2007年 07月 30日
![]() 今日の副題「えいえんのやさしさ」 ※吟醸 ジャンル:兄と最後に過ごした夏 プレイ時間:一時間~一時間半程度 その他:選択肢アリ、エンドが分岐。ちなみにデフォルトでフルスクリーン。右クリックからコンフィグにて、ウインドウ表示にする事が可能。 システム:NScripter 容量(圧縮時):52.5MB 道玄斎です。こんばんは。 先ず、謝らないといけません。今回、スクリーンショットにATOKのバーが映りこんでしまいました。ちゃっちゃと直せばいいのですが、何よりも早くレビューを書きたくて書きたくて。 又、名作を引き当ててしまったのです。スクリーンショットがちょっと失敗したけど、それよりも早くこの作品をお伝えしたい、という気持ちで一杯です。 さて、今回は「P.o.l.c.」さんの『透明な優しさ』です。 P.o.l.c.さんは、あの『手紙』などのサウンドノベルを手がけているところで、『手紙』をご存知の方は多いのではないでしょうか? では、逸る気持ちを抑えつつ、いつものように。 良かった点 ・多彩なBGM。それぞれが場面に良くマッチしている。 ・丁寧に描かれたストーリー。伏線の回収もばっちり。 ・ストーリーを通して、メッセージがちゃんと読者に伝わってくる。 気になった点 ・立ち絵は、趣味が分かれそう。個人的には背景のみでも良かったような……。背景だけの方が作品にマッチしていた印象がある。 ・少し詩的というか、難しく文章を書きすぎている所があり、すんなりと頭の中に内容が入ってこない部分がある。が、後半になるに従ってテキストは洗練されてくる。 ちなみに、選択肢アリのノベルです。 四つ+αのエンディングがあり、どのエンドでも一回攻略する事で、エンディングリストを見る事が出来ます。 このレビューでは、割と「新鮮」なサウンドノベルを紹介してきているつもりです。 発表されて間もない作品の非常が多いですね。所謂名作と言われるようなタイプのものは、優れたレビュワーさんが色々と書いて下さっているので、「新鮮」なサウンドノベルを紹介しつつ、名作や過去にプレイしたものなんかも織り交ぜていけたらなぁ、と。 本作は、最近リリースされたノベルの中で、ダントツの良さです。 ストーリーの良さもさる事ながら、そのストーリーを紡いでいく過程がちゃんと描写されているのは非常に良い点です。 妹が兄と過ごした最後の夏。入院している兄と妹の様子を一日一日と丁寧に描写しています。この描写があったからこそ、兄への感情の変化、大切なものは何か?という気づきに繋がるのです。 音楽も本作では重要なキーワードで、BGMの選定や使い方も非常に上手いと思いました。 兎に角、丁寧に作り込まれてるなぁ、というのが第一印象ですね。 勿論、本作にも欠点と言えるようなものがあります。 既にいくつかを書いたのですが、他に挙げるならば、病院の描写にリアリティがあまり無いのが気になった所です。 普通、病室というのは、静かに寝ている所です。個室であってもフルートを吹いたりは出来ませんよね?大抵の病室は防音設備なんてついていませんから、フルートの音は駄々漏れです。 入院した事のある方は分かるかと思いますが、入院患者同士のいざこざって大抵、「騒音」から生まれるんです。 いつもテレビを大音量にして見ているとか、深夜にラジオを付けているとか。そういう所から入院患者同士の喧嘩は勃発します。 そういう部分で、リアリティが少し足りないかな?と思いました。 が、あのフルートの演奏はストーリー上必然的なものだから、大目に見るべきでしょうねw 私だったら、屋上で吹かせるというのがパッと思い付くアイデアです。ただ、屋上も普通は入れないからねぇ……。 あとは立ち絵ですか、これは上にも書きましたが、好みが分かれる所です。 個人的には背景のみの方が、ストーリーの良さが引き立ったんじゃないかなぁ?と思います。 良い箇所は先に挙げた通りですが、丁寧な描写はやはり重要だと改めて感じます。 兄と妹の距離感や二人に存在する愛情、これを読者に理解させラストへ繋げていく為には丁寧にストーリーを描くことです。 