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久住女中本舗

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2015年 08月 12日

フリーサウンドノベルレビュー 番外編 『かげぼうし』

フリーサウンドノベルレビュー 番外編 『かげぼうし』_b0110969_1851411.jpg

道玄斎です、こんばんは。
今日は短編作品のご紹介。10分くらいの尺ですが、温かい雰囲気が活きている作品だったと思います。
というわけで、今回は「現屋」さんの『かげぼうし』です。



現屋さんと言えば、ここでもレビューした『喉の渇くその前に』、あるいは『よんひくいちは』といった作品がありまして、プレイヤーに考えさせるというか、少しヒネリの効いたストーリーが魅力でした。

ですが、本作は、それらの作品と比べるとかなりストレート。
男子小学生アカリとクラスメイトのアザミ、その二人の交流譚とまとめてしまうことも可能です。


物語の中に「ここが一番の見せ場だな」というような場面が設定してあり、その場面こそがタイトルである「かげぼうし」になっている、ということなのですが、これは、「焦点化」という手法だと言えましょう。

その場面、その瞬間を描くために物語がある、というようなタイプです。


ですから、アカリがアザミに好意を抱くようになったきっかけ、或いは、アザミを取り巻く環境の謎みたいなものは作中では明らかにされないのです。

これは一見すると、いかにも不自然なようですが、焦点化がシッカリと出来ている為、実はそこまで気になりませんでした。


ここ数年、こうした非常に短い作品のリリースが、フリーのノベルゲームの世界で目立つのですが、個人的な感触としては、最初はそうでもなかったものが、段々と「見せたいもの」「描きたいもの」「伝えたいもの」が分からなくなり、ただただリリースされる、というようなものが増えてきていた時期があったように思います。

作品をリリースする、ということ自体、凄いことではあるのですが、「作品を出すこと」そのものが目的となってしまっていたケースというのも、あるのではないでしょうか?


そうした作品と比べた時、本作は、放置されている謎などはあれど、やはり頭一つ抜けている印象を受けるのです。

また、その「描きたい部分」」をより印象付けるような演出も巧みでした。
全体的に柔らかく、温かみのある雰囲気、そしてそれを後押ししてくれるようなイラストが、作品の魅力を最大限に押し上げていたように思います。


10分程度ではありますが、密度の高い作品でした。
ちょっと温かい気持ちになれる、素敵な短編作品です。
是非、プレイしてみて下さい。



それでは、また。


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# by s-kuzumi | 2015-08-12 18:51 | サウンドノベル | Comments(0)
2015年 07月 30日

フリーサウンドノベルレビュー 『ココロ、そらいろ。』

フリーサウンドノベルレビュー 『ココロ、そらいろ。』_b0110969_12244968.jpg

今日の副題 「子どもを描くからこそ描ける物語」

※吟醸
ジャンル:少年少女のハートウォーミングストーリー。
プレイ時間:40~45分程度。
その他:選択肢なし、
システム:NScripter

制作年:2015/4/9
容量(圧縮時):32.9MB




道玄斎です、こんばんは。
今日は、久々のノベルゲームレビュー。
思春期の少年少女に焦点をあてた作品を多く作られている作者さんの作品のご紹介。
というわけで、今回は「mint wings」さんの『ココロ、そらいろ。』です。
良かった点

・短いエピソードを重ねていく形式で読みやすく、それ故の効果も出ている。

・小学校高学年という年齢設定が絶妙。


気になった点

・主人公いつきの問題に関しては、ちょいあっさりかも。

・物語の締め方が個人的にちょっと気になった。

ストーリーは、サイトの方から引用しておきましょう。
"君島 樹(きみじま いつき)" は不登校の男の子。
ある日、担任の勧めから "保健室登校" を始め、新たな世界へ踏み出すことに…。

1番最初に出会ったのは "前川 柚子(まえかわ ゆず)" という女の子。
人に合わせるのが苦手で、友達から仲間外れにされてしまったらしい。

しばらくしてやってきた "藤堂 元成(とうどう もとなり)" はクールな男の子。
クラスに上手く馴染めず、ずっと1人だった。いつも無表情で笑わない子。


そんな彼らと過ごす日々は、様々に色を変えて積み重ねられていく…。
――そう、まるであの空の色のように。

このようなストーリーになっています。



mint wingsさん12作目の作品です。
この作者さんは、「思春期」の少年少女を描くのが本当に上手いですね。

その時期特有の不安定さや、脆さ、残酷さ、そして素直さや優しさ……そういったものを上手く折り込みながら、物語が進む作品が多いのですが、本作も例外ではありません。

今回は「思春期前期」とでもいいましょうか、小学校の高学年という年齢設定にまず惹かれました。

ノベルゲームの場合、だいたいが「高校生」を主人公としているわけで、ちょっと年齢をズラしてやるだけでも、まだまだ色々な物語の可能性があるわけです。
さらに、思春期の入り口、といった年齢ですから、そこに他の作品にはない「面白さ」や「深み」を感じることが出来ます。


