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久住女中本舗

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2007年 08月 12日

フリーサウンドノベルレビュー 『call pure pain』

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今日の副題 『痛みの在処』

ジャンル:病院モノ(?)
プレイ時間:一時間半~二時間程度
その他:選択肢なし、一本道。
システム:吉里吉里/KAG

製作年:2007/8/2
容量(圧縮時):24.4MB



道玄斎です、こんばんは。

今日は今まであまり扱ってこなかった「病院」をメインにした作品を取り上げようと思います。
「呼び声のするトコロ」さんの『call pure pain』です。

以前、『カレイドスコープ』のレビューにて、ちらっと書いたのですが、私も結構入院を沢山している方なので、病院の描写や病人の生活には割と五月蠅い方ですw
今日は、レビューの他にも入院の話なんかも書いてみようかな、と思ったり。



良かった点

・読みやすいテキストと、それを邪魔しないBGM。

・脇役の看護婦さん(今は看護士さんかな?)達が、なかなかの存在感を持っている。

・右クリック時に、キャラ紹介(ランダム表示)が出るのは面白い。



気になった点

・個々の事件というかエピソードを見れば、盛り上がりがあるものの、難病患者が多すぎて、全体的に見ると、何となく淡泊な印象が。

・セーブして、ロードしようとしたらエラーが出てしまった(私の環境だけ?)ので、一気プレイを余儀なくされる。



主人公の白雪さんは、心筋炎にて入院し、そこで難病を抱えた少女達と交流していく、というのが大まかな筋書きです。
最初っから、少女の抱える病気が明かにならずエピソードを通じて、それが明かになっていく、というのはオーソドックスながら好感度の高い演出だと思います。

ただ、少し色々詰め込みすぎかな?と思う所もあります。
病院関係者である脇役が多数出てくるのは、良いのですが、難病を抱えた子達が沢山出てくると、少し話の焦点がぼやけてしまうというか。
もう少し、個々のエピソードを掘り下げつつ、展開に起伏を持たせた方が良かった気がします。

訃音さん兄妹のキャラは、割と唐突に現れて美味しい所をかっさらっていってしまう印象があったので、その点も気になりました。
雫ちゃんと同じ病気を抱えている、という事で前半部からちょこちょこと顔を出していた方が、唐突に現れました感が無くて良かったかもしれません。

ちょっと厳しく書きすぎていますが、良いと思う所もあります。
病院で入院する、というともすれば重たくなりがちなテーマですが、重たくなく、さらりとプレイ出来るのはこうしたジャンルのゲームにとって貴重だと思います。
特に注目したのは、入院患者同士の交流が、一つのメインテーマとなっている所です。
入院した経験の有る方は分かるかと思いますが、兎に角入院は退屈です。勿論、病気の程度や種類によっても違うのだと思いますが、ヒマでヒマで仕方有りません。

大抵のゲーム(本作でも出てきています)では、中庭に散歩が出来たり、或いは屋上に上がる事が出来たりするわけですが、実際はそんな事は出来ないのです。
それこそ毎日、お見舞いの人が来てくれるわけでもないし、怠い時には本を読んだりする事すら億劫です。
そういう時、入院患者の心の支えとなるのは、同じ入院患者との交流なのです。

大抵の病院には、談話室などがあってそこで決まった時間にテレビを見たり、或いはお茶やお菓子を食べたりする事が出来ます。あとは喫煙所とかですかね。
そういう所で、入院患者同士が交流を深めていくわけです。
勿論、同じ病室で隣のベッドの人とも仲良くなったり出来ますよね。お菓子を交換したり、ちょっとしたおしゃべりをしたり。

勿論、喧嘩が起きたりなんて事もよくありますがw、女性用の病室では、割とみんな仲良くしているんですよね。
ベッドに座りながら、とりとめの無い話をしたり、お菓子を食べたりと。
そしてお互いがお互いを本当に心配しあって気遣いあっている場面を何度も見たことがあります。退院してから、自分の居た病室を尋ねに行くなんて事も良くあります。
入院患者にとって、同じ入院患者との交流は、病と闘う上で、大きな力になるかけがえの無いものなのです。

本作では、白雪さんが涙ちゃん、そして雫ちゃんと交流をしながら、前向きに生きていくようになるわけですが、ゲームというデフォルメがありながらも、患者同士の交流を軸にしたドラマにはリアリティを感じます。
入院経験の有る方なら、結構うなづきつつ読めるような所も多いのではないでしょうか?