又、様々な気になる伏線が張られていますが、それが結末に向けてちゃんと機能しており、ちゃんとその伏線を活かしているのは高ポイントでした。 妹が兄と過ごした最後の夏、という事でまさに今プレイすべき作品だと思います。 穏やかながらも夏らしいBGMも素敵でした。 評価は四としましたが、五段階評価だと五を付ける人も多いんじゃないでしょうか? 兎に角、かなりの名作です。是非是非プレイしてみて下さい。 それで、今週、俺はちょっと忙しくなるので、なかなかレビューをアップする事が出来そうにありません。ですので、今回はお詫びの意味も込めて少し長目の作品を選んだのです。 それはそうと、もし、宜しければ「これをプレイしてみて欲しい」「自分の作品のレビューがないぞ」とか、そういうのが御座いましたら、是非お気軽にコメントに書き込んで下さい。 成る可くご要望に応えられるようにしたいと思っています。 それでは。 #
by s-kuzumi
| 2007-07-30 04:44
| サウンドノベル
|
Comments(0)
2007年 07月 29日
![]() 道玄斎です。こんばんは。 今日は短いながら、なかなかに良い作品を引き当てました。 「NOTE BOOK」さんの『VOICE』です。 良かった点 ・短いながらもツボを抑えた作品構成 ・ストーリーの素材が良い。 ・癖の無い読みやすいテキスト。 気になった点 ・中編もしくは長編でやって欲しかった。 ・もう少し適切な音楽素材があったような気がする。 ・消化不良の伏線らしきもの(男性の名前とか)が存在する。 こんな感じです。 ストーリーを軽く概観しておきましょう。 夢を諦め、生きている意味も分からないまま惰性で生活している男が、チャットで知り合った女性に会いに行く。 教えられた住所に行ってみると、そこは病院だった……。 こんな所です。 ほんっと惜しい作品です。 素材やネタ、文章力はあるのですが、短いプレイ時間の為に、作品の潜在的に持つ持ち味を生かし切れていない印象でした。 一見すると、良くあるタイプの話かと思ってしまうのですが、最後までプレイして見ると、どこか引っ掛かるというか、妙にプレイヤーを惹きつけるものを持っている作品だと分かります。 作品全体を見て、どこか光るものがあるのです。 最初にもいいましたが、これは短編作品にしてしまうのは惜しいです。 中編程度の分量にして、随所随所をもっと丁寧に描写していったなら、名作になる可能性を秘めています。 やはり、男性と女性はチャットで知り合っているわけですが、そのチャットの内容の描写なども必要だと感じました。チャットを通じて、男性がどのようにその女性に興味を持っていったか、又どのように救われていったかを描写して欲しかったです。 お互いの交流を描いていないと、本作のラストが妙に唐突に感じてしまいます。 又、もう少し、「実際に会った」あとの交流にも力を注いで欲しいと思いました。そうした二人の交流があってこそ、あのラストが活きてくると思うのです。 大まかなストーリーラインで示すと、 ①男性がチャットで知り合った女性の所に行く。 ②そこが病院である事に気付く。 ③女性と会う。 ④ラストへ。 とこんな感じで、割と平坦です。 例えば、ですよ?俺なら、こうするかな、というのを示してみます。 ①男性がチャットで知り合った女性の所に行く。 ②移動中の回想シーン。男性と女性のチャットでの出会いや、そこでの交流を回想する(わりとじっくりと描写)。 ③目的地到着。女性が教えてくれた住所が病院である事に気付く。 ④女性に会う。 ⑤これをきっかけにリアルに、女性と交流していく。随所随所に実際の交流を通じてのエピソードも欲しい。 ⑥男性の日常の描写。男性の夢とは何だったのか?何故夢を捨てなければならなかったのか?などの説明もこういう所で。そして自分がいかに女性とのチャットが心の安らぎとなっていたのか、という部分も示して欲しいですね。 ⑦ラスト と、こんな感じのが、いいかな、と個人的には思いました。 簡単な図式で、上手く説明出来ないのですが、やはり伏線の回収やラストへの必然性をもう少し持たせて欲しい、というのが素直な印象です。 短い作品で、何かいいモノ持ってるなぁ、と思わせる作品に久々に出逢いました。 本作が処女作らしいのですが、是非、分量を多くして本作のリメイクを作って欲しいですね。 結末部分に向けての因果関係・必然性を丁寧に描くことが出来たら、かなりの作品になるはずです。 次回作、期待しています。 あっ、出来たらNScripterとかで作って貰えると……(本作はLiveMakerでした)。 #