物語は、短いエピソードを選択し、それらを順に読んでいく、という形で進行します。
それによって、一話一話が読みやすくなっていると共に、それ故の効果が出ていました。

どういう事かと申しますと、エピソード間にはそれなりの「空白の時間」が存在しているのです。
だいたい、数週間~一月程度のブランクが、各エピソードの間にあるんですね。

で、あるエピソードを読んだ後、次のエピソードにいくと、ちょっと人間関係が変化しているんです。
最初は、少しおっかなびっくりコミュニケーションをとっていた、主人公いつきと、やはり保健室登校のゆずが、大分うちとけた感じで会話していたり。

それはいつきとゆずだけでなく、もとなりに関してもそうでした。
エピソードの空白時間に、ちゃんとお互いの距離が縮まったり、あるいは、もやもやとしたものを感じたり……。そういう部分がキチンと次のエピソードで描写され作品に溶け込んでいる、というのがとても良かったです。

そういう意味で、とても丁寧に紡がれた作品、だということが出来ましょう。


思春期前期の子ども達を通して描かれる物語は、読者である私達にも改めて考えないといけない問題を提示してくれていたりもします。

ゆずの抱えていた問題、「自分の気持ちはそのままで、それでいて他者とうまくやっていく」、なんかはその最たるものでしょう。

気に入らないからケンカをふっかける。
あるいは、好きだから全てを肯定してしまう。

そういうことって、大人でもありますよね。
そうじゃなくて、「気に入らなくても、ケンカしない」、「ケンカにならない云い方をする」、「好きであっても、ダメだったらばちゃんと云う」。そういうことって、やっぱりとっても大切だけど、いざ実践するとなると、結構難しいところがあったりして……。


ですので、子ども達を描きつつも、「子供向け」で終わらない深みが物語にはあるんですよね。
もしかすると、それは「子供と大人の淡い」にある、思春期の子ども達を描くからこそ、出せるテーマなのかもしれませんね。


気になった点としては、主人公いつきの問題とその解決のパートが、ゆずやもとなりと比して、ややあっさり風味だったのかな、と。

ゆずやもとなりは、ハッキリとした理由・原因があって「保健室登校」をしているわけで、いつきはそこが「何となく」なんですよね。

ラスト付近で、いつきが自分の問題を自覚し、それに立ち向かう描写こそありますが、それも比較的あっさりしていたかなぁ、と。
多分……ゆずやもとなりが物凄くキャラが立っているので、そういう風に見えてしまう、というのもあるんじゃないかと思いますね。


もう一点は、ラストです。
ここは、本当に「個人的に」気になった、という感じなのですが、たとえば、「3人のその後」の一枚絵が出て終わるとかね、そういうのでも良かったんじゃないかな、なんて。

現行の終わり方も決して悪い、というわけではなく、そこに込められた意図や、その終わり方の良さも勿論、感じることが出来ます。
ただ、個人的には、3人が積み上げてきた友情をしっかりと描写した上で終わって欲しかったな、ということなんです。

ここは、単純に好みの箇所ですから、あまり気にしないで下さい。



さて、mint wingsさんは本作を以て、サークル活動を一時中止されるようです。
エイプリルフールなどのイベント時にはゲームを作る、ということですが、とにかく一度、活動は休止ということのようです。

私も、mint wingsさんの作品、何本もプレイしてきましたし、レビューでも何度となく取り上げさせていただきました。
12本、という作品数は本当に凄いと思いますし、フリーのノベルゲームの世界に残した影響は決して少なくなかった、と思います。

今まで、本当にお疲れ様でした。
また、活動が復活し、新しい素敵な作品を読める日を楽しみにしております。



それでは、また。



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# by s-kuzumi | 2015-07-30 20:48 | サウンドノベル | Comments(2)
2015年 06月 07日

フリーサウンドノベルレビュー 『真帆とはじめてのTRPG』

フリーサウンドノベルレビュー 『真帆とはじめてのTRPG』_b0110969_20362999.jpg

今日の副題 「ノベルゲームはリプレイ向きかも!」

ジャンル:クトゥルフTRPGリプレイノベル
プレイ時間:一時間半程度
その他:選択肢なし、一本道。
システム:NScripter

制作年:2015/5/20
容量(圧縮時)89.5MB



道玄斎です、こんばんは。
ちょいと、また間が空いてしまいましたが、意欲的な作品を見つけたのでレビューを更新致します。
いやぁ、本当にありそうでなかったタイプの作品ですよ。
というわけで、今回は「NoFace管理事務所」さんの『真帆とはじめてのTRPG』です。猶、本作は同サークルさんの『Mたちの調律』の番外編的な位置づけですが、単独で遊べる作品になっています。
良かった点