さて、ここらで趣向を変えて入院について書いてみましょうか。

兎に角、入院というのは退屈です。
売店が充実していれば、そこで日々雑誌を買ったり、本を買ったり出来ますが、正直、あんまり面白い本が無かったり、或いは自分が定期購読している雑誌は取り扱っていない事が殆どです。

暇つぶしの具が無くなると、今度は病棟ではなく、外来の待合室の雑誌を漁ったりするようになります。本作でもそうした描写がありました。
私の場合、去年肺炎で入院したのですが、外来の本棚で子供向けの本とか随分読みましたね。本当なら、長編で岩波文庫とかで刊行されているようなものを、子供向けにアレンジして短くしたもの。そんなものを良い機会とばかりに読みあさりました。

他の楽しみといえば、食事制限とかが特にない患者は「食べ物」だったりします。
とはいへ、病院で出る食事はお世辞にも美味しいと言い難く……。
だから、こっそり売店でお弁当を買ったり、おにぎりを買ったり、サンドウィッチを買ったりするわけですw ちなみにジュース類も暇つぶしに最適です。毎日違うものを呑んで、全種類コンプリートするとかw

物心付く前から、そして今に至るまで入院を割と沢山している私の知恵として、入院する時には「ふりかけ」を持っていく、というものがあります。
病院のオカズはどうしても不味かったりするので、ふりかけがあれば、最低でも白米を食べ力を付ける事が出来ます。日々の食事に変化を付ける、という意味でも複数種類のふりかけや、梅干しなんかを持っていくといいですね。

あと、入院患者の最大の楽しみの一つとして、「入浴」というものもあります。
それも病気の種類や程度によって違うのですが、毎日毎日、蒸しタオルで体を拭くだけだと、どうしても気分がさっぱりしませんよね。髪の毛洗えないし。

「~さん。今日から入浴の許可が出ていますけれども、どうしますか?」

なんて言われると小躍りしたくなりますね。
入浴許可が出ても、二日に一度くらいしか入れなかったりするのですが。
だからこそ、洗顔料とかそういうのも入院生活には必須ですね。

色々つらつら書きましたが、一番嬉しいのは、やっぱりお見舞いに人が来てくれる事。
向こうも貴重な時間の合間合間に来てくれるわけで、何時間も居てくれるわけじゃないのだけれども、「今日は~が来る」なんて日だと、朝からやっぱり楽しみですよね。
来てくれた人が帰ってしまった後っていうのは、又独特の寂しさがあるわけですが、そういうのを埋め合ったり出来るのが、患者同士の交流だったりするわけで。

そうさね、後は何か書こうかしら?
入院の際に持っていくと便利なモノでも書いてみましょうか。

・湯飲み(マグカップ)
お茶の配給の時などに使用。歯磨きの際のコップになったりもする。

・タオル類
リースをやっている病院も多いけれども、定期的に家人などに持ってきて貰うと、余計なお金もかからず経済的。使い慣れたモノの方が安心するしね。

・寝間着
意外と、あの浴衣チックな入院服はスカスカで寒い。
季節によっては辛い事も多いので、寝間着を持参する事をお勧めしたい。

・ナイフ
果物を剥いたりするのに使用。
所謂果物ナイフがあればそれでも可。私のお薦めはスイスアーミーナイフで有名な、ヴィクトリノックスのソルジャー。ナイフ・栓抜き・缶切りと必要最低限のツールがついていて、ちょっと便利。割り箸を削って楊枝を作ったりも出来る。
刃物の類を持ち込んじゃマズイ場合もあるので、許可を取った上で使用する事をお勧めしたい。

・ノートパソコン
これは許可が出るかどうか微妙。病院によって扱いが異なる。
私もノートパソコンを持っていたら、大量にフリーのサウンドノベルを詰め込んで、入院中ずっとプレイしていただろうに……。

大体こんな所かな。

入院生活っていうのは、大変で退屈なものですが、そこには必ずドラマが存在します。
それは患者同士の喧嘩だったり(大抵、騒音絡みで喧嘩になる)、入院患者の財布の中身を盗みに来る泥棒が現れたり(昔、隣の病室で深夜、その類の泥棒が出た)と意外とドラマチックな世界なのです。
健康で、病院なんて縁がないよってな方も、病院モノのゲームをプレイしてその一端を知ってみると意外と面白いんじゃないかと思いますよ?

