1 2008年 09月 24日
![]() 今日の副題 「少しほのぼの、ラストは涙」 ※吟醸 ジャンル:狐の巫女とアルバイト(?) プレイ時間:2時間程度。 その他:選択肢なし、一本道。フルボイス。 システム:NScripter 制作年:2008/10/? (とreadme.txtではなっている。勿論フリー版にて) 容量(圧縮時):110MB 道玄斎です、こんばんは。 大分身辺が慌ただしくなってきたのですが、私が注目している作者様が新作を出したと聞いては黙ってはいられないわけで……。 というわけで、「花を吐く抄女」さんの『一子、二狐とも、巫女との狸』です。 良かった点 ストーリーは、サイトのURLを張っておきましょう。こちらからどうぞ。 ボイスサンプルや、イラストなんかも見れますので、是非是非。 面白かったです。 ここ最近の「花を吐く抄女」さんの作品は、割と抽象的というか、少し観念的というかそういう部分が、その独特の台詞回しと共にあったのですが、今回、ストーリー性がしっかりと表に出てきて、本当に良い作品に仕上がっていたように思います。 『挽歌~』はかなり好きだったのですが、今回の『一子~』をプレイして、「『挽歌~』を越えたかな?」と感じましたね。完全に妖怪とか神様とかそういう輩の世界を描くよりも、人間と彼らの交流、そういうものを描いた方が私的には好みのようです。 丁度、奇しくも昨晩、知り合いの方と「お狐様」について話をしていて、脱線してしまうのですが、ちょっと語ってみましょう。 私がお話した知り合いの知り合い。その娘さんのお話です。 娘さんは小学生くらいだかで、ついついいたづらで、仲間達とお稲荷様の灯籠だかなんだかを自宅に持って来ちゃったんですね。これはもう狛犬の上に載っかるとか、そういうレベルのいたづらではないですよね? で、結果何が起こったのかというと、その女の子(小学校低学年だったハズ)、その日を境に体調を崩し、何とお乳が出るようになってしまったんだそうな。「これはお稲荷様の祟りじゃ」という事で、灯籠だかを元の場所に戻して、お稲荷様のボス的存在の神社(多分、伏見稲荷にでもいったんでしょう)に行き、神主さんだか禰宜さんだかに相談して、お札を頂いたり、対処法を教えて貰ったりして、何とか事なきを得た。 と、まぁこんな話でした。 結構、お稲荷様は怖いぞ、というのが私と身の回りの人間の共通見解でして、敬うならばしっかりと、そうでなければあまり関わらない、という事にしています。ま、蛇足ですね。 で、本作、一子という女の子が、偶然巫女のバイトのチラシを見つけ、そこで例祭までの四日間、巫女さんになる、というのが大まかなストーリーの流れです。 巫女さんについては、私も色々調べたり、或いは教えて頂いたりした事があるのですが、普通(本職の)の巫女さんは26歳くらいで定年を迎えるので、そんなに長く出来る職業ではないんですねw 本作の場合、日給5千円ですが、これは恐らく全国平均で言えば、そこそこのお給料なのではないでしょうか? 大きな神社で日当1万円くらい、地方の小さな神社で日当3千円なんて話を聞いたことがありますから、まぁ割と平均的なお給料なのかもな、と思ったりして。 けれども、多分職業に対する価値観って、本当に人それぞれで「兎に角給料の良い所」を選ぶ人もいるだろうし、「自分の趣味や特技を最大限活かせる所」という観点から選ぶ人も当然居る。或いは「安定感」とか「のんびり過ごしたい」なんて理由から選んだりもしますよね。 寧ろ、「何となく流されて」何かの仕事に就くよりも、どういう観点からであれ「自分の意志」で職業を選択し、それに従事するというのは、本当に素敵な生き方だと思いますし、尊敬しちゃいますね。 ま、勿論、何となくなっちゃったものが面白くなっちゃって天職になった、なんてケースもありますけれどもね。 いや、私、実は今更なんですが「神主」になりたかったりするんですよw そうすると、多分神職課程のある大学に入学し直して、神職課程を履修して、神職実習を経てそういう職業に就く事になるわけですが、さすがに今更は厳しいかなぁ……? 「通信教育神職養成課程」なんてのがあればいいんですがw さて、今日は脱線多めですね。 で、神社に既にお勤めしていた黒銀と白金の二人は実は、狐です。所謂お稲荷様なんですけれども、神様ではないらしいのです。神様に事える、下位の神様というイメージでしょうかね。そんな狐の巫女さんと一緒に巫女ライフを送る一子。 かれら三人のほのぼのとしていて、微笑ましい生活の描写がなんだかとっても素敵です。 旧き良き昔を思い出してしまうような、じんわりと染み渡ってくる感じで好みの雰囲気でしたね。 で、声優さんの演技が上手なんですよ。 一子役の声優さんは、本当に感じの良い女の子を見事に演じきっていたように思いますし、黒銀も白金もとっても役柄にあった声優さんの選択だと思いました。若干、声の音量のバランスが崩れていたような所もあったり、はたまたテキストとボイスが合っていない(「ええ、申し訳ありませんが……どうも、私も黒銀も不器用なものでして……」という文章に別のボイスが割り当てられていた)ところはあったものの、好演でした。 