・ありそうで無かったTRPGとノベルゲームの融合。

・リプレイとして気軽に読め、クトゥルフ神話のちょっとした入門にもなっている。


気になった点

・単発のシナリオなので「ゲーム感」があっても良かったかも。

ストーリーは、サイトのほうから引用しておきましょう。
「透也くん、TRPGしようよ」
いつもの放課後、いつものように、真帆の突拍子がない提案が教室内に響き渡った。
TRPGってなんだよ? それって、どういう風に遊ぶんだよ?
初心者でも大丈夫か? ルールとかわからないし、なんだか難しそうだぞ?

そんな心配に対して、真帆はいつもの台詞を笑顔で言った。

「大丈夫だよ。透也くん」

本作を端的に述べるならば、「TRPGのリプレイノベル」ということになりましょう。
この説明で分かる方なら、きっとTRPGの歴戦のゲーマーのはずですから、本作を楽しめること請け合いです。

一方、この説明でピンと来ない方の為に、若干、TRPGについて説明しておきましょう。
私達は、「RPG」と聞くと、何の疑いもなしに、「Final Fantasy」とか「ドラゴンクエスト」なんかを思い浮かべたりするのですが、元々、RPGとはサイコロ片手に遊ぶ、アナログゲームだったのです。

TRPGの「T」とは、「table talk」の略でして、まぁ、「テーブルを囲んでわいわいやりながら遊ぶ」くらいの意味ですね。

FFやドラクエなどのコンピュータRPGとの違いは、ズバリそこにあります。
つまり、プログラムで制御されたシナリオ、ではなく、TRPGは、「テーブルを囲んだ仲間達の行動によって、いくらでもシナリオが変化していく」のです。

コンピュータRPGの場合、何かイベントやフラグの設定がプログラムに組み込まれていない場合、そこを調べても何も出てきません。無味乾燥な「なにもなかった」というようなメッセージが出ておしまいです。

TRPGの場合ですと、ゲームの進行役(GM=ゲームマスター)、そしてプレイしているメンバーの裁量やアドリブで、いくらでも内容が変化していくのです。
元々、シナリオ上では何も設定していない場所があったとしても、「そこを調べたい」と言えば、勿論プレイヤーはそこを調べることが出来ますし、「ここで事件を起こしたほうが面白いな」とゲームマスターが思えば、急遽アドリブで、そこからアイテムを入手させたり、イベントを起こしたり、ということが可能になるのです。

TRPGを巡る言説で良く言われるのが、「TRPGの魅力は、その自由度の高さにある」というものです。
「ゲーム」ということをあまり意識せず、会話の雰囲気を楽しんだり、逆にガチガチでシステマティックなゲームにして遊ぶことも自由なのです。

けど、「何でも出来る、超自由なRPGなんだよ!」っていうと、やっぱり語弊はあるんです。
結局のところ、TRPGはゲームマスターの用意したお話に乗っかっていかないと、先に進めません。
また、プレイヤーがそれぞれ、ゲーム内のキャラクターを演じるという関係上、「キャラクターとして相応しい行動」を求められる部分もあります。

まぁ、言ってしまえば、かなり「ツウ好み」の遊びです。
日本では、80年代中頃から90年代中頃にかけて、このTRPGの一大ブームがあったのですが、そこまで一般に浸透しませんでした。

一つ、当時は「オタク」に対する世間の目があまりにも厳しく、TRPGのようなディープな遊びは、オタクの気持ち悪さを表すものとして、揶揄される風潮がありました。

一つ、また、女性受けが大層悪く、TRPGなんてやっていようものなら、蛇蝎の如く嫌われたものです。アニメファンも同様でした。そして、世間はやはり「女性」を少しは取り込まないと、「まともな趣味」として見てくれないのです。


このような状況があり、専門誌こそ存在していたものの、TRPGの世界はかなりディープな方ディープな方に潜伏していったのですが、近年、また大きな盛り上がりを見せています。

アニメを始めとする「オタクのもの」として嫌われていた趣味が、急に「クールジャパン」などと名付けられ、日の目を見るようになってきました。
女性のアニメファン、ゲームファンも増え、ここにきてようやく、オタク趣味が「揶揄の対象」ではなく、一つの文化として認められるに至ったのです。


……と、ここまででかなり書いてしまったので、もうそろそろTRPGの概略はやめにしましょう。
ともあれ、近年、またTRPGのブームが起こっており、その中でも、昔は「上級者向け」のディープなTRPGであった『クトゥルフ神話TRPG』に人気が集まっています。