# by s-kuzumi | 2007-08-12 20:32 | サウンドノベル | Comments(2)
2007年 08月 11日

フリーサウンドノベルレビュー 『月照~ツキノテラス~』

フリーサウンドノベルレビュー 『月照~ツキノテラス~』_b0110969_20351727.jpg

今日の副題 「きっと僕は君を照らすよ」

※大吟醸
ジャンル:恋愛(?)
プレイ時間:三十分~四十分くらい
その他:選択肢なし、一本道。
システム:NScripter

製作年:2007/7/31
容量(圧縮時):92.4MB


道玄斎です。こんばんは。
今日も又、傑作を引き当ててしまいました。ちょっと自分の好みを反映しつつ滅多に出ない(出さない)評価を五にしてみました。
短編といいつつも、なかなかボリュームのある作品です。
さくらミント」さんの『月照~ツキノテラス~』です。

いや、傑作です。
短編サウンドノベルの中でも白眉の出来映えです。
短編は、上手に纏める事が出来れば一個の作品としての纏まりが生まれやすい反面、描写が不十分になったり、となかなか難しいジャンルです。だからこそ、余計にこの作品に対する評価を上げてしまいました。

では、いつものように……。



良かった点

・凝ったBGM、オリジナルテーマ曲。そしてボイス付き(マイのみ)

・細やかな設定が可能。

・恋愛モノでありながら、非常に新鮮な設定。

・余情感の演出が巧み



気になった点

・短編にして100M超(解凍時)の容量。

・効果音のテキスト(鈴虫の声とか、ネックレスのシャラシャラ音とか)にもう少しこだわりが欲しい。



久々に、思わずうなってしまうような短編でした。
けど、これって短編なのかな?w 少し短めではあるものの、世間一般で通用する普通のサウンドノベルくらいのボリュームはあるような……。

軽くストーリーを。


大手広告代理店に就職するも二年半で、止めさせられた主人公は、無気力なまま生活の為になんとなくニューハーフパブ「シャンティ」にボーイとして勤める事に。
そこで、"女の子"として店で働くマイに出逢い、二人は親しくなっていく……。


こんな感じです。
ヒロインが「ニューハーフパブ」で働く「男性」なんて作品、今まで見たことありません。
マイのイラストや言動がまた可愛くて、思わず萌えてしまう事必定です。
かく言う私は、後半部分でかなりドキドキしながらプレイしてしまうという……。

男性が一個の「女性」となる作品は、フリーではありませんが『処女はお姉さまに恋してる』などが近いかもしれませんね。
とはいへ、本作は飽くまで"女の子"としてニューハーフパブで働くマイがヒロインで、本質は全く異なっています。

しかし、本作がイロモノであるかと言えば、全く違います。
作品自体はそこまで長くないのですが、二人が日々交流している事が記述される為、二人の距離が縮まっていく様子が丁寧に描写されていると感じました。

後半部の余韻の持たせ方というか、余情の出し方は非常に巧みで良かったと思います。
アフターストーリーで流れるオリジナルテーマ曲(ボーカル付き)は、場面とマッチしていて鳥肌が立つほどに作品を演出してくれています。

アフターストーリーで、夢を叶えたマイが作ったと思しきアクセサリーが、主人公の目に触れる機会があるのですが、敢えて「マイが作った」と明記しないあたり、余情感が良く出ています。

ただ、敢えて粗を探すならば、主人公はマイが男である事にあまり抵抗感を示さずに、マイに好意を向けるようになるのが少し気になりました。
勿論、作品中で「男でも女とかは関係無い。マイはマイだ」というようなセリフがあり、フォローがなされているのですが、もう少し男性が男性を愛する事への抵抗感のようなものを、二人の交流の中で少し描写しても良かった気がしています。
又、マイの夢の伏線をもう少し描いた方がより説得力が出たかもしれません。デートシーンが一回だけだったのですが、もう一回くらいどこかでデートなりの場面を入れて、マイの夢への伏線を張っておくと良かったかも。

テキストは読みやすいのですが、効果音の記述が少し気になりました。
多分、もの凄く難しい事なのでしょうが、鈴虫の音を「リーリーリー」で済ましてしまっていたりしたので、そこが気になりましたね。
例えばですよ?例えばですけれども「リィィ……リィィ……リィィ……」とかじゃ駄目でしょうかね?