一つには、前作よりも若干、あっさりとした台詞回しになった、という事情があるのかもしれませんね。遊女言葉というか、そういう台詞回しがこの作者様の文章の大きな特徴なのですが、結構難解なものもあったりして、声優さんが誤読していた、なんて事も以前はありました。 ところが、今回はそういう部分も見あたらず、且つ、読んでいっても割とすんなりと理解しやすい文章になっており、総じてテンポも良くなっていたように感じます。 特に本作のような、ストーリー性が多分に出ている作品だと、或る程度はテンポの良さが必要ですよね。意図してそうなさったのか分からないのですが、読みやすさが向上しており、好印象。 又、ただのほのぼの巫女ライフかと思いきや、ラスト付近で一気にシリアスな展開に。 一日一日の区切りに「回想」として、一子のものと思しき過去の回想シーンが入るのですが、その回想シーンとラストのシリアスな展開がばっちりと絡み合って、ラストに向けて突っ走っていきます。ラストは感動的なお話になっており(音楽の絡ませかたも上々)、しっかりと「泣き」を誘発してくれます。 こういうストーリーだとは夢にも思わなかったのですが、滑らかにストーリーの軸をシフトしていて違和感を感じる事もなく。 あー、もう一回脱線してもいいですか? 作中で珍味として「熊の手」の名前が出てきていたのですが、熊の手と双璧となっている珍味ご存じでしょうか? それは「駱駝の蹄」です。今日、暇にあかせて『春雨物語』という江戸時代の小説を読んでいたら、そう書いてありましたw いや、それだけです……。 で、気になる部分は、ラストのラスト。 本当に最後の部分です。すっかり目尻に涙を貯め、「ああ、いい話だったなぁ」と思っていたら、そこで更に驚愕の仕掛けが。何となくうっすらと分かるんですよ? けれども最後の最後で、例の微妙に難解な台詞回しのせいで、意味が取りにくかった部分がありました。 やっぱり最後はすっきりしたいわけで、ちょっとそこが気になりましたね。 そういえば、エンディングも凝っていましたし、例のoldmovie.dllでしたっけ? あれを使っての素敵な演出だったと思います。 お勧め作品です。 和菓子に日本茶を楽しみつつプレイすると雰囲気が出るかも? 私ですか? 北の誉大吟醸の粕を使った饅頭を食べながら遊んでましたw 同時にリリースされた『菓子狐憑き』の方も近々プレイ予定です。 それでは、また。
タグ:
▲
by s-kuzumi
| 2008-09-24 23:23
| サウンドノベル
1 |
アバウト
カレンダー
メモ帳。らしきもの。
■レビューリストを作りました。随時更新予定です。こちらからどうぞ。
■ノベルゲームのコミュニティと素材ポータル始めました 制作者の方とプレイヤーを繋ぐような、そんなコミュニティを作りました。 こちらからどうぞ。 そして、ゲーム制作に利用出来る素材ポータルサイトも作りました。 こちらからどうぞ。 どちらも、是非ご覧になってみて下さい。そして、ご参加/ご利用頂ければ幸いで御座います。 フリーのノベルゲーム/サウンドノベルをレビューをやっております。たまに私のどうでもいい日々之記録が入る事がありますが、ご了承下さいませ。 ・“引用”としてスクリーンショットやストーリーの概略などの文章を使わせていただいております。問題が御座いましたらご連絡下さい。対処いたします。 連絡先はkazenitsurenaki あっとまーく gmail.com です。 ・レビューは「甘口~中辛」くらいです。 ・評価は完全に私個人の主観に基づいています。評価は「大吟醸」「吟醸」「無印(=純米)」の三段階となっております。参考までに。 で、実は、 こちらが本館です。ブログは別館的な位置づけなのですが、何故かこちらがメインになってしまっています……。バナーなんかもあるので、リンクを張って下さる方はご利用下さいませ。 リンクに関しては、お好きにやっちゃって下さい。許可なんかは一切要りませんので。 本館の方では、謎の音楽制作などをやっております。こっそり更新している事もありますので、たまに見てやって下さると嬉しいです。 カテゴリ
以前の記事
2020年 08月 2020年 05月 2020年 01月 2019年 12月 2018年 09月 2017年 09月 2016年 12月 2016年 06月 2016年 04月 2016年 02月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 10月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 04月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 検索
タグ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||