さて、「クトゥルフ神話」ですが、これは聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?
アメリカのラヴクラフトさんが生み出した、宇宙的恐怖(コズミックホラー)が大きな特徴の恐怖小説です。
実は、最近、私は「無料ゲーム.com」さんにて、ゲームのコラムを書かせて頂いているのですが、その第十一回目に、クトゥルフ神話については書いているので、もしよろしければ、そちらの方をご覧下さい。


前置きがやたらと長くなってしまいましたが、本作は「ノベルゲームの中で、キャラクター達がクトゥルフ神話TRPGで遊ぶ様子」を描いた作品となっています。

TRPGを遊んだ様子をまとめたものを「リプレイ」と呼ぶのですが、本作はまさにそのリプレイと言っても差し支えないでしょう。
リプレイは基本「本」という媒体で出版されるものです。それを読むと、ゲームのルールや雰囲気、そして物語そのものが楽しめる、というとても優れたフォーマットなのですが、よくよく考えてみれば、ノベルゲームという媒体との相性は、物凄くいいんですよね。

リプレイは当然「サウンド」は付いてきません(ですので、擬音で表現したりするわけです)。
さらに、ビジュアル面も、表紙や挿絵くらいなものですから、十分とは言えません。

対して、ノベルゲームは、サウンドノベルとも呼ばれることがあるくらいですから、「サウンド」を付けることが出来る。また、立ち絵、一枚絵という形でビジュアル面を補うことが出来るのです。
そして、勿論、文章を読ませるという基本がありますから、リプレイの「内容」を記述することはお手の物なのです。

どうです?
これは相性が抜群ですよ。ですので、本作もクトゥルフ神話TRPGのルールを知らなくても、「読み物」として全然楽しめてしまいます。途中で「ダイスを振り判定をする」演出などもありますが、ルールに興味がなければ、「成功したか/失敗したか」だけ把握しておけばよく、それでも十分楽しめます。


本作の持つ、TRPGに由来する面白さはこんなところでしょうか。
一方で、中身(つまり、ここではTRPGのプレイ内容)も、シンプルな設定ながら、クトゥルフ感が出てて面白かったです。「あの」教団の名前が出てきた時には、思わず吹いてしましましたw

舞台こそ日本ですが、クトゥルフ初心者に、「クトゥルフの怖さってこういう感じなんだよ」と伝えることに成功していると言えるでしょう。プレイの雰囲気なんかも、かなりリアルですし、「わいわいやっている感じ」が良く出ていましたね。


さて、気になった点なのですが、これは難しい問題です。
本作のように「単発」の冒険の場合、「ゲームっぽさ」というのがあっても良かったのではないか、という点です。

つまり、ゲームの要所で、「選択肢」を出して、バッドエンドとグッドエンドに分岐するくらいはあっても良かったかもな、ということです。
TRPGは、プレイヤーの思わぬ不注意でキャラクターが死亡したり、ミッションが未達成になってしまうことがあります(特にクトゥルフの場合には!)。

そこも紛れもなくTRPGの要素なので、今度は「ノベルゲームの側の特徴」、つまり選択肢によるルート分岐で、そういうプレイの可能性を見せるって方法もゲームっぽくてアリなんじゃないかな、ということですね。

例えば、同一のキャラクターを使い、何度も冒険や物語を重ねていくパターンを「キャンペーン」とか「キャンペーンシナリオ」なんて呼びますが、この形式ですと選択肢分岐は制作側に大きな負担となります。
しかし、「単発」シナリオの場合ですと、比較的それがやりやすいのです。そして、そこでミッション未達成だと、どういうエンドになるか、逆に成功だと、それがどのように変わるのか、が見えると、既存のリプレイの枠を越えた表現が出来るかな、と愚案する次第です。


とはいえ、TRPGのリプレイとノベルゲームが、ここまで相性がいいとは思いませんでした。
これは、もしかしたら、新しいノベルゲームの一つの潮流になる可能性がありますねぇ。

TRPGファンは勿論、ノベルゲームファンも、ちょっと本作に注目してみて下さい。
ノベルゲームの新しい可能性が、本作に秘められていると思いますよ。



作品の本筋とはあまり関係がないTRPGについて大分書いてしまいましたが、今回はこの辺で。
それでは、また。



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# by s-kuzumi | 2015-06-07 18:59 | サウンドノベル | Comments(0)
2015年 04月 22日

フリーサウンドノベルレビュー 『かたわ少女』

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今日の副題 「本質はタイトルではなくシナリオにアリ」

ジャンル:障害を抱えた主人公及びヒロイン達の恋愛アドベンチャー。
プレイ時間:18~20時間程度。
その他:選択肢アリ、バッドエンドや各ルートにバッドエンドやグッドエンドが設定。18禁。
システム:Ren'Py