by s-kuzumi
| 2007-07-29 02:29
| サウンドノベル
|
Comments(0)
2007年 07月 28日
![]() 今日の副題「ようかいのほうそく」 道玄斎です。 せっかく、レビューの数も順調に増えてきているのですが、急に忙しくなってしまって中~大規模の作品がプレイ出来そうにありません。 実は、商業モノの『リトルバスターズ!』も買ってしまったし……。こっちも早くプレイしたいなぁ……。 けど、もう夏、という利点を活かして短編ホラーをやってみる事にしました。 モノによっては一本5分くらいで終えられるものもありますからね。 それに俺自身、ホラーやオカルトや民俗学とかが好きな方でして、それっぽい古典なんかもかなり読んでいます。 そもそも、かなり古典が好きな方でして、そんじょそこらの国文科の学生さんなんかより、沢山古典を読んでいると思います(勿論、古語で読んでますよ?)。 そもそも、古典っていうのは説話とかじゃなくても、ホラー要素を持つ作品が多いです。 それは、単純に「物の怪」とか「鬼」とかが出てきたりもしますし、又「人間の持つ怖さ」みたいなものも描かれます。 基本的に、恐いもの、不思議なものが俺は大好きです。そういえば、中国古典の『捜神記』なかも読みましたね。 中華書局という国家古典プロジェクト団体が発行しているテキストを取り寄せて、白文のまま読んだ記憶があります。漢文は苦手ですが、辞書を引き引き何とか何とか……。 というわけで、今回は「たぶんおそらくきっと」さんの『四色さん』(ししきさん、と読むようです)です。 良かった点 ・効果音が恐い…… ・良くあるタイプのお話しを逆手に取ろうと頑張っている。 ・オマケモードがついている。ホラー短編でオマケが付くって珍しいですよね? 気になった点 ・マンネリを逆手に取ろうとした努力は見えるけれども、やっぱりマンネリな印象が。 ・フルスクリーンモードを想定していない為か、フルスクリーンにすると文字がぼやけて見にくくなる。 こんな所です。 まぁ、良くある「赤・青・黄」をトイレに住む妖怪が、特定の儀式(ノックを規定回数するとか)を行ったものに対して、選択させるというアレです。 良くある話では、色の選択によって(赤と青が駄目な選択肢な場合が殆どだと思います。逆に黄色は助かる場合が多い)、妖怪に殺されてしまうのですが、本作では、色の選択で死ぬ事はありません。死ぬパターンは一つ。「色を選ばない」事です。 又、「無い色」を選んではいけない、というルールも付加されています。これがどういう意味なのか、オマケモードを遊んで確認してみて下さい。 ね?ちょっとひねりが利いているでしょ? オマケモードについている「ショートショートホラー」を選択すると、ある色の選択がどういう結果を招くのか、という四色さんなる妖怪の法則が垣間見えます。 オマケモードで本編のフォローが入るあたり、短編とはいえ、結構作り込まれいます。 ちょっとひんやりしたい時、プレイしてみると良いかもしれません。 今の自分の実感を言えば、夜遅くにプレイするのは避けた方が無難かとw 最後に、この手の怪談についてポピュラーだと思われるモノに関して、補足しておきましょう。 ①主にトイレに妖怪が住んでいて、特定の合い言葉(「~さん」と呼びかけるものなど)や特定の儀式(該当するトイレのドアをノックするなど)を行う事で妖怪を呼び出す事が出来る。 ②呼びかけに応じた妖怪は、「赤・青・黄」のどの色を選ぶか、選択を迫る。 ここですね。 赤を選ぶと、切り裂かれたりして血まみれに。 青を選ぶと、血を吸われて真っ青に。 黄を選ぶと、何事もない。 というのがパターンです。 ただ、ヴァリエーションがあり、黄色を選択する事で狂気の世界に連れて行かれる、というものもあります。 本作では、こっちの黄色に近いかな? という感じです。 いきなりフルスクリーンで起動したりしますが、実はこういうホラーものは大きい画面でプレイすると怖さが倍増するのかもしれません。ウインドウ表示にすると些か小さい感じがしますしね。 というわけで、今日はこのへんで。 それでは、また。 #
