まで後一歩、という所までついにきました。いや、それ以前から体験版は何個かヴァージョンがあり、ダウンロード出来たみたいなんですけれどもね。私も一度体験版を落としていました。 で、まぁ、所謂“ヤンデレ”というジャンルの作品ですね。 こう、女の子が病んでいって、ヤバイ愛し方をしていく、みたいな。 実際、プレイしてみると分かるんですが、実はそこまで「うわっ、怖いっ!!」と感じるようなものでもなくて、割とどなたでもプレイしやすいんじゃないでしょうか? けれども根本が“ヤンデレ”ですから、刺したり刺されたり、打たれたり撃たれたり、結構キテるストーリーにはなっていますw グロテスクな描写とかニガテな人はちょっと注意が必要かもしれません。 ヒロインの名前も、みんなちょっぴりヤバめ。 朽無みそぎ、雨宮しとね、首館あやめ、犬哭キリコとなっております。しとねなんかはそうでもないのですが(ちなみに主人公の実妹だ)、首館(くびたち)とか、結構……ねw 私がプレイした順番は、みそぎ→キリコ→しとね→あやめ となっています。 以下、攻略した順にそって解説めいたものを。 先ずは、みそぎのルートです。 定番の幼なじみの位置にいるキャラですね。 正直、かなり胸がときめいてしまいました。お約束のてんこ盛りなんですが、酸っぱくてプレイしているとちょっとこっちが赤面してしまうような感じのストーリーが進行していきます。 大人しめの女の子、という設定があるので、かなり私的に好みの女の子です。 そんなわけで、前半は物凄い勢いで、恋愛モノのテイストが打ち出されていくので、「あれ? ヤンデレは……?」という感じなのですが、後半になってから一気にストーリーが黒くなってきます。 大人しい子ほど、実は怖いなんて良く言われますが、それを地でいくようなみそぎ。 ついでに、何故かハーレム状態の主人公w そんな純で鈍い主人公の争奪戦になるのですが、普段だったらなんてこと無いラブコメで終わる所がヤンデレだと、血を血で洗う凄惨なものにw 可愛さと病み方のギャップが怖さというよりも、寧ろキャラの魅力になっているような……。かなり後半は重めの展開になって、こちらが憂鬱になってしまうこともあるんですが、まぁ、思っていたよりは怖くないかな、というのが正直な所。 ちなみに主人公に食べさせる食事に「何か」を入れていた模様w トゥルーエンドを見ると、いきなり謎のストーリーが始まってしまうのですが、これは最後まで見ると本編との繋がりが明らかになって、思わずぞっとしてしまいます。正直、一番みそぎのルートで怖いのは、このトゥルーエンドを迎えた後のストーリーだったり。本編ラストで、感動的な演出をした後で、こういうストーリーでぐっと落とす。中々好みの仕掛けです。 次は、高飛車で超お嬢様のキリコのルート。 やっぱり、このストーリーも、キリコが妙にいとおしくなってしまうので、その後の病んだシーンでも怖さよりも、「可哀想」という印象をどうしても持ってしまうんですよね。 不器用な可愛さを持つキリコ、かなり好みですね。ちなみにキリコお付きのメイドさんも出てきますw そっちの属性が好きな人にもお勧めです。 お嬢様という事で、ライフルとかも出てきちゃうんですが、ラストはとっても良い感じに安心感のあるものでした。 次は、実妹のしとねルート。 これは重たいルートです……。一番私が思い描いていたヤンデレに近い「病み方」を見せてくれるルートでした。何しろ、実妹が兄の事が大好きで大好きで、という。 どのルートでも、視点が変わってヒロインの側から描写されるシーンがあるのですが、毎晩毎晩、このしとねは実兄に対して、「何か」をやっているようです……w グロテスクな描写も多めで、ちょっとやりきれない部分もあるのですが、背徳感を覚えつつも、ハッピーエンドに収束していくので、微妙な心に残るわだかまりが堪りませんw こりゃ、どうでもいい話なんですが、主人公としとねが一緒に買い物か何かに行くシーンがあるんですね。で背景画像はどう見ても「歌舞伎町」というw 背景画像はそのほかにも「秋葉原」とかそんなのも多くて、結構楽しい。 