兎に角、斬新な設定と素直で丁寧な描写は、十分評価に値するものです。
そして、安直に二人が結ばれるのではなく、マイは自分の忘れかけていた夢を追いかけていく、という終わり方も良かったと思います。

兎に角、何だかはっきりとは言えないのですが、じんわりとするものがあって、今もクリアー後に出る「オマケ」のテーマ曲をエンドレスで流して聞いています。

「伝えたい事がわかりにくい」というのを、私は割とマイナスの評価として用いる事が多いのですが、「結局何がいいたいんだ?」というのと、そこはかとなく何かを感じる「もののあはれ」的なものは明かに違います。
本作は勿論後者に属する作品です。


ちょっと、作品と絡めつつぐだぐだと思った事を書いてみましょうか。

作中で登場するニューハーフパブ「シャンティ」ですが、これはフランスのお城から採っているのでしょうかね。パリから車ですぐにある「シャンティ城」というお城があります。
森と川に囲まれたお城は小さいながら、とても素敵なお城です。ちなみに生クリームというかホイップクリームの発祥の地としても有名ですよね。フランス語で生クリームはシャンティといいます。

本作のタイトル「月照」ですが、これは何となく「天照大神」の「天照」を連想させます。
「天照」の方は言わずと知れた「太陽神」ですので、日の光です。
一方「月照」は、その名の通り月の光。
月の淡い光というのは、まさにこの作品のイメージですね。

更に言えば「天照大神」には兄妹神がいまして、「素戔嗚尊」と「月讀命」です。
「素戔嗚尊」は有名ですが、「月讀命」はそんなにメジャーではないかもしれませんね。
さて、問題なのは、「月讀命」は男神なのか女神であるのか分からず、諸説存在しています。
男でありながら女性である、マイの両義性みたいなものを「月照」というタイトルが示唆しているのかな?と思いました。いや、深読みのし過ぎかしら?


割と短めのプレイ時間ですので、是非プレイしてみて下さい。自信を持ってお勧めします。
ヒロインが男、という事で抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、是非是非。
きっと、プレイして良かった、と思う事請け合いです。

# by s-kuzumi | 2007-08-11 04:24 | サウンドノベル | Comments(2)
2007年 08月 10日

フリーサウンドノベルレビュー 『フィンジアスの少女』

フリーサウンドノベルレビュー 『フィンジアスの少女』_b0110969_20321330.jpg

今日の副題 「君を覚えている限り」

お勧め指数(五段階評価):三
ジャンル:ファンタジックミステリー(?)
プレイ時間:一時間~一時間半



道玄斎です、こんにちは。
今日のレビューは、「simple text」さんの『フィンジアスの少女』です。
今、サイトの方を見てみましたら、かなりの数のサウンドノベルが公開されていました。いや、私もプレイした事のある作品もあったり……。

本作は、敢えて言うならば「ファンタジック」で「ミステリー」っぽいお話しです。
意外と、今までファンタジーでミステリーというものは無かった気がしますね。そういう意味で「新しい」印象です。
一応、選択肢はあるのですが、基本的に一本道。



良かった点

・作品の雰囲気と背景やイラストが良く調和している。

・良くこうしたサウンドノベルで聞く音楽が多いものの、場面に合ったチョイスを行っている。



気になった点

・選択肢のある一本道ノベルの為か、選択肢の選び方によっては意味が通じない所がある。
例えば車の中で発作の起きたアルミーズを、師匠の家に運び込んで数日経った後、オルアーノが「調べモノをしている最中に倒れた」と話すのだが、これは別の選択肢を選ぶと場面とぴったり合う様になっている。

・作品を通して伝えたいものが見えにくい。




冒頭で書きましたように、錬金術が存在するファンタジックな世界のミステリー的な作品です。
フィンジアスという街を主要な舞台としていて、作品の雰囲気はなかなかのものです。中世イタリアみたいな、そんな感じかな。
ぼんやりとした背景と、イラストが上手くマッチしていて雰囲気作りに一役買っています。

ストーリーは、


錬金術の名門の家での殺人事件が発生する。家には妹アルミーズも居り、別居していたオルアーノ(次男)がアルミーズを発見した時、彼女は既に息を引き取っていたのだが、数時間後に生き返ったのだった。
殺人事件の真相は?消えた長兄は?オルアーノはアルミーズを引き取り事件について調べていく……。


とこんな感じ。

繰り返しになりますが、少し暗めではあるものの、雰囲気は良く出ています。
完全に「ファンタジー」という感じでもなく、電話が存在していたり、車があったりと「こちら側」の世界との共通点を持ちつつも、独自の世界観が存在しています。