by s-kuzumi
| 2007-07-28 02:41
| サウンドノベル
|
Comments(0)
2007年 07月 27日
![]() 今日の副題「まっすぐなきもち」 ジャンル:シンプルな恋愛ノベル。 プレイ時間:~30分くらい。 その他:選択肢なし、一本道。 システム:NScripter 制作年:2007/5/? 容量(圧縮時):21.2MB 道玄斎です、こんばんは。 またしてもこんな時間に一本レビューを。何しろ、他のサウンドノベルのレビューを書いていらっしゃる方は、何十本もレビューをぶち挙げているわけでして、少しでも彼らに近づくために出来るだけ頑張って、取り敢えずは「数」を増やしたいな、と。 で、今回は「ケイトー」さんの『君が好き』です。 何とも直球なタイトルで、人目で恋愛モノだと分かりますね。 恋愛ものは、このレビューを読んで下さっている方はお分かりかと思いますが、俺は最近、意図的に恋愛モノをプレイするのを避けています。 恋愛的要素のある作品はそれこそ大量にありますし、「恋愛がメイン」というタイプのものも大量にプレイしてきています。半ば食傷気味なんですよ。 「恋愛の要素もあるけれども、メインは別」みたいなタイプを、ここではメインに扱ってきたつもりです。 では、何故今になって恋愛モノでレビューを書こうと思ったのかと申しますと、「プレイ時間が短そうだった」からですw ダウンロードファイルの容量を見れば大体、どの程度でプレイし終わるか、いい加減見当も付きますよね。 それに、敢えて避けてきたけれども、レビューも10本を越えましたので、そろそろ一本くらい……、という気持ちもありました。 それでは、いつものように……。 良かった点 本作は、光之が幼なじみの女の子由梨に、告白をする、というメインテーマが冒頭で示されます。冒頭部でテーマを明確に示したせいか、話の焦点は最後までブレません。 こうした手法は、良い面もありますが、悪い面もあります。最後までプレイする事で主題を示す、という方法もあり、そちらの方が作品全体を見た時に、印象に残りやすいからです。 しかし、本作は短編、といって良いほどの長さですので、こうした主題を最初に打ち出す、という方が合っている気がしました。 好きな女の子に良い所を見せようとして、計画を練ったり、或いは本人は至って真面目なつもりが、周りから見るとただのアホというw そういう描写はリアリティがあり、評価出来ます。 それがギャグに繋がっていくのですが、光之の試行錯誤とその結果生まれるギャグのテンポが良いですね。やはり、「ギャグになってしまう」必然が存在しているのが評価のポイントです。 至ってオーソドックスなスタイルですが、テキスト部分に工夫が見られます。 長い文章や間投詞を冒頭に持ってくる場合、句読点を使ったあとすぐに次の文章なりセリフを持ってくるのが割と普通のやり方だと思いますが、本作では、読者の読みやすさなどを意識して、句読点の後に少しスペースが空けられています。 ただ、少しスペースが空きすぎかな?全角で一字若しくは二字分くらいが丁度いいのかも。 ともあれ、こういう読みやすさを意識した姿勢は評価出来ると思います。 気になったのは、後半部の急な展開です。 それ以前までは、ツボを抑えつつテンポ良くストーリーが進行していたのですが、「ありのままの自分を見せる事」に光之が気づいてから、由梨に告白するまでの描写が薄すぎると感じました。 もっと言えば、「ありのままの自分を見せる事」の重要性を光之が気付く、その描写が少し足りなかったと思います。もう一つでも短めのエピソードを入れて、そこの所を改良すれば一個の作品としての纏まりが今以上に生まれたのではないでしょうか。 あとは、由梨サイドの描写も欲しかったですね。 