制作年:2015/4/1(日本語版リリース)
容量(圧縮時):432MB




道玄斎です、こんばんは。
もう何年も前に、本作の英語ベータ版をプレイして記事を書いた記憶があります。
ついに、その「日本語版」が出たと聞き、プレイしてみた次第です。実際、日本でもニュースサイトなどを中心に話題になった作品ですから、それ以上の説明は不要でしょう。
というわけで、今回は「Four Leaf Studios」さんの『かたわ少女』です。ダウンロードはこちらからどうぞ。
良かった点

・実は凄く普通の恋愛ノベルゲームだった(後述)。

・アニメーションや演出がシームレスな感じで作品に上手く溶け込んでいた。

・非常に上質なルートがある。


気になった点

・文字表示領域限界まで、文字が表示されるので、割と窮屈。

・ルートによっては消化不良な部分もある。

ストーリーは、公式サイトのURLを張っておきましょう。こちらからどうぞ。



非常にショッキングなタイトルがついた作品です。
日本国内であれば、放送・出版コードにひっかかる「かたわ」という言葉が、この作品に注目を集めるのに一役買っているのは間違いないでしょう。
同時に、やはり差別的・侮蔑的なニュアンスがある事から、反感を持つ人もいると思われます。

これがもし、「disabled girls」であったり、「challenged girls」なんてタイトルであるのならば、(特に後者であるならば)恐らく、少なくともタイトルに関しては問題視されることはないはずです。

しかし……差別や侮蔑の本質っていうのは「言葉」ではない事が殆どです。
言葉は全く無関係ではない、とは勿論云えませんけれども、本質は「個々人の気持ち」というか精神の部分であって、それが言葉などの形で出た時、差別や侮蔑が表に分かりやすい形で出てくるんじゃないでしょうか。

とは云え、私もこの「かたわ」というタイトルは「ちょっとやべーよな……」とは思っています。
障害というものに対して、私達は時に必要以上にセンシティブでナーバスになってしまうようです。
上記の「差別の本質は、言葉じゃなくて、精神だろ」という私の考えも、例えば、障害を持つ人が発言するのならば許容され、そうでない人が云ったのならば、「何を知ったような口を!」と怒られてしまう可能性も多々あるわけです。
問題は結構複雑なのです。

……と、ちょいと堅苦しい感じで書き出してしまったのですけど、そうした「障害」というものに積極的に挑んでいく作品、それが『かたわ少女』である、という事は間違いなく云えるでしょう。

ヒロイン達は、目が見えない、足がない、ひどい火傷を負っている……など、見た目にも分かりやすい障害を抱えています。
しかし、本作のユニークな所は、主人公久夫も、心臓の病気を抱え、今後その病気と生涯を共にしなければならないという設定にあるように思えます。

主人公の持つ、分かりにくいけど確かに存在する病との付き合い、そして見た目に分かりやすい障害と、目に見えない葛藤を持つヒロイン達との交流、そこが本作のキモの部分ではないでしょうか。


今回、「良かった点」にて、「実は普通の恋愛ゲーム」と書きましたが、そこにこそ、本作の特徴があるように私には思えるのです。
私達が普段プレイする恋愛ノベルゲームも、「主人公も、そしてヒロインも問題を抱えており、何とかそれを乗り越えていく」というタイプのものが多いですよね。

本作も、実はそれと全く同じです。
例えば、芸術家肌のヒロイン、琳のルートでは、「琳が両手を失っている事」は殆ど問題にならないのです。寧ろ、話の焦点は「芸術家として生きること」、「芸術とは何か」というような問題に移行していきます。

火傷を負っている女の子、華子のルートもそうです。
確かに、火傷(やそれにまつわるエピソード)が華子の性格に与えた影響は大きいのです。しかし、それは「きっかけ」というようなものであって、シナリオの焦点は、「華子が精神的に強くなる」という部分にあるのでしょう。

本作に於いて、障害というのは「今のヒロイン達」を形作るきっかけの一つであって、その障害そのものが問題になるわけではなく、「私達が誰でも抱える可能性のある問題」にこそストーリーの焦点はあるのです。

ですので、「障害」という部分を除いてみれば、非常にオーソドックスな恋愛ノベルゲームになっている、と感じたのです。
そして、それは「障害を持っているから特別なエピソードが必要なんだ」というものではなく、「障害を持っていようといまいと、俺たちは同じような悩みを持つんだ」という、制作者側のメッセージなんじゃないかな、と私は感じました。
つまり、障害があるから、それを「特別扱い」にするのではなく、その障害を「ニュートラル」に捉えていく、とでも云いましょうか。


一方で、障害が「ただのフレーバー」になっている感じ、がしないのも、本作の良いところでしょう。
例えば、聴覚障害のある静音のルートでは、ミーシャが手話と発話によって、主人公と静音の会話を翻訳し、取り持つわけですが、「どこまでが静音の発言で、どこまでが“翻訳者としてのミーシャとしての発言”なのか、が分かりにくい」という描写によって、聴覚障害や、そこに生じるディスコミュニケーションの問題に踏み込んでいます。