どの選択肢を選んでも、ストーリーの本筋には影響しない、というのは賛否両論あるような気はします。単一の選択肢では見えない繋がりや、裏話などが見れる部分はちゃんと選択肢の意味があるのですが、ミステリー的な要素も強い作品ですから、「不正解」な選択肢も存在していて良かったのではないでしょうか。

一番気になったのは、全体的によく纏まった作品ではあるのですが、逆に伝えたいものが見えにくい印象があった事です。
ぼんやりと朧げな結末が、読者に対して訴えるものは勿論あると思います。
が、本作だと、何か明確な「結末」というか読者が腑に落ちる感じ、というのが欲しかった気がします。それは、ミステリー的な要素が強い事、選択肢によって裏話が分かる事という本作の特徴ともリンクする問題です。
そうした意味で、少し後半の結末部分が弱い印象を感じました。

とはいへ、本作が良質である事は確かです。
読みやすいテキストや、言葉に出来ない情緒のようなものが巧みに描かれています。
結末部分が弱い、と感じたのは私の感性でして、他の方はもっと違った印象を持つかもしれません。

そこまで長いプレイ時間ではありませんので、是非プレイしてみて下さい。
又、本作の他にも沢山の作品をジャンル別に公開されていますので、興味があればそちらもプレイしてみると良いかもしれません。

# by s-kuzumi | 2007-08-10 13:36 | サウンドノベル | Comments(0)
2007年 08月 10日

ライト系ノベルを仕入れてきました。

道玄斎です、こんばんは。

ここ数日で読むべきライトなノベルを二点、仕入れてきました。
『灼眼のシャナⅩⅤ』と、『狼と香辛料』の新刊です。

『灼眼~』はアニメ化されましたし、有名な作品かと思います。
バトル有り、恋愛有りで、読み出すと止まらなくなる魅力に溢れています。
「正統派」ライトノベルの系譜に位置付けられるべき作品ですね。
このブログで、フリーのサウンドノベルのレビューを書いたりしていますが、そこで良く書いている事が「脇役こそが物語を支える」ということ。
その意味でも、『灼眼~』は傑作の要件を満たしていると思います。クラスメイト達や、フレイムヘイズ、果ては敵側である紅世の徒達までそれぞれ、魅力的な登場人物ががっちり物語を支えています。


で『狼と香辛料』。これは傑作ライト系ノベルだと思いますよ。
肉弾戦・魔法戦とかじゃなく、敢えて言うならば「経済戦争」。
商人である主人公が旧き神ホロと一緒にホロの故郷を目指しつつ、行商をしていく、というのが筋書きですが、旅で巻き込まれる事件は皆経済絡みのもの。信用買いをして騙されたりとか、貨幣の価値とかそういう「経済」っぽい味付けが秀逸で、今までのライト系ノベルには無かった感じです。

調べていると『狼~』はかなりメジャーな作品だったようです。
しかもアニメ化決定とか。
決して、自分の審美眼が優れていると言いたいわけじゃないのですが、ライト系ノベルの読者は凄く作品の内容やクオリティに敏感です。
多くの場合、優れたものは流行るし(勿論例外はありますよ?)、あんまりたいしたことのないものは、それなりの評価だったりと或る意味、シビアな眼差しで作品を見ています。

換言すれば、とても「真摯に作品に向き合ってる」読者が多いと思うのです。
良いモノを是とし、悪いモノを否とする。
ただ単にライトなノベルにスポットを当てるだけでなく、それらを享受する読者の存在にもスポットを当てると面白そうです。

流行ものが、アニメ化し一般に浸透していく事は喜ばしい事なのですが、アニメ化などでメジャーになるにつれ、その作品を古くから支えてきた読者が置き去りにされている感もあります。

そういうライト系の読者に光りを当てるようなシステムがあったら面白いなぁ、と思いつつ、筆を擱く事に致しますよ。

# by s-kuzumi | 2007-08-10 03:17 | 日々之雑記 | Comments(0)
2007年 08月 08日

フリーサウンドノベルレビュー 『地獄探偵団』

フリーサウンドノベルレビュー 『地獄探偵団』_b0110969_2028477.jpg

今日の副題「ギャグテイストのホラーモノ……?」

ジャンル:ギャグ&ホラー
プレイ時間:十五分~三十分
その他:選択肢アリ。選択によってエンドが何種類も分岐。

道玄斎です、こんにちは。
今日は、息抜きというか、ほんっとに軽いノリでプレイ出来る作品を選んでみました。
ホラー系の作品を多数創られている「夢鳥ーyumedori」さんの『地獄探偵団』です。