最後は、未完のあやめルート。 他のルートでは、「相当ヤバイ」キャラっぷりを見せている、あやめなんですが、彼女のルートを見ていくと、そんなにヤバイ病み方はしていない感じですよね。エキセントリックな言動をするものの、どちらかと言えば微笑ましいような……。 最も、未完のルートですからそこからヤバイストーリーが展開していくハズなんですが……。 けれども、何かストーリーの輪郭は見えていて、結構ラスト、泣けるんじゃないかなぁ? かなり感動仕立てになっているように感じました。 で、気になった点でも挙げたのですが、このルートではサブキャラの(しかもあんまり本編と関係が薄そうな)エピソードが結構多いんですよ。しかも結構長くて。サブキャラを立てる、というのは凄く重要な事なんですが、例えば例の悪友役の明良の不良ぶちのめしエピソードなんかは、全体のテンポを悪くしちゃってたかなぁ、なんて感じました。 ざっと、全体のルートを解説するとこんな感じでしょうか? やっぱりね、どのヒロインも魅力的なんですよ、とっても。イラストもすごい綺麗ですし、結果的に病んでしまうものの、どの子も「憎め無さ」を持っている子達です。 どれか一つのルートに入っていくと、紆余曲折はあるものの、多くの女の子達は結構主人公に理解を示してくれて、時には助けてくれたり、なんて事もあったりして、やっぱり「怖い!」というよりは「妙に殺伐とした恋愛アドベンチャー」という印象なんですよねぇ。 まぁ、ヒロインに対してプレイヤーが「憎い」なんて感情を持ってしまっては、駄目なので、当然と言えば当然なんですが、思ったよりはヤンデレっぽくないぞ、と。 割と、私のイメージでは「包丁とかの凶器によって肉体的に追い詰められる」というよりは、「精神的にグイグイ追い詰められていく」みたいなものをヤンデレと捉えているからなのかもしれません。 ただ、バッドエンドの回収が独立した楽しみになっていて、ちょっと面白かったです。割と常識的な選択肢をしていけばトゥルーエンドにはすぐにいけるんですが、バッドエンドの分岐が多くて、そこでヒロインの壊れた姿を見ることが出来ます。 どんな風にゆがんでしまうのか、どんな病み方をしてしまうのか……。そういう部分に興味のある方は、是非バッドエンドも全部回収してみて下さい。実はバッドエンド集めが本作の“ヤンデレ”な部分を強く感じる部分なのかもしれません。 今となってはブーム自体は沈静化してきているような気もしますが、ヤンデレ、やっぱり人気ですよね。本作もそうしたブームに乗る形で企画された作品だと思しいのですが、本当は怖いハズのヤンデレがなんでこんな人気なんだろう? と考えてしまいました。 これは私の勝手な考えなんですけれども、 ・一途な愛情が現代には無い からなんじゃないかなぁ、と。まぁ、ブームなんて要因はいくらでもありますし、広告代理店が本気を出せば、ブームそのものを捏造する事も可能です。けれども、自然発生的に出てきた(?)ヤンデレみたいなものを考えていくと、私はどうしてもそこにたどり着く気がするんですよ。 足りないから求める。現実に無いから空想の世界で。これは多分、凄く正常な事だと思います。勿論、程度の範囲にもよるけれどもw ヤンデレって、うんとゆるく、且つシンプルに纏めると「愛し過ぎちゃって、オカシクなっちゃう女の子に、ヤバイ愛され方をされて『うぎゃー!!』」みたいな、そういうジャンルですよね。 よーく考えてみると、本作の場合、女の子が「本格的に病んで」いくのは主人公とお付き合いをした後なんです。つまり、相思相愛にあって、独占欲がグイグイと出てきて、結果としてヤンデレになっちゃう、みたいな。 ですので、一方的な恋情・恋慕とはまたちょっと違うんですよね。それは寧ろストーカーの領域です。 上手く言えないんだけども、現代って付き合うにしても、割とドライですよね。 初めて付き合った人と結婚、なんてあんまりいませんよねぇ? 私の知り合いには居たりしますが……。