さて、気になった点ですが、上に書いた通りです。
所謂メッセージウインドウの限界ギリギリまで文字を表示して、次の行に折り返して……という形で、文章が表示され窮屈さを感じますし、改行が積極的になされていないので、読みにくくなっている部分もあります。

あとは、ルートによって「ん? じゃあこの後はどうなるんだ?」という感じで終わってしまうものもありました。
そこは個々人の趣味の領域かもしれませんが、私はちょいと気になりました。


ルート、ということで云えば、私は断然、リリーのルートが好きですね。
体験版をプレイした時も「リリーが気になる……」と書いたような気もしますし、ね。

そうそう、本作は、個性豊かな脇役達も見所で、各ルートに入ってもしっかりとした存在感があります。
また、ルートに入っても「そのヒロインだけ」に焦点が当たっていくのではなく、ちゃんと他のヒロインなどのキャラクターとの関わりが描かれているところは、丁寧な作りである、と云っても良いでしょう。


一方、「普通の恋愛モノ」として見た場合、ちょっと物足りない……というか薄味な部分も感じます。
気がつけば久夫は、ヒロインに惚れてしまっていますし、恋愛が成就するまで、が淡泊なのです。これは、作品の作りとも関係がありますね。

この作品は、謂わば共通ルートとでも云うべきルートがあって、それは「学園祭」まで。
その後、各ヒロインのルートに入って、「恋愛が成就するまで」、「ヒロインとの間で問題が起きるまで」、「問題を解決しエンディングまで」と、大体4区分に分けられていました。

やはり焦点は「恋愛そのもの」ではなく、「ヒロインとの問題の解決」にあるわけですから、それで恋愛部分は薄めなんでしょうね。
とは云え、その問題の発生とその解決のパートも少し淡泊な印象はあります。



大体、こんなところでしょうか。
本作は、非常に難しい問題に、実は「真っ正面から」取り組んだ、そんな作品だったのではないかと思います。障害そのものを特別扱いせず、一人の人間の人生の過渡期を描いた作品、ということです。

タイトルがショッキングではあるのですが、無心に読んでみると、色々考えさせられる作品なんじゃないかと思います。

ボリュームが多くて大変ですが、是非、全ルート(リリーのルートも忘れずに!)読んでみて下さい。



それでは、また。



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# by s-kuzumi | 2015-04-22 16:59 | サウンドノベル | Comments(4)
2015年 04月 02日

フリーサウンドノベル関係の雑記 箸休めvol.70

道玄斎です、こんにちは。
今日は珍しく昼間からの更新で御座います。



■今このシーンで……

今日は、「箸休め」なんですけど、従来通りのノベルゲームに関係する小ネタというか、そういう話をしていこうかな、と思っています。

で、早速なんですが、今、ノベルゲームで元気の良いっていったらいいのか、まぁ、ちょっと面白いシーンがあって、その一つが「女性向けゲーム」だってところから。

私……に限らず、男性のノベルゲーマーって、割と女性向けゲームに偏見を持ってますよね。
「ありえねぇような完璧超人、しかも優男達がヒロイン(女性プレイヤー)をチヤホヤすんだろ!」とか、「まーた、吸血鬼みたいな男が、純真な女の子に感化されて、その娘と共に生きる道を見つけるんだろ」とかね。

いや、云いたいことは分かります。
それに、それもあながち間違いじゃないw まさに私も昔洋ゲー紹介でやった『Torrey & the Vampire』をマイルドにしたような作風の女性向けゲームを何本もプレイしていますから。

けど、そうはいっても、何て云えばいいのか……「私達男性」が普通に楽しめない、というか食指が動く作品が中々リリースされてこない時期ってありますよね。
そういう時期をして、私なんかはついつい「停滞期」なんて呼んじゃったりするんですけど、女性向けの作品っていうのは、そういう時期でも絶対にコンスタントに制作され、供給され続けてるんですよね。

落ち着いて考えれば、これは凄い事ですよ。
同じような作品がいつの時代でも出てくるんですから、或る意味で、何て云うか能のような伝統芸能の趣すら感じてしまいます。



■でも、それだけじゃないよね

しかし、一応女性向きっぽい作品であっても、何かの拍子にプレイしたりする事ってあります。
そういうのがきっかけで、女性向け作品の一端が分かるんですけど、意外や意外、中々面白いんです。

お話の展開、みたいな所では、やっぱり従来の形を踏襲しているんですけど、結構細かいところで、色々な試みをしてるなぁ、というのが正直な所です。

例えば、BGM。
基本、男性が作る「一般向け」のノベルゲームって、「BGMは場面や背景に合ったものを選びましょう」というのが不文律になっていますけど、女性向けゲーム制作者(もう、縮めて女性制作者と呼びましょう)の場合、そうしたちっぽけな常識を打ち破るようなBGMの使い方をする人が最近増えています。