良かった点

・意外とボス(?)の妖怪というか悪魔の設定が凝っているw

・兎に角シュールな世界観。ハマる人は滅茶苦茶ハマるかも。

・ちゃんとエンディングリスト付き


気になった点

・しょーもないギャグが多すぎる。

・主人公の存在感が無さ過ぎる。

・何だかついて行けない感じがw




というわけで、何だかもの凄いハイテンションで、ノリノリなw ホラー作品です。
いや、これ好きな人には溜まらない作品かも知れません……。

兎に角、もうタイトル画面で思わず爆笑してしまいます。
妙なイラストw にあの音楽のコラボレーション……。何だか他のゲームメーカーさんが持っていない雰囲気を出しています。
ストーリーは単純そのもの。


高校生になった主人公は、「ペンシル」と名乗る自動書記能力を持つ女の子に「探偵部」へ誘われる。しかし「探偵部」とは地獄からあふれ出る悪魔を探し、退治する怪しげな団体だった……。


と、まぁこんな感じ。
ペンシルなる女の子が主人公に向かって「あなたは光の戦士なのよ!」という辺りからして、もう確信犯的なギャグ満載なのが分かりますよね。

悪魔探しをする為に、どこに行くか選択肢があるのですが、「女子更衣室」「女子トイレ」の二択だったりw もう何でもありのギャグ作品ですw

ちょっと面白いなと思ったのが、悪魔の設定ですよね。
「骨抜き」の悪魔という奴でして、人間の骨を文字通り抜いて、殺してしまうという設定です。
なんだか、そこだけ妙に凝ってるような……。
昔、知っている人はいるのかな?週刊少年ジャンプで『竜童のシグ』って漫画が連載されていまして、主人公の使う技が「抜骨術」というもの。相手の骨を抜き取り倒すというわけです。
なんか、それを思い出してしまいましたよ。

まぁ、こういうノリの作品ですから、今回このレビューも変則的に、脱線しまくりでいきましょう。で、『竜童のシグ』の話。
この作品、なんでこんなに俺の心に残っているのか、といいますと、もの凄い「打ち切られ方」をしていたんですよね。

確か、主人公は戦闘の中で「なんとか螺旋」という技を身につけ、いよいよ因縁のライバル「音速のジオン」なるキャラと対峙する事になります。「音速のジオン」の次には本作『地獄探偵団』の「大魔王」さんみたいなキャラが更に控えていまして、そいつがラスボスみたいな感じです。
遂にジオンと見える事となり、「次週へ続く」。

さて、俺は意外とこの漫画好きだったんですw
んで、楽しみに一週間待って、『シグ』のページを開くと何だかオカシイ。
そう、ジオンも例のラスボスも全員倒した事になっているではありませんか!そして、何だか良く分からないままに完結してしまいました……。
なーんか、そういう「打ち切り」を含めた『シグ』の不条理感に本作、どこか一脈通じる所があるような……。


少し真面目に書きますと、本作は確信犯的なぐだぐだギャグ作品であって、決して作品そのものが悪いわけではないと思うのです。
ギャグの選定や、話の方向性を修正したりすれば、「ギャグ系ホラー」という新ジャンルを目指す事が出来るのでは?と感じさせる魅力も間違いなく存在しています。
殆ど、全てのテキストがギャグにまみれている為に、その中にある良質のギャグも埋もれてしまい、活きていません。
淡々とした描写の中に、ふっと不条理なギャグを盛り込んでみたりと「見せ方」に工夫をする事で、大化けする可能性がある気がします。
テキストのメリハリの問題ですね。
殆ど、寒いギャグだったり、しょーもない選択肢だったりするのですが、中には確かに笑えるネタもあるのです(いや、独特な絵柄もそれに貢献しているんですけれどもね)。

笑わせる所と、シリアスな所。このバランスを保つ事はその作品がギャグをメインにしたものであればある程、必要なのではないでしょうか。全部が全部ギャグだと疲れてしまいますしね。

とはいえ、こうしたノリが好きな人がいるのも事実。
ちょっとでも気になった方はプレイしてみると良いかもしれません。
色々なホラー作品が、世の中にはありますが、重ためのホラーをいくつもプレイするその合間に、息抜きとして楽しんでみては如何でしょうか?

# by s-kuzumi | 2007-08-08 14:03 | サウンドノベル | Comments(0)