恋愛モノの大半がそうであるように、恋愛は成就するのですが、由梨が光之の事を本当は好きだった、という設定を支える描写が足りないと思います。 マラソンのイベントがそれに相当するのかもしれませんが、もう少し分かりやすい形(セリフや地書きなど)で、伝える必要があると思いました。 後半部までは、なんだかんだいいつつも、ちょっと甘酸っぱくて良い雰囲気だったのですが、ラストのラストで……。ちょっとこれはないんじゃないかなぁ? なんて思ってしまいましたw ちょっと厳しい評価でしたが、サクッとプレイできますので是非おためしあれ。 なんだかんだ言っても、処女作でこの出来映えですから、次回作が楽しみです。今の内に目を付けておくと良いかもしれませんね。 例のラストも……或る意味必見です。 #
by s-kuzumi
| 2007-07-27 03:36
| サウンドノベル
|
Comments(0)
2007年 07月 26日
![]() 今日の副題 「本当の楽園とは」 ※吟醸 ジャンル:田舎に住む兄の元に訪れる妹とその生活(?) プレイ時間:10~15分程度 その他:選択肢なし、一本道ノベル。 道玄斎です、こんにちは。 最近、段々と「お勧め指数」を付けるのが難しくなっています。五段階評価じゃなくて十段階にすれば良かったんだろうか? ジャンルというのも、単純にどの作品も「恋愛」とか「伝奇」とか分けられないものが多くて難儀します。しょうがないので、作品の概略みたいな、そんな感じで書いています。 さて、本日のレビューは「Team Eye mask」さんの『楽園』です。 「Team Eye mask」さんは一次創作を目的としたプロジェクトユニット、ということで、クオリティの高いオリジナル作品を精力的にリリースしているユニットです。 今現在のメインは、「Windows/PSP Hybrid Mini-novel Series」で、普通のサウンドノベルのようにWindowsマシンで動かす事も出来れば、PSPで遊ぶ事も出来る、というハイブリッドな環境で遊べるフォーマットで、作品を制作しています。 ストーリーをサイトから張り付けます。 過疎化の進む近未来の日本のある農村。 足りなくなった労働力を確保するために、農作業の機械化は進んでいった。 そして村には人間の労働力は必要無くなりそのすべてはアンドロイドによって賄われていた。 機械化の影響で人がいなくなったこの街に機械を管理するために派遣されたエンジニアのシゲル。 そんな彼を訊ねに、妹のミドリが都会からやって来る。 夏の収穫期を前にその手伝いも兼ねてやって来たミドリだが、 本当の目的は暫く会う事が出来なかった兄と夏休みの短い時間を過ごすことだった。 二人がすごす、ハイテク農村での一時。 良かった点 ・普通のサウンドノベルの様な表示形式ではなく、横に細長いタイプの、今までにないノベルの形(今回、画像はスクリーンショットを切り取りました)。 ・イラスト・音楽・テキストのマッチが凄い。ちょっとでこぼこした紙に描いたような質感の背景に入らすとが乗っているという感じ。音楽も綺麗で作品の雰囲気に良くあったものを選んでいる感じです。 ・特に何か事件がなくても、設定やキャラ作り、テキストの巧みさで十分に一つの作品として完成している。 気になった点 ・人によっては淡々としすぎていて、物足りないと感じるかも。 ・解凍したフォルダの中にリードミーが入っていない。 淡々としつつも、やっぱり作品のトーンには波があって、盛り上がるべき所は盛り上げてくれます。音楽とテキスト・イラストのマッチが凄くいいです。長閑な現代に於ける「楽園」らしい雰囲気を出しています。 PSPでも遊べるフォーマットですので、そちらの方に準拠した画面構成で、これはPCでプレイする人は好みが別れる所でしょうか?今までにないタイプ、というのは俺は無条件的に好きになってしまうのでなかなか良いと思いましたが。 ただ、リードミーは欲しかったですね。 作者の情報(サークル名・URLなど)は、こうしたレビューを書く際に必須ですしね。 もしかしたら、PSPで動かす為にはそういうのを入れちゃマズイのかな? 