一見すると「合わないだろ!」って組み合わせを積極的に試していく。
で、結果的にそれが絶妙なコントラストになっている。作品の持つ世界観から浮く事なく、うまく場面になじんで非常に効果的に使われている……。

或いは、選択肢。
詳しく書くと作品を特定しちゃうから書きませんけど、非常に面白い選択肢の使い方をする作者さんも、ちらほら目に付くんです。
単純に「Aを選ぶと好感度+1で、Bを選ぶと-1ね」的なものじゃなくて、作品内容と選択肢(それは、もう、選択肢って云っていいのか分かりませんけど)が密接に絡み合っているもの、そこにゲーム性を強く感じさせるもの……。


とにかく、こういう部分で、非常に新しいというか、先鋭的な試みをしている人達が女性制作者さんなんですよね。
ほら、ノベルゲームでもサウンドノベルでもいいんだけど、基本「文章を読む」って事だから、あまり、手の加えようが無いような気がするんだよ。せいぜい、文句が出ない程度にシステムを整えるとか、その程度でさ。

けど、そういう枠組みの中で、何か面白いこと、思いついたことをやってみよう、とする姿勢があるっていうのはいいですよね(当然、失敗だってありますけど。そうそう、蒸し返して悪いんだけど、ワイド画面はまだそれを活かしたものが出てないような気がするんだよなぁ……。ワイド画面そのものを批判してるんじゃないってとこはご理解頂きたいのです)。



■女性向けも大変なのです

けど、女性向けにも問題がないわけじゃないんですよ。
先ほども少し触れましたが、大きな目で見れば、ストーリーの展開やら運びは、割と単調だし(逆に、そこが好まれる部分でもある)、ちょっぴり排他的な雰囲気もあるし。

先に挙げたような、先鋭的なことをやってる女性制作者さん達ってのは、やっぱり実力や冒険心があるから、シェアの方に移っていっちゃう、っていうのも、フリーゲーム好きとしては寂しいところだったりもします。
当然、シェアっていうのは、ちょっと「男性向け」の路線になる事が多くて、そういう事を考えても、「女性向け」ならではの市場でやっていく、っていうのは、厳しいんでしょうね。



■ここらで定義

今まで、無節操に「女性向け」って言葉を使っていましたけど、大凡の定義は「(主に女性が制作者で)女性キャラクターが主人公となり、男性キャラクターと結ばれる(もしくは親密になる)事を目的とするゲーム」くらいのゆるーい定義です。

あっ、忘れる所だった。
実は、最近凄い面白そうな女性向け(?)ゲームを見つけたんです。

その名も『ラッパーと恋をする』というもの。
ご存じない方も多いと思います。なにしろ、この作品、スマホアプリの形式でのノベルゲームだからです。

普通だったら、歯の浮くようなセリフを連呼するであろう男共が全員ラッパーw
なんか、すんごい尖ってますよねw 作者名を拝見すると、制作者は男性かなって気はするんですが……。

本当ならば、この『ラッパーと恋をする』を大々的に取り上げてみたかったんですけど、私のスマホではプレイ出来ませんでした!
いや、インストールは出来たんです。で、タイトルも表示されたんです。そしてタイトルに表示された「はじめる」もタップ出来たんです。けど、そのあと、話が進むでもなく、タップ出来るようなものもなく……泣く泣くプレイを断念しています……。

プレイ出来なかったわけですから、推測でしかないんですけど、この作品はBGMでもなければ選択肢でもなく、攻略対象となる男性のキャラクターに強烈な個性を加えたものなのでしょう。
ともあれ、こういう方向での強烈な制作もある、というわけです。


で、話を戻して……。
先ほど、「(主に女性が制作者で)女性キャラクターが主人公となり、男性キャラクターと結ばれる(もしくは親密になる)事を目的とするゲーム」というのを女性向けゲームとして、定義したわけですけども、そうした恋愛や、それに準ずるような、まぁ、つまり男性を愛でる行為に主眼がない女性作の作品というのも、当然あるんですよね。

そうした「女性作」の全部が全部当てはまるってわけじゃないですけど、大凡の傾向っていうのもあって、そこらへんについても、少し言及してみましょう。



■女性作ゲームの何となくの傾向

まず、「ファンタジック」な作風が多い、というのは云えるんじゃないかな、と思います。
これは、ここで云う「女性作」のものだけじゃなくて、先ほどから話題にしている「女性向け」でも云える事なんですけれどもね。

これも、ちょっと分類可能で、一つは「おとぎばなし」、つまりメルヘンな世界、という意味でのファンタジック。
そのものズバリ、既存のメルヘンを換骨奪胎してしまう、なんて事も良く行われます。

もう一つは、所謂中世風ファンタジーの世界観。
耳の長い種族がいて、機能性に乏しい鎧を着けた人達がいる、お馴染みの世界です。けど、私はそういうの凄い好きなんですよ!