大抵の場合、付き合って別れてというプロセスを何度も繰り返して、結婚したりする。あっ、いや別にそれを否定するつもりは無くて。 なんて言うのかな、「付き合う」って意味がなんだか凄く希薄になっているような、なんかそんな気がするんですよ。半ばファッション感覚で異性と付き合って、別れてみたいな事が随分多い気がしています。考え方は人それぞれで、勿論否定はしないし、出来ないんですが、私としてはもうちょっと、ドライでない恋愛っていうのが本当のあり方なんじゃないの? なんて考えたりするんです。 ほら、良くあるじゃない? 「冷めたから別れる」みたいな。あれってちょっと違うよねぇ……、と前々から思ってるんですよね(つまり、そういう事を言われた事があるって事だw)。 またちょっとアレな事を書くのですが、自分の拙い見聞から推測するに、多くの場合、男の子の方が恋愛ってのめり込み易くって、女の子の方が割とドライなような。 私自身は、例の谷川史子のマンガ的な世界が大好きなので、「一途」っていうのが凄く好きなんですよ。女の子と付き合ったら付き合ったで、「いつ捨てられるんだ……」と怯えたりするのは、やっぱりちょっと厭ですし、「付き合う以上はきっちりと」とか前時代的な事を考えてるタイプなので。 で、やっぱりそういう感覚って、ヤンデレブームを支えている(と思しき)20台くらいの男の子の間にもあるんじゃないかなぁ、なんて思ってしまうんですわ。 最近、ニュースだかでみたんですが、本当に結婚って出来なくなってきているみたいで(まぁ、経済的な理由とか本当に様々な要因があるんでしょうけれども)、就職活動ならぬ結婚活動をしなければいけないんだそうですよ、最近は。で、そういう活動を余儀なくされた男女の全員が全員恋愛経験がないってわけじゃないですよね。付き合って別れてみたいなプロセスを繰り返していたら、何故か結婚出来ていないというわけで。 そういう時代にあって、男の子が女の子から一途に愛されたいとか、ドライな関係じゃなくて、もっと真剣な恋愛がしたいとか、そういう気持ちって、多分あるんじゃないかなぁ……。 やっぱり上手く言えないけれども、簡単に消費し、消費される恋愛じゃなくて、もうちょっと生産的な恋愛がしたいじゃない? そういう潜在的な欲求っていうのかしら、そういうのをうんとデフォルメして、犯罪レベル(!?)で自分を愛してくれる女の子を生み出した。それがヤンデレなんじゃ? とか最近考えているのですが、どうでしょ? と、なんだかまた訳の分からない脱線をしてしまいました……。 話を戻すと、兎にも角にも、まだ本作は体験版の位置づけですから、「未完」なんですよね。 随所に出てくる美麗な一枚絵もスタート画面から鑑賞出来ませんし、完結していないルートもある。 それでもプレイしたくなるような「何か」があるのが、本作の魅力の一つ。全体的なクオリティも高いですしね。 そういえば、以前、「ノベルゲーマーの集い」でお会いした方が仰っていたのですが、「2ch発のゲームは実はどれもこれもクオリティが高い」と。実際私もかなりプレイしていますが、その感想は正鵠を射ていると言わざるを得ません。 本当にどれもこれもクオリティが高いんですよ。『NETANNAD』なんかも傑作だと思ってますしね。 掲示板を使い上手に人集めが出来て、開発体制を整える事が出来たり(メンバー間の調整は大事だと思いますが)、まとめページが出来、逐次進行を報告出来たりと、中々ゲームを制作するのに良い環境があるように思えます。 兎に角、まだ未完成で、あんまり怖くなかったり(私だけ……?)、後味もあんまり宜しくないのですが、ちょっとハードな恋愛モノw として見るとやっぱり完成度は高いですし、面白いんですよ。完全版ももうそろそろ出てきそうな気配がありますし、興味のある方はこの体験版で是非予習を。 それでは、また。
by s-kuzumi
| 2008-09-11 23:04
| サウンドノベル
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