大体の特徴はこんな所です。 一見すると、この都会にはない農村こそが「楽園」だと思ってしまいそうですが、この農村にも機械化の波は押し寄せています。寧ろ機械の農作業用アンドロイドが存在しなければ、この農村は維持出来ないのです。 カラスを完全に農作物から追い払う、のではなくて寧ろ、或程度カラスが囓ってくれるような野菜を作る、というように、何だか人工の「農村」的な気配もします。 多分、カラスが食べても安全、という事なんですが、出来たらカラスは完全におっぱらった方がいいですよね?けど、完全に追っ払っても駄目、というように、そこには「コントロール」の匂いが微かにするのです。 しかし、それでも都会の人間にとって、蛍があり綺麗な水があり、何よりも美味しい野菜があるこの農村は、何にも代え難いものなのです。 完全なユートピアな[「楽園」ではなくて、近未来人の出来うる限りの「楽園」が、この農村といった印象でした。 そして、そんな農村で暮らす兄を訪ねてきた妹との交流。 本当の「楽園」は自分の愛する人たちの居る場所、お互いが繋がり逢える場所なのかもしれません。 と、何だかヘンテコな事を言ってしまいましたが、本作は間違いなく良作です。 多分、プレイする人によって印象は大きく変わってくるのではないでしょうか。 俺が抱いた感想は上に述べた通り。 都会の生活に疲れたとか、本当に豊かで人間的な生活って何だろう?と考えている人は是非プレイして貰いたい作品です。 とても穏やかな気持ちになれますよ? #
by s-kuzumi
| 2007-07-26 16:45
| サウンドノベル
|
Comments(0)
|
アバウト
カレンダー
メモ帳。らしきもの。
■レビューリストを作りました。随時更新予定です。こちらからどうぞ。
■ノベルゲームのコミュニティと素材ポータル始めました 制作者の方とプレイヤーを繋ぐような、そんなコミュニティを作りました。 こちらからどうぞ。 そして、ゲーム制作に利用出来る素材ポータルサイトも作りました。 こちらからどうぞ。 どちらも、是非ご覧になってみて下さい。そして、ご参加/ご利用頂ければ幸いで御座います。 フリーのノベルゲーム/サウンドノベルをレビューをやっております。たまに私のどうでもいい日々之記録が入る事がありますが、ご了承下さいませ。 ・“引用”としてスクリーンショットやストーリーの概略などの文章を使わせていただいております。問題が御座いましたらご連絡下さい。対処いたします。 連絡先はkazenitsurenaki あっとまーく gmail.com です。 ・レビューは「甘口~中辛」くらいです。 ・評価は完全に私個人の主観に基づいています。評価は「大吟醸」「吟醸」「無印(=純米)」の三段階となっております。参考までに。 で、実は、 こちらが本館です。ブログは別館的な位置づけなのですが、何故かこちらがメインになってしまっています……。バナーなんかもあるので、リンクを張って下さる方はご利用下さいませ。 リンクに関しては、お好きにやっちゃって下さい。許可なんかは一切要りませんので。 本館の方では、謎の音楽制作などをやっております。こっそり更新している事もありますので、たまに見てやって下さると嬉しいです。 カテゴリ
以前の記事
2025年 02月 2024年 12月 2024年 11月 2024年 05月 2023年 07月 2020年 08月 2020年 05月 2020年 01月 2019年 12月 2018年 09月 2017年 09月 2016年 12月 2016年 06月 2016年 04月 2016年 02月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 10月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 04月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 検索
タグ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||