さらにもう一つは、産業革命前後の近世的な西洋世界。
単純に産業革命前後の文明だったらファンタジックじゃなさそうなんですが、大抵の場合は、「階級社会がまだ残り、魔法などの超自然的な力も微かに生き延びている世界」だったり、そういうファンタジックな味付けがしてあるのが特徴。
これも、中々魅力的ですよね。ちょっと脱線しますけど、なんていうのかなぁ、あのガス灯とかのデザインとかって、なんか凄い素敵じゃありません?w


ま、大体、こんな分類が出来るんですね。
ここ数年の傾向として、「とにかく多産なタイプ」っていう、第三の区分もあるわけですが、それはまたの機会にお話致しましょう。



■こんな違いもあるんです

色々書いてきましたけれども、最初に定義した「(主に女性が制作者で)女性キャラクターが主人公となり、男性キャラクターと結ばれる(もしくは親密になる)事を目的とするゲーム」に、また話は戻ります。

結局、男主人公が、ヒロインとピュアな恋愛をするタイプ(これを、女性向け作者さんは「一般」と呼ぶ事が多いようです)の、性別を逆にしたものが、女性向けゲームの一つの正体という事になります。

けど、本当に違いはそれだけなのでしょうか?
いやいや、実は、凄く大きな違いが、ゲームそのもの、ではなく、プレイヤーの方にあるのです。

というのも、私達が、男主人公がヒロインとピュアな恋愛をするゲームをしても、本気で自分を投影しませんよね? いや、寧ろ、ゲームの作り上、現実の自分ではとても出来ないような凄い事を達成出来る人物、として主人公が設定されていませんか? 「こうありたかった」という願望を体現しているような……。
そもそも、学校という枠の中で、あの飄々としたポジションを保っていられる、というのも云ってしまえば「ゲーム的」なのです。

しかし、女性向けゲームの場合、「主人公の女の子に対して、プレイヤーが自己を投影している」ケースが多いのです。
以前、知り合いが「読者とプレイヤーってのは違うよなぁ」と悩んでいましたけど、もしかすると「自己を投影出来るか否か」がノベルゲームでは、その分かれ目なのかもしれません(その要素の為に「選択肢」の使い方とか、また色々な問題が絡んでくるのでしょう)。「読者」っていうのは、ちょっと物語から引いた立場ですしね。

閑話休題。
ともあれ、女性向けゲームの女主人公は「無個性」であるというのが、一つの様式として成り立っており、サーチエンジンでも「個性なし」という項目があるくらいなのですw

何本か典型的な女性向けのゲームをプレイしてみれば、良く分かるのですが、主人公は「美人でもないけど、ブスでもない」という描かれ方が物凄く多いのです。一枚絵や立ち絵では非常に可愛いのですけれどもw
「こんな、何の取り柄もないわたしに……」的な、一昔前の少女漫画的……と云ってもいいのかもしれません。

更に、ゲームを起動して「はじめる」を押すと真っ先に出てくるのが「主人公の名前入力」です。
これも、以前書きましたが、「名前入力させず、デフォルトの名前の作品を作ったら、苦情がきた」という話も結構聞きます。
つまり、名前を入力したいわけですよね? 自分の名前か……或いは本名よりも自分を投影出来る名前かを。


そうなんです、つまり、プレイヤーの自己投影度、が、女性向けとその他のそれでは大きく異なっているのです。
こういう、ゲームを遊ぶ側の意識の違い、というのもあるんですよね。



■まとめ

まぁ、「女性向けゲームが面白いぞ!」という所から始まって、多少、大なたを振るった感はありますが、その分類や特徴を書いてみました。

いや、けど、ほんと、今一番元気がいいのって、女性向けゲームの最前線で頑張っている人達なんじゃないかな? って本気で思ってます。

女性向けのゲームの世界には、ある種の閉鎖性があったり、不文律のようなものが存在していたり、実は、あんまりオープンな場ではなかったりするんですけど、そういうのを、これから、第一線の女性制作者さん達が、切り拓いてくれたら、もっと面白いもの、女性向けと限定しなくても十分に楽しめるもの、が生み出せるんじゃないかな? そして、その時にはもはや「一般」とか「女性向け」とか、そうしたこぢんまりとしたジャンル分けも無くなっているんじゃないかな? なんて思いつつ、筆を擱かせて頂きます。



それでは、また。

# by s-kuzumi | 2015-04-02 12:35 | サウンドノベル | Comments(2)